計画で終わらせない地方創生。「実現」まで伴走する、さとゆめの思想と実践|コロカルアカデミー Vol.11

地域の暮らしや文化に根ざした新しい学びの場「コロカルアカデミー」。
その第11回となる今回は、地域創生を“理念”ではなく“事業”として成立させ続けてきた実践者、株式会社さとゆめ 代表取締役社長 嶋田 俊平さんをゲストに迎えます。

「すべての人がふるさとに誇りを持ち、ふるさとの力になれる社会をつくる。」

このビジョンを“言葉”にとどめず、計画から実装、そして継続可能な事業として地域に根づかせる。本セミナーでは、さとゆめがこれまで手がけてきた数々のプロジェクトを手がかりに、地域創生コンサルティングの本質を掘り下げます。なぜさとゆめは、実現までやり切れるのか。

嶋田さんが一貫して大切にしてきたのは、
●「計画」ではなく「実現」まで責任を持つこと
●ミッション・ビジョンを“旗”として掲げ続けること

山梨県小菅村

山梨県小菅村で展開する、「700人の村がひとつのホテルに」という発想から生まれた分散型ホテル〈NIPPONIA 小菅 源流の村〉、そして JR東日本 との共同事業「沿線まるごとホテル」プロジェクト。いずれも、地域の資源・人・関係性を丁寧に編み直し、“心が動く体験”を起点に事業を成立させてきた実例です。

「沿線まるごとホテル」プロジェクト

本セミナーでは、
●さとゆめ立ち上げの背景と、これまでの歩み
●さとゆめとは何か。地方創生コンサルティングの思想
●理想と現実のギャップに、どう向き合ってきたか
●「ふるさと=情緒が形成された場所」という独自の定義
●小さな組織だからこそ、ムーブメントを目指す理由

といったテーマを軸に、“地域で事業をつくる”ための思考と覚悟を共有します。

さらに、
●仲間の集め方・採用の考え方
●人を惹きつける力の源泉
●「沿線まるごとホテル」プロジェクトにおける視点と裏側

など、これから地域に関わる仕事をしたい人にとって、実践的なヒントが詰まった時間となるはずです。

◼️概要
コロカルアカデミー Vol.11
「計画で終わらせない地方創生。「実現」まで伴走する、さとゆめの思想と実践」
日時:2026年3月4日(水)15:00〜16:00(14:50開場)
応募締切:2026年3月3日(火)11:59
形式:Zoomウェビナー
参加費:無料(要事前申込)
※お申し込みいただいた方には、後日見逃し配信のご案内をお送りします。
当日ご参加が難しい方も、ぜひお気軽にお申し込みください。

▶︎お申し込みはこちら

◼️コロカルアカデミーとは
ローカルを舞台に活躍する人々のリアルな情報を通して、日本の魅力を再定義するウェビナーシリーズです。地域を活性化させるために働きたい方、ローカルでビジネスを始めたい方、自治体や企業で地域創生に携わる方に向けて、新たなヒントを提供します。

いままでのコロカルアカデミーはこちら

登壇者は、地域の文化資産や資源を掘り起こし、その価値を世界に伝える新しいリーダーたち。ローカルビジネスにおける強みと課題、問題解決のプロセス、未来を変える次の一手についてもリスナーの皆さんと一緒に考えていきます。

◼️こんな方におすすめ
●地方創生・観光・まちづくりに携わる自治体・企業関係者
●地域を舞台に、事業やプロジェクトを立ち上げたい方
●コンサルティングやプロデュースの仕事に関心がある方
●ミッション・ビジョンを軸にした組織づくりを学びたい方
●「想い」を「事業」に変えるプロセスを知りたい学生・若手社会人

【登壇者プロフィール】

嶋田 俊平

嶋田 俊平(しまだ・しゅんぺい)
株式会社さとゆめ 代表取締役CEO
京都大学大学院農学研究科森林科学専攻修了。環境系シンクタンク勤務を経て、2013年に株式会社さとゆめを設立。地方創生の戦略策定から商品開発、販路開拓、店舗立ち上げ、観光事業運営まで、地域に一気通貫で伴走する事業プロデュースを行う。
山梨県小菅村「NIPPONIA 小菅 源流の村」、JR東日本との「沿線まるごと」事業、HISとの「Destination Create Project」など、全国各地で多数のプロジェクトを手がける。

杉江宣洋

杉江宣洋(すぎえ・のぶひろ)
コロカル編集長/MAGAZINEHOUSE CREATIVE STUDIO ブランディングプロデューサー
1997年マガジンハウスに入社。『anan』編集部を経て、2008年『BRUTUS』配属、10年同誌副編集長に。『BRUTUS』では「居住空間学」(インテリア特集)「音楽と酒」シリーズなどをヒット企画に育てた実績を持つ。また、「桑田佳祐」「山下達郎」「松本隆」「スタジオジブリ」などの特集も担当。2022年Hanako編集長就任。2025年より現職。

【注意事項】
・本イベントはオンライン開催です。
・音声や映像の乱れが生じる場合があります。
・録画・録音・再配信はご遠慮ください。

申込締切:2026年3月3日(火)11:59
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※お申し込みいただいた方には、後日見逃し配信のご案内をお送りします。当日ご参加が難しい場合も、ぜひお気軽にお申し込みください。

「豊島事件」を教訓に 次世代へ美しいふるさとを託す

香川県の〈豊島〉に大量の産業廃棄物が不法投棄された「豊島事件」。この事件を教訓とすべく、「瀬戸内オリーブ基金」は今新たな試みを開始した。連載第3回となる今回は、「瀬戸内オリーブ基金」の25年にわたる歩みを振り返り、現在取り組んでいる活動とこれからの展望について話を伺った。
(「豊島事件」についてはVol.2の記事へ)

島民の想いと希望をオリーブに込めて

【瀬戸内海が持つ環境的・文化的・歴史的価値を見直し、植樹活動によって破壊された自然を回復し、「美しいふるさと」瀬戸内海を次の世代に引き継ぐ】

この目的を実現させるために「瀬戸内オリーブ基金」が、設立されたのは2000年11月のこと。

「安藤さん、豊島のゴミを処理するだけではダメだ。かつての緑豊かな島に戻さなければならない」

「豊島事件」公害調停を闘った弁護士・中坊公平さんが以前から付き合いのあった建築家・安藤忠雄さんにこう声がけをした。安藤さんは、阪神・淡路大震災の復興への取り組み『ひょうごグリーンネットワーク』という被災地の緑化活動を続けており、植樹についてのノウハウを持っている、うってつけの人物でもあった。中坊さんは、〈豊島〉の問題を〈豊島〉のみととらえず、日本の「環境破壊を見ないふりして成立してきた社会」の負の象徴であると位置づけ、瀬戸内の自然を取り戻すことこそが、日本の、そして世界の人々の環境に対する意識を変えるきっかけになると考えた。

第1回の記念植樹式の様子(提供:廃棄物対策豊島住民会議)

第1回の記念植樹式の様子(提供:廃棄物対策豊島住民会議)

2000年11月15日、〈豊島〉で開催された第1回の記念植樹式では、中坊さんと安藤さんが豊島の小中学生とともに、オリーブの苗木1000本を植樹。「瀬戸内オリーブ基金」は、瀬戸内の里山・里海を守る活動を支援し、100万本の木を植える目標を掲げる。現在は、ユニクロをはじめ、様々な企業や個人が支援をしている。

「排出事業者が廃棄物を委託する際の責任の明確化と、不法投棄の未然防止を目的に実施される『マニフェスト制度』の導入により、不法投棄が社会的に非難される行為として認識されるようになったのは、『豊島事件』が社会に与えた大きな影響です」と語るのは、弁護団の一人として豊島事件の公害調停に関わり、現在は、同基金の理事長をつとめる岩城裕さん。その一方で、豊島住民たちの粘り強い闘いが一部で「住民エゴ」と批判されることもあったそう。しかし、想像してみてほしい。もし豊島住民たちの小さな、そして長い闘いがなかったならば、現代も、効率と利益を最優先する経済原理に基づいた、ゴミが大量に廃棄される社会のままだったかもしれないことを。

「我々『瀬戸内オリーブ基金』のビジョンは、人と自然が共存する持続可能な社会を目指すことです」

現在、「瀬戸内オリーブ基金」は、4つのプログラムを軸に活動をしている。

オリーブの樹と豊かな自然の象徴、スナメリをモチーフにした「瀬戸内オリーブ基金」のスタッフユニフォーム

オリーブの樹と豊かな自然の象徴、スナメリをモチーフにした「瀬戸内オリーブ基金」のスタッフユニフォーム

1. 【助成プログラム】
「瀬戸内オリーブ基金」の理念に賛同する、法人・個人サポーターからの寄付金を元に、瀬戸内海エリアの環境保全と再生に取り組む団体に、原資となる資金を助成。瀬戸内海エリアの環境保全と再生を目指す。
現在までに3億円以上の資金助成を行ってきた。豊かな環境を日本のふるさととして次世代に引き継ぐことを目的に、瀬戸内の山・森・川・海や、そこに生きる生きものを守る活動に加え、未来を担う世代が環境について学び、考える機会をつくる取り組みを支援している。

2. 【ゆたかなふるさと100年プロジェクト】
廃棄物の不法投棄によって荒廃した〈豊島〉の処分地の植生を、本来の豊かさを取り戻すことを目指し、自然の営みに寄り添いながら、その回復の過程を手助けする取り組み。「瀬戸内オリーブ基金」の運営委員でもある岡山大学院環境生命自然科学研究科・嶋一徹教授のサポートのもと活動している。
今もなお、処分地には地下水問題が残るため、香川県が管理をし、モニタリングを続けている。将来的に豊島住民の手に戻った後、どのような手助けが有効かを検証しながら、処分地周辺の同じような環境で植生を回復させるための実証実験兼事業を行っている。
ちなみに豊島の中で、植生が破壊された面積は285,000平方メートル、現在までの植生回復活動の実績は3,980平方メートルである。

3. 【ゆたかな海プロジェクト】
「瀬戸内オリーブ基金」では2009年度から、海洋プラごみ問題の解決に取り組んできた。近年では、楽しみながら環境問題に向き合えるように、チーム対抗のゴミ拾い競技「スポGOMI」を開催するなど、企業ボランティアとともに豊島でも海洋清掃に取り組んでいる。2024年からは、瀬戸内海の食物連鎖の頂点にいるスナメリをテーマとした環境学習会も行っている。

4. 【豊島事件語り継ぎプロジェクト】
近年特に力を入れているプロジェクト。事件の経緯や背景を伝える〈豊島のこころ資料館〉の整備をはじめ、「豊島事件」の教訓をアーカイブ化し、残す取り組みを進めてきた。2019年からは「豊島事件」の語り継ぎを取り入れた環境教育も開始。小学生から大人まで幅広い世代を対象に「豊島事件」の学びを伝えている。長い闘争の歴史を語れる人たちが高齢化している課題もあり、世代を問わず多くの方に事件を知ってもらうためにYouTube動画作成などを通じて資料保存と活用にも力を注いでいる。ちなみにこれらの動画は岩城理事長が脚本を書いたそうだ。

豊かな島の自然景観の原状回復、その現場へ

今回、コロカルチームは〈豊島〉を訪れ、実際に「瀬戸内オリーブ基金」の活動を見せていただいた。
「ゆたかなふるさと100年プロジェクト」では、住民や学生、法人など多くのボランティアらとともに、処分地背後の尾根(南側)で植生回復事業を行う。この場所を〈ゆたかなふるさと再生の森〉と命名し、元の植生を再現した見本園の整備や、地元の小中学生との植樹活動などを通じ、攪乱された処分地の再生を一歩ずつ進めている。

1970年代にガラス原料の珪砂を採取するため表土が全面的に除去されたが、産業廃棄物は投入されなかった場所。自然植生を回復させる活動を行う嶋教授は右から4人目

1970年代にガラス原料の珪砂を採取するため表土が全面的に除去されたが、産業廃棄物は投入されなかった場所。自然植生を回復させる活動を行う嶋教授は右から4人目

「自然を取り戻す方法はいくつかあると思います。例えば東京の夢の島。あそこはかつて、ゴミ捨て場でしたが今は立派な公園ですよね。それも緑が戻っていると言えると思います。しかし豊島の住民が考えているのは、新しく緑を造成するのではなく、元通りの自然に戻してほしいということ」と、嶋教授。

40年近く放置されてきた土地は一見すると緑が生い茂って豊かな自然に回復されたように見えるが、住民は「元通りの自然ではない」と言う。それは一体、何が違うのか。
「調査してみたら、植物の多様性が非常に乏しいのです。表土が残された、もしくは堆積した場所では樹木が生育しているけれど、処分地やその周辺のように表土がほとんど残っていない場所は、いつまでも雑草が繁茂して遷移が全く進んでいません。このまま100年、200年放置したら、元通りに戻るかもしれないけれど、私たちが『少しだけ手を加える』介入をすることで、遷移の流れに沿って植生の回復が少し早く進むようにしているのです」

実施中の取り組みの中で最も労力のかかる作業の一つは、やっと土地に侵入できた小さい実生を残しつつ、林床に日差しが届くように、繁茂した雑草を人手で除去する作業。これを3年程度続けると、雑草の生育が少しおさまってくるそうだ。それと同時に、元来の植生が良好に回復している場所の表土を移植し、その表土に含まれる種が発芽出来るように環境を整える。こうした作業の繰り返しによって、多種多様な植生が早く定着できるようにしていく。

「全部芽が出なくてもいいです。たまたま芽が出た植物のうち、その立地環境に合ったものが残ってくれたらいいんです。ゆくゆくは風や鳥などの動物によって運ばれた種子が自然に発芽し、定着できる環境整備を行っています」

あくまで人が自然を造成するのではなく、「手助け」することで自然の回復力を活かして植生を元に戻すのだ。地道な作業の繰り返しだが、それを支えてくれる企業のボランティアにも支えられ、その規模は毎年少しずつ拡大している。

壊すのは一瞬、取り戻すには100年以上。「豊島事件」は、一度破壊された自然を回復させるには途方もない時間と多くの労力がかかることを教えてくれている。

再生を目指す土地の実生の生残率・樹高成長・種の多様性などをモニタリングし分析する

再生を目指す土地の実生の生残率・樹高成長・種の多様性などをモニタリングし分析する

「瀬戸内オリーブ基金」を支えるサポーターが楽しめる体験も

「瀬戸内オリーブ基金」は、理念に賛同し、「私たちに何かできることはないか」と声をかけてくれた多くの個人や企業・団体の存在に支えられている。彼らが「サポーター」となり、年会費などによる寄付やボランティアで活動を支える。法人サポーターの企業の中には、環境教育の一環として豊島でのボランティアへ参加し、現地で体験してきたことを社員間で発表するなど、学びの共有が行われている。その結果、社会貢献活動への意識が向上しているという。

2025年10月24日には、サポーター向けの『オリーブ収穫祭』が開催された。

オリーブ収穫祭でオリーブの実を摘む参加者。環境教育の一環として参加者を募るサポート企業も多い

オリーブ収穫祭でオリーブの実を摘む参加者。環境教育の一環として参加者を募るサポート企業も多い

〈豊島〉で栽培しているのは、2000年以降、全国から集まった寄付金によって植えられたオリーブ。成長にあわせた間伐などを経て、現在は約600本が大切に管理されている。このオリーブ収穫体験とともに、〈豊島のこころ資料館〉、かつての不法投棄の現場、そして〈ゆたかなふるさと再生の森〉を見学した。

収穫されたオリーブは24時間以内に島内の小さな搾油場で搾られ、エキストラバージンオリーブオイルや、そのオイルを使った石鹸や美容オイルとして商品化し、主に島内のお土産店や美術館で販売。売り上げは瀬戸内エリアの自然を守る活動に使われている。

収穫されたオリーブは24時間以内に島内の小さな搾油場で搾られ、エキストラバージンオリーブオイルや、そのオイルを使った石鹸や美容オイルとして商品化し、主に島内のお土産店や美術館で販売。売り上げは瀬戸内エリアの自然を守る活動に使われている。

参加したサポーターは、「オリーブの実を丁寧に摘み取る作業はとても楽しかったです。『豊島事件』への学びを深め、自然と人の共生や環境保護の大切さ、そして『瀬戸内オリーブ基金』の活動の一端を間近に感じることができました。一部の社員だけでなく、家族や友人にも〈豊島〉に行ってほしい」と、語った。

活動を支える次世代の力

「瀬戸内オリーブ基金」の事務局メンバー。左から松澤千穂さん、清水萌さん、塩川ゆうりさん

「瀬戸内オリーブ基金」の事務局メンバー。左から松澤千穂さん、清水萌さん、塩川ゆうりさん

「瀬戸内オリーブ基金」設立から25年、これまで様々な人材がこの活動に関わってきた。そして、現在、事務局の中心となるのは「3人娘」と、地元の人からも愛されている3名の女性。それぞれがそれぞれの想いやきっかけを持ち、そしてライフステージに合わせた持続可能なスタイルで、「瀬戸内オリーブ基金」の活動を支えている。

