連載
〈 この連載・企画は… 〉
特集「アンテナショップ、進化論。」では、
時代とともに変貌を遂げるアンテナショップの最前線をお届けします。
そこには「洗練されたローカル」を体現しているアンテナショップが数多くあります。
そんなアンテナショップのいまを特集します。
writer profile
Takuryu Yamada
山田卓立
やまだ・たくりゅう●エディター/ライター。1986年生まれ、神奈川県鎌倉市出身。海よりも山派。旅雑誌、ネイチャーグラフ誌、メンズライフスタイルメディアを経て、フリーランスに。現在はキャンプ、登山、落語、塊根植物に夢中。
photographer profile
Kanta Torihata
鳥羽田幹太
とりはた・かんた●フォトグラファー。1999年生まれ、茨城県東茨城郡茨城町出身。 人の目では捉えきれないものを可視化する事に関心を抱き、感情や記憶・体験などを可視化する作品を制作している。torihatakanta.com
世の中にこれだけネット販売が充実していても、
アンテナショップにはそこでしか手に入らない商品が数多く販売されている。
現地以外では、アンテナショップにしか流通しない“幻のローカルフード”を求めて、
店舗に列をなし入荷日のうちに即完売、という商品も少なくない。
今回は数ある商品のなかから、選りすぐりの数量限定・即完売商品を紹介しよう。
奈良県生駒市生まれの「幻のラムネ」といわれる〈レインボーラムネ〉。
ふるさと納税の返礼品として登録されたものの、
人気のあまりわずか8分で品切れになったという逸話があるほどだ。
〈奈良まほろば館〉では、月・木曜の週2回、10個限定で販売され、ひとり1点限り。
人気の秘密は、カラフルな見た目はもちろんだが、
外はカリっと、中身はトロっとした食感がやみつきになるのだとか。
その評判は大手お菓子メーカーの目に留まり、
本家〈イコマ製菓本舗〉と〈UHA味覚糖〉が共同開発した姉妹品が流通
しているが、オリジナルの〈レインボーラムネ〉を定期的に入荷しているのは、
都内では〈奈良まほろば館〉だけとのこと。
information
【レインボーラムネ】
〈水だんご〉は、富山県黒部市生地(いくじ)地域の家庭で
古くから親しまれている夏菓子。
材料は富山県産コシヒカリの米粉、北海道産片栗粉、おいしいお水だけ。
冷水にしっかりとさらし、特製の青大豆きなこをかけて食べることからその名がついた。
〈日本橋とやま館〉では、富山県魚津市の水だんご専門店〈藤吉〉から
毎週水曜に入荷されているが、その日のうちに売り切れることもしばしば。
〈藤吉〉の店舗では、ソフトクリームと合わせて提供されており、
〈日本橋とやま館〉で購入したら自宅でアレンジしてみるのもよさそうだ。
information
【水だんご】
〈日比谷しまね館〉で入荷日になると、
多くの人が買い求めている姿が見られるのが〈バラパン〉。
発売から70年以上、世代を超えて愛される島根県出雲市のソウルフードだ。
ひとつひとつ手づくりされ、
くるくると巻かれた生地に挟まっているオリジナルのバタークリームは、
島根県民ではなくてもどこか懐かしさを感じるはず。
〈日比谷しまね館〉では、毎週土曜にプレーン味とコーヒー味を入荷。
そのままかぶりつくもよし、花弁を解きながら食べるもよし。
information
【バラパン】
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北海道からは120リットルの放牧牛乳からわずか50個ほどしかつくることができない
〈十勝しんむら牧場〉の〈クロテッドクリーム〉をピックアップ。
バターほどしつこくなく、生クリームよりも香ばしい、
牛乳だけでつくられたクリームで、自然な甘さや香り、コクがあるのに
さっぱりとした後味が人気の秘密だ。
〈スコーン〉は、この〈クロテッドクリーム〉をおいしく食べるために開発され、
甘さ控えめで外はさっくり、中はしっとり。
放牧牛乳とバター、北海道産小麦、〈十勝オークリーフ牧場〉のハーブ卵を使用している。
交通会館にある〈北海道どさんこプラザ有楽町店〉では、
