news
posted:2022.9.7 from:富山県砺波市 genre:旅行 / アート・デザイン・建築
〈 コロカルニュース&この企画は… 〉
全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。
writer profile
Kanae Yamada
山田佳苗
やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。
田園地帯に家々が点在する、
富山県砺波(となみ)市の美しき農村景観「散居村」。
この地域で家の周りを囲む屋敷林は「カイニョ」と呼ばれ、
国の重点里地里山にも選定されています。
そんな自然豊かな地に、2022年10月5日(水)、
築120年の古民家を再生した宿と
レストラン〈楽土庵(らくどあん)〉が開業。
現在予約を受けつけています。
楽土庵は、三方を水田に囲まれた「アズマダチ」と呼ばれる
富山の伝統的な民家を活かした1日3組限定の宿。
コンセプトは、村の景観・空間・アート・料理・アクティビティなどを通じて
「富山の土徳(どとく)」を体感してもらうこと。
「土徳」とは、人と自然がつくりあげてきた、
その土地が醸し出す品格のようなものです。
富山の地を訪れた民藝運動の創始者・柳宗悦が、
厳しくも豊かな環境の中で、恵みに感謝しながら生きる人々に出会い、
「ここには土徳がある」と表現したとか。
楽土庵は、そんな富山の土徳に触れることで、
訪れる人が癒される宿を目指していくといいます。
館内は、土・木・和紙・絹など古来からの自然素材を用いた、
周囲の自然環境や歴史と切れ目なくつながる空間に、
民藝・工芸や現代アートが調和しながら設えられます。
例えば、ピエール・ジャンヌレの家具、
李朝のバンダチなどのインテリアに、
芹沢銈介・濱田庄司といった民藝作家から
富山の工芸作家、内藤礼といった現代美術家の作品まで。
世界各地の土徳から見出せる「他力美」が顕現した家具や
工芸・美術品を蒐集し、設えに使われています。
これらの作品やアメニティ、レストランで使用される
オリジナルの器の多くが購入可能。
Page 2
レストラン〈イルクリマ〉では、
富山の海・山・里の豊富な食材を使った
富山ならではのイタリア料理を提供。
民藝・工芸品、富山の食などを扱うブティックが併設されています。
また、宿泊料金の2%を散居村保全活動に回したり、
散居村の魅力を体感するアクティビティの実施など、
村の保全と未来継承に取り組むプロジェクトもあり、
地域の再生にも寄与する新たな旅のスタイル
「リジェネラティブ(再生)・ツーリズム」
を推進していくといいます。
開業にあたり、スパークリングワイン付き開業記念宿泊プランや、
宿での茶道の稽古、富山の森の精油を使ったアロマスプレーづくりなど、
特別な体験メニュー付きプランも発売されるそうなので、
この機会をお見逃しなく。
時代や国境を超えて器物が調和する様を「複合の美」と呼んだ柳宗悦。
散居村の景観からつながる楽土庵の複合の美の空間を、ぜひ味わってみて。
Feature 特集記事&おすすめ記事