「『人生フルーツ』を観て、木の家に住む暮らしに憧れていました」
そう話すのは、
神奈川県秦野市にBESSの「カントリーログ」を建てて住んでいる八島巧実さん一家。
近代建築の巨匠である建築家、アントニン・レーモンドの弟子である
津端修一さんを追ったドキュメンタリー映画『人生フルーツ』。
土地を購入し、その場所に何十年に渡って雑木林を生み出しながら、
自ら建てた平屋で暮らす夫婦の物語である。
周辺環境はもちろん、その暮らしぶりに憧れた。
八島巧実さんと絢さん、そして子どもたち。
神奈川県藤沢市の鵠沼海岸に住んでいたとき、
なんとなくBESSのLOGWAY(ログウェイ・展示場)に行ってみて、一目惚れ。
そこから購入までの流れは早かったという。
『人生フルーツ』にあやかり「明るい色ではなく、木そのものの雰囲気がよくて」と、
BESSのなかでもログハウス感の強い「カントリーログ」を選んだ。
カタカナの表札がかわいい。
当初思い描いていた暮らしも、やはり『人生フルーツ』の影響が大きかったという。
まずは庭に木を植えること。
「家を建てたときにいくつか植えてもらいました。
その後に自分で植えたものもあります」
雑木林にまで育てるのは難しいかもしれないが、
これから時間をかけて育っていくのが楽しみな、若い木がたくさん植えられている。
窓際にダイニングテーブルを設置して、外を眺めながら食事できる。
庭の木々には野鳥用のバードハウスを設置。
ふたりの共通の趣味であるバードウォッチングを、
子どもとダイニングテーブルに座りながら楽しんでいる。
子どもが産まれる前、鵠沼海岸に住んでいるときにふたりで好きになったという。
ちょうどシジュウカラが飛んできた。
庭にあるバードハウス。 バードウォッチングに使用していた双眼鏡。子ども用も常備。
「小鳥、好きですね。愛らしさしかない。
それまでスズメとハトとカラスしか知らなかったんですが、
ちゃんと見てみると、ちょっと緑の多い公園なんかに行けばたくさんいるんですよね。
木の先端にいる鳥もいれば、中に入って止まっている鳥もいます」と言う奥様の絢さん。
「最初は図鑑を持っていって照らし合わせたり、写真を撮ってあとで復習したり。
1年くらいやっていると、季節と大きさ、止まっている木の場所で、
だんだんわかるようになってきました」と続ける巧実さん。
土間部分はリビングとして利用しているが、もう少しいい使用方法があればと常に考えている。
大分県別府市を活動拠点とするアート団体〈BEPPU PROJECT〉が、
同市在住の画家・勝正光さんをガイドに迎え、別府と国東半島の
アートや文化施設等を巡るツアーを開催します。
開催日程は、2023年2月25日発、3月11日発の2枠で
いずれも1泊2日のスケジュールを予定しています。
今回ガイドを務める勝さんは、鉛筆素描の現代美術作家として
活動するアーティスト。
2009年、“別府のアート版トキワ荘”と呼ばれる清島アパートが誕生したのを機に
東京から移住後、別府市を中心に地域に根を下ろした活動を行っています。
また、地元の青年団や絵画教室といった活動にも積極的に参加し、
別府のまちや建物の歴史に関する造詣も深めています。
アーティストの勝正光さんと北浜アート巡りを楽しみます。
そんなアーティストとともに旅をすることで、アートを通じた地域の魅力の探求や
地元の人との交流、そしてアーティストならではの「ものの見方」について学ぶ場を
提供しようと企画されたこのツアー。
勝さんと一緒にまちを歩きながら見つけた「自分にとってのアート」を発表する
ワークショップのほか、別府のコアな居酒屋アーティストとの交流なども体験できます。
1日目の昼食は別府で人気のカレー店〈バサラハウス〉でいただきます。
福岡県北九州市で建築設計事務所を営み、転貸事業や飲食店運営を行う
田村晟一朗(たむら せいいちろう)さんによる連載です。
今回のテーマは、北九州市小倉にある複合ビル〈室町シュトラッセ〉。
空きビルから飲食店やヘアサロン、オフィスなどが集まる複合ビルへと生まれ変わり、
新しい人の流れが生まれました。そのプロセスを振り返ります。
2015年、全国にユニークなゲストハウスがいくつも誕生し、
「ゲストハウス戦国時代の始まり」を肌で感じていたときでした。
僕自身も出張先でいろんなゲストハウスに泊まり、その魅力にハマったひとりでもあり
「北九州でもおもしろいゲストハウスをつくってまちを盛り上げよう!」
という気持ちでいっぱいでした。
〈Linked office“LIO”〉 の事務所から徒歩10分圏内を中心に物件探しをしていました。
ネットからではなく日常のまちを歩きながらのリアル探索。
そんなときに見つけた物件がこちら。
2階に貼られた「テナント募集」に目がとまり、管理会社に内覧を依頼した。
築45年、鉄骨造、1フロア約40坪の3階建て。
当初は2〜3階を借りてゲストハウスをはじめようとイメージして
建物を内見させてもらうことにしました。
管理会社の担当者から「ビルオーナーも同行していいですか?」と連絡があり、
「もちろんOKです。むしろいろいろとお話をうかがいたいです」と即答しました。
「管理会社が入って案内するのに、オーナーさんが自ら同行するケースは珍しいな」と
思ったことは記憶に残っています。
当時の2階の状況。ほぼスケルトン状態。広いのでゲストハウスとしての使い方のイメージはできました。 3階の状況。トイレや給湯室の間仕切壁があった。奥の人影がビルオーナーのTさん。 屋上の様子。防水機能が切れているなどの劣化はあったものの、気持ちがいい空間でした。
函館市で設計事務所を営みながら、建築施工や不動産賃貸、
ポップアップスペースやシェアキッチンの運営など、
幅広い手法で地域に関わる〈富樫雅行建築設計事務所〉の富樫雅行さんによる連載です。
最終回は、複合ポップアップ施設〈街角NEWCULTURE〉の後編です。
舞台は築90年を超える旧商店の店舗(旧昆布館)と
焼き肉店(キングオブキングス、以下オブキン)がくっついた建物。
前編では、基礎的な工事からポップアップストアについてお伝えしました。
後編では、チャレンジショップやオフィス、喫茶やバーなどが集まる
複合施設の完成に向けて、少しずつ歩んでいくプロセスをお届けします。
インターン生の企画から生まれた、4日間にわたるポップアップストアは
大成功に終わりました。その4日間を踏襲(とうしゅう)するかたちで、
建物の一部にはいろんな人がチャレンジできるポップアップストア用のスペースを常設し、
建物名も〈街角NEWCULTURE〉と命名しました。
旧昆布館は街角NEWCULTUREと名前をあらため、11月までの間、無料のポップアップを始めた。9月に開催したマルシェでのコンサートの様子。
テナント入居後、2階エントランスに扉を新設。正面と左側の2か所に設置した。
そんな2021年9月末のある日、臥牛館1階で〈学童クラブ ひのてん〉を営む
〈ヒトココチ〉 代表の曽我直人さんから相談を受けました。
家賃がかさむので、いっそ1軒家を買って移転しようか検討しているというお話でした。
大家にとっては悲劇の瞬間です。
通常であれば、家賃を安くするか、新たな入居者を募集するでしょう。
