連載
posted:2022.9.1 from:静岡県下田市 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
ローカルで暮らすことや移住することを選択し、独自のライフスタイルを切り開いている人がいます。
地域で暮らすことで見えてくる、日本のローカルのおもしろさと上質な生活について。
築数十年の古民家を購入し、自分たちの住まいを
自分たちの手で仕上げていくことに、憧れている人も多いと思います。
古民家を解体し、床張りをして壁を塗り、
思い思いの家づくりを実践するためには、何から始めればいいのでしょうか。
この記事では、これまでコロカルが取材してきた、
古民家リノベーションの実例を紹介します。
移住者やローカルのプレイヤーたちは
試行錯誤しながらも、古民家のリノベーションを実践しています。
2. 古民家のリノベ:02 古材・廃材を使ってシェアハウスをフローリングに!
3. 古民家のリノベ:03 解体古材をフル活用したゲストハウスづくり
5. 古民家のリノベ:05 解体古材を再編集して自宅兼事務所にDIY
6. 古民家のリノベ:06 築140年の武家屋敷を全室温泉完備の古民家宿へ
7. 古民家のリノベ:07 川沿いの町家スタイルの古民家がアメリカ人オーナーのバーに
8. 古民家のリノベ:08 築80年の空き家を地域の人が集う町家オフィスに
9. 古民家のリノベ:09 京都の町家をゲストハウスで再生させた3つの事例
10. 古民家のリノベ:10 3種類の床張りと土間づくりの「タタキの配合レシピ」
11. 古民家のリノベ:11 家の顔になる外壁・屋根をセルフDIY
12. 古民家のリノベ:12 築130年の古民家の一室を事務所へ
静岡県下田市で暮らす津留崎家は、
伊豆に古民家を購入し自分たちの力でリノベーションを進めています。
大広間の畳をフローリングにし、キッチンを新設、
洗面台も一からつくるという、大規模なリノベーションをレポートしてくれました。
建築関係の仕事もしていた旦那さんを中心に
床の下地から、断熱材、床材の選定まで自分たちだけの力で
施工するのが津留崎流の家づくり。
断熱材として床下に籾殻くん炭を敷いたり、
防カビ対策に青森ヒバを撒いたり、試行錯誤しながら
オリジナリティあふれる家づくりを心がけています。
記事はこちら:家族でDIYリノベの家づくり。慣れない作業に妻も参戦!
福岡県糸島にある〈いとしまシェアハウス〉では、
ルームメイトとともに築80年以上の古民家の床をフローリングにDIYしました。
床材に使ったのは、使われなくなった廃材や、解体のときに出てきた古材。
新調した木材ではないので、汚れている部分を切り落とし、
表面を電動やすりで仕上げることで木材を再利用しています。
古民家はもともと家が傾いていたりするので、
廃材も古材も、ぴったりとはまらなくて当然。
小さな隙間や不揃いなところも、
数日過ごせば馴染んで気にならなくなるとのこと。
床板は、「ちょこちょこ直す」というのができないので
細かいことは目をつむり、一気に仕上げちゃうのも大事なポイントだそうです。
記事はこちら:古材・廃材で古民家リノベーション! 「床張り」を失敗しないDIYのコツとビフォー&アフターをご紹介
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長野県下諏訪町の「マスヤゲストハウス」では、
築106年以上の古民家の床張り、壁塗りをセルフリノベーションしました。
解体のときに出てきた素材をフル活用しながら、
ゲストハウスのリビングやカウンター、バーなど、
それぞれの設えに合わせて、木材を加工してきます。
曲がった古材や廃材は、無理にサイズをそろえずに
あえて隙間をつくり、漆喰を詰めていく工法を採用しました。
こうすることで木の個性を生かせますし、
余分な廃材を出さないことにもつながります。
また、壁の仕上げにも解体したときに出た土壁の土を再利用しています。
土の表情をそのまま仕上げにしている部分もあれば、
漆喰と混ぜて塗ったり、空間のイメージに合わせて調合を考えてつくっています。
左官は手間ひまがかかりますが、材料費自体はそこまでかからず、
素人ならではの感じを「味」とすれば、とてもリノベーション向きの仕上げ。