塩川ゆうりさんは、自然の中で働きたいと仕事を探している時に「瀬戸内オリーブ基金」と出会った。3年間〈豊島〉に住んだのち、現在は結婚して埼玉に移り、リモートで事務局の仕事をしつつ、定期的に〈豊島〉に通っている。
清水萌さんは父親が弁護団の一員(清水善朗弁護士)だったこともあり、幼い頃から〈豊島〉を訪れていたが、当時は事件について深く知ることはなかったという。改めて「豊島事件」について学び、子どもの頃に可愛がってくれていた島の人たちが、ふるさとを取り戻すために闘っていた事実を知ったことが、活動に関わるきっかけとなった。今は結婚し、子育てをしながら週に1、2回、岡山から船で〈豊島〉まで通っている。
そして、3名の中で一番新しいメンバー、石川県出身の松澤千穂さん。昔から夢だった自然や環境保全に関わる仕事がしたい、島で暮らしてみたいと思い立ち、2025年1月に〈豊島〉へ移住。現在、3名の事務局の中では唯一の島暮らしとなる。

様々な経歴ののち「瀬戸内オリーブ基金」に関わることになった皆さんを惹きつける、この仕事のやりがいは何なのか。
「『豊島事件』を遠くで起きた事として終わらせてほしくなくて、自分にも起こりうることだと知ってもらいたいんです。島外の子どもたちが〈豊島〉に学習に来て、その思いが伝わった時に、やっていて良かったなと思います」と塩川さん。

オリーブ収穫祭で参加者へオリーブオイルができるまでの工程を説明する塩川さん。オリーブの維持管理には地元の方との密なコミュニケーションが欠かせない

オリーブ収穫祭で参加者へオリーブオイルができるまでの工程を説明する塩川さん。オリーブの維持管理には地元の方との密なコミュニケーションが欠かせない

また、島の人たちとの関わりも活動の原動力だと3人は話す。
小さい島だからこそ、都会とは違った親密な人間関係を築くことができ、困り事は親身になってくれるし、農作物をいただくなど、交流もよくある。しかし、彼女らが生活を共にしている島民は、「豊島事件」で傷ついた人、戦った人たちだということを忘れてはならない。世間を騒がせた事件であることから様々な批判も受け、それでも一生懸命島を守った人たちなのだ。ふとした会話の中で、その葛藤の歴史を口にした島の方が涙を流す場面もあるという。だからこそ、常に誠実なコミュニケーションを心がけ、「私たちに何ができるか、何が求められているか」を模索している。

「応援してくださる島のみなさんのために、『豊島事件』を風化させたくない。今後、この学びを活かせるよう、次世代へ教訓として伝えていきたい」
と、3名は声を揃える。しかし現実には、豊島事件に当事者として関わってきた方々の高齢化も進み、どうこの教訓を伝えていくか試行錯誤を重ねている。島の中で様々な意見もある。「教訓を伝える」と言っても、当事者の語りを遺したり、当時の資料の収集・劣化対策の作業に加え、環境教育としての学びを体系化する取り組みも同時進行し、これまで以上に多くの協力者の支えが必要だと感じているという。

「活動への理解が深まり、応援してくださる方が一人でも増えるよう、支え合う仲間たちとこれからも頑張っていきたい」
島民の心に寄り添う若い力が大きな推進力となり、瀬戸内海の豊かな自然を未来へつなぐ活動は今日も、そしてこれからも続いていく。

支援の形は、個人でも法人でも、オンラインから自分に合ったタイミングで選ぶことが可能だ。 瀬戸内海の自然を次世代へつなぐために。あなたに合った方法で、この活動を支えてみてはいかがだろうか。
「瀬戸内オリーブ基金」の支援はこちらから
https://congrant.com/project/olivefoundation/20593

香川県の豊島

information

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瀬戸内オリーブ基金

所在地:香川県小豆郡土庄町豊島家浦3837-4

Web:https://www.olive-foundation.org/

Instagram:https://www.instagram.com/olive_foundation/

瀬戸内オリーブ基金を支援する:https://congrant.com/project/olivefoundation/20593

【見逃し配信あり】 建築からまちを変える。藤原徹平さんが描く、地域の風景と暮らしの未来 | コロカルアカデミー Vol.8

日本のローカルの魅力を発信する「コロカル」は、新たなウェビナー講義シリーズ「コロカルアカデミー」の第8回を開催しました。今回のテーマは「建築とまちづくり」。

ゲストには、元・隈研吾建築都市設計事務所の設計室長として数々の国内外プロジェクトを牽引し、現在は〈フジワラテッペイアーキテクツラボ〉を主宰。さらに、横浜国立大学大学院Y-GSA准教授として後進の育成にも尽力されている建築家・藤原徹平さんをお迎えしました。

藤原さんが手がけるのは、単なる建物ではありません。その周囲に広がるランドスケープや、人々の営みまでを含めた「地域の風景」そのものをデザインする仕事です。今回は、そんな藤原さんが大切にしている〈場所の哲学〉について、じっくりと語っていただきました。

見逃し配信を視聴したい方は、以下よりお申し込みください。

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藤原 徹平(ふじわら・てっぺい)

藤原 徹平(ふじわら・てっぺい)

建築家/株式会社フジワラテッペイアーキテクツラボ主宰/横浜国立大学大学院Y-GSA准教授/一般社団法人ドリフターズインターナショナル理事

横浜生まれ。横浜国立大学にて建築学、都市計画、映画批評を学ぶ。大学院修了後、隈研吾建築都市設計事務所にて国内外100以上のプロジェクトに設計室長として携わる。2012年より横浜国立大学に着任。並行してフジワラテッペイアーキテクツラボを主宰し、建築、都市開発、ランドスケープデザイン、アートプロジェクトなど、領域横断的に活動している。主なプロジェクトに、小浜ヴィレッジ、クルックフィールズなど。

場所の未来をひらく営み

場所の未来をひらく

講座は、普段から大学で教鞭を執る藤原さんによる、軽やかな自己紹介から始まりました。

自らを「場所の専門家」と語る藤原さん。活動の軸にあるのは、常に「根っこ」に目を向ける姿勢だといいます。

その眼差しは、自分自身にも、プロジェクトにも、そして土地や場所そのものにも向けられています。

藤原さんが語る「根っこ」と対極にあるのが、「ハコ」や「ハコモノ」という言葉。つくられた建物が土地と結びついていない状態を揶揄する表現だといいます。

そうではなく、土地と建築を結びつけ、その土地が本来持つポテンシャルを生かすこと。建築とランドスケープを弁証的(対立する概念を取り入れ、より高次の理解や解決へ導くこと)に絡み合わせながら、その場所ならではの風景を立ち上げていく。

温和な語り口の奥に、内側からにじむ強い哲学が感じられ、講座への期待が高まっていきます。

「ゆっくりつくる」ことを選んで

場所の未来をひらく

隈研吾建築都市設計事務所で13年間の経験を積んだ後、藤原さんは独立の道を選びました。

その背景にあったのは、「止まれない状況の中で、創造性を発揮するのは難しい」という実感だったそうです。

そうした思いから、「止まること」を一つのテーマに掲げて歩み始めたのが、フジワラテッペイアーキテクツラボ(FUJIWALABO)でした。

同ラボが手がけるのは、単なる建築設計にとどまりません。ランドスケープのデザインまで含め、場所全体を捉え直すアプローチを特徴としています。

建築を小さくすれば庭が大きくなり、建築を大きくすれば庭が小さくなる。

敷地という動かせない条件の中に、建築と庭の関係性を持ち込み、場所をより動的に捉え直していく。その視座は、聞く者に新鮮な刺激を与えます。

設計とは、単に建物の構成を考えることではありません。

場所特有の風や光、佇まいといった要素を丁寧に読み取り、詳細なリサーチを踏まえた上で基本構想を練り上げていく。その姿勢は、極めて物質的でありながら、同時に形而上学的でもある、不思議な営みに映ります。

さらに印象的だったのは、こうした「構想を練ること」自体を設計とは切り分け、契約として成立させている点です。このアプローチそのものが、非常に新鮮に感じられました。

土地の可能性を考えるためのアプローチ「ファイブサイト」

プロジェクトは5つの土地(サイト)に建つ

企画や規模が先に決まってしまうと、そこに本当に建つべきものが見えなくなってしまう。

そう語る藤原さんは、設計に入る前段階である「基本構想フェーズ」を何よりも大切にしているといいます。

一つのプロジェクトがどのような場所に立ち上がるのか。その考え方を説明するために紹介されたのが、「5つのサイト(ファイブサイト)」という視点でした。

具体的な内容については講座本編に譲りますが、図からも分かるように、プロジェクトは単なる予算や企画だけで決まるものではありません。

さまざまな想いや状況、環境に拘束されながらも、複数のサイトが重なり合うことで、その場所ならではの何かが立ち現れてくる。そんな示唆に富んだ話が展開されました。

私たちが日々進めている大小さまざまなプロジェクトもまた、単一のロジックだけで押し切れるほど単純ではありません。多様な利害や想い、状況を踏まえながら進められているという事実を、改めて認識させられます。

具体事例から見えてくる、場所づくりの実践

ここからは、藤原さんが実際に手がけた具体的な事例をもとに、話はより実践的な内容へと進んでいきます。

まず紹介されたのは、千葉県木更津市にあるクルックフィールズ。

「農」「食」「アート」「エネルギー」が一体となったこの場所では、水の流れを変えるために土や石の形を組み替え、新たな土地のあり方をつくり直してきました。

環境を見つめ直し、整え、再生していく。そのプロセスは、設計というよりも、一から土地を編み直す営みに近いものとして語られます。

すり鉢、土塁、ホックニー。

風景を気持ちよくするために稜線をデザインし、「ナチュラルに気持ちいいこと」を大切にする。その一つひとつの言葉やフレーズから、藤原さん独自の哲学が立ち上がってきます。

続いて紹介されたのが、鹿児島県の小さな港町・小浜につくられた「小浜ヴィレッジ」。

会社やパン屋などが入るキャンパスを地域に開くにあたり、プロジェクトデザインをあえてゆっくりと進めていったといいます。

土地の宝探しをしながら、銀行や社員も含め、関係者全員が納得できる形を模索していく。

使われていない土地を、どのようなビジョンで育てていくのか。完成後も街の中心となる広場として活動を仕掛けていく。その課題意識と視点は、地域創生を考えるうえでも多くの示唆を与えてくれました。

まとめ|場所の思想を見いだすということ

「歩きながら考える」。

これはQ&Aの中で、藤原さんがふと口にした言葉です。ローカルな場所について考える際の、大きなヒントになる一言だと感じました。

新しい建物や事業を立ち上げるとき、当初抱いていた想いや思想は、現実の予算や納期の中で押し込められてしまうことも少なくありません。

しかし、土地や場所の「根っこ」にこだわり、何度も立ち返り続けることでしか実現できないプロジェクトづくりがある。藤原さんの話を通じて、そんな可能性を強く感じさせられました。

講座本編終了後のQ&Aでは、街を歩くときに意識していることや、契約の方法にまで踏み込んだ具体的な話題も展開されました。

まちづくりに関心のある方、建物とその周辺との関係性について考えたい方、プロジェクトに哲学的・思想的な視点を取り入れたい方に、ぜひおすすめしたい内容です。

見逃し配信を視聴したい方は、ぜひこちらからお申し込みください。

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グローバル企業は、地域とどう向き合えるのか。ユニクロが続けてきた 「事業と社会」の接続 |コロカルアカデミー Vol.10

地域の暮らしや文化に根ざした新しい学びの場「コロカルアカデミー」は、今回で第10回を迎えます。主催は、日本各地のローカルの魅力を発信し続けるWebマガジン「コロカル」です。

今回のテーマは、「Global to Local, Local to Global」。世界を舞台に事業を展開する一方で、各地の現場に深く入り込み、グローバルとローカルを行き来しながら、事業と社会課題の両立を実践してきたユニクロ。その歩みをひもときます。

ゲストにお迎えするのは、シェルバ英子さん(ユニクロ サステナビリティマーケティング 部長)。2001年の入社以来、24年にわたりサステナビリティ領域を一貫して担当し、ユニクロの社会貢献活動を、現場の実装レベルで見つめ、支えてきた方です。

Global × Local が一体となる現場

ユニクロではこれまで、「Global is local, Local is global」という考え方を掲げ、各国・各地域のチームとグローバルヘッドクオーターが一体となって、ものづくりや業務の改革を進めてきました。

店舗やECに寄せられる世界中のお客様の声を起点に、ローカルで確かなニーズがあり、同時に世界にも通じる商品をつくっていく。その循環を、ニューヨーク、ロンドン、パリ、上海、東京などに広がるR&D拠点や、長年信頼関係を築いてきた生産パートナー、グローバルな店舗網と会員基盤が支えています。

SNSをきっかけに世界的な人気を集めた「ラウンドミニショルダーバッグ」は、そうした循環を象徴する存在のひとつ。ローカルな使い方や声が瞬く間に世界へと広がり、結果として1,400万点以上が販売されるヒットにつながりました。

その思想が「地域」に向かったとき ― 瀬戸内という現場

この Global to Local / Local to Global の考え方は、商品開発にとどまらず、サステナビリティの実践にも通じています。その象徴的な取り組みが、2001年から四半世紀にわたり支援を続けてきた瀬戸内オリーブ基金です。

日本最大規模の産業廃棄物不法投棄事件「豊島事件」をきっかけに生まれたこの基金は、瀬戸内というひとつの地域で、自然環境の再生と未来への継承に向き合い続けてきました。

ユニクロは、店頭募金という仕組みを通じて、単に支援する立場にとどまるのではなく、地域の現場と長く関係を結び、活動に伴走する道を選んできました。

瀬戸内オリーブ基金の原点となったオリーブの植樹に込められた「これまでの25年」。そして、瀬戸内海の未来を象徴するスナメリに託された「これからの25年」。

グローバルな企業の思想が、地域という具体的な場所で、どのように根づき、続いてきたのか。そのプロセスを、シェルバさんの言葉を通してたどります。

このセミナーで考えたいこと

本セミナーでは、
・グローバルとローカルを切り離さず、どうつないできたのか
・ユニクロと瀬戸内オリーブ基金
・サステナビリティを理念に終わらせず、実装し続けるために何が必要なのか(企業が地域と「続ける」ために必要なこと)
といった問いを、ユニクロの実践を手がかりに考えていきます。

世界と地域を往復しながら働くこと。その先に、どんな未来が描けるのか。地域創生やサステナビリティ、グローバルビジネスに関心のある方にとって、静かに視野が広がる60分になるはずです。

【概要】
コロカルアカデミー Vol.10
グローバル企業は、地域とどう向き合えるのか。ユニクロが続けてきた「事業と社会」の接続
日時:2026年2月4日(水)15:00〜16:00(14:50開場)
形式:Zoomウェビナー
費用:無料(要事前申込)
募集期間:2026年1月30日(金)12:00
※後日見逃し配信あり

【コロカルアカデミーとは】
ローカルを舞台に活躍する人々のリアルな情報を通して、日本の魅力を再定義するウェビナーシリーズです。地域を活性化させるために働きたい方、ローカルでビジネスを始めたい方、自治体や企業で地域創生に携わる方に向けて、新たなヒントを提供します。

いままでのコロカルアカデミーはこちら

登壇者は、地域の文化資産や資源を掘り起こし、その価値を世界に伝える新しいリーダーたち。ローカルビジネスにおける強みと課題、問題解決のプロセス、未来を変える次の一手についてもリスナーの皆さんと一緒に考えていきます。

【本セミナーで学べること】
●企業が地域と長期的な関係を築くための考え方
●瀬戸内オリーブ基金に見る、環境再生の実践プロセス
●募金・参加型施策を「地域の力」に変える設計
●CSRで終わらせない、共創型サステナビリティの条件

【こんな方におすすめ】
●地域創生・環境・観光に携わる自治体・企業関係者
●サステナビリティ/CSR/ESGを担当する方
●ローカルと企業の関係性に関心のある方
●NPO・NGO・地域活動に関わる方
●学生・若手プロフェッショナル

【登壇者プロフィール】

森本聡子

シェルバ 英子(しぇるば・えいこ)
株式会社ユニクロ サステナビリティマーケティング 部長
大学卒業後、外資系アパレル企業などを経て、2001年ファーストリテイリングに入社。同年に発足した、現在のサステナビリティ部の前身「社会貢献室」に配属され、以降24年にわたりサステナビリティ領域を一貫して担当。「全商品リサイクル活動(現:RE.UNIQLO)」や「ユニクロ東北復興応援プロジェクト」、「Clothes for Smiles」など、数々の社会貢献・環境プロジェクトの立ち上げに参画。2020年より、サステナビリティの情報発信を担当。

杉江宣洋

杉江宣洋(すぎえ・のぶひろ)
コロカル編集長/MAGAZINEHOUSE CREATIVE STUDIO ブランディングプロデューサー
1997年マガジンハウスに入社。『anan』編集部を経て、2008年『BRUTUS』配属、10年同誌副編集長に。『BRUTUS』では「居住空間学」(インテリア特集)「音楽と酒」シリーズなどをヒット企画に育てた実績を持つ。また、「桑田佳祐」「山下達郎」「松本隆」「スタジオジブリ」などの特集も担当。2022年Hanako編集長就任。2025年より現職。