ところが赤字の段階でさらなる値引きは死活問題であり、
なにより地域にとって子どもたちの元気な声はかけがえのない財産であり、失いたくない。
カルチャーセンター臥牛館。左側が〈ひのてん〉の入り口。
振り返ると、僕が地元の老舗エネルギー会社〈池見石油店〉の社長さんから
「臥牛館を買わないか」と言われたとき、
「ひのてんさんがビルを買えば、家賃がかからなくなるうえ、
家賃収入で上手く回していけるので、まずは相談してみてください」と
頼んだことを思い出しました。
まだ臥牛館の投資分を回収しきる前で、かなり厳しい判断ではありましたが、
このまちには子どもの存在が必要だと思い、あらためて聞いてみました。
「ほかで探すのであれば、このビルを買いませんか?」と。
曽我さんもこのビルに愛着があり、前向きに検討してくれることになりました。
池見さんも利益をかえりみず僕にこのビルを譲渡したように、
僕も譲歩しお互いを信頼しながら、不動産屋さんを挟まずに売買することで、
11月にビルの譲渡が決まりました。
函館市で設計事務所を営みながら、建築施工や不動産賃貸、
ポップアップスペースやシェアキッチンの運営など、幅広い手法で地域に関わる
〈富樫雅行建築設計事務所〉の富樫雅行さんによる連載です。
今回は、チャレンジショップやオフィスなどの複合ビル
〈街角NEWCULTURE〉がテーマです。
前回ご紹介したビル〈カルチャーセンター臥牛館〉(以下、臥牛館)の隣にある建物で、
コロナ禍の逆境においても「前に進めなければ」という思いから生まれたプロジェクト。
オープンに向けて歩んだ道のりを前編と後編に分けてお届けします。
2019年の7月に臥牛館を引き継いでから、リノベーションをしながら
徐々にテナントも増えていきました。
2020年6月にはコロナ禍でもスタッフを増やし、近くの古民家で
チャレンジショップ併設の町工場〈RE:MACHI&CO〉(以下マチコ)を立ち上げ、
そのなかに〈街角クレープ〉がオープン。
臥牛館を軸に隣接エリアが変わりつつありました。
もう大きな変化は起きないだろうと思っていた矢先、転機が再びやってきました。
2021年4月の頭、臥牛館のときと同じく池見石油の石塚社長から相談が。
「向かいの建物も引き継いでくれませんか」というものでした。
向かいの建物とは、かつて海産商の旧田中商店の店舗だった〈昆布館〉と
焼き肉バイキング店〈キングオブキングス〉(以下オブキン)がくっついた建物のこと。
左からカルチャーセンター臥牛館、道を挟んでキングオブキングスと昆布館。
左がオブキン、右が昆布館。オブキンと昆布館は2階でつながっている。昆布館の横には世界最大といわれる真昆布のモニュメントが残っていた。
昆布館(旧田中商店)は鉄筋コンクリート造で、
1932年に海産商の旧田中商店によって建てられました。
バブル期にマンション開発の荒波に飲まれ周辺の建物の解体が進むなか、
解体する間際に池見石油店の先代である故石塚与喜雄さんが
建物の保存を訴えて解体を止めさせ、開発業者から買い取ったという伝説の建物です。
買い取ったのち、先代は旧田中商店につけ加えるようにして、下が駐車場の建物を増築。
1991年、地元の肉屋さんが増築部分にオブキンを開業しました。
旧田中商店の1階は、昆布と北前船にまつわる歴史資料を展示する昆布館となりました。
旧昆布館(旧田中商店)に残っていた建築時の写真。立派な海産商だったことがわかる。
旧昆布館の1階ビフォー。一時的に明かりのショールームになっていたが、漆喰が剥がれ落ちていた。
オブキンは地元で親しまれつつも、業界の競争激化によって2005年に閉店。
空き家となってからは屋根からの雨漏りが激しく、至る所の天井が抜け落ちた状態。
まさに廃墟となっていました。
(写真提供:金野大介)
盛岡のまちづくりに大きな貢献をしてきた〈三田農林〉は、
2010年頃から自社の森で育てた木材などを利用して、
明治・大正・昭和期の古民家のリノベーションに取り組んでいる。
その一部は、商業店舗として活用され、まちににぎわいをもたらす事業となっている。
まずは、そのひとつとして、100年を超える古民家を見事に生かした〈リタ〉の話。
盛岡駅から、北上川に架かる〈開運橋〉を渡り、
盛岡城跡へと続く市街地の入口に〈リタ〉がオープンしたのは2021年10月。
築115年の古民家を生かした美しい空間には、
「温める」に重きを置き出合ったものや、つくり手の顔が見える商品が並ぶ。
店に立つのは、長年アパレルの世界で働いて来た金野大介さんと下山久美さん。
「土に近い場所で、植物とともに暮らしたい」と住まいを探すなかでこの建物と出合い、
〈リタ〉の物語は動き出した。
日本間を土間に改修したショップスペース。設計・施工は雫石町の〈森の音〉。(写真提供:金野大介)
久美さんが資格をもつ古式マッサージの施術やイベントなどを行う日本間。襖や縁側はそのまま残されている。
「20年くらい前に、息子と一緒に畑の真ん中にある貸し家に住んでいたことがあって、
野菜を育てたり、植物に囲まれた畑にテーブルを出してごはんを食べたりしていたんです。
その思い出がすごく豊かで、その空間をまちなかに持って来たいとずっと思っていました」
と話す久美さん。
より自然の多い山の近くでの暮らしも模索したが、
久美さんは市内のセレクトショップ〈kasi-friendly〉のオーナーでもあり、
同店を続けながら「自分たちにできること」を考えるうちにこの場所にたどり着いた。
白洲次郎と白洲正子が暮らした〈武相荘〉をイメージした庭。花巻市の〈イーサゴ ナーセリー & ガーデン〉に監修を依頼し、いちから整備した。縁側にあった踏み石を切り、敷き詰めるなど、この場所にあったものが生かされている。
「畑をやりたいけれども、
周りを見渡せばすでに美しい仕事やしっかりとした生業をもっている方たちがいる。
自分たちにできることは、生産者のプロフェッショナルになるのではなく、
その術や取り組んでいることを伝えることだと考えたんです」と大介さんも話す。
人が行き交うまちなかでありながら、
小さな畑と、庭を愛でることができるこの空間は、ふたりにとっての理想だった。
縁側に美しい光が差し込む。屋内にいても四季の移ろいを感じることができる場所だ。
秋田市で、美術作家・臼井仁美さんによる展覧会
『やまは蔵、まちの原木、ケズリカケの木々』が開催されています。
主に「木」を作品の素材とし、
「人間の自然への眼差し」に焦点を当てた制作を行っている臼井さん。
本展覧会では、秋田の「まち」を「森」に見立て、
まちなかの蔵や家屋から借りられる(採集できる)家具や道具を探すところから
滞在制作はスタートしました。
明治創業の〈高砂堂 本店〉では、かつてお菓子を入れるために使用していた木箱「番重」を採集。もろこし型とともに展示されています。店舗は大正時代建設で、国の登録有形文化財でもあります。
「森」に見立てたまちから採集された家具や道具は、言わば「原木」。
展示されている作品には、これら「原木」に、
臼井さんによる「ケズリカケ」が施されています。