漆喰は、湿気を吸ったり吐いたりしてくれるため、
空気も柔らかくなるそうです。
記事はこちら:解体素材をフル活用。みんなで古民家リノベーション
京都府京丹後市では、築150年以上の江戸時代からある蔵が
1階がシェアキッチン、2階がオフィススペースとして生まれ変わりました。
プロの大工と、友人やご近所さんが集まり、約2年をかけて、
人が集まり、仕事もできるコミュニティスペースへと変貌を遂げます。
かつての土蔵で使われていた土壁は、外壁として再利用され、
床板には杉の無垢フローリング。
壁には漆喰を塗り、塗装は柿渋やオイルなどの自然素材で仕上げました。
土蔵を復活させるうえで、自然素材を多く取り入れることで
夏は暑く、冬は積雪のある丹後地区でも過ごしやすい
空間を蘇らすことを実現しました。
記事はこちら:江戸時代の土蔵をDIYリノベーション。地域に愛される、隠れ家的シェアスペースを目指して
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北海道函館市で設計事務所を営む富樫雅行さんは、
32歳のときに独立をきっかけに事務所兼住宅を構えることを考えます。
1934(昭和9)年に建てられた函館の西部地区にある古民家「常盤坂の家」を
2年半の期間をかけてDIYでリノベーションすることになりました。
古民家のリノベーションのノウハウがなかった富樫さんは
ブログをリアルタイムで配信しながら手探りで進めていきました。
リノベーションにあたりイメージしたのは
つくられた当時の痕跡をたどっていくように、
ひとつひとつの部材を大切にほぐしていき、再編集すること。
外した部材たちとセッションするように、
思いを巡らせてはコツコツとかたちにしていきました。
解体で出た釘をネジって取手にしたり、曲げてペーパーホルダーに加工したり、
お風呂の床はDIYで十和田石を敷き詰めました。
屋根裏から出てきた老舗のお菓子屋やみかんの木箱は棚になり、
壁板は壁紙を1枚ずつていねいに剥がし天井板として再利用しました。
建築家だから当然DIYもできると思われがちですが、
富樫さんはこの家をやるまで建物の知識はあれど、電動ノコギリを初めて触るくらいで
工事の技術はまったくありませんでした。
完成した「常盤坂の家」ではオープンハウスも開催され、
近所の人からは、新たに空き家改修の相談も受けたそうです。
記事はこちら:函館市〈常盤坂の家〉痕跡をたどるリノベーション。和洋折衷の古民家を建築家の自宅へ
宮崎県日南市で〈PAAK DESIGN〉を営んでいる鬼束準三さんは、
市内の観光地、飫肥(おび)城下町にある、〈旧小鹿倉邸(こがくらてい)〉という
行政の管理していた武家屋敷の活用方法について相談を受けます。
全国から利活用者の公募を行い、京都で古民家宿を運営している
事業者〈Nazuna(なずな)〉に委託されることになり、
日南市と連携協定を結ぶ〈乃村工藝社〉と、
地元の設計事務所が共同企業体を組み、
〈PAAK DESIGN〉は現地設計事務所としてサポートに入ることで
地域活性化の新しいカタチのような体制が整いました。
まず始めたのが〈旧小鹿倉邸〉の設計で用途変更のための建築確認申請。
明治時代に建てられたであろう建物で確認済証があるはずもなく、
いつ建てられたかを調査します。
そして宿泊施設に改修するにあたり、特に防火関係の規定において、
歴史的文化財の価値を損なわずに適法させていく必要がありました。
つくられた年代ごとに特徴の分かれる意匠を持った天井はすべて既存のままに、
照明や消防設備の穴を空ける程度とし、
竹小舞でつくられた漆喰壁はほとんど残すことにしました。
いまではつくれない歴史の重みと魅力を持った材料や仕上げを保存しつつ、
新しい部分との対比により、どちらの魅力も引き出せるように設計されることに。
完成した〈Nazuna 飫肥 城下町温泉 小鹿倉邸〉には、計5タイプの客室がつくられ、
各部屋に地域を体験できるコンセプトが盛り込まれ、
全室に毎日汲み上げた天然の温泉を楽しめる露天風呂を備えています。
オープニングセレモニーには関係者だけでなく地域住民も数百人が集まり、
日南市にまたひとつ、新たな観光拠点が生まれました。