毎月10日、20日、30日に入荷。昨今のスコーン人気も後押しして、
不動の人気を誇っている。
information
【十勝しんむら牧場クロテッドクリーム、スコーン】
熊本県唯一のワイナリー〈熊本ワインファーム〉から
毎月第3木曜10本限定で〈銀座熊本館〉に入荷されるのが、
〈菊鹿(きくか)シャルドネワイン〉。
熊本県北部の山鹿(やまが)市菊鹿町は
200〜250メートルの山に囲まれた盆地に位置している。
年間の降水量は2000ミリとブドウづくりにはやや多いものの、
生育に欠かせない日照量は年間2000時間と、
全国平均を上回ることからブドウづくりを開始。
「ブドウ栽培不毛の地」といわれてきた熊本で、
菊鹿町産ブドウ100%のワインづくりを行っている。
〈菊鹿シャルドネワイン〉は、
リンゴやオレンジの花などのフルーティな香りが特徴の、辛口の白ワイン。
県内でも入手が難しく、ワイナリーでも購入はひとり3本までと人気の高さがうかがえる。
information
【菊鹿シャルドネワイン】
ネットショップで半年から1年待ちという〈山珍(さんちん) 豚まんじゅう〉。
〈とっとり・おかやま新橋館〉では毎週金曜に入荷されている。
とろとろで味が染み込んだ角煮と、ほどよく歯応えが残るキャベツ。
一番の特徴は、具のなかに隠れているウヅラの卵。
創業から60年以上続く〈広東菜館 山珍〉(岡山市北区)の店前には
行列ができるほど、岡山市民にとっても人気の豚まんだ。
information
【山珍 豚まんじゅう】
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岩手県民にとって、初夏の風物詩といえば牛乳瓶に入った生ウニ。
ローカルの鮮魚店やスーパーではおなじみの品だが、
都内で販売されているところはそう多くない。
もともとは、身近にあった牛乳瓶にウニを詰めてみたところ、
身が崩れにくく、見た目も美しいことから三陸地域で広がり、
今ではその人気は全国区に。
〈いわて銀座プラザ〉では、5月初旬から7月下旬にかけて〈瓶入り生うに〉を販売。
あらかじめ決められた日はなく、入荷情報はホームページで
その都度公開されている。
information
【瓶入生うに】
2008年に蒸溜を開始した、埼玉県秩父市発のウイスキーブランド〈イチローズモルト〉。
WWA(ワールド・ウイスキー・アワード)や
ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)など
世界的な主要大会で多くの受賞歴があり、
その人気は国内外問わず、ときにはプレミア化して価格が高騰する銘柄もあるほど。
埼玉県物産観光館〈そぴあ〉では、〈モルト&グレーンホワイトラベル〉を入荷している
(不定期/月1回は店頭に並ぶ)。
information
【イチローズモルト モルト&グレーンホワイトラベル】
鹿児島県内では、空港や主要駅で購入できる〈薩摩蒸氣屋〉の〈かすたどん〉。
都内では、〈かごしま遊楽館〉とデパートなどの物産展以外では
ほとんど販売されない入手困難な商品だ。
常温でもよし、冷やして食べてもよしの、1年中人気の絶えないローカルスイーツで、
鹿児島土産としてではなく、県民たちも日常的に購入するふるさとの味として愛されている。
鹿児島産の卵を使ったカスタードは甘さが控えめで、ふわふわのスポンジが特徴。
〈かごしま遊楽館〉では個包装で1個(131円)から購入できる。
information
【かすたどん】
かぼすの生産量日本一の大分県からは、
〈坐来 大分〉で購入できる〈かぼすサブレ〉をご紹介。
ほかにも同名の商品が流通しているが、こちらは〈坐来 大分〉のオリジナル商品。
カボスの果汁が散りばめられたアイシングが施されている。
かぼすの果皮や果汁をふんだんに使用し、
酸味と甘み、かすかな苦味はお茶菓子だけでなく、お酒のおつまみとしてもぴったり。
information
【かぼすサブレ】
*価格はすべて税込です。
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