〈08COFFEE〉で使用されているブックスタンドに施された「ケズリカケ」。この原木の生い立ちも展示のキャプションを読むと知ることができます。
木の肌を、薄く細長く削り垂らす「ケズリカケ(削り掛け)」は、古く祭具などに施されてきたもので、
展示によれば、アイヌの祭具「イナウ」、彼岸花として供えられる「削り花」、
ドイツの工芸品「シュパンバウム」はじめ、台湾、ラオス、ハンガリー、フィンランドなど、
世界中に存在しているものなのだそう。
秋田という「森」から採集した木製品にケズリカケを施すことで、
家具や道具という役割の下にある立木であった時の姿が浮かび上がってきます。
〈交点〉のマスターの祖父母が暮らした家屋に残されていたというコテアイロンの柄に施されたケズリカケ。モノの物語を店主に聞いてみることも楽しみのひとつです。
こうした作品がひとつの場所ではなく、〈秋田市文化創造館〉、
〈交点〉、〈ココラボラトリー〉、〈高砂堂 本店〉、〈08COFFEE〉、〈PLAY+TOYS のはらむら〉と、
まちのあちこちに展示されているのが、本展覧会の魅力。
まるで森を歩き、立ち上がる木々を巡るようにまちを回遊する楽しさがあります。
カフェやギャラリー、和菓子店、おもちゃと遊びの専門店など、
展示場所のジャンルはさまざまですが、
それぞれの場所に息づいてきた原木の物語を体感しながらスポットを巡れば、
訪れたことのある場所にも新しい風景が見えてくるはずです。
〈PLAY+TOYS のはらむら〉では、店主から提供された曲げわっぱの部材に「ケズリカケ」が施されたモビールが展示されています。
ケズリカケのおかっぱを被り、人間に化けたおもちゃ「どんぐりころころ」も探してみてください。
会場ごとに絵柄が異なるスタンプを押せるスタンプラリーも開催しているので、押印をお忘れなく。写真右下のスタンプは秋田市文化創造館で押印できる絵柄。
日本全国で見られる空き家問題、
その約半数は賃貸用住宅だといわれています。
老朽化した古いアパートも例外ではなく、
リノベーションによって、新たな活用方法が見出されています。
本記事では、各エリアに眠っているアパートが
新たなカタチに生まれ変わった実例をまとめてご紹介します。
アパートは建物の特性上、部屋が小分けにされていることから
工事内容に小回りが効き、低予算でもアレンジできるのが
アパートリノベの特性といえるでしょう。
大阪府大阪市此花区で建築事務所〈NO ARCHITECTS〉を営む
西山広志さんは、シェアハウス、通称〈大辻の家〉に住んでいます。
その大辻の家と繋がったアパート4室のうち2室をセルフリノベーションした事例です。
2室の空き部屋は、押し入れ付きの6畳の座敷がふた間と、
板の間の台所がひと間のL型2DK。
かなり長いあいだ空き部屋だったので、廃墟同然で
カビ臭いどんよりした空気が流れていました。
そこで西山さんは、同居人であるパティシエの遠藤倫数さん、
アパレルデザイナーの黒瀬空見さんと共用できる、
ものをつくったり考えたりするためのアトリエとして活用できないか考えます。
玄関を入ってすぐ左手は遠藤さんが使用するキッチンやバーカウンター、
その奥は共有のリビングで、みんなでごはんを食べたり、まったりできるスペースを想定。
右の突き当りの窓際あたりが黒瀬さんのブランド〈ツクリバナシ〉のアトリエです。
床は、下地の角材で高さを揃えてベニヤ板を張り、フラットなワンルームに。
玄関横の壁は、ほかの壁と仕様を変えて大壁(柱を見せない構造)にしました。
トイレ脇の押し入れを解体してできた小さな窪みは
遠藤さんの自転車のカスタムスペースになりました。
この時点ではまだ塗装はされておらず完工には至っていなかったものの
自由なスペースを自分たちらしく楽しく暮らしていけるように
つくり変えていく、という思いのもとに工事を進めていきました。
記事はこちら:NO ARCHITECTS vol.8:シェアしたみんなが思うようにつくる家 後編
埼玉県熊谷市にある設計事務所〈ハクワークス〉の白田和裕さんは
建築家でありながら空き家を使った施設の運営を行っています。
白田さんの地元である埼玉県草加市で、
〈リノベーションスクール@そうか〉というイベントに参加した際、
プロジェクトの題材は取り壊しを待つばかりだった
草加駅前にある2階建て、木造風呂無し賃貸アパートでした。
スクールに参加した10人で構成されたユニットで
近隣のエリアに変化をもたらす事業提案に取り組みました。
白田さんチームは、地域コミュニティが弱体化する草加で、
食を通じて人がつながる地域の食卓のような場所をコンセプトに
料理教室を軸とした、新たな場づくりとして
〈キッチンスタジオ アオイエ〉を提案。
一部の違法な部分を適法化したり、断熱性能や耐震性の
向上を行いつつ、予算を抑えるため塗装は自分たちでやるなど
知恵を絞りながら進めていきました。
アオイエの隣には再建築不可の土地があり、そこに畑をつくり
畑で採れた野菜を使って料理をすることも考えました。
完成後、地元の飲食店のシェフや店主が
料理教室の講師を務めることで、さらに人とまちとがつながっていきました。
SNSでグループができたり、開催を楽しみにしてくれる方々も増えていっているようです。
記事はこちら:草加市〈キッチンスタジオ アオイエ〉 人と人、人とまちがつながる ダイニングキッチン
福岡県北九州市で建築設計事務所を営み、転貸事業や飲食店運営を行う
田村晟一朗(たむら せいいちろう)さんによる連載です。
今回は北九州市小倉の団地にオープンしたお惣菜屋さんの話。
健康面でも精神面でも高齢者たちの拠り所になりながら、
地域の林業の課題解決にも寄与している場所。
その誕生のプロセスを振り返ります。
2015年のある日、知人の経営コンサルタントである田代智治(たしろ ともはる)さんから
「タムちゃん、ちょっと相談があるんよ」とお声がけがありました。
当時の僕は北九州市立大学のMBA(経営学)スクールに通う
社会人の方々と親交が多く、田代さんもそのひとりでした。
「みむちゃんがお惣菜屋を始めるから、いま手伝っているんだけどね」と。
みむちゃんとは、田代さんとMBA同期で元作業療法士の三村和礼(みむら かずゆき)さん。
「福祉業界から社会をよくしたい」と、物腰がやわらかい雰囲気からは
想像もつかないくらい情熱にあふれる人でした。
相談内容というのはふたつ。
まずは三村さんが始めるお惣菜屋さんの店舗設計。
もうひとつが田代さんと親交の深い大分県日田市にある
〈田島山業〉の田島信太郎社長が抱える事業課題の解決。
それらを同時に行いたいとのこと。
「お惣菜店と林業がどうつながるのか?」
なかなかピンとこない僕の顔を見つつ、
「とりあえず田島さんのところへ行こう」となりました。
店舗の施工を手がける〈ヴィリオ〉の寺井 智彦くん(vol.2を参照 )も誘い、
田代さん、三村さんと一緒に日田の林業の現場へ。
大分県日田市中津江村の山奥に到着。田島さんに林業の現場を案内してもらいました。
鎌倉時代から先祖代々受け継がれてきた山への想いや、
それを未来へ継承していくことの責任など、
ひと言では語りつくせない現状に、僕らも少しですが触れることができました。
新緑も深く、空気もうまい!
