実はアーティスト? の宿主
2010年からこの宿を切り盛りしているのが、渡邊泰成さん。
長野県の登山客向けの山小屋で働いていましたが、
ふとした縁でこの地に移住してきました。
「もともと自然が好きで山小屋で働いていたので、ここも山里ですが、
逆に山から降りてきたような気持ちでした」と、渡邊さん。

兵庫県出身で、京都の美術大学を出て、海外で暮らしたり長野県の山小屋で働いていたという渡邊泰成さん。
実は渡邊さん、美術大学出身で自身も彫刻作品をつくったり、
自然のなかでも働いていたので、大地の芸術祭があり、
自然豊かな場所にあるこの宿のことを紹介してもらい、
おもしろそうだと応募することに。
「自然のなかで作品をつくりながら暮らしたいと思っていたので、
それが実現できるかなと思ったのですが、来てみたら宿が忙しくて
全然制作はできていません(笑)。でも、美術でやりたいと思っていたことと、
いまやっていることは、本質的には同じことなのかなと思っています」
……というと?
「人と深いコミュニケーションをしたいと思って美術活動をしていたので。
たとえば言葉で伝わらないことでも、
写真を見せただけで通じ合えることがありますよね。
そういうことを美術を通してやりたいと思っていました。
宿でも自分たちがいいパフォーマンスをすれば、
お客さんと深いところでつながれますし、
人とコミュニケーションするという意味では同じなのかなと」

そんな美術への愛にあふれる宿主がいるこの宿には、
館内のあちこちにアート作品が展示され、購入もできるようになっています。

廊下の壁にさりげなくアートピースが。各部屋にも作品が展示され、まるで宿全体がギャラリーのよう。

入り口を入ってすぐのスペースには関連書籍などがあり、ここでちょっとした展示をすることも。この奥の体育館にも作品が。
また現在開催中の大地の芸術祭では、
原倫太郎+原游の作品『妻有双六』が、体育館に展開されています。
学校に残されていたものを使いながら、芸術祭と関係のあるコマやマスも登場する、
みんなで遊べる体験型作品。
作品について渡邊さんに聞いてみるのも、いっそう楽しい時間になりそうです。

原倫太郎+原游『妻有双六』。(~9月29日・10月3日~11月13日、火・水曜休)〈大地の芸術祭 2022〉についてはこちらの記事も!

大地の芸術祭総合ディレクター、北川フラムさんの姿も!

以前、原倫太郎さんがこの辺りに残る「マタギ文化」をモチーフにして行った展示の名残。マタギに言い伝えられる言葉が呪文のように漂います。