記事はこちら:〈Nazuna 飫肥 城下町温泉 小鹿倉邸〉日南市の築140年の屋敷を、城下町を旅する古民家宿へ
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ハワイ州出身のスティーブン・ナイト(Stephen Knight)さんは
東京で翻訳の仕事をしていましたが、
昼間は翻訳、夜はバーを経営したいという夢を持っていました。
そこで10年来の付き合いがあり、富山県でまちづくりに取り組む
〈マチザイノオト〉明石博之さんは、自身が住んでいる富山県射水市新湊地区を
流れる内川エリアへの出店を猛烈アピールします。
物件探しをしてみつかったのは、かつてかまぼこ屋を営んでいた空き家。
母屋、中庭、土蔵と続いているこの地域の町家のスタイルで、
すぐ目の前に水辺があるとっても贅沢な環境の物件でした。
移住と物件取得の手続きが終わり、スティーブンさんは富山へ移住。
その後、リノベーション工事がスタートします。
南砺市井波地区でゲストハウスを展開する
建築家ご夫婦の山川智嗣さん・さつきさんにもプロジェクトに参加をしてもらい、
着工後からは、大工さんも6名体制になり一気に工事は進みます。
お店は無事に完成し、店名は〈Bridge Bar〉に決定。
橋のすぐそばにあるだけではなく、
人や文化の懸け橋になる店、という思いも込められているそう。
オープン後はすっかり人気店となり、週末は市外や県外からの
お客さんも見えているとのこと。
明石さんにとっても内川で自慢したい店ができ、
いろいろな人に紹介したり、飲みに行ったりと
楽しみがひとつ増えたようです。
記事はこちら:〈Bridge Bar〉アメリカ人移住者が町家をリノベしてオープンした新湊内川沿いのバー
前記事にも登場した〈マチザイノオト〉を主宰する明石博之さんは
妻・あおいさんのUターンがきっかけで富山県に移住しました。
ご夫婦ともに建築家で、それぞれが小さな会社を経営しています。
ふたりはUターン先ではある富山で
空き家の古民家を使ったプロジェクトの一環として
妻・あおいさんのオフィスをつくることを考えていました。
見つけたのは築80年の伝統的な木造軸組みの町家。
「単なるオフィスじゃなく、イベントやギャラリーもできるサロン空間があり、
遠方から来た人も地元の人も遊びに来られるような場所」という
コンセプトのもと工事を進めていきました。
物件は細長く不思議な間取りで、
複雑な構造をフル活用するリノベ術が求められました。
土蔵の裏側に誰の土地かわからないような空間が現れたり、
あとからつなげた隣接する家に、お風呂と子供部屋があったり、
工務店からは「こんなに大変な工事は後にも先にもない」と言われたほど。
完成後、町家オフィス〈ma.ba.lab.(まばらぼ)〉と命名。
適度にスカスカしているからこそ、そこにある間や
場に意識が集中しておもしろい発想が生まれることを期待して
名づけたそうです。
記事はこちら:築80年の空き家をリノベ。地域の人々が交流する町家オフィス〈ma.ba.lab.(まばらぼ)〉誕生
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京都で活動する建築家、多田正治さんが
これまで手がけた町家のリノベーション事例です。
1つめは、二条城まで徒歩5分の好立地に建つ町家を改修した
1棟貸しのゲストハウス〈A Day in khaki〉。
台湾人のオーナー、チェンさん、ショウさんからの依頼で
後世に日本の良さを伝え継承していくために
ゲストハウス運営をしようと考えます。
町家のすべてを新しくするのではなく、
その空間が持つ履歴に合わせてチューニングするように
更新の程度を調整することで新しい町家をつくることができました。
2つめは、同じく台湾人オーナーのショウさんが
もともと経営していた〈ゲストハウス撲宿〉の2軒目について。
ゲストハウスの候補物件は来歴がはっきりしない建物で、
工房、加工場として使われていた痕跡があったものの、結局わからずじまい。
外観はモルタル仕上げの昭和の住宅のようですが
「看板建築」と呼ばれるファサードを改修した町家でした。
増改築を繰り返した不自然な構造だったものを一度整理し、
構造補強を加えたうえで工事を行いました。