〈田島山業〉の現場。ここは製品となる日田杉の保管場所。
想いを語ってくれる田島社長。
続いて案内されたのが、「林地残材」と呼ばれる丸太の置き場所。
道の脇には積み重ねられた大木の山があり、
これがまさに田島さんが課題としていることでした。
林地残材とは、商品価値がないとされる丸太です。
樹々は山の傾斜に生えながらも垂直に伸びるため、
根元の1〜2メートル程度が曲がります。
組合はその曲がった部分を商品価値がないものとして引き取らないため、
こうして道端に放置するか、費用をかけてバイオマスにするしかないとのこと。
バイオマスとはチップ状に粉砕して燃やす燃料のことですが、
田島社長は「先祖代々が育ててきたこの樹木たちを、
ただ燃やすだけに使うには申し訳なさすぎる」とおっしゃっていました。
道端に放置されている林地残材。 林地残材を根元から見た様子。
確かに少し曲がっているけど、とても立派です。
この程度で商品価値がないと判断されるのは、もったいなさすぎると皆が実感しました。
思い通りに間取りを設計できる倉庫のリノベーションは、
自由な発想が膨らみ、広々とした空間の使い道は無限に広がります。
そして、地域の交流の場をつくるという点においても
多くの人を集められる箱なので選択肢の広いテナントとして機能します。
本記事では、各エリアのリノベのプロが
これまで手がけた倉庫リノベーションの実例を紹介。
空っぽだった倉庫が、新しい活用方法で再生を遂げる物語をお届けします。
栃木県宇都宮市で不動産業を営む〈ビルススタジオ〉の塩田大成さんは、
宇都宮でオフィスを構えようと考えているお客さんが少ないことに
疑問を感じていました。
調べてみると自宅兼オフィスとして働いている人が多く、
「個人経営者同士が集まれるワークスペースをつくれば、
仲間同士でよりよい仕事が生まれるのではないか」と考え、
空き倉庫を探し、シェアオフィスとしてリノベーションすることにしました。
施設名はSOHOをもじって〈SOCO(倉庫)〉。
リノベーション工事は、仲間を募ってほとんどをDIYで進めていきます。
工事期間は3か月かかり、仲間たちとペイントしたり、
家具をつくったりしながら少しずつ進めていきようやく完工。
1階にはカフェ、2、3階にはコワーキングスペースが入居し
次々と施設内でのビジネスも生まれてきたようです。
マルシェイベントなども開催され、日々新しい出会いが創出されています。
宇都宮のまちに、またおもしろい場所ができました。
記事はこちら:ビルススタジオ vol.5:倉庫をDIY、はたらく場所をつくる
函館市で設計事務所を営みながら、建築施工や不動産賃貸、
ポップアップスペースやシェアキッチンの運営など、幅広い手法で地域に関わる
〈富樫雅行建築設計事務所〉の富樫雅行さんによる連載です。
今回の舞台は、函館市十字街にある
〈カルチャーセンター臥牛館(がぎゅうかん)〉というビル。
建築家である富樫さん自らビルを受け継ぎ、
建物のオーナーとして、建築家として、まちのためになにができるかを模索するお話です。
僕が臥牛館を引き継ぐことになったのは2019年7月のこと。
その日々を振り返ると今でも胸がゾクゾクします。
2011年に〈常盤坂の家〉 を買って2012年に独立。
その後10年間で、新築住宅の設計が13件に対して、
リノベーションのプロジェクトには42件ほど携わってきました。
おかげさまで仕事も順調で、古民家のリノベーションでは、
コストを抑えつつセルフビルドやDIYがより円滑に進むように
施工も受けるようになりました。
打ち合わせに行っては図面をかいて現場を指揮して、というルーティーン。
土日の休みもなく夜中まで仕事をするような本当に忙しい日々でした。
2017年〈カネサ佐々木商店〉の復元リノベーション。
常盤坂の家で自分自身がハーフセルフビルドを実践したので、
古民家を自分たちでリノベする施主の大変さは身に染みてわかります。
リノベやDIYって外から見ると楽しそうですが、実際には苦しさ9割、楽しさ1割くらい。
仲間と一緒に楽しく作業できるのはほんの一瞬です。
途中で挫折しそうになっても、あと戻りはできない。
それに耐えられるのか? 施主との打ち合わせではその人の適正を見極めながら、
おすすめできない人にはそのように伝えてきました。
そんな施主のみなさんの頑張っている姿を見ていると、
建築家として自分ももっと仕事以外にもなにか頑張らないといけない、
そんな気持ちになっていました。
2018年4月、解体が始まっていた古民家を散歩中に見つけ、買い取ってリノベした〈加藤くんのリノベーション 〉。 2018年12月、移住してきた山田さん夫婦が捕鯨船の船長の家をリノベしてオープンさせた〈ごはんおやつシプル〉。
そんな思いを抱えるなかで、もうひとつ考えていることがありました。
これまで函館の中心市街地の西部地区で多くの古民家のリノベを担当しましたが、
まちの衰退は著しく進んでいきます。
本当の意味でまちを守っていくにはどうしたらいいのだろう?
古民家を守るのも大事だけど、まちの中心部で暮らしながら生業(なりわい)を
営む人々を支え、またその芽を応援していくことが大切なのではないか。
それと同時に、古い建物を活用して次世代に残していくべきなのだろう。
このようなことを考えながらも、時間に追われる日々でした。
Artwork:©︎Yoshitomo Nara 撮影:長谷川正之
田根剛さんが改修したことで有名な、
青森県弘前市にある〈弘前れんが倉庫美術館〉。
「かりに事業が失敗しても、
これらの建物が市の将来のために遺産として役立てばよい」
そんな実業家・福島藤助さんの思いを受けて
もともと酒造工場として建てられたこの煉瓦造り建物ですが、
美術館に転変したきっかけが、奈良美智さんの展覧会に
あったことをみなさんご存じでしょうか?