【注意事項】
・本イベントはオンライン開催です。
・音声や映像の乱れが生じる場合があります。
・録画・録音・再配信はご遠慮ください。

※お申し込みいただいた方には、後日見逃し配信のご案内をお送りします。
当日ご参加が難しい場合も、ぜひお気軽にお申し込みください。

ゼロから未来をつくっていく。富岡町で動き出した若きプレイヤーたち

福島県の海沿い約100kmに及ぶ地域は「浜通り」と呼ばれていて、そのちょうど真ん中あたりにあるのが双葉郡富岡町。太平洋に面しているので気候は穏やかで、夏には気持ちのいい浜風が吹き、冬は晴れる日も多い。全町避難を経験した東日本大震災からまもなく15年。一度は静まり返ったこの町で、新しい未来を作ろうと奮闘する若い世代が増えている。
どんな人たちがいて、どんなプロジェクトが動き出しているのか。今回は富岡町出身で、現在は南相馬市を拠点に観光業を立ち上げた日下あすかさんにコンタクト。彼女のガイドで、富岡町のかっこいいプレイヤーたちに会いに行った。

浜通りをロードトリップの聖地に。自由気ままなキャンピングカーの旅をつくる
/一般社団法人コトづくり代表理事 日下あすかさん

コルドバンクスというキャンピングカーに乗って、日下さんは富岡駅前にやってきた。7人乗りの車内には広いテーブルやキッチン、5名まで寝られる設備も完備されていて、予想以上に広くて快適だ。

一般社団法人コトづくり代表理事 日下あすかさん

日下さんは富岡町の夜ノ森(よのもり)地区出身。東京の隈研吾建築都市設計事務所で約3年間勤務した後、「浜通りに人を呼びたい」と福島県へUターン。2025年2月から南相馬市で、キャンピングカーを軸にした観光事業をスタートした。

キャンピングカーの中でお話を聞かせてくれた日下あすかさん。東京の建築事務所勤務を経て福島県へUターン。2025年2月に一般社団法人コトづくりを立ち上げた。

キャンピングカーの中でお話を聞かせてくれた日下あすかさん。東京の建築事務所勤務を経て福島県へUターン。2025年2月に一般社団法人コトづくりを立ち上げた。

「設計事務所で働いているときに、富岡町と同じく震災後の原発事故で全町避難になってしまった浪江町の駅前開発を担当したんです。気合いを入れて取り組みましたが、建築の力だけでは町に人を呼び戻すことは難しいと痛感した。こっちに戻ってきて、自分が現地で“人を呼べる人”になろうと思ったんです」

現在取り組んでいるのは、キャンピングカーで巡る浜通りのツアー事業。北は宮城県との県境である新地町から、南は〈スパリゾートハワイアンズ〉で有名ないわき市まで、約100kmもある浜通り。キャンピングカーで車中泊しながら巡れば、各地の見どころが繋がる。日下さんは各町の観光スポットにRVパークを作り、よりその観光コンテンツが楽しめるようにした。実際に周るモデルコースを作ってモニターツアーを開催し、来年度からはいよいよキャンピングカーのレンタル業もスタートする。

「浜通りはロードトリップに最適なんです。大きな道が3本通っているのですが、天気の良い日は海沿いの浜街道を走ったり、秋は山側の山麓線で紅葉を楽しんだり。各町の魅力的なスポットはもちろんですが、まだ知られていないスポットも発見できるかもしれません」

日下さんが富岡町のお気に入りスポットに連れて行ってくれるという。その時に通ったのが、JR富岡駅の横に新しくできた「汐橋(うしおばし)」。国道6号線から浜街道に向かう道路は海に向かってアーチ形に延びていて、車で走ると目の前が海と空でいっぱいになる。富岡町に来たらぜひ走ってみてほしいと日下さん。

到着したのはこぢんまりとした漁港だった。窓を開けると目線の先には海だけが広がる。日下さんが豆を挽き、コーヒーを淹れてご馳走してくれた。こんな特等席で静かな漁港の景色を楽しみながら、温かいコーヒーがいただけるのもキャンピングカーの魅力の一つ。

「キャンピングカーなら、こうして好きな場所で車を停めて、食事やお茶を楽しむことができる。観光で訪れる方にも、このような楽しみ方をしていただきたいんです。キャンピングカーで来る人が増えたらスポット名がついて、ここでお店を開こうかなという人が出てくるかもしれない。そうなったらもう狙っていた通り。短いスパンでもとにかく人を呼んできて、町を体験してもらえる機会を作りたいです」

一般社団法人コトづくり代表理事 日下あすかさん

福島県にUターンして気づいたのは、富岡町には美しい景色と豊かな時間があるということ。
「夜ノ森地区には有名な桜のトンネルもありますし、富岡駅近くにはこの海の景色もある。特に海は震災があったからこそ、特別な景色に変わったんじゃないかなと思います。このエリアは、震災だけを切り取って見ると、悲しい場所のように映ってしまうかもしれません。しかし実際には、震災をきっかけに新しい観光コンテンツが生まれ、少しずつ広がってきました。震災前から受け継がれてきた風景や文化、そして今この土地に芽吹いている新しい観光のかたち。その両方を体感しに、ぜひこの地を訪れてほしいと思います。この美しい町を未来へつないでいくために、これからも自分にできることを考えながら、一歩ずつ取り組んでいきたいです」

取材者情報

日下あすか

一般社団法人コトづくり:https://www.kotozukuri.com/

Instagram:@asuka.kusaka

将来的には世界のトップブランドに。桜の名所・夜ノ森で誕生したデニムブランド
/YONOMORI DENIM 小林 奨さん

次に訪れたのは日下さんが生まれた夜ノ森地区で、2022年に誕生したリメイクデニムのブランド〈YONOMORI DENIM〉のショップ。創業者の小林奨さんは日下さんの同級生だ。

「小学校の担任の先生誰だっけ?」と、昔話に花が咲く日下さんと小林さん。「同い年で地元で起業して頑張っている奨くんみたいな存在は、とっても心強いですし、一緒になにかできたらと思います」と日下さん。お互いに地元を盛り上げようと奮闘する強力な同志だ。

「小学校の担任の先生誰だっけ?」と、昔話に花が咲く日下さんと小林さん。「同い年で地元で起業して頑張っている奨くんみたいな存在は、とっても心強いですし、一緒になにかできたらと思います」と日下さん。お互いに地元を盛り上げようと奮闘する強力な同志だ。

震災後、全町避難で関東に引っ越した小林さん。東京で社会人になりアパレル会社で販売員として働くなかで、業界が抱える大量生産・大量廃棄の問題を知る。環境に配慮したブランドや取り組みをしたいという思いと、地元の雇用を創出したいという思いが重なり、夜ノ森で〈YONOMORI DENIM〉を立ち上げた。

もともとはサッカーをやっていたが、怪我で引退。次に好きだったのがファッションだったという小林さん。起業もいつかはしたいと思っていたそうだ。

もともとはサッカーをやっていたが、怪我で引退。次に好きだったのがファッションだったという小林さん。起業もいつかはしたいと思っていたそうだ。

「地元がすごく好きなんです。県外に出てその思いが一段と強くなりました。僕は不便な生活に魅力を感じるみたいで、関東だと何でも苦労せず手に入っちゃうのが面白くなかったんですよね(笑)」

〈YONOMORI DENIM〉で扱うのは、リーバイスの名デニム、501のみ。東京の協力会社(株式会社ヤマサワプレス)が廃棄寸前のデニムを回収、それをYONOMORI DENIMで洗浄・解体などをし、パーツごとに加工。また〈One-o-Five〉というブランド名で、古着デニムをリメイクしたパンツやジャケット、小物なども販売。
「将来的には職人ブランドとして、世界中で『デニムと言えば〈YONOMORI DENIM〉だよね』と言われる存在になりたいです。小さなアトリエから始まった……というストーリーで」

デニムを選んだのは老若男女、世代問わずで履けるほど丈夫な素材だから。たとえパンツとして履けなくなっても、たくさんの端切れを合わせれば新しい服や小物に生まれ変わる。それはたくさんの人の力が集まれば、富岡町が復活するという思いにも繋がっている。

「一度は誰もいなくなってしまったけれど、新しい人がやってくればまた新しい富岡町ができる。ここはゼロから挑戦できる町です。僕は新しいアイデアを持ってこの町に来てくれる人の活動や思想を、手助けできる環境を作れたらいいと思っています」

YONOMORI DENIM

取材先情報

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YONOMORI DENIM

住所:福島県双葉郡富岡町本岡清水前122−17

営業時間:平日10:00~14:00、土日12:00〜16:00

Instagram:@yonomori_denim

富岡の美味を知ってほしい。富岡産ワインと地元食材を楽しむワイナリーレストラン。
/とみおかワイナリー 根本綾乃さん

富岡町にはワイナリーがある。海が見える場所に広がる畑には、震災前の町民の数と同じ1万6000本のブドウの苗木が植えられており、畑を見守るように〈とみおかワイナリー〉の醸造所が建っている。

とみおかワイナリー

代表の遠藤秀文さんは富岡町出身。震災後、ふるさとを元気づけようと、長年の夢だったワイナリーを作ることにした。2016年4月からプロジェクトをスタートし、想いに賛同した仲間たちと200本の苗木を植える。資金を出し合って毎年数百本ずつ増やしていき、3年目に初めて数十キロのブドウを収穫。山梨県のワイナリーの協力のもと、最初のワインが完成した。

「ブドウ畑の作業はボランティアも募集していて、県外からもたくさん来られるんだそうです。自分が関わったワインには愛着が湧くし、町にとっては一つのコミュニティになっていると思います」と、案内してくれた日下さんは話す。

「ブドウ畑の作業はボランティアも募集していて、県外からもたくさん来られるんだそうです。自分が関わったワインには愛着が湧くし、町にとっては一つのコミュニティになっていると思います」と、案内してくれた日下さんは話す。

現在は富岡町の気候に合う品種も分かり、白ブドウはシャルドネやソーヴィニヨン・ブラン、アルバリーニョ、赤ぶどうはメルローを栽培。今年からは自社の醸造所が稼働し始め、100%富岡産のワインを醸造中だ。ブドウ栽培と醸造を担当する細川順一郎マネージャーは「いまはフレッシュな早飲みタイプがメインですが、今年からは深い味わいのワインにも挑戦しています。ブドウの樹齢が上がれば品質も変わってくるので、楽しみにしていただきたいです」と話す。

醸造所の2階にはレストラン〈ラレス〉がある。〈とみおかワイナリー〉のワインが飲めるのはもちろん、常磐ものの魚介類を使った料理が美味しいと評判だ。360度ガラス張りの店内からは、海の前に広がるブドウ畑や常磐線の線路などが一望できる。

とみおかワイナリー

「コース料理や単品でピザやパスタ、アクアパッツァなどもご用意しています。海風の影響かうちのワインはほんのり塩味を感じる味わいが特徴なんです。常磐もののヒラメなど、白身のお魚ととっても相性が良いんですよ」と、教えてくれたのは、キッチンで働く根本さん。

「富岡町は食材が豊富で、お魚も野菜もお米もとっても美味しいです。地元食材が扱えて、ワインのことも勉強できるなんて、私にぴったりの職場だ!と思いました」と目を輝かせる根本さん。

「富岡町は食材が豊富で、お魚も野菜もお米もとっても美味しいです。地元食材が扱えて、ワインのことも勉強できるなんて、私にぴったりの職場だ!と思いました」と目を輝かせる根本さん。

今年3月に入社したという根本さんは21歳の新米料理人。このレストランを職場に選んだのは、地元を盛り上げたいという思いからだった。
「都会に出てお料理をするよりも、復興を頑張っている地元で自分もなにかできたらと言う夢がずっとあって。そのために地産地消を大事にしたかったので、このレストランはぴったりだと思いました」

富岡町は食材豊かな土地。野菜は朝早くからシェフが市場に買い出しに行って、福島県産のものを仕入れている。魚介類は主にいわき市の久之浜漁港を中心に、シェフが仕入れる自慢の常磐ものだ。
「富岡町は自然豊かですし、海が近くにあるってすごく素敵なことだと思います。海を眺めながら仕事ができるのは幸せです。富岡町の農家さんは皆さんとても暖かく、『野菜持っていき〜』って分けてくださったりします。今は実家の田村市から通っているのですが、いずれは引っ越したいですね」

いつか自分のレシピで、常磐ものの魚料理を作るのが根本さんの夢。ワインと一緒に味わえるのが楽しみだ。

とみおかワイナリー 根本綾乃さん

取材先情報

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とみおかワイナリー

住所:福島県双葉郡富岡町小浜反町36-1

営業時間:

レストラン ラレス

平日ランチ 11:00〜15:00(L.O.14:00)

土日祝ランチ 10:30〜15:30(L.O.14:30)

ディナー(予約必須) 17:00〜21:00(L.O.20:00)

定休日:水曜

ワイン&ギフト テルース

10:00〜17:00

定休日:火・水曜

Web:https://tomioka-winery.jp/

Instagram:@tomioka.wine.2016

アートは町の見え方を変えてくれる。宮島達男さん新美術館プロジェクトも進行中
/NPO法人インビジブル 日向志帆さん

最後に訪れたのは、アートの力で富岡町を動かす〈NPO法人インビジブル〉の日向志帆さん。大学でコミュニティデザインを専攻していた日向さんは、自らを「ぶらんなー(造語)」と呼び、ぶらぶらと外から町にやってきた人間が、その町でどんな変化を起こせるのかを研究。なかでも「地域と教育」に関心があり、富岡町でも主に子供たちと関わってきたそう。

今年3月に大学を卒業し、4月から本格的に富岡町で暮らし始めた日向志帆さん。プロジェクトで関わる子供たちからも愛称の「おひな」と呼ばれているそう。

今年3月に大学を卒業し、4月から本格的に富岡町で暮らし始めた日向志帆さん。プロジェクトで関わる子供たちからも愛称の「おひな」と呼ばれているそう。

インビジブルが行っているのは、町内に唯一ある富岡町立小中学校にアーティストや職人などが“転校生”としてやってきて、校内で子供たちと交流する「PinSプロジェクト」や、夜ノ森地区で秋口と春先に開催される「夜の森ピクニック」、富岡駅近くの月の下と名がつく交差点脇のスペースを拠点とした「月の下アートセンター」という文化活動など。どれもアートをきっかけにした、住民巻き込み型プロジェクトだ。

なかでも町民の期待を集めているのが、現代美術家の宮島達男さんの「時の海 – 東北」プロジェクト。宮島さんが3000人の人たちと対話しながら創り上げる《Sea of Time – TOHOKU》という作品を展示する美術館が富岡町にできるというものだ。日向さんは地元住民が立ち上げた「《時の海 – 東北》美術館を応援する会」の運営事務局として、定期的に住民のみんなと集まり、美術館建設予定地で草刈りや芋煮をしたり、美術館ができたらやりたいことのアイデア出しなどを行いながら、完成までの時間を住民みんなで温めている。

「アートには地域の見方を変えてくれる力があると思います。例えば以前、影絵師の川村亘平斎さんと影を写しながら夜ノ森を練り歩くイベントをやったんです。除染によって更地になった夜ノ森の町には余計なものがないから、影がくっきり浮かび上がって。本当に生きているみたいに見えて、そこから歌ができたり、昔話を語る人が出てきたりということがあった時に、何もないことをネガティブではなくて、“余白”として捉えることができた。正しさみたいな指標では測らないということが、この富岡町にとってすごい大事なことなんじゃないかと思っています」

この町に来て、自分のロールモデルになるような先輩プレイヤーにたくさん会うことができたという日向さん。自分のような“ぶらんなー(造語)”が新たに町に来たらうれしいと話す。
「自分のプロジェクトを頑張っている先輩や、アイデアを形にするために一緒に悩んでくれる大人が身近にいること、それが富岡町の自慢ですね。自分が何者でなくても、富岡町で出会った人々は、まちの一員として受け入れてくれました。この町への関わり方として、やりたいこととか目的すらも町に来てから探すくらいの余白があってもいいんじゃないかと思います」

NPO法人インビジブル 日向志帆さん

富岡町が大好きで、町の未来を作ろうとそれぞれのステージで奮闘する若きプレイヤーたち。まずはキャンピングカーを借りて周ってみるのもいいかもしれない。

取材先情報

NPO法人インビジブル

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富岡町移住定住相談窓口『とみおかくらし情報館』(運営:一般社団法人とみおかプラス)

住所:福島県双葉郡富岡町大字小浜字中央338

営業時間:10:00〜17:00(土日も開館)

休館日:年末年始、GW、お盆、メンテナンス日等

(休館日はHPをご確認ください)

WEB:https://www.tomioka-iju.jp/

Instagram:@tomioka_iju

奈良・吉野檜の香りに包まれる。 地産地消サウナ「kupu sauna」 誕生

木と人を再びつなぐ、家具メーカーの挑戦

1928年創業、100 年経っても世界の定番として愛される木工家具づくりを目指す〈マルニ木工〉が、新たなプロジェクトとして「kupu sauna(クプ サウナ)」を発表した。

フィンランド語で「ドーム」を意味する“kupu”の名の通り、やわらかに人を包み込むハーフドーム型のサウナは、地元・奈良県吉野産の檜を贅沢に使い、家具メーカーならではの木工技術と審美眼を活かして生まれたものだ。

このプロジェクトの背景にあるのは、木材調達のグローバル化が進む中で、改めて日本の森に目を向けた同社の姿勢。家具の枠を超え、林業と地域の未来を見据えた新たなものづくりのかたちとして、檜の香りと木の温もりを暮らしに取り戻す試みである。

吉野檜×北欧の知恵が生む“包まれる空間”

「kupu sauna」は、伝統的なバレルサウナの構造をハーフドーム型へと進化させ、熱と蒸気を効率的に循環させる設計を採用。樹齢を重ねた吉野檜の板を一枚ずつはめ込む独自の工法により、高い気密性と耐久性を実現した。檜の香りが時間とともに広がり、空間全体が柔らかく包み込むような体験を演出。下段ベンチの取り外しや連結モジュールによる拡張性など、家具の発想を取り入れた自由度の高い構造も特徴だ。

ハーフドーム型構造が空間の一体感と心地よさを生む

ハーフドーム型構造が空間の一体感と心地よさを生む

地域の森をめぐる、サウナを起点とした循環

使用される吉野檜は、古くから日本の風呂文化を支えてきた木材。北欧で人気のアスペン材に近い特性を持ち、香りや肌触り、湿熱との相性に優れている。地域の森の恵みを活かすことで、林業者・製材業者・デザイナーが協働する“地産地消の循環”がここに生まれる。プロダクトデザインは、フィンランドでの留学経験を持つデザイナー・熊野亘が担当。檜の質感、光の反射、音の静けさまでを設計に落とし込み、自然と人が交わる“人生の質を高める空間”としてのサウナを描き出した。

デザイナーの熊野亘。北欧のサウナ文化を背景に、日本の木工技術と融合した空間デザインを生み出した。

デザイナーの熊野亘。北欧のサウナ文化を背景に、日本の木工技術と融合した空間デザインを生み出した。

information

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お披露目イベント

会期:2025年10月16日〜11月9日

会場:maruni tokyo(東京都中央区東日本橋3-6-13)

問い合わせ:03-3667-4021

パリの大学院生・ルイスが、 インフルエンサー・ジェセと巡る、 長崎・壱岐島の1泊2日旅【Day1】

夏休みに日本へやってきたパリの大学院生ルイスさん。今回は、InstagramやTikTokで活躍するジェセさんを旅の相棒に、1泊2日で長崎の離島、壱岐島へ!

