連載4回目となる今回は、
岩手と東京の二拠点で「異彩を、放て。」というミッションのもと、
福祉を起点に新たな文化をつくりだす福祉実験ユニット〈ヘラルボニー〉代表の
松田崇弥さん&松田文登さんにお話を伺った。
前後編の2回に分けた前編をお届けする。
(※後編「自然とアートは似ているのか?」はこちら)

「障害」の概念やイメージを変えていく
山井梨沙(以下、山井): おふたりとお会いするのはこれが初めてですが、
実は結構同じシンポジウムなどにゲストやパネラーとして呼ばれることも多いんですよね。
やっとお会いできてうれしいです。
松田崇弥&松田文登(以下、崇弥、文登): こちらこそ書籍も読ませて頂いたりしていて、
ずっとお会いしたかったので、今回の対談をとても楽しみにしていました。
山井: まずはヘラルボニーさんの活動について、改めてお話を伺えますか?
文登: 簡単に説明しますと、障害のある方のアートデータを管理し、
それを軸にさまざまなモノやコト、場所に落とし込むような事業を中心に展開しています。
そのデータを使用したプロジェクトの利益の一部を
福祉施設さんに直接バックしていくようなモデルをつくり、
現在は北海道から沖縄まで、
全国37の社会福祉施設や個人の作家とアートのライセンス契約を結んでいます。
「障害」を話題にすると途端に重苦しい話になりがちですけど、
障害の有無に関わらず、ひとりひとりが本当の意味で尊重される、
そういう風に社会の意識を変えていけるような活動をしています。
世界中にいわゆる「障害者」が10億人、日本だと936万人が障害者手帳を持っていて、
そのうち知的障害の方は109万人ほどいらっしゃるんです。
障害のある方は福祉施設でいわゆる受産品と呼ばれるような
クラフトや食品などをつくっている方が多くて、
もちろん絵を描いている方もいらっしゃるのですが、月額の平均賃金は16000円くらい。
一概には言えないですが、やっぱりそれは妥当な額ではないと思うし、
僕たちの活動によって、まずは一緒に仕事をしているアーティストから
そういったところを根本的に変えていけたらと思っています。

崇弥: 僕たちは岩手県出身。
岩手県花巻市にある福祉施設〈るんびにい美術館〉をきっかけに会社が始まったこともあり、
自分たちのアイデンティティやスタンスを忘れたくないという気持ちが強くて、
本社は岩手県に置き、東京との二拠点で会社を運営しています。
今では、全国のギャラリーで「障害者アート」の展示がされるようになってきましたけど、
アートに興味のない人にも観てもらえるように、
例えば駅舎や電車ごとラッピングしたり、工事現場の仮囲いにアートを掲示するなど、
パブリックな場所にアートを落とし込んでいくことで、
障害の概念やイメージが変わっていけばいいなと思っています。
あとは自社ブランドとして〈HERALBONY〉という
アートライフスタイルブランドを展開しています。
支援や貢献の文脈ではなくて、デザインが好きだからとか、
直感的に欲しいから買うという行動につながるように、商品の品質にもこだわり、
百貨店を中心にポップアップショップで販売しています。
あとは地ビールのメーカーや食品会社など、
さまざまな企業とコラボレーションもさせていただいています。
作家さんたちによりお金の流れを生んでいけるような仕組みをもっと広げていきたいですね。

今年プロデュースした〈ハイアット セントリック 銀座 東京〉というホテルの客室。(写真提供:HERALBONY)

釜石線のアートラッピング車両。(写真提供:HERALBONY)

























































