奈良美智さんは弘前市の出身。
文化芸術に精通していた弘前れんが倉庫美術館の前身、
煉瓦倉庫のオーナーで吉井酒造株式会社社長である吉井千代子さんが、
「奈良さんの作品を倉庫で展示をしたい」と
ギャラリーに問い合わせたことからこのご縁は始まったといいます。
そこから奈良さんと吉井さんがつながり、
後日煉瓦倉庫で多くの人々を巻き込んで、
『I DON’T MIND, IF YOU FORGET ME.』(2002年)、
『From the Depth of My Drawer』(2005年)、
『YOSHITOMO NARA + graf A to Z』(2006年)と、
3回も奈良さんの展覧会を開催。
約1500人のボランティアや地域の力を借り、
弘前における奈良さんの展覧会という側面だけでなく、
ローカルなアートプロジェクトという側面においても大成功を収めました。
現在弘前れんが倉庫美術館で開催されている、
「『もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?』
奈良美智展弘前 2002-2006 ドキュメント展」は、
弘前での最初の奈良さんの展覧会から20年を迎える今年2022年に、
その軌跡をさまざまな資料で振り返る展示で、
非常に興味深い充実した内容となっています。
『I DON’T MIND, IF YOU FORGET ME.』(2002年)資料 撮影:長谷川正之
本展展示風景 撮影:長谷川正之
ここからは同展覧会の様子をレポートしていきます。
まず入口すぐの展示室1では、「一本の電話から」と題し、
地元の人の協力を得て集まった「奈良美智展弘前(以降「ナラヒロ」)」
の資料を9つの切り口で紹介。
当時制作されたポスターやチラシ、グッズのほか、
新聞や雑誌取材の切り抜き、吉井さんが所蔵するこぎん刺しの資料、
関係者が大切に保管していた奈良さんのドローイングなど
ありとあらゆる細かな資料が展示されています。
展覧会の実現に携わった4人のインタビュー映像も。
当時の様子がそれぞれの言葉の重みを持って伝わってきます。
資料からも分かる通り、展覧会はさまざまな工夫がなされ、
美術展としてどこにも引けを取らない唯一無二だったのはもちろん、
その輪は大きく広がり、アートのあるまち・弘前の発端にもなりました。
なぜそこまで大きなうねりとなったのか。
その奇跡ともいえる連鎖をそれぞれの資料から、
読み取ることができるでしょう。
長野県出身の世界的建築家の藤森照信。
空想の世界に登場するような、
非現実的で懐かしい建築を多数手がけています。
そんな藤森さんの日本初となる宿が2023年にオープン予定。
なんと藤森建築のファンだった山越典子さんが、
なんのツテもない状態で藤森さんにアタックし続け、
12年の時を経てようやく展開されたプロジェクトです。
現在 クラウドファンディング で支援を募っていますが、
大きな注目を集め、目標金額を300万円も上回る
880万円以上のお金が集まっています。
新設されたクラフトマーケット Photo: Masayuki Hayashi
〈飛騨産業株式会社〉が、以前より運営していた〈HIDA 高山店〉をリニューアルし、
複合ショップ〈HIDA 高山店 森と暮らしの編集室〉を
10月22日(土)にオープンしました。
「異彩を、放て。」というヘラルボニーが掲げるミッションに共鳴したHIDAが、在籍作家・伊賀敢男留のアート作品をもとに椅子張り布を開発。
今年100歳を迎えるアーティスト、柚木沙弥郎の図案をテキスタイル張り布に用いた「第七號椅子」のコーディネート。
店内は、飛騨産業が大切にしている
「人を想う」「時を継ぐ」「技を磨く」「森と歩む」の4つの価値観で構成され、
飛騨の匠の技術と精神を受け継ぐクラフトとしての家具を、
アート作品を基に開発したテキスタイルや、
ゆかりのあるアーティストの作品とコーディネートして提案されています。
高山で制作活動を行う安土草多のガラス器。 Photo: Masayuki Hayashi
木の表情を生かした松尾吉一の作品。 Photo: Masayuki Hayashi
今回のリニューアルにあたり、新たに設けられたのが
地元作家の作品を中心に集めたクラフトマーケット。
充実の品揃えだという森の恵みをかたちにした木のオブジェや、
お土産にもぴったりなこだわりの飛騨の食材など
気になるアイテムが販売されています。
香りを抽出した樹種を用いたアロマオイルのテスター。 Photo: Masayuki Hayashi
「森の香りの研究所」のコーナー。 Photo: Masayuki Hayashi
クラフトマーケットの一角にある「森の香りの研究所」では、
家具にならない木材や枝葉などを活用した、
100%天然・無添加のアロマオイルシリーズを展開。
お店からほど近い自社研究室から直送される採れたてのアロマの量り売りや、
限定樹木の精油バリエーション、 セルフブレンドのスプレーづくりなど、
同店限定のサービスはアロマ好きな方には気になるところ。
「熱海の魅力をアートにより再発見」することを目的に
2021年にスタートした「PROJECT ATAMI」。
アーティストが熱海に滞在して作品制作をする
滞在制作型プロジェクト「ACAO ART RESIDENCE」と、
若手アーティスト応援プロジェクトである「ATAMI ART GRANT」が
ふたつの柱となっています。
河野未彩による「ATAMI ART GRANT 2022」のキービジュアル。©︎ ATAMI ART GRANT 2022
2回目の開催となった「ATAMI ART GRANT 2022」は、
11月3日にスタートしました。
「ATAMI ART GRANT」には、200組以上の応募があり、
その中から選ばれた30組のアーティストの作品と、
「ACAO ART RESIDENCE」に参加している20組のアーティスト、
合計50組の作品が熱海市内のあちらこちらに展示されています。
作品が展示されているのは、熱海駅前の地下道や、市内の宿泊施設、
カフェや飲食店、公園などさまざま。
中でも中心的な会場で、アーティストの滞在場所でもある
〈ACAO SPA & RESORT〉内には42組もの作品が設置されています。
ダンスホール〈サロン・ド・錦鱗〉に展示されているハシェル・アル・ラムキの『Lucy』。
〈ACAO SPA & RESORT〉の別館である〈HOTEL ACAO ANNEX〉にある
〈サロン・ド・錦鱗〉は、ハシェル・アル・ラムキの『Lucy』の展示会場です。
『Lucy』は関連企画のアラブ首長国連邦と日本の国交50周年を祝した
「East-East: UAE meets Japan Vol.5, Atami Blues」の作品のひとつ。
パールをテーマに、自然の顔料を使って描かれた作品群は、
かつてダンスホールだったエキゾチックな空間で浮遊するかのように展示されています。
松田将英『The Big Flat Now』。
2022年9月に開催された「六本木アートナイト」で話題をさらった
松田将英の『The Big Flat Now』も〈HOTEL ACAO ANNEX〉内に。
天井高の関係で、今回は少し潰れた形で展示されていて、
泣き笑いの表情が一層豊かになったかのように見えます。
森山泰地『濡れることについて/About get wet』。
森山泰地の作品は『濡れることについて/About get wet』。
展示場所はかつての屋内プールです。
プールの底に置かれた石の中にスプリンクラーが設置され、
ときどき水が噴出します。
〈HOTEL ACAO ANNEX〉内には他の会場とリンクする作品も複数あります。
〈佐川急便株式会社〉の創業40周年記念に建てられた、