Day1
10:00 博多港
11:30 壱岐芦辺港着
12:00 小島神社
14:00 鬼凧工房平尾(鬼凧色付け体験)
15:00 龍蛇神社
16:00 平山旅館

9月の残暑のなか、羽田空港で待ち合わせをしていたのは、パリの大学院に通いながらSNSで現地の暮らしを発信するルイスさんと、TikTokやInstagramで活躍するジェセさん。博多空港に向かうとのことですが、単なる福岡旅行ではないようで……。

11:30 博多港から壱岐芦辺港へ

福岡・博多空港に到着したルイスさんとジェセさん。空港から地下鉄で約10分の場所にある博多港へ向かいます。

今回の旅先は、長崎県の離島・壱岐島。九州本土と対馬の中間に位置し、古くから神話が伝わる島として知られています。島内には神社や遺跡・古墳をはじめ、元寇にまつわる史跡、城跡や砲台跡など、多くの歴史的スポットが点在。時代ごとに重要な拠点として発展してきた島です。

博多港から高速船でわずか1時間。辿り着いたのは、壱岐島の玄関口「芦辺港」。港を抜けると、漁船が行き交うのどかな港町が2人を歓迎してくれました。

左から、ジェセさん、ルイスさん。雨予報を覆して、晴天の中「壱岐芦辺港」に到着。

左から、ジェセさん、ルイスさん。雨予報を覆して、晴天の中「壱岐芦辺港」に到着。

12:00 神秘的な“海に浮かぶ神社”

古来より多くの神社が残る壱岐島。その数は小さな祠も合わせて約1000ともいわれています。

そんな島の中で最初に訪れたのは、壱岐の神秘を象徴する「小島神社」。満潮時にはまるで海に浮かぶように見え、干潮になると参道が姿を現す不思議な神社です。その姿から「壱岐のモン・サン・ミシェル」とも呼ばれています。

潮の満ち引きが鍵を握るため、訪れる前には干潮時間のチェックをお忘れなく。

タイミングに恵まれて、海の上に現れる一本道を歩いて参拝。

タイミングに恵まれて、海の上に現れる一本道を歩いて参拝。

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小島神社

住所:長崎県壱岐市芦辺町諸吉二亦触1969

TEL:0920-45-1263

14:00 〈鬼凧工房 平尾〉 で島の伝統工芸を体験

壱岐の伝統工芸品「鬼凧(おんだこ)」の絵付け体験ができると聞きつけ、「鬼凧工房 平尾」へ。

「鬼凧」は、子どもの健やかな成長や無病息災を願う“魔よけの縁起物”として、島の家庭の玄関や屋外に掲げられる、壱岐を象徴する凧です。

工房では、長年技を受け継いできた職人の指導のもと、鬼凧の絵付けを体験。配色に決まりはなく、思い思いの色で自由に仕上げることができます。

ルイスさんは大胆な緑を使って力強い表情を、ジェセさんはお手本に忠実に。2人は黙々と筆を動かしていました。

完成した鬼凧は、世界にひとつだけの特別な作品。「パリに帰ったら家に飾ります」とルイスさん。壱岐の伝統と人の温もりが息づく、旅の忘れられないおみやげになりました。

赤・黄・緑・橙の食紅を使って鬼の顔を描く。

赤・黄・緑・橙の食紅を使って鬼の顔を描く。

色を塗る前の「鬼凧」。

色を塗る前の「鬼凧」。

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鬼凧工房 平尾

住所:長崎県壱岐市芦辺町箱崎本村触536

TEL:0920-45-0718

HP:https://ondako.jp/

Instagram:@ondako_kobo

15:00 「龍蛇神社」で“龍の伝説”をたどる

次に向かったのは、龍神が祀られる「龍蛇神社」。海を見下ろす絶景に立つ神社で、出雲神社より「龍蛇神」を迎えて祀られたと伝わる、壱岐のパワースポットです。

神社の眼下に広がる龍蛇浜には、まるで龍の鱗のような薄い石が幾重にも重なり、神秘的。近くの壱岐神社では、龍蛇神社の御朱印もいただくことができ、旅の記念に訪れる人も多いのだとか。

壱岐の海を一望しながら参拝ができる。

壱岐の海を一望しながら参拝ができる。

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龍蛇神社

住所:長崎県壱岐市芦辺町瀬戸浦

16:00 平山旅館。島の味と温泉で癒されて

今回のお宿は、湯本エリアの老舗「平山旅館」。到着すると、女将の平山真希子さんが「ぜひ見せたい場所があります」と案内してくれたのは、畑と平飼い養鶏場。ここでは、ウニの殻、腐葉土、温泉の鉄分、海藻などを堆肥にして完全無農薬で野菜を育てています。

平山旅館の畑で野菜を育てる大久保律子さん、通称「りっちゃん」に大きなオクラをもらう2人。

平山旅館の畑で野菜を育てる大久保律子さん、通称「りっちゃん」に大きなオクラをもらう2人。

「平山旅館の特徴は、なんといっても壱岐の食材をふんだんに楽しめる『島産島消』スタイルの会席料理です。畑や養鶏場で収穫した野菜や卵、壱岐の旬の魚や地元産食材をお出ししています」と真希子さん。

お品書きを見ると、それはそれは長いこと。次々と運ばれてくる料理を見てあまりの量の多さに「食べきれるかな…?」と心配する2人。でも安心を。平山旅館では、食べ残しはすべて養鶏場の鶏に食べさせることで、残り物ゼロを実現。食べる人も鶏も、島の自然の恵みを無駄なく味わえる、サステナブルな会席なのです。

平山旅館で楽しめるのは、島の食材を生かした料理だけではありません。実は、1700年以上の歴史を誇る、湯本温泉の発祥地に建つ温泉宿でもあるんです。「日本書紀」に登場する神功皇后が三韓出兵の折にこの湯を発見し、我が子・応神天皇に産湯として使わせたという伝説も。歴史と神話が息づく特別な温泉です。

また選りすぐりの温泉宿だけが会員になれる「日本秘湯を守る会」にも登録されており、その質の高さは折り紙つき。大浴場には露天風呂があり、温泉の蒸気を使った蒸し風呂や水風呂も完備。さらに宿泊者は、2つの貸切露天風呂を無料で利用することができ、贅沢なひとときを満喫できます。

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奥壱岐の千年湯 平山旅館

住所:長崎県壱岐市勝本町立石西触77番地

TEL:0920-43-0016

2日目を読む

パリの大学院生・ルイスが、 インフルエンサー・ジェセと巡る、 長崎・壱岐島の1泊2日旅【Day2】

夏休みに日本へやってきたパリの大学院生ルイスさん。今回は、InstagramやTikTokで活躍するジェセさんを旅の相棒に、1泊2日で長崎の離島、壱岐島へ!

Day2
09:00 平山旅館
10:00 辰ノ島
13:00 双六古墳
14:00 壱岐市立一支国博物館
15:00 原の辻遺跡

9:00 平山旅館で迎える、心が満たされる朝

朝は、和の朝食でスタート。まず目を引くのは、色鮮やかに盛り付けられたサラダ。自家農園で朝摘みされた旬の野菜は、甘みが強く、朝からたっぷりいただけます。ボリューム満点の朝食には、壱州豆腐や壱岐納豆、干物、など島の恵みがふんだんに使われています。昨夜の会食同様、量が多めなのは「お腹いっぱい食べてほしい」という女将・真希子さんの優しさから。

実は前日のディナー中に、「残ったお刺身は、朝食で漬け丼にできますよ」とそっと教えてもらっていた2人。朝からこんな贅沢なひとときを楽しめるなんて、と楽しんでいました。

朝からこのボリューム!平山旅館の心づくしのサービスに元気が湧きます。朝採り卵と特製の燻製醤油で、卵かけご飯に。

朝からこのボリューム!平山旅館の心づくしのサービスに元気が湧きます。朝採り卵と特製の燻製醤油で、卵かけご飯に。

壱岐名物「壱州豆腐」。大豆の使用量が多く、濃厚で自然な甘みが特徴。平山旅館自家製の甘い「壱岐ゆべし」と一緒にどうぞ。

壱岐名物「壱州豆腐」。大豆の使用量が多く、濃厚で自然な甘みが特徴。平山旅館自家製の甘い「壱岐ゆべし」と一緒にどうぞ。

前夜の刺身が漬け丼に変身。女将の心遣いがうれしい、島ならではの朝のごちそう。

前夜の刺身が漬け丼に変身。女将の心遣いがうれしい、島ならではの朝のごちそう。

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奥壱岐の千年湯 平山旅館

住所:長崎県壱岐市勝本町立石西触77番地

TEL:0920-43-0016

10:00 エメラルドグリーンの海に出合える「辰ノ島」

朝食を終えた2人が向かったのは、勝本港から船で約10分の無人島「辰ノ島」。国定公園にも指定される自然豊かな島で、上陸すると目の前に広がるのは、宝石のように透き通ったエメラルドグリーンの海。
北へ進むと、高さ約60mの断崖絶壁「蛇ケ谷」や、神秘的な洞窟「羽奈毛崎」「鬼の足跡」など、探検気分を味わえるスポットも。


13:00 双六古墳 ― 古代ロマンを感じる時間

実は、長崎県全体の約6割にあたる280基以上の古墳が点在している壱岐島。中でも前方後円墳として島内最大級の「双六古墳」へ。

標高100mほどの丘陵に築かれた巨大古墳は、全長91m、後円部の直径43m、高さ10m。石室からは当時の副葬品も発見されており、古代から大陸との交流があったことを物語っています。

国の重要文化財・考古資料に指定されている「双六古墳」。

国の重要文化財・考古資料に指定されている「双六古墳」。

14:00 〈一支国博物館 〉で島の歴史をひもとく

続いて2人が訪れたのは、壱岐の歴史を深く知ることができる「壱岐市立一支国(いきこく)博物館」です。壱岐は弥生時代、「一支国」と呼ばれ、中国の歴史書『魏志倭人伝』にも登場する重要な地。長崎県内で確認された遺跡のうち、約13%が壱岐から発見されているといいます。

館内では、古代の交易や生活、神話や祭りなど、島の文化を多角的に紹介。「なりきりコーナー」では、弥生時代の衣装を体験でき、ルイスさんとジェセさんも実際に着用。2人ともすっかりなりきって楽しんでいました。

古代の衣装を身にまとい、すっかり弥生人になりきる2人。

古代の衣装を身にまとい、すっかり弥生人になりきる2人。

15:00 弥生の息吹を感じる「原の辻遺跡」

旅の最後に訪れたのは、「原の辻遺跡(はるのつじいせき)」。ここは弥生時代の国「一支国」の王都とされ、国の特別史跡にも指定される重要な遺跡です。

広大な敷地に高床式の建物が復元され、まるで2,000年前の時代へタイムスリップしたような気分に。

「原の辻遺跡」は、古代の人々の生活や文化を肌で感じられる貴重なスポット。ルイスさんとジェセさんにとっても、壱岐の歴史を体感する旅の締めくくりにふさわしい場所となりました。

弥生時代〜古墳時代の初めにかけて形成された多重環濠集落。約1km四方に広がっている。

弥生時代〜古墳時代の初めにかけて形成された多重環濠集落。約1km四方に広がっている。

information

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原の辻遺跡

住所:長崎県壱岐市芦辺町深江鶴亀触1092−1

TEL:0920-45-2065

建築からまちを変える。藤原徹平さんが描く、地域の風景と暮らしの未来| コロカルアカデミー Vol.8開催決定

地域の暮らしや文化に根ざした新しい学びの場「コロカルアカデミー」の第8回を開催します。主催は、日本各地のローカルの魅力を発信し続けるWebマガジン「コロカル」です。

今回のテーマは「建築とまちづくり」。ゲストにお迎えするのは、建築家・藤原徹平さん。
元・隈研吾建築都市設計事務所の設計室長として数々の国内外プロジェクトを牽引し、現在は〈フジワラテッペイアーキテクツラボ〉を主宰、横浜国立大学大学院 Y-GSA准教授として後進の育成にも尽力されています。

藤原さんが手がけるのは、単なる建物ではなく、その周囲のランドスケープや人の営みまでを含めた「地域の風景」をデザインする仕事。小浜ヴィレッジやクルックフィールズといった代表作は、地域の自然・文化・暮らしをつなぐ新しい拠点として注目を集めています。横浜市からも「これからの都市デザイン」について公式に相談を受けるなど、行政・市民・クリエイターを結びつける存在として活躍しています。

本セミナーでは、藤原さんの実践を通して、
・建築から地域をどう変えられるのか
・「風景」と「暮らし」をつなぐランドスケープデザインの思想
・行政や市民と向き合うまちづくりのリアル
・クルックフィールズや小浜ヴィレッジの舞台裏

といったテーマを深掘りしていきます。

「建築」にとどまらず、地域創生や都市再生をボトムアップで考えるヒントが詰まった60分。カルチャーやアート、まちづくりに関心がある方にとって、視点を大きく広げる機会になるはずです。ぜひご参加ください。

【概要】
コロカルアカデミー Vol.8
「建築からまちを変える。藤原徹平さんが描く、地域の風景と暮らしの未来」
日時:2025年12月3日(水)15:00〜16:00(14:50開場)
形式:Zoomウェビナー
費用:無料(要事前申込)

【コロカルアカデミーとは】
ローカルを舞台に活躍する人々のリアルな情報を通して、日本の魅力を再定義するウェビナーシリーズです。地域を活性化させるために働きたい方、ローカルでビジネスを始めたい方、自治体や企業で地域創生に携わる方に向けて、新たなヒントを提供します。

いままでのコロカルアカデミーはこちら

登壇者は、地域の文化資産や資源を掘り起こし、その価値を世界に伝える新しいリーダーたち。ローカルビジネスにおける強みと課題、問題解決のプロセス、未来を変える次の一手についてもリスナーの皆さんと一緒に考えていきます。

【本セミナーで学べること】
●建築を起点にした地域活性・都市再生の発想
●「風景」をデザインするランドスケープの哲学
●行政・市民・企業を巻き込むまちづくりの手法
●クルックフィールズや小浜ヴィレッジの事例から学ぶこと

【こんな方におすすめ】
●地域創生・観光・まちづくりに携わる自治体や企業関係者
●経営層や広報・マーケティング担当者
●建築・都市計画・ランドスケープに関心のある方
●地域を舞台に活動したい学生や若手プロフェッショナル

【登壇者プロフィール】

藤原 徹平

藤原 徹平(ふじわら・てっぺい)
建築家/株式会社フジワラテッペイアーキテクツラボ主宰/横浜国立大学大学院 Y-GSA 准教授/一般社団法人ドリフターズインターナショナル理事
横浜生まれ。横浜国立大学にて建築学、都市計画、映画批評を学ぶ。大学院卒業後、隈研吾建築都市設計事務所にて国内外100以上のプロジェクトを設計室長として経験。2012年より横浜国立大学に着任。並行してフジワラテッペイアーキテクツラボを主宰し、建築・都市開発・ランドスケープデザイン・アートプロジェクトなど領域横断的に活動。小浜ヴィレッジ、クルックフィールズなどのプロジェクトを手掛ける。

