世界遺産エリアの小さな温泉街・温泉津(ゆのつ)での暮らしを楽しみながら、
未来にこのまちを繋げていきたい一心で日々奮闘中の私、近江雅子ですが、
世の中の価値観が大きく変わったコロナ禍がきっかけになり、温泉津も変わり始めました。
長年、この温泉津の価値を大切に守り続けていた
地元の方々の努力があるからこそ、
〈WATOWA(わとわ)〉という、
ちょっとしたスパイスがその起爆剤になったように思います。

温泉津の温泉街の中心に位置する複合施設〈WATOWA〉。
前編では、私が温泉津にやってきて12年、〈WATOWA〉をはじめ、移住してから7つのゲストハウスを開業するにいたった経緯をお届けしました。
後編では〈WATOWA〉が完成してから多くの移住者が集まり、
それぞれが夢を持って活動している
「まちも人も温泉のようにアツアツに湧く」温泉津のいまをお届けします。
旅人が料理を振る舞い
まちの人も旅行者ももてなす〈旅するキッチン〉

手前がランドリー、奥にはキッチンと客席。ドミトリーや客室も完備する〈WATOWA〉。
〈WATOWA〉は、私が温泉津にやってきて
2021年に立ち上げた4つ目のゲストハウスです。
このまちの価値を十分に感じていただけるように、
温泉津の人たちと関わり合って、温かい人間関係を味わってほしい。
ほかの観光地や温泉地に見られる、つくられたアクティビティではなくて、
私たちのありのままの生活文化を体験してほしい。
そうしたらきっと温泉津のことが大好きになってくれるはず!
そのためには、温泉津で暮らすように、
中長期滞在できる宿をどうやってつくり出すか、その仕組みづくりと向き合ってきました。
〈WATOWA〉の名前に込めたのは、
「中の輪(ローカル)」と「外の輪(観光客や移住者)」が
つながる場所になればということ。
中長期滞在者には必須のランドリーと、安価で滞在しやすいドミトリー、
みんなが輪になって囲む「旅するキッチン」の3つの機能をもった複合施設です。

ドミトリーは男性専用と女性専用をそれぞれ4ベッド完備。

2Fには4名の和室2部屋。家族で貸しきりもできる。
どうして複合施設にしたかというと、
ひとつだけでは、この田舎町での運営していくのは難しいのかもしれないけど、
まちの課題(洗濯・食事・宿泊のバリエーション)を解決しながら、
相乗効果を出すことができればと、総合的な事業計画にしてみました。
観光客にも喜ばれ、地元の人にも喜ばれる機能。
今まで温泉津に来たことのないようなお客さんも
温泉津を目指してきてくれるような、目的になる場所として、
事業計画書を繰り返し書き直しながら何度も銀行に通い、
融資を受けるための相談をしました。
銀行も、よくもこんな主婦の想いに大きな融資をしてくれたなと本当に感謝しています。
高齢者の多いこのまちで、コインランドリーは旅人だけではなく、
地元の方も大型の洗濯物があるときは隣町のまで行く方が多かったので、
きっとコインランドリーがあれば、まちの人にも喜ばれるのではないかと思ったのです。

温泉津は、国の重要伝統建築物群保存地区に指定された日本で唯一の温泉街。
それでも、ランドリー業者の方には、こんな人口では
大赤字になるからやめたほうがいいと止められました(笑)。
では、どうやったらコインランドリーがやっていけるのか。
もっと安く泊まれるドミトリーのような宿泊施設があったら、
中長期滞在しやすく、コインランドリーの需要も生まれるのではないかと考えました。
そして「こんな小さな温泉街に飲食店をオープンしてくれる人なんていないだろう」
という懸念を逆手に取って生まれたのが〈旅するキッチン〉です。
私たちが施設改修をはじめ、お皿やカトラリーなど備品もすべてそろえて、
体ひとつで旅するように料理をつくりに来てくれる人だったらいるかもしれないと、
何の根拠もつがりもないのに、すごい思い込みでこの飲食店を始めたのでした。
シェフには滞在する家と、必要なら車も使っていただけるように準備をしました。







































