琵琶湖のほとりにある美しき〈佐川美術館〉。
同館には、千利休の創意から生まれた陶芸・樂焼(らくやき)の茶碗師である
樂家の十五代樂吉左衞門・樂直入による展示室と茶室があります。
現在こちらで、佐藤オオキ氏を中心に設立され
デザインオフィス〈nendo(ネンド)〉と樂焼のコラボレーション展
「吉左衞門X nendo×十五代吉左衞門・樂直入」が開催中です。
樂吉左衞門館では、開館以来「吉左衞門X」というシリーズで、
アーティストや事象とのコラボレーションによって
約450年の歴史を持つ樂家の十五代樂吉左衞門作品の
新たな側面を解明するような展示を行ってきました。
第13回目となる今回は、樂茶碗の特徴である、
質感・内部空間・時間軸・素材特性の観点から、
直入が制作した樂茶碗にnendoがアプローチし、ビジュアルだけでなく、
その思想までも形にする斬新かつ挑戦的な取り組みとなっています。
展示されるのは、以下の5つの作品。
『chuwan』
土の表情を最大限生かしたいという思いから、
人の手によって味わい深いフォルムが形成される樂茶碗。
その魅力を最大限伝えるべく考えられたのが茶碗を浮遊し、回転させた〈chuwan〉です。
この展示方法にすることで「手の痕跡」という、
茶碗のなかに流れる「時間」を感じられる展示となっています。
『jihada』
『jihada』
「日常性が感じられる空間」に茶碗が溶け込む
見せ方の可能性を探求したインスタレーション〈jihada〉。
5つの樂焼茶碗の表面を3Dスキャンし、オブジェに移植。
黒を基調とした小さな空間に樂焼の質感が浮かび上がります。
美術館やコンサートホール、科学館といった文化施設に公園や美しい水辺と、
パリのシテ島、ベルリンのムゼウムス・インゼルにも
匹敵するんじゃないかといわれるほど文化度が高い水都・大阪は中之島。
そんな、中之島に関わる14の文化施設などによる国内最大規模の創造ネットワークで、
施設と施設だけでなく、人や文化、自然などさまざまなものをつなぎ、
新しいものの創造を目指すプロジェクトが〈クリエイティブアイランド中之島〉です。
同プロジェクトでは、11月の1か月間に中之島の文化的魅力を引き出した、
ナイトミュージアムや船のクルージング、貸切電車企画を中心とした
4つのプログラムが実施されます。
昨年度の様子。
11月4日(金)に行われるのは、
「GUTAIをめぐるナイトミュージアムトーク&プレ・ツアー」。
中之島を活動の一拠点とした美術家集団〈具体美術協会〉をテーマにした企画展が
大阪中之島美術館と国立国際美術館で開催されているにあたり、
両館の担当学芸員が展覧会のみどころや、共同企画に至る道のりなどを語ります。
information
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GUTAIをめぐるナイトミュージアムトーク&プレ・ツアー
日時: 11月4日(金)トーク 18:30〜20:00、プレ・ツアー 16:00〜18:20(受付 13:00~18:30)
受付場所・トーク会場: 国立国際美術館(大阪市北区中之島4-2-55)
料金: 2500円(展覧会観覧料として)
※展覧会当日のみ引き換え。展覧会チケットは、当日以降でも利用いただけます。
定員: トーク 50名/プレツアー 20名(いずれも先着順・要事前申込)
チケット購入: Peatix
昨年度の様子。
11月13日(日)は、科学と社会をつなぐ
日本最大級のオープンフォーラム・サイエンスアゴラが、
大阪大学とクリエイティブアイランド中之島らとともに、
「まぜて、こえて、つくりだそう〜学び続けられる社会へ」というフォーラムを開催。
主催は大阪大学21世紀懐徳堂。
ジャズピアニスト・数学教育者〈steAm Inc.〉代表取締役社長である
中島さち子さんのSTEAM教育をテーマにした基調講演や、
中島さん、大阪市立東洋陶磁美術館 学芸課長代理の小林仁さん、
日本科学未来館事業部経営戦略室 科学コミュニケーション専門主任の森田由子さん、
大阪大学全学教育推進機構教授の中村征樹さんによる、
学び続けられる社会についてのディスカッションと、
有意義な対話が繰り広げられます。
information
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サイエンスアゴラ in 大阪 ラウンドテーブル 「まぜて、こえて、つくりだそう〜学び続けられる社会へ」
日時: 2022年11月13日(日)15:00〜17:00(受付・開場30分前より)
場所: 大阪中之島美術館 1Fホール(大阪市北区中之島4-3-1)
参加費: 無料(実来場、オンラインとも)
開催方法: 実来場観覧&オンラインライブ配信
会場定員: 実来場観覧 100名(要事前申込・先着順)
オンラインライブ配信: YouTube *申込不要
申込・問い合わせ: WEBフォーム or 電話でお申込みください。
電話(アートエリアB1): 06-6226-4006(12:00~19:00/月曜休館)
函館市で設計事務所を営みながら、建築施工や不動産賃貸、
ポップアップスペースやシェアキッチンの運営など、幅広い手法で地域に関わる
〈富樫雅行建築設計事務所〉の富樫雅行さんによる連載です。
今回お届けするのは、築54年の平屋を仲間たちとともに
ハーフセルフリノベーションするお話。
この平屋を〈ケントハウス〉と名づけ、
コンテナの仕事部屋とフォトスタジオを併設させながら、
半2世帯住宅をつくるプロジェクトをご紹介します。
ケントハウスとは、今回の主人公である水本健人(みずもと けんと)くんが
生まれ育ったご実家です。健人くんとは、vol.4で紹介した〈箱バル不動産〉 での
ワークショップをきっかけに出会い、その後、古くなった実家について、
建て替えかリノベーションのどちらがいいかと相談を受けて
プロジェクトが始まっていきました。
実際に訪れてみると、屋根も外壁も真っ白に塗られ、玄関の庇(ひさし)の上には
シーサーが出迎え、なんだか沖縄の米軍ハウスに来たかのような印象。
「このままでカッコいいじゃん!」という家でした。
ビフォー。住宅街のなかでは特に目を引く、まるで米軍ハウスのような佇まい。この辺りでは「ホワイトハウス」といわれている。 家の裏側や側面はつけ足したり、塞いであったりと工事を重ねた形跡があった。
この家では、健人くん夫妻と健人くんのお母さん、犬、猫2匹の3人+3匹暮らし。
当時、健人くんと奥さんの久美子さんはともに看護師として働いており、
夫婦それぞれに夜勤があるため生活がすれ違い、
生活音の問題もあって苦労していると聞きました。
家のなかの暮らしを見てみると、健人くんのモノクロームな写真がド迫力で飾られ、
お母さんの趣味のドライフラワーがセンスよく吊るされ、棚や机もDIYでつくられていました。
なんと外壁も屋根も自分たちで塗り、色分けが面倒だから全部真っ白に塗ったとのこと。
この家はもともと健人くんのお祖父さんが建てたもので、
できることは自分たちの手を動かす丁寧な暮らしぶりから、
お祖父さんが建てた家を大事にしているんだなと感じました。
いたるところにお母さんのドライフラワーがあり、玄関もいい雰囲気。 南側の大きな窓からタップリ光が入ってくる。おしゃれな暮らしぶり。 健人くんが撮って現像まで手がけているモノクロ写真がとても素敵だった。
建て替えるのは簡単ですが、お祖父さんからお母さんへ、
そして健人くんへと引き継いできたこの家を
この先も大事に住み継いでいくほうがいいはずだと、
しっかりリノベーションしていこうと決意しました。
三重県四日市市に、〈BESS〉の「ワンダーデバイス」モデルを
10年前に建てた矢田さん一家。新一郎さん、美保子さん、