杉江宣洋

杉江宣洋(すぎえ・のぶひろ)
コロカル編集長/MAGAZINEHOUSE CREATIVE STUDIO ブランディングプロデューサー
1997年マガジンハウスに入社。『anan』編集部を経て、2008年『BRUTUS』配属、10年同誌副編集長に。『BRUTUS』では「居住空間学」(インテリア特集)「音楽と酒」シリーズなどをヒット企画に育てた実績を持つ。また、「桑田佳祐」「山下達郎」「松本隆」「スタジオジブリ」などの特集も担当。2022年Hanako編集長就任。2025年より現職。

【注意事項】
・本イベントはオンライン開催です。
・音声や映像の乱れが生じる場合があります。
・録画・録音・再配信はご遠慮ください。

※お申し込みいただいた方には、後日見逃し配信のご案内をお送りします。
当日ご参加が難しい場合も、ぜひお気軽にお申し込みください。

【見逃し配信あり】 『「発想の転換」で成功した、パ・リーグの挑戦に学ぶスポーツビジネスとファンづくりのリアル』 コロカルアカデミーVol.6

日本のローカルの魅力を発信する「コロカル」は、新たなウェビナー講義シリーズ「コロカルアカデミー」の第6回を開催しました。ゲストには、現パ・リーグ6球団の共同出資会社・パシフィックリーグマーケティング(PLM)で、執行役員として各球団の魅力を伝える戦略の中心を担う園部健二さんをお迎えしました。園部さんには、日本プロ野球の歴史から、現在のパ・リーグ6球団のマーケティング事例、さらにパーソル パ・リーグTVを運営するPLMのマーケティングの裏側をひも解いていただきつつ、組織や業界を越えた“半歩先”のビジネスとファンづくりについて、たっぷり語っていただきました。
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園部 健二

園部 健二(そのべ・けんじ)
執行役員/コーポレートビジネス統括本部 本部長 兼 新規事業開発室 室長(パシフィックリーグマーケティング株式会社)
野球少年だったが、中学で野球を引退。その後、音楽業界、ゲーム業界(SEGA)を経て、PLMに入社。「好きを仕事に」生き方を再定義し、現在は球場とファン、地域と球団をつなぐ多様な施策に携わり、スポーツを通して“地域と人をつなぐ”挑戦を続けている。

とっても不思議な「日本プロ野球」

まず園部さんからお話があったのは、現在の日本プロ野球の歴史とその特徴について。
そもそも日本プロ野球の各球団にはほとんど「社名」が入っており、ニュースなどでも略称として社名が使われています。これはメジャーリーグ等と比べると、際立った特徴があり、日本プロ野球が日本の経済成長、経済状況と共に変容してきたことがわかります。
お話の中では、プロ野球球団の運用費用がその球団の保有する親会社の広告宣伝費として計上できる特殊な会計処理ができるという、SNSやスポーツニュース等に触れているだけでは絶対に知ることのできない裏側のお話まで。
普段何気なく目にしている「プロ野球」というものが、実は極めて特殊かつ不思議な営みであることが園部さんの視点で明らかになっていきます。

パ・リーグとマーケティング

パ・リーグ球団のマーケティング事例

次にお話があったのは、具体的なマーケティング事例としてのパ・リーグ球団について。
長らくセ・リーグと比べて、人気がない、地味だと言われていたパ・リーグ。しかし、そんな状況を逆手に取り、各球団の魅力を伝える戦略を担うPLMが中心となり、様々な発想の転換を実施。さらに挑戦を重ねることで、現在のパ・リーグにつながっていったとのことです。

PLMのマーケティング事例(球場)

講義内ではより具体的に、パ・リーグの全体の映像や球団に関するインフラ整備のお話や各球団の特色を打ち出すマーケティング施策によって、パ・リーグ特有の『濃いファン』を生み出していく方法やアプローチについて、語っていただきました。
またパ・リーグ6球団が共同出資して設立したPLMが、リーグのハブとして各球団を横断するマーケティングや事業を担うことで、リーグ全体を一つのブランドとして発信できるという視点も唯一無二の学びになりました。

リアルとオンライン/マーケティング事例について

PLMのマーケティング事例(オンライン)

ここからはさらに踏み込んで、PLMとして実施したパ・リーグのマーケティングについて、語ってもらいました。
球団単体で行えるローカルマーケティングを踏まえたうえで、各地方都市をつなぎ合わせながら、個別球団では取り組めないマーケティング施策を行うというPLM。マーケティングという言葉自体には馴染みがありましたが、そもそも、自社のマーケティングの対象がどこにあるのかというのをクリアにする視点は、他のビジネスにおいても大いに役立ちそうです。
マーケティング事例として、球場とオンラインそれぞれについて、PLMとして行った施策を具体的な企業名や数字をたくさん交えながら、教えていただくことができました。

逆転と実践のマーケティング術

PLMのマーケティング事例(オンライン) まとめ

園部さんのお話を聞いていると、マーケティングという概念が持つポテンシャルと面白さを感じ、ビジネスというものが持つ特有のやりがいやワクワクまで伝わってきました。
それは園部さんのお人柄や語り口もあると思いますが、なにより、かつては陽が当たっていたとは言えないパ・リーグという場所において、発想の転換を行い、それらを施策に落とし込み、やりきっていくというPLM、そして園部さんのお仕事のスタンスや考え方に基づくものだったのだと思います。
元々はお客さんが入らない商圏、ジャイアンツの人気に頼れないリーグだったこと、親会社の経営難など、営業努力をしないといけない状況があったからこそ、発想の転換と大胆な取り組みが生み出されたというのは、多くのビジネスモデルに示唆的なマーケティングの視座を得られるのではないでしょうか。
トークセッションでは、地域や企業に応用できるファン戦略についてのお話があり、講座本編終了後のQ&Aでは、リアルな現場での体験価値が注目されている流れについての園部さんの視点についてのお話など、ファンやリアルといった今後のマーケティング戦略にとって注目度が増す話題について、より深堀りしています。
プロ野球が好きな人、仕事の舞台裏に興味がある人、ビジネスの面白さに触れたい人、ファンビジネスやリアルな体験とオンラインの両軸を大切にしたビジネスモデルを検討している人などに、多くの方におすすめです。
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ブランド力を故郷へ還流する、 “逆輸入型”地方創生。 〈h.u.g-flower〉が岐阜で 再オープンを目指す

2008年、岐阜で花屋として創業した〈h.u.g-flower〉。その後2019年からは、グルテンフリーのチーズテリーヌブランドとして、岐阜・横浜・東京の3拠点で展開を続けてきた。

しかし2023年、外部トラブルの影響により岐阜店を閉店。望まぬ形での撤退を余儀なくされた。その一方で、横浜・東京での需要は急速に拡大し、現行の製造拠点では生産能力や保管スペース、人員体制の面で限界を迎えることに。

「もう一度、岐阜にお店をつくりたい」という想いと、「持続可能な製造体制を整えなければならない」という課題。この二つが重なり、故郷・岐阜での店舗再開を目指して、目標金額300万円を掲げたクラウドファンディングを実施している(〜2025年11月12日)。

従来の「地方から都市へ」という流れではなく、「都市で育てたブランドを地方へ還流させる」という新しい形の地方創生だ。

今回再開を目指す岐阜店。

今回再開を目指す岐阜店。

岐阜の素材とともに再び“原点”へ

〈h.u.g-flower〉は、これまで岐阜の枝豆や飛騨モモ、飛騨リンゴといった地元素材を活かし、チーズテリーヌを都市部で人気商品へと育ててきた。ブランドの原点である岐阜の地に、今回ふたたび製造・販売の拠点を築く。単なる店舗の再開だけではなく、地域の恵みを自らの手で届ける仕組みを取り戻す挑戦だ。

多彩な返礼品でつながる、地域と都市

クラウドファンディングの返礼品には、定番のチーズテリーヌから季節限定フレーバーまで、多彩なラインナップが揃う。都市で培ったブランド力と産地の素材力が融合した味わいは、まさにこのプロジェクトの象徴。地域と消費者をつなぐ新しいかたちとして、岐阜からの再出発に注目したい。

information

h.u.g-flower 岐阜店再開プロジェクト

実施期間:2025年9月28日〜11月12日(45日間)

目標金額:300万円

返礼品例:通常チーズテリーヌ、岐阜素材を使った限定テリーヌ(焼き芋・ショコラ・ラムマロンほか)

公式通販サイト:89cheeseterrine.com

植物に触れて学べる森の素材研究室 「TENOHA TATESHINA Lab.」が 八ヶ岳の麓・蓼科に誕生

八ヶ岳の麓である長野県茅野(たてしな)市を拠点に、地域の林業事業体と提携しながら森林資源の利活用に取り組む株式会社ヤソがプロデュースした「TENOHA TATESHINA Lab.(テノハ蓼科ラボ)」が2025年7月26日、八ヶ岳の麓・蓼科にオープンした。(運営:東急リゾートタウン蓼科)

ここは、東急リゾートタウン蓼科内の敷地を舞台に、植物に触れ、森の素材を五感で学ぶ体験施設。森林資源の循環と地域資源活用を目指す取り組みを背景に、間伐材の活用、精油蒸留、草木染め、標本制作などを通じて、森と共存する観光の新しいかたちを提案している。

森の素材を研究・体験する拠点

施設は、研究所・ギャラリー・アトリエという三機能を備えている。来場者は草木染め、蒸留、植物標本づくりなどの体験ワークショップに参加でき、森の素材を「見る」「香る」「知る」といった切り口で学ぶことができる。標高1,300mの立地ゆえに、季節や標高差がもたらす植物の表情の違いも体験の一端となる。

さらに、施設内には草木染めを用いた衣服制作を行うブランド「MARU TO」のアトリエも併設。素材の研究と実践を融合させ、森が育んだ「色」「香り」「形」の可能性を探求する場にもなっている。

新しい観光としての意義

〈TENOHA TATESHINA Lab.〉は、ただの自然体験施設ではない。地域資源の循環を前提に、展示・研究と体験をつなげ、観光を通じて「学び」と「気づき」を生む場を目指している。間伐材を建材や什器に使うなど、施設自体が森との関係性を体現する構成になっており、将来的には雨水利用やコンポスト導入など、オフグリッド運営にも取り組む予定だという。

森林と観光、地域資源と体験を結び、訪れる人と土地を再びつなぐ拠点として、蓼科に新たな光を灯す挑戦は、始まったばかりだ。

information

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TENOHA TATESHINA Lab.(テノハ蓼科ラボ)

所在地:長野県茅野市北山 鹿山4026-2(東急リゾートタウン蓼科内)

営:10:00~16:00 ※体験プログラムは週末のみ開催。平日は観覧のみ

併設施設:草木染め衣服ブランド「MARU TO」アトリエ

公式サイト:https://www.tateshina-tokyu.com/tenoha/

Instagram:@tenoha.tateshina.official

【見逃し配信あり】 『俳優・小林涼子が挑む、地域×農業×福祉の現場。肩書を越えて働く時代へ』 コロカルアカデミーVol.5

日本のローカルの魅力を発信する「コロカル」は、ウェビナー講義シリーズ「コロカルアカデミー」の第5回を9月3日に開催しました。ゲストは、俳優でありながら株式会社AGRIKO代表取締役として活動する小林涼子さん。

小林さんは、芸能の世界で順調にキャリアを重ねる一方で、20代の頃には将来への葛藤を抱え、「自分は何をしたいのか」を模索し続け、新潟での米づくりに出会います。家族の体調不良を機に「このままでは、地域の農業は立ち行かなくなる」、そうした危機感から、2021年、農業と福祉を軸にした株式会社AGRIKOを創業。アクアポニックス農法を導入した都市型の屋上ファームや、新潟での稲作、障がい者とともに働く農福連携など、「地域課題」を解決しながら「都市と地方をつなぐ」挑戦を続けています。
今回はそんな、俳優という肩書きにとどまらず、現場に根を張り、土地の可能性を育てる姿勢を大切にする小林さんに、地域の現場から見えるリアルな課題と可能性について、存分に語って頂きました。

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▶︎https://form.run/@colocal05

小林涼子(こばやし・りょうこ)

小林涼子(こばやし・りょうこ)

俳優/株式会社AGRIKO代表取締役
農林水産省 食料・農業・農村政策審議会 食糧部会臨時委員
子役として芸能活動を開始し、連続テレビ小説『虎に翼』(NHK)など数々のドラマや映画に出演。2014年から農業に携わり、2021年に株式会社AGRIKOを設立。現在は稲作やアクアポニックス農法による都市型農園を展開し、地域の福祉とも連携した持続可能な農のあり方を模索している。ラジオナビゲーターや講演活動など、ジャンルを超えてパラレルキャリアを体現する存在。

俳優から農業へ向かった「お米」との出会い

俳優 美味しいを守る

まず小林さんからお話があったのは、ご自身の俳優としてのキャリアから、どのようにして農業と出会い、そして会社の設立に至ったのか、という経緯について。
俳優業で駆け抜けた10代、20代を過ごし、少し疲れを感じてしまったころ、家族のすすめでふと出会った新潟の棚田。そこでの農業のお手伝いで味わった汗をかくことやお米を食べること、その美味しさや楽しさが小林さんの農業の原体験でした。
そんな中、小林さんは、農家さんの人手不足の現状を知り、コロナ禍を経て、「このままでは、美味しいものを食べ続けられる未来が失われてしまう」という現実に向き合うようになったそうです。
自分一人が“お手伝い”という立場で、すべてを担える力はなかった。だからこそ、一人ではなく、「組織」としてできることがあるのではないか。そうしてたどり着いたのが、株式会社AGRIKOの立ち上げです。

「農福(ノウフク)」という事業/生き方

Mission

そんな株式会社AGRIKOは、農業と福祉の連携を軸に掲げ、活動を進めています。
10代や20代のころは、俳優業に没頭し、全力投球していた小林さん。それでも自分が思うようにキャリアが進まず、売れていく同世代の俳優の背中を見ながら、空回りしている感覚があったそうです。
「障がい」とは人それぞれで、一言では語れませんが、障がいと健常は、私たちが思うほど明確に線を引けるものではない。野心もあり、心身ともに元気だった自分がある日にふと立ち止まってしまったように、人生につまずき、心が疲れてしまう人は決して少なくない。誰もが生きづらさを感じる時代に、誰もが安心して暮らせる社会をつくること。それは、かつての自分自身のためでもあり、私たちみんなにとって必要なことではないか。
小林さんにとって、「農福」とは事業であると同時に、生き方そのものなのだろうと、その優しい語りの中に感じる確かな覚悟が伝わってきました。

食をめぐる日本の現状と限界集落について

日本の現状

改めて、日本の食は今、どのような状況なのかについてのお話もありました。日本が人口減少社会を迎えながら、農業従事者は、更に高齢化が進んでおり、2023年時点における基幹的農業事業者は116万人ほど。さらに食料自給率※は、カロリーベースで38%。先進国の中では、最も低い水準だそうです。
こうした中、農村にはおのずと限界集落が生まれていきます。食物を生み出すには、当然、人の手が必要です。にもかかわらず、人の手が足りない、届かない地域がある。
ショッキングな数字や事実が並びましたが、そんな中、小林さんはどのようにして、この課題に向き合っているのか。話は更に本格的になっていきます。

※食料自給率にはカロリーベースと生産額ベースがあり、それぞれ数値が異なります。* データは、それぞれ調査年が異なるため、厳密な一致はありません。

「都市農業」の可能性と多面性

Aquaponics System

東京における農業は、土地の面積に課題があるなかで、お話に出たのは、アクアポニックス(水産養殖×水耕栽培)というあり方。魚とバクテリアと植物によるシステムの輪は、確かな新しい農業の可能性を感じます。

都市農業の多様な機能(6つの機能)

先日の東京都主催の「TOKYO農業フォーラム2025 ~エコな農業が創るエシカルな東京~」の基調講演でも語られていた「都市農業の可能性」について、今回も小林さんならではの視点で、都市農業が持つ大きなポテンシャルについてお話がありました。

さらに会社として進めている、さまざまな実例(食材販売、サポーターズ(子育て世代の女性たちの雇用)の仕組み、障がい者雇用のアドバイスや雇用継続支援、食育イベントなど)を交えながら、農業や、農業に関する事業が持つポテンシャルについて語っていただき、最終的には、都市と地方をつなぐ、食の可能性についてのお話まで広がりました。
どのプロダクトや商品も可愛くて、洗練されていて、ワクワクする農業の姿が、そこにはありました。

生きること・食べること・楽しむこと

さまざまな実例

小林さんのお話を伺っていて、一番感じたことは、「食べることと生きることとの繋がり」、そしてそれらを「楽しむことの大切さ」です。
私たちは日々、食べることで生きています。食物は私たちの生活に必須で、だからこそその問題に対して、課題が生まれた時、大きな混乱が起きてしまいがちです。取り組むべき課題が深刻であることに疑いはありません。
ですが同時に、そうした課題を「誰かが解決してくれる」と静観するのではなく、自分で動き、しかもそれを仲間と共に広げ、大きなムーブメントを明るく生み出すのが小林さんにしかできないあり方だったのだろうと感じます。
都市と地方、消費者と生産者、健常者と障がい者。私たちは二項対立で物事を捉えがちですが、そこにある課題・テーマは、同じ「共に生きること」であり、それは単なる二項対立から離れ、みんながそれぞれの場所で、連帯しながら、ゆっくり取り組んでいくことなのかもしれないと、小林さんのお話を伺っていて、感じました。そのためには、単に眉をしかめ、難しい顔をして取り組むのではなく、小林さんのように、あるいは、今日のお写真で出てきたイベントに参加する子どもたちのように、笑顔で、前向きに取り組んでいくことこそが、課題解決の「隠し味」なのかもしれません。

トークセッションでは、『社会的な課題を“自分ごと”として捉えるとは?』をテーマに、小林さんのこれまでの背景や体験を、より具体的に掘り下げつつ、Q&Aでは、農福連携のあり方などについて、より具体的な話題も盛りだくさんでした。

食に関心がある方、障がいのあり方と社会のあり方に関心がある方、前向きに社会課題に取り組みたい方、パラレルなキャリア形成に関心がある方、多くの方にお勧めです。
見逃し配信を視聴したい方はぜひ、こちらからお申し込みください。
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株式会社AGRIKOのサイトもぜひチェックしてみてください!
https://farm.agriko.net/company

パリの大学院生・ルイスと ブランドディレクター・カナカが 巡る、青森・八戸&十和田の 1泊2日旅【Day2】

夏休みに日本へやってきたパリの大学院生ルイスさん。今回は、Netflix「オフラインラブ」にも出演されていたカナカさんを旅の相棒に、1泊2日で青森・八戸へ!