通りに対して閉じた建物でしたが奥へ引き込む路地をつくり、
風や光、視線を奥のほうまで通す設計に。
緑あふれる町家のゲストハウスに変身しました。
最後に紹介するのは京都で〈京旅籠むげん〉という宿を経営する
永留和也さんからの依頼で、
子供連れでもOKの宿〈mugen plus〉をつくりたいという依頼。
もととなる建物は、1・2階合わせても約80平方メートル、
庭にいたっては7.5平方メートルしかない小さな町家でした。
面積以上の効果をつくり出すため、半地下を設計プランに取り入れました。
道路に面したひと間を半地下にして、光を取り入れた客室をつくったり
階段の下に子供たちが遊べる絵本コーナーを設け、大人が少しだけ
自分の時間を過ごせるよう考えました。
古い建築や技術、素材をリスペクトしながら一部に新しい部分を加えて
まったく新しいものへ変貌させる。
その考えが次の世代までつながっていき更新されていけば、
すばらしいことだと多田さんは考えているそうです。
記事はこちら:町家を現代的にリノベーション。京都の3つのゲストハウス
建築家・多田正治さんが三重県熊野市で、
学生たちと活動拠点をつくるために挑んだ〈コウノイエ〉プロジェクト。
同プロジェクトは熊野市神川町神上(こうのうえ)にある家(いえ)なので、
プロジェクト名を〈コウノイエ〉と命名し、
学生たちとともに町内の空き家を改修していきます。
ほぼ廃墟と化した古民家を解体後、最初に手がけたのは床張り。
一般的な日本の古民家は「田」の字型の間取りになっており、
それぞれの部屋を襖(ふすま)や障子で仕切り、それを開閉することで
生活のさまざまなシーンに対応できるようできています。
〈コウノイエ〉プロジェクトでは、学生たちとともに
それぞれの部屋を、難易度ごとに分けて3種類の床張りをしていきます。
さらに、知人の造園屋さんに教わりながら、
土間ギャラリーをつくるためのタタキの土間をつくることに挑戦。
タタキのつくり方は地域によって違いがあるものの
今回は土、消石灰、塩化カルシウムを3:1:0.3の割合で
配合するやり方を選びました。
そのほかにもシンクと大きな調理台だけの
ガスをひかないシンプルなキッチンや、製材屋さんを紹介してもらって
建具も自分たちでつくりあげていきます。
記事はこちら:空き家を地域の拠点へリノベーション。熊野市〈コウノイエ〉プロジェクト
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前述の熊野市〈コウノイエ〉プロジェクトの完成に向けて、
いよいよ外壁・屋根部分に取りかかっていきます。
外壁と押し入れの袖壁の施工に挑戦しました。
木造で壁をつくる場合、間柱を立てて
その上から合板などで仕上げをするのが一般的ですが、
コウノイエでは2種類の規格サイズの熊野産ヒノキ材を使い、
それを交互に並べることでそのまま壁として仕上げました。
傷んでいた屋根の張り替え工事も自分たちで行います。
向かいに住む大工の上岡和己さんに手ほどきを受けながらの作業。
既存の古いトタン波板と現在のものとは波の大きさが異なるので、
上から新しい板を直接張ることはできず、既存の波板を撤去し
新たにトタン波板を張りました。
〈コウノイエ〉は学生たちの拠点となる場所。
ここで活動しながら、修理したり改良をしていき
地域に影響を与えていくように活用できることを目指しています。
完成後は、学生たちが手がける
地域の月刊新聞〈KOH no TAYORI(コウノタヨリ)〉の編集室として活用されたり
「家」とは少し違った「拠点」が熊野エリアに生まれました。
記事はこちら:熊野市〈コウノイエ〉が完成!ローカル新聞の編集室に
京都府京丹後市で設計事務所〈blueto(ブルート)〉を営む吉岡大さんは
もともと大阪の工務店で働いていましたが、
Uターンで丹後に戻り、事務所を構えることになります。
物件探しをしているなか、
10年間空き家だった敷地面積300坪の古民家と出合い、
購入を考えていた方と交渉して
空き家の一部を賃貸させてもらうことになりました。
その物件には古民家ならではの大きな欅(けやき)の大黒柱や国産の松の梁など、
いまでは手に入りにくい貴重な木材が多く使われており、
既存の柱・梁を活かしつつ、間取りは大きく変えずに