そしてふたりのお子さんと暮らしている。
家の前まで行くと、
駐車場にはカスタムされた古い〈NISSAN〉テラノと〈ルノー〉カングーが並び、
その横には小さなスケートボードのセクションが鎮座。
どうやらモノにこだわりがあり、暮らしを楽しんでいる様子が窺える。
リラックスできるソファでくつろぐ新一郎さんと美保子さん。
家を建てるとき、BESSのワンダーデバイスをすぐに気に入ったという新一郎さん。
その理由は
「1階の部屋の真ん中に階段があり、区切られていないユニークなつくり」だという。
(※現行モデルでは階段の位置は異なります)
「部屋の真ん中にあると頭もぶつけるし、邪魔でもありますが、
なんとなく仕切られているのがいいですね」
部屋の真ん中にある階段が「ゆるい」仕切りとなる。
この「なんとなく」が、実は重要。
矢田家では、ダイニングキッチンとリビングのようにふわっと分かれている。
壁などできっちりと部屋に分けられていると狭く感じ、一方で何もないと落ち着かない。
ゆるりとしたつながりをもたせている。
「2階に子供部屋があるので、自分の部屋に上がるときに必ずここを通ることになります。
そこで顔を合わせます」
生活動線を家の中心に置くと、家族の様子がよくわかる。
お互いの息遣いを感じられる家だ。
2階の子供部屋は、ひと部屋を上部が開いている間仕切りで分けた。
引越し当初、子どもたちに木で囲われたBESSの家は好評だった。
それは自分の子どもたちだけではないようで……。
「息子の友だちが毎日のように遊びにきていたんですよ。
それも階段の周りを走り回る。そして元気にウッドデッキに飛び出していく。
鬼ごっこ系がやばかったですね(笑)」
これもひらけた空間があるからこそ。
自分たちのリラックスする居場所がなくなってしまったが、
「楽しんでもらえている」と受け入れていた。
子どもの居心地はよかったということである。
いわゆるリビングスペース。ふたりの家具やインテリアの趣味は似ているという。 いわゆるリビングスペース。ふたりの家具やインテリアの趣味は似ているという。
福岡県北九州市で建築設計事務所を営み、転貸事業や飲食店運営を行う
田村晟一朗(たむら せいいちろう)さんによる連載です。
今回は団地のリノベーションがテーマです。
団地といえば建物の老朽化や住民の高齢化などの課題を抱える一方で、
郊外の静かでゆったりした立地条件やコミュニティが育みやすいことなどの魅力もあります。
近年ではリノベーションを取り入れることで、子育てファミリーをはじめとする
若い世代に団地暮らしの価値が見直されるようになってきました。
今回は北九州市八幡西区にある〈本城中央団地〉を舞台に、
デザインの工夫やプロジェクトチームの編成など、
昭和の団地を現代に合わせてアップデートさせていくプロセスをお届けします。
独立してから2年目の2014年、〈リノベーション住宅推進協議会〉
(現在はリノベーション協議会。以下:リノ協)という団体の定例会に参加していました。
この団体はリノベーションにまつわる情報交換の会合やイベント、
懇親会などを随時開催していて、そこには不動産事業者、建設会社、
メーカー、設計事務所などが集まっていました。
近しい業種ではありましたが、意外にも協働することがなかった業種のみなさんと
リノベーションについて語り合うことが楽しく、
だからといって会員に勧誘されることもなく、年会費を払うこともないまま
非会員のオブザーバーとして楽しんでいました(笑)。
2014年9月頃のリノベーション住宅推進協議会。
そんなときに〈福岡県住宅供給公社(以下、公社)〉という
第三セクターの団地運営管理企業が公募を発表しました。
公募の内容は、公社が管理する福岡県内8エリアの団地、約20戸の改修案を募集するもので、
なおかつ設計から施工、入居者の斡旋(あっせん)までパッケージとして実施できる
企業や団体に向けた公募でした。
僕たちが応募することになったのは北九州市八幡西区にある〈本城中央団地〉。
RC造5階建てで、玄関が狭く、中廊下式で室内の中央がとても暗い間取りで、
トイレは洗面所を通る動線上にあったり、和室は畳と襖(ふすま)で構成されていたり、
あらゆる機能が古くなっていました。
さらには入退去時のリフォーム更新では畳や襖を取り換えなければならず、
公社のランニングコストもかさばる仕様でした。
ビフォーの間取り。
ビフォーの外観。RC造の5階建てで壁式構造という丈夫なつくり。柱と梁の代わりに耐力壁で建物の荷重を支える構造。
トイレは洗面所を通る動線上にあった。
旧式の流し台と間仕切りに使われた襖。
公募内容が設計から施工、入居者の斡旋までということで、
はじめは大手デベロッパーの参入が前提かと思ったのですが、
リノ協の集いや近業種間の仲間から「みんなで組んで応募しない?」と
弊社にもお声がけをいただきました。
おもしろそうだったし、もちろん断る理由はありません。
設計事務所のジョイントベンチャー(以下JV)はよくある話でしたが、
「不動産企業、建設会社と設計事務所がJVで応募するのは新しいな!」と
心躍りながら参加したことを覚えています。
3年前に閉校した旧美流渡(みると)中学校の活用プロジェクトを
私たちが本格的に始めたのは昨年の夏。
その頃から、親身になって活動をともにしてくれたアーティストがいる。
三笠市の幾春別地区にアトリエがあり、札幌市立大学名誉教授の
上遠野敏(かとおの・さとし)さんだ。
その来歴や美流渡との関わりについては以前の連載 で紹介したが、
今回は、札幌にある〈500m美術館〉で10月26日まで開催中の
『上遠野敏展 命と祈りの約束』が生まれるまでのプロセスについて書いてみたい。
幾春別のアトリエで制作する上遠野さん。撮影:佐々木育弥
〈500m美術館〉は、札幌市営地下鉄の大通駅とバスセンター前駅を結ぶ
コンコースを利用してつくられており、今回は8基あるガラスケースに作品が展示された。
それぞれにテーマが設けられていて、「羊毛・毛皮」「綿毛・植物」「塩」といった
上遠野さんが関心を寄せる素材から展開したものや、
神仏の伝承がある風景を撮影した写真や天気図を集めたものなど、多様な作品が発表された。
8基あるガラスケースごとにテーマが設けられている。全国各地の神仏の伝承がある場所を40年以上撮影し続けている『ネ・申・イ・ム・光景』シリーズ。
1基目のガラスケースには、羊毛を素材とした作品が並べられている。
羊の原毛に洗剤をかけ圧力や振動を加えてフェルト化させることによって、
これまでさまざまな作品が生み出されてきた。
例えば『MOTHER』シリーズでは、ガウンのようなかたちのなかに
臍の緒をかたどった紐状のものがあり、内側には1頭の子羊が隠れている。
このシリーズは、塩などの別の素材によっても展開されていて、
それらは「生命はどこから来て、どこへ向かうのか」という、
大きな問いかけのなかから生まれてきたものだという。
中央が『MOTHER』。
『MOTHER』の奥に目を凝らすと1頭の羊が。羊毛を使用するのは、母体のなかで生命を育む「羊水」に通じるから。
羊毛による新シリーズとなったのは『家族の肖像』。
SNSで提供を呼びかけ集まった9家族のぬいぐるみをフェルトで包んだ作品。
ぬいぐるみには、子どもたちが愛情を傾けた想いや家庭で過ごした時間が蓄積されている。
それらをフェルト化させた羊毛で封印し一堂に並べることで、
時代性や地域性が浮かび上がってくるのではないか。そんな考えをもとに制作された。
「僕は彫刻家ですが、作為的ではない表現をしていきたいと思っています」
アトリエで制作中の『家族の肖像』。
昨年、上遠野さんのアトリエを訪ねたとき、ちょうど『家族の肖像』シリーズの制作中だった。
ぬいぐるみの表面に羊毛を置いてニードルという専用針で刺すことによって、