Day2 行程表
7:00|みなと食堂(八戸市)
10:30|匠工房 南部裂織の里(十和田市)
11:00|十和田神社(十和田市)
13:00|池田ファーム(田子町)
15:00|おんであんせ ユートリーおみやげショップ(八戸市)

Day2 7:00|みなと食堂

昨夜のディナーの帰り際、「八戸に来たなら絶対に行ってほしいお店がある」と八戸酒造の秀介さん。

ならば行くしかない!と早起きして向かったのは、「陸奥湊駅」からほど近い、ヒラメ漬丼の名店〈みなと食堂〉。ツヤツヤで美しいヒラメを贅沢にのせたどんぶりは、口に入れた瞬間甘みと旨みがふわっと広がり、朝から幸せな気持ちに。

information

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みなと食堂

住所:青森県八戸市湊町字久保45-1

TEL:0178-35-2295

営業時間:6時~14時

休:日、月

Day2 10:30|匠工房 南部裂織の里

案内してくれた秀介さんに別れを告げ、次に向かったのは八戸から車で約1時間の十和田市。お目当ては、青森県の伝統工芸「南部裂織(なんぶさきおり)」体験です。

裂織とは、使い古した着物や布を細く裂き、縦糸に木綿糸を組み合わせて織り込んだ織物のこと。いらなくなった布が、また衣服や生活道具として生まれ変わるから、とてもサステナブル。江戸時代から続く伝統的工芸品です。

「こういう細かい作業大好き!」と黙々と進めるカナカさん。一方、ルイスさんは、先生に教わりながら地機を動かすものの、リズムを掴むのはなかなか難しく苦戦中。それでも先生の優しい指導のおかげで、ついに一枚の作品が完成しました!

information

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匠工房 南部裂織の里

住所:青森県十和田市 大字 伝法寺 字 平窪37-21 「道の駅 とわだ」内

TEL:0176-20-8700

営:10時~16時

休:

体験料金:2,500円(3人以上は1週間前に要予約)

Day2 11:00|十和田神社(十和田市)

ルイスさんが、東北に行ったら一度は訪れてみたいと挙げていた場所のひとつが、東北屈指のパワースポット・十和田神社。創建は大同2年(807年)。十和田湖に突き出す中山半島に鎮座する古社で、坂上田村麻呂によって建立されたと言われています。

杉木立に囲まれた参道を進むと荘厳な本殿と拝殿が姿を現します。静謐な空気に包まれ、神秘的なエネルギーを肌で感じることができました。

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十和田神社

住所:青森県十和田市奥瀬十和田湖畔休屋486

TEL:0176-75-2508

Day2 13:00|池田ファーム(田子町)

車を走らせていると、沿道の看板に「にんにく」の文字がたびたび目に飛び込んできました。たどり着いたのは、青森県の田子町(たっこまち)。

田子町に来た理由は一つ。A5ランク黒毛和牛「田子牛」のランチがたべられると聞いたから。ここ〈池田ファーム〉では、年間出荷頭数わずか60頭という希少な田子牛の中からA5・A4ランクのみを厳選。霜降りの美しさは折り紙付きの名店です。

さらに田子町は「にんにくの町」としても名高く、ソースには名産の田子にんにくをたっぷり使用。大自然の中で育った牛と、地元の誇るにんにくが楽しめる贅沢なランチです。

赤みとは思えない、美しい霜降り。

赤みとは思えない、美しい霜降り。

「こんなに霜が降っているのに見た目よりもあっさりで不思議!」とカナカさん。

「こんなに霜が降っているのに見た目よりもあっさりで不思議!」とカナカさん。

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池田ファーム

住所:青森県三戸郡田子町大字田子池振外平11

TEL:0179-32-3327

営:11時~17時

休:不定休

Day2 15:00|おんであんせ ユートリーおみやげショップ

旅も終盤。最後に立ち寄ったのは、おみやげショップ「ユートリー」。青森県内の特産品を約2,000点も取り揃えたおみやげショップが併設されており、八戸圏域の品揃えは市内最大級を誇ります。

information

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おんであんせ ユートリーおみやげショップ

住所:青森県八戸市一番町1-9-22 ユートリー1F

TEL:0178-70-1111

営:9時〜18時

「海の幸も山の幸も味わえて、本当に贅沢な場所でした。食も文化も自然もそろっていて、八戸は何度でも訪れたくなる場所ですね。次はもっとゆっくり滞在したい!」とカナカさん。

ルイスさんの夏休みはまだまだ続きます。次はどこに行くのでしょう?次回の旅もどうぞお楽しみに!

パリの大学院生・ルイスと ブランドディレクター・カナカが 巡る、青森・八戸&十和田の 1泊2日旅【Day1】

夏休みに日本へやってきたパリの大学院生ルイスさん。今回は、Netflix「オフラインラブ」にも出演されていたカナカさんを旅の相棒に、1泊2日で青森・八戸へ!

Day1行程表
9:00|東京駅
12:00|八戸駅
12:00|八食センター
14:30|八戸酒造
16:30|八方屋/HAPPOYA
19:00|カーサ・デル・チーボ

Day1 9:00|東京駅で待ち合わせ

東京駅で待ち合わせをしていたのは、パリの大学院に通いながらSNSで現地の暮らしを発信するルイスさんと、Netflix『オフラインラブ』にも出演し、普段はブランドディレクターを務めるカナカさん。以前からSNSでの繋がりはあったものの、実際に会うのはこの日がはじめて。それでも初対面とは思えないほどすぐに意気投合!

2人がこれから向かう先は……?

Day1 12:30|八戸駅から〈八食センター〉へ

東北新幹線に揺られること約2時間40分。たどり着いたのは、青森県・八戸。古くから漁業で栄え、工業都市としての顔も持ちながら、蕪島や種差海岸といった雄大な自然を抱える場所です。

長旅でお腹を空かせた2人がまず向かったのは〈八食センター〉。全長170メートルの通路に、鮮魚店から青果、精肉、惣菜まで約70店舗がずらりと並ぶ巨大市場です。太平洋に面し、全国屈指の漁獲量を誇る港町・八戸。この市場には、今朝獲れたばかりの魚介や地元ならではの食材が所狭しと並び、観光客はもちろん、地元の人々の暮らしも日々支えています。

お腹を空かせた2人は早速市場を歩き回り、八戸港で獲れた魚介や、青森を代表するブランド牛「倉石牛」などを、思いのままに次々とカゴに入れていきました。

真剣な表情で海鮮を選ぶふたり。

真剣な表情で海鮮を選ぶふたり。

店先での会話も旅の醍醐味。

店先での会話も旅の醍醐味。

そしてそのまま向かったのは、施設内にある〈七厘村〉。ここではなんと、市場で手に入れた食材をそのまま持ち込み、自分たちの手で七輪焼きにして味わえるのだそう。

「市場を歩くだけでも楽しいけど、こうして自分で焼いて食べられるのは最高」と大興奮のルイスさん。八戸の旅は、お腹も心も満たされてスタートしました。

information

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八食センター

住所:青森県八戸市河原木神才22−2

TEL:0178-28-9311

営:9時〜18時

休:

七厘村

住所:青森県八戸市河原木神才22−2(八食センター内)

営:9時〜17時

Day1 14:30|八戸酒造

八戸酒造

次に訪れたのは、創業1775年の老舗〈八戸酒造〉。看板銘柄「陸奥男山」をはじめ、2021年の世界酒蔵ランキングで堂々の1位に輝いた「陸奥八仙」など、国内外で高い評価を集める名酒を生み出してきた蔵です。

酒蔵に足を踏み入れると、ふわりとお米の甘い香りが!「このお酒、八戸で造られているんだ!」と声をあげたのはカナカさん。東京でもよく「陸奥八仙」を飲んでいたというほどの大ファンで、この日の酒蔵見学は念願だったよう。

蔵を案内してくれたのは、製造責任者で常務の駒井伸介さん。「仕込み水は地元・蟹沢地区の名水を使い、米も酵母もすべて青森産なんですよ」と教えてくれます。

「『八仙』がここまで人気になるまで、本当に簡単ではなかったです。火入れの仕方や、冷蔵での管理など工程を一つひとつ見直して……。そんな長い積み重ねがあって、ようやく安定した味を届けられるようになりました」

information

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八戸酒造

住所:青森県八戸市湊町本町9-9

TEL: 0178-33-1171

見学時間:10時〜16時(所要時間は40分程度)

見学料金:500円(試飲付き)

蔵見学の予約はこちら:https://airrsv.net/hassenbrewerytour/calendar

Day1 16:30|八方屋/HAPPOYA

八方屋/HAPPOYA

今回の宿は2025年4月にオープンしたばかりの〈HAPPOYA〉。かつて武士が暮らしていた築100年以上の武家屋敷。歴史の趣をそのままに、現代的な感性でリノベーションした宿です。

太い柱梁や家紋を残し、刀や槍などの武具を配した室内は、まるで時代を飛び越えたかのよう。さらに、東京・野方の人気餃子専門店で百名店にも選ばれた「野方餃子」が併設されているのもうれしいポイント。

客室は「八方の間」と「四方の間」のわずか2室のみ。プライベートな時間を大切にしながら、八戸での滞在を心ゆくまでゆっくりと楽しむことができます。

information

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八方屋/HAPPOYA

住所:青森県八戸市上徒士町10

TEL:0178-20-0936

HP:https://www.happoyahotel.com/

Day1 19:00|カーサ・デル・チーボ

八戸の豊かな食材を心ゆくまで堪能したい。そんなときに訪れたいのが〈カーサ・デル・チーボ〉です。

ディナーには、昼に訪れた〈八戸酒造〉の駒井伸介さんの兄で、酒造の専務を務める秀介さんも参加。秀介さんは、特別に日本酒を持ってきてくださり、この日だけのなんとも贅沢なおもてなしの時間が実現。そのお酒に合わせて、池見シェフが料理を振る舞ってくれました。

メニューには「八戸徳師『三宝丸』の水ダコ」や「八戸産アブラボウズ」「八戸産ホヤ」「青森県大向産サザエ」などの文字が並び、まさに青森づくしのラインナップ!

オーナーシェフの池見良平さんは神奈川県出身。銀座の名店『エノテーカ ピンキオーリ 東京店』で腕を磨いた実力派です。八戸に店を開いたのは、妻・悦子さんの故郷であること、そして何よりもこの土地の食材の魅力に惹かれたからだと言います。料理には季節ごとの旬が映し出され、青森で育てられる猪や鴨、隣接する十和田市の野菜など、郷土の恵みを惜しみなく取り入れています。

地元の素材の魅力を最大限に引き出した洗練のイタリアンと、日本酒のマリアージュに、カナカさんもルイスさんも感動。八戸酒造のお酒とともに、忘れられない夜を過ごしました。

information

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カーサ・デル・チーボ

住所:青森県八戸市湊高台1-19-6

TEL:0178-20-9646

営:19時~22時

休:日・月

土曜日のみ、12時15分〜15時でランチ営業も。

Instagram:@casa_del_cibo

「発想の転換」で成功した、 パ・リーグの挑戦に学ぶスポーツビジネスとファンづくりのリアル| コロカルアカデミー Vol.6 開催決定

地域の暮らしや文化に根ざした新しい学びの場、「コロカルアカデミー」の第6回を開催します。主催は、日本各地のローカルの魅力を伝え続けるWebマガジン「コロカル」。

今回のゲストは、パ・リーグ6球団の共同出資会社・パシフィックリーグマーケティング(PLM)で、執行役員として各球団の魅力を伝える戦略の中心を担う園部健二さん。かつて「野球が嫌いになった野球少年」と語る園部さんが、いまや球場と地域、ファンと球団をつなぐ最前線で活躍しているのはなぜか?

本セミナーでは、日本プロ野球の歴史から、現在のパ・リーグ6球団のマーケティング事例、そしてパーソル パ・リーグTVなどを運営するPLMのマーケティングの裏側をひも解きます。スポーツ、エンタメの未来を結ぶキーパーソンとともに、組織や業界を越えた“半歩先”のビジネスとファンづくりを考える60分。ご参加お待ちしております。

【概要】
コロカルアカデミー Vol.6
「『発想の転換』で成功した、パ・リーグの挑戦に学ぶスポーツビジネスとファンづくりのリアル」
日時:2025年10月3日(金)15:00〜16:00(14:50開場)
※見逃し配信あり
形式:Zoomウェビナー
費用:無料(要事前申込)
募集期間:9月29日(月)11:59まで
▶︎お申し込みはこちら
※本ウェビナーにご参加いただいた方、また事前申し込みをいただいた方には、後日見逃し配信のご案内をお送りします。当日ご都合がつかない場合も、ぜひお気軽にお申し込みください。

【コロカルアカデミーとは】
ローカルを舞台に活躍する人々のリアルな情報を通して、日本の魅力を再定義するウェビナーシリーズです。地域を活性化させるために働きたい方、ローカルでビジネスを始めたい方、自治体や企業で地域創生に携わる方に向けて、新たなヒントを提供します。

いままでのコロカルアカデミーはこちら

登壇者は、地域の文化資産や資源を掘り起こし、その価値を世界に伝える新しいリーダーたち。ローカルビジネスにおける強みと課題、問題解決のプロセス、未来を変える次の一手についてもリスナーの皆さんと一緒に考えていきます。

【本ウェビナーで学べること】
●日本プロ野球の歴史
●パ・リーグの球団のマーケティング事例
●PLMのマーケティング事例夫
●ファン獲得施策を企画

 

【こんな方におすすめ】
●スポーツビジネスや地域スポーツ振興に関心のある方
●自治体・DMO関係者、広報・マーケティング担当者
●地域連携や観光促進に携わる方
●ファンづくり、共創型事業に取り組みたい方

【登壇者プロフィール】

 

園部健二

園部 健二(そのべ・けんじ)
執行役員/コーポレートビジネス統括本部 本部長 兼 新規事業開発室 室長(パシフィックリーグマーケティング株式会社)
野球少年だったが、中学で野球を引退。その後、音楽業界、ゲーム業界(SEGA)を経て、PLMに入社。「好きを仕事に」生き方を再定義し、現在は球場とファン、地域と球団をつなぐ多様な施策に携わる。スポーツを通して“地域と人をつなぐ”挑戦を続けている。

杉江宣洋

杉江宣洋(すぎえ・のぶひろ)
コロカル編集長/MAGAZINEHOUSE CREATIVE STUDIO ブランディングプロデューサー
1997年マガジンハウスに入社。『anan』編集部を経て、2008年『BRUTUS』配属、10年同誌副編集長に。『BRUTUS』では「居住空間学」(インテリア特集)「音楽と酒」シリーズなどをヒット企画に育てた実績を持つ。また、「桑田佳祐」「山下達郎」「松本隆」「スタジオジブリ」などの特集も担当。2022年Hanako編集長就任。2025年より現職。

【注意事項】
・本イベントはオンライン開催です。
・音声・映像が乱れる可能性があります。ご了承ください。
・配信内容の録画・録音・再配信はご遠慮ください。
・オンライン配信サービスの接続方法についてはサポート対象外です。

申込締切:9月29日(月)11:59まで
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※本ウェビナーにご参加いただいた方、また事前申し込みをいただいた方には、後日見逃し配信のご案内をお送りします。当日ご都合がつかない場合も、ぜひお気軽にお申し込みください。

【見逃し配信あり】 『原木シイタケの栽培者、平均74歳。次世代へつなぐ“きのこ”の循環』 コロカルアカデミーVol.4

日本のローカルの魅力を発信する「コロカル」は、ウェビナー講義「コロカルアカデミー」の第4回を8月6日に開催しました。ゲストは、キノコの種菌会社・富士種菌の企画担当であり、〈KINOKO SOCIAL CLUB〉の立ち上げメンバー猪瀬真佑(いのせ・まゆ)さん。

〈KINOKO SOCIAL CLUB〉は、ロースタリーが集まる東京・清澄白河を拠点にして、地域で出たコーヒーかすを活用してキノコを栽培・収穫し、料理として提供する循環の仕組みを実践するプロジェクト。猪瀬さんには、都市とローカルをつなぐ“キノコ”の可能性をテーマに、第一次産業への明るい眼差しとその広げ方、さらには地方から都市へとステージをつなぎ、キノコという食材を中心に置いた食のコミュニケーションの新たな循環の仕組みについて、たっぷり語って頂きました。

見逃し配信を視聴したい方はぜひ、こちらからお申し込みください。
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猪瀬真佑

猪瀬真佑(いのせ・まゆ)
富士種菌 企画・KINOKO SOCIAL CLUB 立ち上げメンバー/キノコ担当
デザイン、アウトドア、音楽、造園など多彩な業界を経験後、2021年に東京から山梨県へ。食用キノコの種菌メーカー〈株式会社富士種菌〉に入社し、原木栽培と里山文化の魅力に出会う。国内外に向けて原木キノコの可能性を発信するべく、ドキュメンタリー映画の制作や〈KINOKO SOCIAL CLUB〉など多角的な取り組みを進行中。

キノコへの想いと現実

キノコの生産量 世界2位、日本!

