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NO ARCHITECTS vol.8:
シェアしたみんなが
思うようにつくる家 後編

リノベのススメ
vol.031

posted:2014.6.3  from:大阪府大阪市此花区  genre:活性化と創生 / アート・デザイン・建築

〈 この連載・企画は… 〉  地方都市には数多く、使われなくなった家や店があって、
そうした建物をカスタマイズして、なにかを始める人々がいます。
日本各地から、物件を手がけたその人自身が綴る、リノベーションの可能性。

writer's profile

HIROSHI NISHIYAMA

西山広志

1983年大阪生まれ。建築家。NO ARCHITECTSを共同主宰。神戸芸術工科大学デザイン教育センター非常勤講師。神戸芸術工科大学大学院芸術工学専攻 (鈴木明研究室) 修了後、2009年 奥平桂子と共に活動を開始。2011年事務所を此花区に移すと同時に〈NO ARCHITECTS〉設立。建築をベースに、設計やデザイン、インスタレーション、ワークショップ、まちづくりなど、活動は多岐にわたる。

NO ARCHITECTS vol.8
つくりながら考える

vol.7に続き、「シェアしたみんなが思うようにつくる家」の後編です。
僕らが住む家「大辻の家」とつながるアパートを友人とシェアしています。
その一室のリノベーションをリアルタイムでリポートします。

大辻の家の右手の路地のSPACE丁の三角コーン看板、手づくりの門扉を抜けると裏のアパートがあります。

部屋の間取りがわかりにくいと思うので、スケッチを描いてみました。
アパート2階の踊り場に面した引き戸の玄関越しに見た部屋の見取り図です。
玄関を入ってすぐ左手は遠藤シェフのキッチンとバーカウンターです。
その奥は共有のリビングで、みんなでごはん食べたり、まったりしたりします。
右の突き当りの窓際あたりは、
黒瀬のブランド「ツクリバナシ(vol.7参照)」のアトリエになっています。

6畳三間のL型のプランです。あくまでイメージ図です。

さて、進捗の報告です。
床は、完成しました。玄関から部屋の奥まで、
下地の角材で高さを揃えてベニヤ板を張り、フラットなワンルームに。

床が完成した次の日の朝。安心できる居場所が生まれる瞬間で、毎回とても感動します。

玄関横の壁は、ほかの壁と仕様を変えて、
柱の上からベニヤ板を貼って大壁(柱を見せない構造)にしています。
他の部屋の雰囲気との差別化を強調しています。
塗装はまだですが、色は、うっすらグレーがかった白にする予定。
少しパブリックな場所になるので、展示などもできるように考えています。

トイレ脇の押入を解体してできた窪みのような小さな部屋は、
遠藤の自転車のカスタムスペースに。
「遠藤サイクル」とプリントしたのれんとポロシャツもつくるらしいです。
気がついたら自転車の空気を入れてくれていたり、
お願いしておいたら、カゴとか付けてくれたりします。
いつもありがとう。これからもよろしく。

さっそく自転車の整備をしているところ。コンパクトに収まっています。作業もしやすそう。

トイレは、既存のドアの壁ごと取っ払って、
ホームセンターにて見本品で安売りになっていたドアを買ってはめ込んで、
それに合わせて隙間に枠を回して断熱材も詰めて
清潔感と安心感のあるトイレに。あとは、塗装したら完成。

バーカウンターは、10cmの角材で既存の柱を補強しながら、
テーブルも同じ角材をボルトで締めあげてつくるという男らしいデザイン。
遠藤のこだわりのカウンターです。吊り棚も取り付けて、
ワイングラスをシャンデリアのように垂らすそうです。
楽しみ。

カウンターが完成した夜、さっそくカクテルを。建築家ル・コルビュジエの「カップ・マルタンの休暇小屋」に隣接するバー・レストラン「ひとで軒」みたい。椅子はOTONARIの開店に合わせてつくったハイスツール。

やっぱり思い通りには進まない

玄関付近のオープンキッチンは、まだ未完成です。
前回の記事の最後に、「完成した姿を報告できると思います」
と大口を叩いたものの、
普段の仕事の合間や休みの日に少しずつ進めている感じなので。
この記事を書くために、ペースを合わせるほうが不自然。
本当にリアルなレポートということで、お許しください。

できたばかりのカウンターで、
このスペースをどう使っていきたいか、ふたりに聞いてみました。
黒瀬は、
「自分の部屋をアトリエにしていたときよりも、
たまたま近くにいた人に世間話しながら意見をもらえたり、
試着してもらえたりするのは、とても刺激的だし、楽しみ。
これからつくるものにも影響しそう」とのこと。

ぼくらも、できたての服や染めたての生地を見せてもらうのを、
いつも楽しみにしているので、より近くでミシンの音が聞けてうれしい。

抜群の集中力を見せる、ミシン作業中の黒瀬先生。

「基本的には、Café the Endのメニュー開発などの、日々の修練の場所。
カクテルのイベントや、料理教室なども企画中。
あと、屋上と合わせてのパーティもやりたい」
と、遠藤の今後の意気込みも聞けました。

久しぶりに遠藤と木工作業をしていて、
大学院時代のスタジオを思い起こしながら、懐かしい気持ちにもなりました。
修士設計で、現在のNO ARCHITECTSの西山と奥平、そして遠藤の3人で、
キャンパス内にツリーハウスをつくるプロジェクトをしたことがあります。
(当時の鈴木明研究室のブログ http://akiralab.exblog.jp/i9/

カウンターをつくっているところ。

そんなこんなで、自分たちのスペースを
自分たちらしく楽しく暮らしていけるようにつくり変えていくこと。

そんなスペースが、まちの中に少しずつ、それぞれマイペースに進んでいる。
それも、ぼくらが知らないところでもと想像すると、ワクワクしてきます。
そういうことが許されているまちは、
自然とクリエイティブな空気で満ち溢れています。
地主さん、不動産屋さん、大家さん、そして住まい手の関係性がとても大事で、
この界隈は、とても幸せな状況にあるということなんです。

みなさんも、次に住む場所を考えるとき、
間取りや日当たり、駅からの距離だけで選ぶのではなく、
実際にいろんなまちや家、そして人に会いに行って、
その場所が持っている空気感や雰囲気を感じてほしいです。
きっと、新しい暮らし方のイメージが湧いてくると思います。

共有のリビングにて、配置したばかりの椅子やソファでくつろぎながら、お披露目イベントのミーティングをしているところ。

information


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NO ARCHITECTS

住所 大阪市此花区梅香1-15-20
http://nyamaokud.exblog.jp/
https://www.facebook.com/NOARCHITECTS.jp

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