繊維を絡ませフェルト化していくのだが、予想を超える手間のかかる作業だった。
ぬいぐるみの色が透けないようにするためには、羊毛を3層以上重ねる必要がある。
さらに縫い目の部分にニードルが当たると、針が折れてしまうことがあるので、
慎重にそこを避けながら刺さなければならない。
「大きいものだと1か月くらいかかります」
今回の展覧会では、60体のフェルトでくるまれたぬいぐるみが展示された。
集まったぬいぐるみは全部で270体。展示終了後もこのシリーズは継続されるという。
ぬいぐるみを羊毛で包む。ニードルで何度も刺してフェルト化していく。
展示された『家族の肖像』。
2022年9月1日、神奈川県横浜市西区に
〈神奈川県立図書館〉の新しい本館が開館しました。
これまで図書館は、
「無料で本を借りられる場所」と認識されてきました。
しかし近年、社会の変化に伴って、教育やコミュニティをも担う場所へと
全世界的に変化しています。
Photo DAISUKE SHIMA
新しくオープンした〈神奈川県立図書館本館〉は4階建ての建物。
県立図書館が担う、膨大な資料の保存という役割を果たしつつ、
訪れる人にとって居心地がよく、本を読むことに没頭できる空間であることを目指し、
図書館のあり方を熟知した司書や、建物の設計者、デザイナーをはじめ
様々な立場からの意見交換を積み重ね、
細かなところまで設計やデザインが行われました。
前川國男が手がけ、1954年に開館した〈神奈川県立図書館〉。ホローブリックという穴が空いたレンガを使っているのが外観の特徴です。
これまで神奈川県立図書館として使われてきた建物は1954年に開館したもの。
日本近代建築の歴史に大きな足跡を残した建築家・前川國男が設計し、
70年近くにわたって神奈川県民に親しまれてきました。
建物は改修後、〈前川國男館〉として保存・活用されることになっています。
新しい神奈川県立図書館本館のプロジェクトは2018年に本格スタート。
参加したクリエイターたちは、それぞれの分野で
前川國男が手がけた神奈川県立図書館への敬意を込めています。
入り口そばにはギャラリー。
2022年10月11日(火)~16日(日)の期間、
東京都渋谷区の〈代官山ヒルサイドフォーラム〉にて
「旅と手しごと」をテーマに、全国各地の表現者の手しごと品が一堂に会する
合同展示会&マーケット〈TRACING THE ROOTS〉が開催されます。
その名の通り、企画立案者である〈株式会社マザーディクショナリー〉の代表・尾見紀佐子さんが各地を旅するなかで、
手しごとを通じて何らかの思いを共有しようとする人々と出会い、
そのような表現者に声をかけ、スタートしたイベント。
2016年に始まり、今年で8回目の開催となります。
当初はバイヤーに向けた展示が中心のイベントでしたが、
自然に寄り添いながら丁寧なものづくりを行う人や、
新しい表現に挑戦する人の、作品とその視点をもっと幅広く届けたいと、
2018年から誰でも入場可能なイベントになりました。
今年は新規出展者が10組増え、出展者数はのべ30組と過去最多に。
新規で参画する北海道の〈Snow Crystal Records〉は、
雪の結晶の“記録”を通じて、自然が秘めている美しさを見つめ、
共有していくためのプロジェクト。
十勝岳や大雪山旭岳で採取された本物の雪の結晶を
「雪のレプリカ法」によって保存した、
ガラスのアクセサリーと雪の標本シリーズの作品展示を行います。
〈Snow Crystal Records〉の展示作品。「雪のレプリカ法」とは、雪の結晶の観察のために研究者の間で古くから用いられている技術。レプリカ溶液の中に雪の結晶を受け止め、樹脂が硬化し雪が融けると、結晶が抜け殻のように現れるのだとか。(出展期間:10月11日~13日) 〈Snow Crystal Records〉の展示作品。(出展期間:10月11日~13日)
また、今年も出展が予定されている兵庫県神戸市の〈つくも窯〉。
イギリスをはじめ、世界各地で古くから伝わる「スリップウェア」などの
陶器の制作を行っています。
スリップ(泥状の化粧土)で描く、ダイナミックかつ、
どこかプリミティブさを感じさせる器に虜になるファンも多々。
海外でも個展を行い、高い評価を得る〈つくも窯〉の作品を手にとるチャンス。
〈つくも窯〉のスリップウェア。(出展期間:10月11日~13日) 〈つくも窯〉(出展期間:10月11日~13日)
福岡県大木町からは、天然染料を使用する染工場〈宝島染工〉が参画。
藍・墨・草木などの天然染料を用い、
「防染」と呼ばれる技法での染色加工を得意とする工房です。
本展では、従来の技法のみを使用した「宝島染工」の服と、
手染めの技法を転用しつつ、化学染料と化学繊維のみを使用した新ライン「-thus-」の、
テキスタイルにフォーカスした2ラインを展示予定です。
現在「エイジレス・ジェンダーレスな日常着」をテーマにした服を展開する〈宝島染工〉。(出展期間:10月11日~16日) 〈宝島染工〉(出展期間:10月11日~16日)
ほかにも、浜辺に打ち上げられた流木、珊瑚、貝、動物の骨などの漂流物と
真鍮を組み合わせたオブジェを制作する
沖縄県国頭郡の〈O’ Tru no Trus(オートゥルノトゥルス)〉、
森の中のアトリエで自ら自然香料を抽出し、調香する
長野県軽井沢町のフレグランスブランド〈かほりとともに、〉なども参画。
漂流物と真鍮を組み合わせたオブジェを制作する〈O’ Tru no Trus〉。(出展期間:10月11日~13日)
鉱物や土からも香りを抽出し、星々と地球の響き合いの結晶のような一期一会のフレグランスを提案する〈かほりとともに、〉。(出展期間:10月14日~16日)
塩田千春展『巡る記憶』が別府市の中⼼市街地で10月16日まで開催されています。
日本・中国・韓国の3都市で文化芸術を発信する〈東アジア文化都市〉の
2022年国内都市に大分県が選ばれており、同展はそのコア事業となります。
ベルリンを拠点に国際的に活躍するアーティスト、塩⽥千春さん。
「⽣きることとは何か」「存在とは何か」を探求しながら、
その場所やものに宿る記憶といった“不在の中の存在”を⽷で紡ぐ
⼤規模なインスタレーション制作を中⼼に活動しています。
2019年には、東京〈森美術館〉で過去最大規模の個展を開催し、同館歴代2位となる
約66万人の入場者数を記録したことも記憶に新しいのではないでしょうか。
Chiharu Shiota Berlin, 2020 Photo by Sunhi Mang
このたびの個展では、“巡る記憶”をコンセプトに、別府でのリサーチをもとに制作した
作品を展示。同地の象徴的な光景である「大地から湧き出る湯気」などから着想を得たと
されるインスタレーションは、別府駅周辺のふたつの建物を介して表現されています。
会場のひとつとなるのは、以前は卸問屋だったという〈BEP.Lab〉。
こちらでは“循環”をテーマに、編み込まれた白い糸と
そこから滴る水によって構成されたインスタレーションを体験することができます。
撮影:サニー・マン ©混浴温泉世界実行委員会
塩田千春『巡る記憶 – 草本商店』2022 ©JASPAR, Tokyo, 2022 and Chiharu Shiota 撮影:サニー・マン ©混浴温泉世界実行委員会
塩田千春『巡る記憶 – 草本商店』2022 ©JASPAR, Tokyo, 2022 and Chiharu Shiota 撮影:サニー・マン ©混浴温泉世界実行委員会
同展のために制作されたというドローイングや音にも注目です。
塩田千春『巡る記憶 – 草本商店』2022 ©JASPAR, Tokyo, 2022 and Chiharu Shiota 撮影:サニー・マン ©混浴温泉世界実行委員会