今回のゲストは、きのこ愛にあふれる猪瀬さん。まず紹介してくれたのは、ご自身が企画担当を務める「富士種菌」という会社と、キノコそのものについてでした。
たとえば、ひとくちにシイタケといっても実はさまざまな種類があること。そもそもキノコの原木栽培は、原木がなければ始まらないこと。そして日本のキノコ生産量は、なんと世界第2位であることなど、興味深い話が次々と飛び出しました。

平均年齢74歳の現実

その一方で、課題として語られたのが「後継者不足」。シイタケ栽培に携わる多くの方が、何十年もこの道を歩んできた大ベテランで、引退を考えている人も少なくないそうです。これは、キノコ業界に限らず、日本の他の第一次産業にも共通する深刻な課題なのではないでしょうか。

自然・人・コミュニティの関わりという光

関わり合うことで見えてくる仕組みや循環

深刻な問題を抱えながらも、猪瀬さんは明るい表情を崩しません。それはキノコの魅力が幅広く、人を魅了するキャッチーさを兼ね備えているから。
ここでキャッチーということばが出てくることに、凄く面白さを感じました。食べ物とは、なにより栄養の補給であり、生きる糧そのものですが、同時に私たちの「文化」でもあります。猪瀬さんのキノコの文化的側面(それは形態、生態、味わい、あらゆるものを含むはずです)に着目する視点は、きっと多くの人に気づきのきっかけになるはずです。
実際、原木シイタケの栽培は、海外でも広がりを見せていますし、なによりキノコを中心として、新しい関係性を生み出し、構築されていくその過程は、まさに光そのもの。
私たちが普段口にしているものは、本来自然が生み出したものであり、生産者さんが生み出したものであり、それが加工され、運ばれ、店頭に並び……とんでもなく大きな循環において、私たちは一つの食べ物を口にするわけです。
この輪っかの中、キノコを中心として、自然や人とダイナミックに、かつ、楽しく関わることを提案・実践する猪瀬さんのアプローチはとても魅力的でした。活動紹介においてはドキュメンタリー映画制作まで入っているようで、無限のアプローチの可能性を感じます。

〈KINOKO SOCIAL CLUB〉というプロジェクトについて

〈KINOKO SOCIAL CLUB〉というプロジェクトについて

〈KINOKO SOCIAL CLUB〉は、地域で出たコーヒーかすを活用し、キノコを栽培・収穫し、料理として提供する、東京・清澄白河に誕生した“都市の里山”のような存在で、オープンからわずか2ヶ月で多数のメディアに取り上げられ話題となっています。
〈KINOKO SOCIAL CLUB〉のテーマは循環。そのシンプルでクールなシンボルもシイタケのキャッチーな見た目と、循環をまさに想起させます。
この場所における取り組みはとにかく多彩の一言。ショーウィンドウにはキノコが生えている原木シイタケのホタ木が展示され、店内の栽培棚では、コーヒーかすを培地にしたキノコが育てられています。

キノコをきっかけにいろんな人が集まる

さらには生産者、料理人、エンジニア、デザイナー、編集者、近隣の人々など、本当に多様な人々が集って対話や交流が始まる企画やイベント、『IKINOKO RADIO』という「生きるための技術」を中心にしながら、雑談を交えながら軽やかに発信されるPodcast番組まで、キノコを中心に本当に色とりどりの取り組みがされていました。

第一次産業を盛り上げるために、もっとクールに、もっとポップに

キノコ料理をもっと気軽に、もっとおいしく。

愛に溢れた怒涛のキノコ講義であり、一次産業の活性化のために私たちができること、という普遍的な課題も詰まった魅力的な話ばかりでした。猪瀬さんの話を聞いていて、なにより感じたのは課題に取り組む姿勢の明るさと、「循環」というコトバの持つ価値についてです。

私たちは今、少子高齢社会を迎え、現実に大変な社会課題を多数抱えています。今回の主題であった食の生産に関する問題もまさにその一つで、きっとこの記事をご覧になっている方もそこに関心のある人が多いのではないでしょうか?

これらは真剣に取り組まなければならない問題ですが、眉をひそめ、苦しい顔で取り組むだけが「解決」ではないのだと、今回の講座を受けて感じました。「キノコって見た目かわいいよね?」「キャッチーだから好き」「大好物!」から入って、デザインを洗練させ、コミュニティも豊かに設計していく。そうすることで、生産現場のイメージは、今までになかったものに変化し、現場で働く生産者のマインドやスタンスにも影響を与えます。

小さな変化のきっかけが、連鎖するようにして新たな変化を生み出していく。生み出された変化はお互いの波を受け、さらにまた大きな変化につながる。それこそがまさしく「循環」ということなのだろう。どこかで生まれた「ポジティブなパワー」が山を巡り、都市を巡り、人々の間を巡り、一つの輪を描く。そんなイメージが湧く講座でした。

講座本編終了後のQ&Aでは、「そもそもシイタケっていつから食べているのだろう」という話から、「いつもあるけど、特別なもの」ということばもありました。自分たちの日常を見つめ直すことで、そこにある魅力や価値を再発見することを刺激するようなセッションになっています。

食が好きな人、自然が好きな人、食の生産課題に関心がある人、社会課題にポジティブにアプローチしたいと考えている人など、多くの方におすすめです。

見逃し配信を視聴したい方はぜひ、こちらからお申し込みください。
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俳優・小林涼子が挑む、 地域×農業×福祉の現場。 肩書を越えて働く時代へ| コロカルアカデミー Vol.5 開催決定

地域の暮らしや文化に根ざした新しい学びの場、「コロカルアカデミー」の第5回が開催されます。主催は、日本各地のローカルの魅力を伝え続けるWebマガジン「コロカル」。

今回のゲストは4歳で芸能界デビューを果たし、数々のドラマや映画で存在感を示してきた俳優・小林涼子さん。順調にキャリアを重ねる一方で、20代の頃には将来への葛藤を抱え、「自分は何をしたいのか」を模索し続けたといいます。そんな時期に出合ったのが、新潟での米づくり。自然の豊かさと、地域に根ざした暮らしに触れた経験が、彼女の価値観を大きく変えていきました。

「このままでは、地域の農業は立ち行かなくなる」、そうした危機感から、2021年、小林さんは農業と福祉を軸にした株式会社AGRIKOを創業。都市での屋上農園やアクアポニックス農法の導入、新潟での稲作、障がい者とともに働く循環型ファームの運営など、「地域課題」を解決しながら「都市と地方をつなぐ」挑戦を続けています。

俳優という肩書にとどまらず、現場に根を張り、土地の可能性を育てる姿勢は、ローカルの未来を考える私たちに多くの示唆を与えてくれるはず。

今回の「コロカルアカデミー Vol.5」では、そんな小林さんをゲストに迎え、株式会社AGRIKOの活動について、そして地域の現場から見えるリアルな課題と可能性を語っていただきます。

後半には、コロカル編集長・杉江宣洋との対談セッションも実施。「地域と都市」「福祉とビジネス」をどうつなぎ、新たなキャリアや文化を生み出せるのかを深掘りします。

地域、福祉、農業、そしてこれからの働き方に関心のあるすべての方へ。未来のロールモデルと出会う1時間を、ぜひご一緒ください。

【概要】
コロカルアカデミー Vol.5
「俳優・小林涼子が挑む、地域×農業×福祉の現場から。肩書を越えて働く時代へ」
日時:2025年9月3日(水)15:00〜16:00(14:50開場)
※見逃し配信あり
形式:Zoomウェビナー
費用:無料(要事前申込)
お申し込みは終了いたしました。
※本ウェビナーにご参加いただいた方、また事前申し込みをいただいた方には、後日見逃し配信のご案内をお送りします。当日ご都合がつかない場合も、ぜひお気軽にお申し込みください。

【コロカルアカデミーとは】
ローカルを舞台に活躍する人々のリアルな情報を通して、日本の魅力を再定義するウェビナーシリーズです。地域を活性化させるために働きたい方、ローカルでビジネスを始めたい方、自治体や企業で地域創生に携わる方に向けて、新たなヒントを提供します。

いままでのコロカルアカデミーはこちら

登壇者は、地域の文化資産や資源を掘り起こし、その価値を世界に伝える新しいリーダーたち。ローカルビジネスにおける強みと課題、問題解決のプロセス、未来を変える次の一手についてもリスナーの皆さんと一緒に考えていきます。

【本ウェビナーで学べること】
●株式会社AGRIKO立ち上げの背景とビジョン
●限界集落での挑戦と、望まれる農業とは?
●循環型農福連携ファームと“アクアポニックス農法”の可能性
●地方と都市をつなぐ「農」の役割

【こんな方におすすめ】
●地域×福祉×農業に関心のある方
●新しい働き方、パラレルキャリアに興味のある方
●食や農、循環型社会のあり方に問題意識を持つ方
●ローカルビジネスや社会起業に関心のある方

【登壇者プロフィール】

小林涼子

小林涼子(こばやし・りょうこ)
俳優/株式会社AGRIKO代表取締役
農林水産省 食料・農業・農村政策審議会 食糧部会臨時委員
子役として芸能活動を開始し、連続テレビ小説『虎に翼』(NHK)など数々のドラマや映画に出演。2014年から農業に携わり、2021年に株式会社AGRIKOを設立。現在は稲作やアクアポニックス農法による都市型農園を展開し、地域の福祉とも連携した持続可能な農のあり方を模索している。ラジオナビゲーターや講演活動など、ジャンルを超えてパラレルキャリアを体現する存在。

杉江宣洋

杉江宣洋(すぎえ・のぶひろ)
コロカル編集長/MAGAZINEHOUSE CREATIVE STUDIO ブランディングプロデューサー
1997年マガジンハウスに入社。『anan』編集部を経て、2008年『BRUTUS』配属、10年同誌副編集長に。『BRUTUS』では「居住空間学」(インテリア特集)「音楽と酒」シリーズなどをヒット企画に育てた実績を持つ。また、「桑田佳祐」「山下達郎」「松本隆」「スタジオジブリ」などの特集も担当。2022年Hanako編集長就任。2025年より現職。

【注意事項】
・本イベントはオンライン開催です。
・音声・映像が乱れる可能性があります。ご了承ください。
・配信内容の録画・録音・再配信はご遠慮ください。
・オンライン配信サービスの接続方法についてはサポート対象外です。

お申し込みは終了いたしました。

※本ウェビナーにご参加いただいた方、また事前申し込みをいただいた方には、後日見逃し配信のご案内をお送りします。当日ご都合がつかない場合も、ぜひお気軽にお申し込みください。

原木シイタケの栽培者、平均74歳。 次世代へつなぐ “きのこ”の循環| コロカルアカデミー Vol.4 開催決定

地域の暮らしや文化に根ざした新しい学びの場、「コロカルアカデミー」の第4回を開催します。主催は、日本各地のローカルの魅力を発信し続けるWebマガジン「コロカル」。

今回のテーマは、KINOKO SOCIAL CLUBが切り拓く、都市とローカルをつなぐ“キノコ”の可能性。

オープンからわずか2ヶ月で多数のメディアに取り上げられ話題となっている〈KINOKO SOCIAL CLUB〉は、東京・清澄白河に誕生した“都市の里山”のような存在。地域で出たコーヒーかすを活用し、キノコを栽培・収穫し、料理として提供する。そんなローカル・フード・サプライチェーンを実験的に循環させる場所として、都市にいながらにして生産から消費や食の手ざわりを感じられる拠点となっています。

この活動の中心にいるのが、富士種菌の企画担当であり、KINOKO SOCIAL CLUBの立ち上げメンバーの猪瀬真佑(いのせ・まゆ)さん。アウトドアや音楽、造園といった異業種を経て東京から山梨へ、キノコの種菌会社〈富士種菌〉に入社。伝統的な原木シイタケの栽培と、それにまつわる日本の自然環境と人々の暮らしの営みとの関係性に魅了され、キノコを通じて現代社会と多角的な接点を生み出してきました。

一方で、原木シイタケ栽培に携わる生産者の平均年齢は74歳。山との関わりを絶やさずに繋げてきてくれたこの伝統的な栽培方法を次世代へ継承していくための環境整備や、里山資源の持続的な活用は、今まさに重要な課題です。

富士種菌は、1982年の創業以来、独自の技術で高品質かつ高速な栽培を可能にする原木シイタケを始めとした食用キノコの種菌を研究開発してきました。種菌の提供にとどまらず、不足している原木の供給や栽培技術の指導や情報発信、キノコの栄養・健康機能の研究、啓発活動まで含め、キノコの可能性を社会に広げる技術パートナーとして存在感を発揮しています。

後半には、コロカル編集長・杉江宣洋との対談形式で、「日本の大切なカルチャーをどう残し、伝えていくか」をテーマに深く掘り下げていくセッションも予定しています。

食、里山、地域資源の循環、そしてローカルに関わる未来にヒントを見つけたい方に向けて。1時間、ぜひご参加ください。

【概要】
コロカルアカデミー Vol.4「原木シイタケの栽培者、平均74歳。その現実と、山に関わる次の世代の可能性」
日時:2025年8月6日(水)15:00〜16:00(14:50開場)
費用:無料(事前申し込み制)
形式:Zoomウェビナー
申込締切:お申し込みは終了いたしました。

※本ウェビナーにご参加いただいた方、また事前申し込みをいただいた方には、後日見逃し配信のご案内をお送りします。当日ご都合がつかない場合も、ぜひお気軽にお申し込みください。

【コロカルアカデミーとは】
ローカルを舞台に活躍する人々のリアルな情報を通して、日本の魅力を再定義するウェビナーシリーズです。地域を活性化させるために働きたい方、ローカルでビジネスを始めたい方、自治体や企業で地域創生に携わる方に向けて、新たなヒントを提供します。

第1回(vol.1)では、奈良県のクラフトビールメーカー〈奈良醸造〉代表・浪岡安則さんを迎え、異業種からクラフトビール業界へ転身した背景と、地域を活かしたものづくりの魅力について語っていただきました。

第2回(vol.2)では、〈本屋B&B〉共同経営者であり、青森県八戸市の〈八戸ブックセンター〉ディレクターも務める内沼晋太郎さんを迎え、「独立系書店とローカルの未来」をテーマに、地域と本屋のこれからのあり方を探りました。

第3回(vol.3)では、会員制スーパーマーケット〈Table to Farm〉のディレクター・相馬夕輝さんを迎え、「生活者が“つくる”に関わりはじめる時代へ」をテーマに開催しました。自然栽培の在来種の野菜や米、伝統的な製法の調味料、日本最古の和牛など、“とびっきりのおいしさ”を未来に残すために誕生した〈Table to Farm〉の取り組みを通して、地域に眠る資源をいかに食卓へと届けていくか、その実践とビジョンを語っていただきました。

登壇者は、地域の文化資産や資源を掘り起こし、その価値を世界に伝える新しいリーダーたち。ローカルビジネスにおける強みと課題、問題解決のプロセス、未来を変える次の一手についてもリスナーの皆さんと一緒に考えていきます。

【本ウェビナーで学べること】
・技術パートナーとして始まった「KINOKO SOCIAL CLUB」とは?
・キノコと人、自然と都市をつなぐ新たなサイクルの実験
・「平均年齢74歳」原木シイタケ栽培の現実と課題とは?
・里山とともに未来を育てる、「原木栽培」という挑戦

ローカルビジネスに関心のある方はもちろん、食文化や新しいフードシステムに興味のある方にも楽しんでいただける実践的な時間をお届けします。

【登壇者プロフィール】

猪瀬真佑

猪瀬真佑(いのせ・まゆ)
富士種菌 企画・KINOKO SOCIAL CLUB 立ち上げメンバー/きのこ担当
デザイン、アウトドア、音楽、造園など多彩な業界を経験後、2021年に東京から山梨県へ。食用キノコの種菌メーカー〈株式会社富士種菌〉に入社し、原木栽培と里山文化の魅力に出会う。国内外に向けて原木キノコの可能性を発信するべく、ドキュメンタリー映画の制作や「KINOKO SOCIAL CLUB」など多角的な取り組みを進行中。

