ブロードキャスターのピーター・バラカンさんが自ら監修する音楽フェスティヴァル「Peter Barakan's LIVE MAGIC!」。2014年から毎年開催し、2024年に10年目という節目で終止符が打たれた。惜しむ声が後を絶たなかったが、2026年4月にスピンオフ企画として帰ってくることに。舞台に選ばれたのは、山形県・蔵王温泉。なぜ今回、山形県という地を選んだのか。監修を手がけるピーター・バラカンさんに話を伺った。
熱狂的なファンが集う音楽フェスティヴァル「Peter Barakan's LIVE MAGIC!」
ファンから惜しまれつつも2024年に終止符が打たれた「Peter Barakan's LIVE MAGIC!」とは、一体どのようなフェスティヴァルだったのだろうか。
「『LIVE MAGIC!』は、規模が大きくないし知名度こそ高くないものの、抜群の腕を持つミュージシャンを招いていたので、根っからの音楽好きが集うフェスでした。かなりベーシックなことを、誠意を持って10年続けてきたので、他では味わえない雰囲気があったと思います。通ってくれているお客さん同士が気の合う友人になっていたり、そこで顔を合わせるのを楽しみにしてくれている方も増えていきましたね。だから、終わってしまったのを残念がっている人も多くいました。今回のスピンオフ企画は、一部同窓会のような空気も感じています」

チケットは発表後、瞬く間に完売。ファン待望のスピンオフ企画として名付けられたのは「Peter Barakan's LIVE MAGIC! presents ONSEN MAGIC!」。そもそもこのシリーズの核となる“MAGIC”という言葉には、一体どのような意味が込められているのか。
「インターFMのラジオ局で編成に関わる仕事をしていたときに、リスナーの方から“最近のラジオは、昔あった魔法(マジック)が消えてきていて残念だ”といった便りが寄せられたんです。そこから、“ラジオのマジックを取り戻そう”というテーマを掲げたキャンペーンを打ち出しました。『LIVE MAGIC』のお誘いがきたのがちょうどその後。名前を考えている時に、ここでも使おうという話になったんです。それからは、もうなんでも“MAGIC”をつけています(笑)」
温泉マニアが推す、歴史ある湯治場・蔵王温泉

初めてのスピンオフ企画「Peter Barakan's LIVE MAGIC! presents ONSEN MAGIC!」の会場に選ばれたのは、日本屈指の古湯である山形県の蔵王温泉。1900年以上の歴史を持つ源泉掛け流しの湯は、強酸性の硫黄泉として知られ、日本で2番目に酸性度が高く、強い殺菌作用と美肌効果をもたらす。この地を繋いだのは、イベントプロデューサーとして活動しながら、温泉検索サービス「YUUMIES」も主宰する井出辰之助さんだった。
「『LIVE MAGIC』ではオリジナルグッズを展開していたのですが、ある年に温泉の“温”を“音”に置き換えて文字入れをしたタオルを販売したことがあったんです。それを思い出して、冗談半分で『ONSEN MAGIC』を提案してくれたのが温泉マニアの井出さんでした。日本全国の源泉駆け流しの温泉を回っている方で、蔵王温泉も彼の推薦。今回宿泊する宿『JURIN』でも過去に音楽イヴェントを行ったことがあるらしく、企画の話もスムーズに進んでいきました。この旅では、深山荘高見屋の湯守の吉岡昌次さんをゲストに迎えて、井出さんと僕と3人でトークショーも予定しています」

『Japanology』シリーズ(NHKワールドTV)をはじめ、日本文化を世界に紹介する仕事で全国を巡るバラカンさんには、山形県とは、深い縁がある。

「山形県は空気が良くて、お米もお酒も美味しいですよね。テレビ番組の取材で何度か足を運んでいて、米沢市では特番を作ったこともあります。LIVE MAGICでも実は3回だけ地方公演を行ったことがあって、それがたまたま山形市の複合文化施設『シベールアリーナ(現:東ソーアリーナ)』でした。そういえば、いつだったか、秋の新米の時期に放送され『つや姫』のコマーシャルにも出演していましたね」
「ONSEN MAGIC」が叶える音と湯と食の旅
「どこか土臭いようなルーツミュージックを好む」というバラカンさん。今回の音楽ライヴでは、和歌山県那智勝浦町を拠点に活動しているギタリスト濱口祐自さんと、エスニックでありながら境界のないグルーヴを得意とするバンド「Manda」がライヴを披露する。2組のミュージシャンはどのようにして選ばれたのか。
「濱口祐自は、フェスを始めた頃に偶然出会った和歌山県のギタリストです。当時は無名だったけれど、演奏がとても気に入って人柄も素敵なので、初回で誘いました。10年間連続で出てくれているフェスに欠かせないミュージシャンで、今回出演してもらうのも自然な流れでした。『Manda』は、フェスのスタッフの人から教えてもらって、ライヴ映像を視聴したら面白かったんですよ」
温泉と音楽以外にも、宿では山形の味覚をたっぷり堪能できるディナーや、蔵王温泉名物である稲花餅を作るワークショップも体験できるのだそう。

「下見に行ったら、食事はもちろんのこと山形の銘酒も美味しかったです。実はワインも作っているんですよね。山形の料理のほかに、『LIVE MAGIC』の名物だったトライフルも提供する予定で、このイヴェントらしさをお客さんに感じていただけたらと思っています」
※記事内には一部お借りした写真を使用しています
profile

ピーター・バラカン
1951年ロンドン生まれ。
ロンドン大学日本語学科を卒業後、1974年に音楽出版社の著作権業務に就くため来日。
現在フリーのブロードキャスターとして活動、「バラカン・ビート」(インターFM)、「ウィークエンド・サンシャイン」(NHK-FM)、「ライフスタイル・ミュージアム」(東京FM)、「ジャパノロジー・プラス」(NHK BS1)などを担当。
著書に『ピーター・バラカン式英語発音ルール』(駒草出版)、『Taking Stock どうしても手放せない21世紀の愛聴盤』(駒草出版)、『ロックの英詞を読む〜世界を変える歌』(集英社インターナショナル)、『わが青春のサウンドトラック』(光文社文庫)、『ピーター・バラカン音楽日記』(集英社インターナショナル)、『魂(ソウル)のゆくえ』(アルテスパブリッシング)、『ラジオのこちら側』(岩波新書、電子書籍だけ)、『ぼくが愛するロック 名盤240』(講談社+α文庫、、電子書籍だけ)などがある。
2021年からPeter Barakan’s Music Film Festivalのキュレイターを務める。
ウェブサイトはhttps://peterbarakan.net/
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Peter Barakan’s LIVE MAGIC! presents ONSEN MAGIC!

































































