事務所スペースと打ち合わせスペースに分けてリノベすることに。
床張りや収納造作の製作などできることは自分で行いました。
照明はライティングレールをつけてスポットライトを並べ、
用途に合わせて自由に照明を稼働させるつくりにしました。
その後〈blueto〉の事務所づくりをきっかけに、空き家の所有さんと一緒に
事務所以外のスペースもリノベーションしていきました。
いかに既存のものを生かしつつ、限られた予算のなかで
人が集まれる空間づくりができるか? という課題と向き合いながら
できるだけDIYで進めることになります。
SNSなどで告知をしながら協力者を募り、1か月ほどでシェアスペースは完成。
今ではCGクリエイター、インバウンド向けの宿泊サポート会社など
次々と仲間が増えているそうです。
記事はこちら:築130年の古民家をリノベ。海の京都「丹後」で、空き家の活用を考える
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上の記事でご紹介した吉岡さんは、住居兼事務所をつくりたいと考え
新事務所に移転することを決めます。
そこで、築145年の古民家をリノベすることになりました。
母屋とは別に離れと蔵が1棟ずつあり、将来的に離れを事務所、
蔵を展示スペースやイベントなどのシェアスペースとして
活用できるよう計画します。
床下の土間コンクリート打ちと床組み以外はすべてDIYでリノベ。
外壁張りや床張りなど、少し高度な作業は友人に
手伝ってもらいながら進めていきました。
古民家にマッチする自然素材を選定し、床板は天然檜フローリングを使用。
外から見ると普通の古民家ですが、中に入ると高い吹き抜けが広がり
現代風古民家に仕上がりました。
この建物は、京丹後市弥栄町という地名になぞらえて、
〈弥榮之家(やさかのいえ)〉と命名されました。
記事はこちら:建築家として、“里の公共員”として。リノベーションだけでない多角的な空き家活用
岩手県奥州市でデザイン会社〈COKAGE STUDIO〉を経営する
川島佳輔さんは、奥様の出産をきっかけに地元にUターンし起業しました。
子どもを預けなくてはいけないときに、
託児所を利用しようと考えましたが
見ず知らずの人に預けるのも不安で、
オープンで気軽に利用できる
託児所があれば助かる新米パパ、ママがいるのではないかと考え
カフェと託児所が併設した「子育てのサードプレイス」を構想します。
そこで、幼少期を過ごしたJR水沢駅裏にある〈アートショップウチダ〉が
閉店することを知り、大家さんに相談したところ快諾してくれて物件が決定。
できる限りDIYで行うことを決め
一部の空間デザイン、施工の一部を業者にお願いすることにしました。
空間デザインは長野県にお店を構える〈ReBuilding Center Japan〉に依頼。
世界一周を旅しているときに代表の東野唯史さんと知り合い、
「地元にお店をつくることがあったら相談して!」という言葉を思い出し
7年越しでお願いすることになりました。
解体作業や断熱材の設置、左官に至るまであらゆる作業に挑戦。
屋根板を揃えた材でヘリンボーンの扉を自作したり
コストを抑えながら、かっこよくすることを心がけました。
長い改装期間を経てようやく完工。
アートショップとして続いてきたストーリーを引き継ぎ、
物語の第2章が始まるような思いを込めて
〈Café&Living UCHIDA〉と名づけられ、無事にオープン。
新たなコミュニティが日々生まれているようです。
記事はこちら:地域の古材を生かして、仲間とともにDIY!カフェ併設の託児所をハーフビルド。COKAGE STUDIO vol.2
古民家をリノベーションする醍醐味は、
自分たちの住む家を自分たちでつくるということ。
そのうえで、もともとあった古材や廃材を再利用することで
当時の空気感や、雰囲気を再現できることにあります。
どこまで自分たちが手を動かし、どこまでプロの手に任せるのか、
人それぞれですが、いずれにせよ、自分たちの住まいを
自分たちの手で手がけるということで得られる
大きな達成感は、何事にも代え難いのでしょう。
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