杉江宣洋

杉江宣洋(すぎえ・のぶひろ)
コロカル編集長/MAGAZINEHOUSE CREATIVE STUDIO ブランディングプロデューサー
1997年マガジンハウスに入社。『anan』編集部を経て、2008年『BRUTUS』配属、10年同誌副編集長に。『BRUTUS』では「居住空間学」(インテリア特集)「音楽と酒」シリーズなどをヒット企画に育てた実績を持つ。また、「桑田佳祐」「山下達郎」「松本隆」「スタジオジブリ」などの特集も担当。2022年Hanako編集長就任。2025年より現職。

【注意事項】
・本イベントはオンライン開催です。
・音声・映像が乱れる可能性があります。ご了承ください。
・配信内容の録画・録音・再配信はご遠慮ください。
・オンライン配信サービスの接続方法についてはサポート対象外です。

申込締切:お申し込みは終了いたしました。

※本ウェビナーにご参加いただいた方、また事前申し込みをいただいた方には、後日見逃し配信のご案内をお送りします。当日ご都合がつかない場合も、ぜひお気軽にお申し込みください。

瀬戸内海の小さな島、豊島にニューオープン。“島の素材が主役”のファクトリー〈Teshima Factory〉

瀬戸内海に位置する豊島(てしま)は、香川県や岡山県からフェリーに乗って40分ほどで到着できる、人口700人ほどの小さな島。

この島に、食堂、ブルワリーなどを併設した複合施設〈Teshima Factory(てしまファクトリー)〉がオープンした。

株式会社アミューズの「瀬戸内プロジェクト」の一環から生まれた。

プロジェクトを担当する佐藤大地さんは、豊島に赴任したばかりの頃の印象をこう語る。

「幻想的な豊島美術館や、瀬戸内海や棚田の風景を眺めながらゆったりとした時間が流れる豊島に感動しました。その一方で、これまでの都市部の生活では日常に当たり前にあった、スーパーや飲食店、コーヒーショップといった食の選択肢がないことを実感し、途方に暮れたんです」

島の暮らしや豊島の住民の日常に入らせてもらう中で、日常の生活のために、田んぼや畑を耕し、魚を捕りに行くことを知る。畑や海と近い距離で生活している様子に衝撃を受けたという佐藤さんは、〈Teshima Factory〉を、豊島に訪れる人たちが普段感じられない自然との距離を味わえる、豊島に住む人にとっては日常の彩りの一つとなる場を目指すことにした。

使用した建物は、かつて島でよく採れて重宝されてきた「豊島石」を加工する石材会社から鉄工所へと変遷したもの。ただ解体して新たなものを作るのではなく、長い間、島の風景にあった姿を残すことも意識した。そこで、建物の意味やストーリーを捉えたリノベーションを多く手掛けてきた、スキーマ建築計画代表の長坂常氏に設計を依頼。豊島で出た廃材を使用して家具を作るなど、建物にも島の素材を使用した。

また、〈Teshima Factory〉で醸造しているオリジナルのクラフトビール「Lull Beer(ルルビール)」は、豊島の穏やかな時間の流れ方をイメージしたもの。訪れたら絶対に味わってみてほしい。

豊島の穏やかさ、豊かさをイメージした香りのいい「ルルビールIPA」と、農作業のあとなど、汗をかいた後に爽やかにすっきりとした「ルルビールピルスナー」の2種類を用意

豊島の穏やかさ、豊かさをイメージした香りのいい「ルルビール IPA」と、農作業のあとなど、汗をかいた後に爽やかにすっきりとした「ルルビール ピルスナー」の2種類を用意

「来島者や豊島の方々が建物内や広場のあちらこちらに溜まりながら、空間や会話、食やビール、風景を楽しんでいただける場所としていきたいです」

今後は島でとれた食材を使用したビールやドライフルーツも製造し、島の外にも発信していく場所としても活用したいそう。

次の旅先にぜひ豊島を選んで、ゆったりと過ごしてみてはいかがだろうか。

information

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Teshima Factory 

住所:香川県小豆郡土庄町豊島家浦889

定休日:毎週火曜日

営業時間:9:00〜19:00(ラストオーダー18:00)

Instagram:https://www.instagram.com/teshimafactory/

“よそ者”たちが移住先で叶える夢 一度訪れた旅人が移住者になる 温泉街・温泉津の不思議な引力

世界遺産エリアの小さな温泉街・温泉津(ゆのつ)での暮らしを楽しみながら、
未来にこのまちを繋げていきたい一心で日々奮闘中の私、近江雅子ですが、
世の中の価値観が大きく変わったコロナ禍がきっかけになり、温泉津も変わり始めました。

長年、この温泉津の価値を大切に守り続けていた
地元の方々の努力があるからこそ、
〈WATOWA(わとわ)〉という、
ちょっとしたスパイスがその起爆剤になったように思います。

の温泉街の中心に位置する複合施設〈WATOWA〉。

温泉津の温泉街の中心に位置する複合施設〈WATOWA〉。

前編では、私が温泉津にやってきて12年、〈WATOWA〉をはじめ、移住してから7つのゲストハウスを開業するにいたった経緯をお届けしました。

後編では〈WATOWA〉が完成してから多くの移住者が集まり、
それぞれが夢を持って活動している
「まちも人も温泉のようにアツアツに湧く」温泉津のいまをお届けします。

旅人が料理を振る舞い
まちの人も旅行者ももてなす〈旅するキッチン〉

手前がランドリー、奥にはキッチンと客席。ドミトリーや客室も完備する〈WATOWA〉。

手前がランドリー、奥にはキッチンと客席。ドミトリーや客室も完備する〈WATOWA〉。

〈WATOWA〉は、私が温泉津にやってきて
2021年に立ち上げた4つ目のゲストハウスです。

このまちの価値を十分に感じていただけるように、
温泉津の人たちと関わり合って、温かい人間関係を味わってほしい。

ほかの観光地や温泉地に見られる、つくられたアクティビティではなくて、
私たちのありのままの生活文化を体験してほしい。

そうしたらきっと温泉津のことが大好きになってくれるはず!

そのためには、温泉津で暮らすように、
中長期滞在できる宿をどうやってつくり出すか、その仕組みづくりと向き合ってきました。

〈WATOWA〉の名前に込めたのは、
「中の輪(ローカル)」と「外の輪(観光客や移住者)」が
つながる場所になればということ。
中長期滞在者には必須のランドリーと、安価で滞在しやすいドミトリー、
みんなが輪になって囲む「旅するキッチン」の3つの機能をもった複合施設です。

ドミトリーは男性専用と女性専用をそれぞれ4ベッド完備。

ドミトリーは男性専用と女性専用をそれぞれ4ベッド完備。

2Fには4名の和室2部屋。家族で貸しきりもできる。

2Fには4名の和室2部屋。家族で貸しきりもできる。

どうして複合施設にしたかというと、
ひとつだけでは、この田舎町での運営していくのは難しいのかもしれないけど、
まちの課題(洗濯・食事・宿泊のバリエーション)を解決しながら、
相乗効果を出すことができればと、総合的な事業計画にしてみました。

観光客にも喜ばれ、地元の人にも喜ばれる機能。
今まで温泉津に来たことのないようなお客さんも
温泉津を目指してきてくれるような、目的になる場所として、
事業計画書を繰り返し書き直しながら何度も銀行に通い、
融資を受けるための相談をしました。

銀行も、よくもこんな主婦の想いに大きな融資をしてくれたなと本当に感謝しています。

高齢者の多いこのまちで、コインランドリーは旅人だけではなく、
地元の方も大型の洗濯物があるときは隣町のまで行く方が多かったので、
きっとコインランドリーがあれば、まちの人にも喜ばれるのではないかと思ったのです。

温泉津は、国の重要伝統建築物群保存地区に指定された日本で唯一の温泉街。

温泉津は、国の重要伝統建築物群保存地区に指定された日本で唯一の温泉街。

それでも、ランドリー業者の方には、こんな人口では
大赤字になるからやめたほうがいいと止められました(笑)。

では、どうやったらコインランドリーがやっていけるのか。

もっと安く泊まれるドミトリーのような宿泊施設があったら、
中長期滞在しやすく、コインランドリーの需要も生まれるのではないかと考えました。

そして「こんな小さな温泉街に飲食店をオープンしてくれる人なんていないだろう」
という懸念を逆手に取って生まれたのが〈旅するキッチン〉です。

私たちが施設改修をはじめ、お皿やカトラリーなど備品もすべてそろえて、
体ひとつで旅するように料理をつくりに来てくれる人だったらいるかもしれないと、
何の根拠もつがりもないのに、すごい思い込みでこの飲食店を始めたのでした。

シェフには滞在する家と、必要なら車も使っていただけるように準備をしました。

東京・神保町から新潟まで、 出合いを車で運ぶ〈ハリ書房〉の 新しい書店のかたち

本屋がないなら、本屋から会いにいけばいい

よく晴れた空のもと、公園の広場に並ぶのは少し変わった8台のワゴンカー。
販売されているのはクレープでも焼きそばでもない。
新刊から古本、小説や絵本などの多種多様な本たちだ。

「日本一の読書のまち」を掲げる埼玉県三郷市で開催された
みさとブックマーケット〉。
本×アウトドアを楽しむというコンセプトの当イベントでは、
本の出張販売を行う移動書店が集まっていた。

公園の奥にある開けた場所にワゴンカーが並び、
来場者が休憩に使うアウトドア用のテントやイスとテーブル、
ワークショップのスペースなどが用意されている。
購入した本を読みながら焚き火ができるブースでは、
イベントに訪れた人たちが暖を取りながら思い思いに過ごしていた。

ワゴンカーが並ぶイベント会場。

春日和に恵まれたイベント当日、会場では子ども連れやペット連れの家族の姿が目立つ。

移動書店と椅子

新刊や古本、絵本専門店から『星の王子さま』専門店など、並んでいるのは個性的な移動書店。

出店書店のひとつである〈ハリ書房〉は、
当イベントに出店している移動書店の連絡調整役を担っている。
300冊以上の本を車に載せて、関東から新潟まで本屋のない地域に本を届ける
ハリ書房のハリーさんに、活動についての想いを聞いた。

主人のハリーさんと書籍『ハリネズミの願い』。

「子どもたちに気軽に呼んで欲しくて、ハリネズミのハリーと名前をつけました」とハリーさん。名前の由来となった書籍『ハリネズミの願い』に登場する主人公のハリネズミは、ハリーさんと性格が似ているのだとか。

ハリーさんは新潟県新潟市の出身で、現在の住まいは本のまち、東京の神保町だ。

「地方には本屋が少ないんです。
ぼくが小さいころは歩いていける範囲に3軒くらい本屋がありましたが、
いつの間にかなくなっていました。
今は、移動範囲の限られる子どもや高齢者の方が、
歩いて立ち寄れる本屋がないんですよね」と、話すハリーさん。

一方で地方の大きな書店の駐車場は、休日ともなればたくさんの車であふれている。

「すでに欲しい本が決まっているなら、
品揃えの良い大型書店は利用しやすいと思います。
でも、ほかの本も見てみようかなと思ったとき、
どうしても売り出し中の新刊やベストセラーが目に入りやすい」

働くハリーさん

“いい本”はベストセラーに限らない、とハリーさんは続ける。

「その人にとって“いい本”との出合いは、
目的もなく時間潰しに本屋に入ったときのような、
偶然のなかにあるんじゃないかと思うんです」

そんな機会が今、物理的に減っていることにハリーさんは問題意識を覚えた。
自身の地元のように本屋のない、あるいは少ない地域の子どもたちが
“いい本”に出合い、本を身近に感じるために何ができるかを考えるようになったのだ。

悩んだハリーさんが導き出したのが「本屋から会いにいけばいい」という答えだった。

編集長や経営者たちが語る 「ローカル」が聴ける! コロカルの音声コンテンツ 『ゆるコロカルβ版』

近年、コンテンツの新しいカタチとして、
ポッドキャストなどの音声コンテンツが盛り上がりをみせています。

手前味噌となりますが、コロカル編集部でも実験的に
音声プラットフォーム〈Voicy(ボイシー)〉を開設しています。
チャンネル名は『ゆるコロカルβ版』。
編集後記的にゆるくローカルの話を展開しています。

パーソナル編集者のみずのけいすけさんをナビゲーターに、
『コロカル』3代目編集長の山尾がローカルに関わるゲストとおしゃべりします。

ひとまず、半年間ほどのチャレンジということで、
当初の予定通り、この2025年2月末までの更新となりますが、
これまでもローカルに関わるすてきなゲストに遊びに来ていただきましたので、
まだ聴いていないという方は、ぜひ、アーカイブを聴いてみてください。

音声だからこそ、普段では聞けないようなお話も。

「2024年ゲスト回振り返り」放送分ラインナップ

「2024年ゲスト回振り返り」放送分より。ローカルに関わるメディアの編集長やローカルで活躍する方々にゲストとして登場いただきました。

豪華なゲスト回のトップバッターは、
コロカル創刊編集長の及川卓也さん。

2012年1月にコロカルを立ち上げた張本人で、
現編集長の山尾にとっての師匠でありボス的存在。

現在は、福祉をたずねるクリエイティブマガジン『こここ』の
プロデューサーを務める傍ら、
栃木県益子町にあるギャラリー・カフェ〈starnet〉の
経営にも参画するチャレンジをはじめています。

「コロカルを立ち上げてすぐに、
インタビューさせていただいたのが、
〈starnet〉の創業者である馬場浩史さんという方で、
そこではじめて僕は〈starnet〉を訪ねたんです」と及川さん。

〈starnet〉や馬場さんとの出会いを次のように語ります。

「馬場さんの活動は地域に根ざした
農業、民藝、ものづくりの人々とつながり、土や水や風や星など、
風土の巡りをすごく大切に“場”をつくっていました。

いわゆる自然を非常に尊重しながら、
人間の限界も感じながら、
どういう暮らしを営んでいくかということを
実践されている場所だったので、感銘を受けました。

その後、コロカルの活動をしていくうえで、背骨になってくれたようなことが
そのインタビューではうかがえたんです」

〈starnet〉馬場さんの写真

「Innovatorsインタビュー」と題した連載で、2012年8月、馬場浩史さんを取材した記事のワンシーン。(写真は記事から引用)

残念ながら、馬場さんは2013年7月に他界。
その後、及川さんのところにさまざまなところから
〈starnet〉の事業継承の相談がきたのだそうです。

出会ったときの印象とその後の関係性、そしてご縁を感じて、
及川さんは〈starnet〉と『こここ』の二足の草鞋生活に
チャレンジすることになりました。
『ゆるコロカル』ではさらに詳しい話を音声で聴くことができます。

地域おこし協力隊から、 空き家活用の担い手へ。 移住者による 長野県・立科町の新スポット 〈アツマルセンター立科〉と 〈bake&soup yum-yum〉

観光地として有名な長野県の蓼科高原から
車で1時間ほどの小さな町・立科町。

地域の人が主に暮らす北側のエリアには歴史的なまち並みや畑が広がり、
高い建物は見当たりません。

そんな立科町に、ゲストハウスとシェアキッチン、
書店、物販などを兼ねた複合交流拠点〈アツマルセンター立科〉と
泊まれるカフェ〈bake&soup yum-yum〉がオープンしました。

オーナーと地元企業、移住者三者の重なる思い

長野県北佐久郡にある立科町は、人口6700人ほどのとても小さなまち。
鉄道の駅はありませんが、
小諸市や上田市といった人気の観光地のある地域に囲まれています。

〈アツマルセンター立科〉の永田賢一郎さんは、
もともと地域おこし協力隊として2020年に神奈川県横浜市から
立科町に移住してきました。
横浜と行き来し自身の建築設計や拠点運営の仕事を続けながら
「移住定住、空き家活用促進」担当として立科町にも勤務する異例の採用形態で、
任期が終わっても継続的にまちに関わりたいと、町内で〈合同会社T.A.R.P〉を設立。
その柱となるプロジェクトが〈アツマルセンター立科〉です。

〈アツマルセンター立科〉外観。右手前の瓦屋根の建物は空き家相談所「町かどオフィス」

〈アツマルセンター立科〉外観。右手前の瓦屋根の建物は空き家相談所「町かどオフィス」。

建物は町役場からほど近い、中山道沿いの元は薬局だった場所。

元々の所有者である大島薬局の大島さんからは、
「まちの真ん中でずっと空いてしまっているので、いい人がいたらぜひ使ってほしい。
ただ、まちの中心にある建物なので、地域の人たちも安心出来るよう、
ちゃんとした人に使ってほしいという思いもある」
と相談があったといいます。

永田さんもなんとか活用につなげたいと考え、
空き家を探している人に案内もしましたが、
規模が大きい、リフォーム後でちょっと新しすぎる、家賃が合わない、
といった理由でなかなか活用につながらなかったそう。
「建物一棟で賃貸、売却を考えるのではなく、
細かく分けて貸せたらもっと活用の幅も、借りたいという人の数も増えそうなのに」
という思いがありました。

そこで手を上げたのが、町内の建設会社〈三矢工業株式会社〉。
「地域貢献につながる新しい事業を立ち上げて、
若い人たちにも来てもらえるようにしたい」
と、この物件を買い上げてくれたのです。

三矢工業の金澤清人社長

三矢工業の金澤清人社長。

そうして、三矢工業とT.A.R.Pが一緒に
〈アツマルセンター立科〉を運営していくことに。
所有者と地域の企業、空き家活用を通した
まちの活性化を担う永田さんの三者の思いが重なったことで、
新たな地域の憩いの場が生まれました。