竹田市〈たけた駅前ホステルcue〉 フレンドリーな夫婦が営む 古民家ゲストハウス
城下町に馴染む古民家ゲストハウス
大分県の竹田市をご存知ですか?
地図で竹田市を見てみると、中心部の大分市や別府市よりも熊本県に近く、
くじゅう連山、阿蘇山、祖母山など、高さ1500メートル級の山々に囲まれた
自然豊かな場所であることがわかります。
そんな竹田市の玄関口となる豊後竹田駅までは、大分駅から鉄道で約60~70分。
うれしいことに面倒な乗り換えもありません。
この土地には瀧廉太郎の名曲『荒城の月』が生まれるきっかけとなった
岡城(現在は岡城跡)があり、駅前周辺はその岡城の城下町として
長らく栄えていた歴史のあるまち。
昔ながらの和の趣きが漂う城下町の雰囲気を求め、
コロナ前は外国人観光客も増加傾向にあったそうです。
そんな国内外の旅人たちを迎えるべく、
豊後竹田駅から歩いて約2~3分という便利な場所に、
今回紹介したいゲストハウス〈たけた駅前ホステルcue〉はあります。

カフェスペースの壁には廃材を利用。
入り口を入ってすぐの空間には、ベーカリーカフェ〈かどぱん〉と
ゲストハウスのフロントがあります。
ここはゲストハウスを訪れる人々が一番最初に足を踏み入れる場所。
改装の際、圧迫感のあった天井板を取り払い、築80年を超えて
建物を支えてきた大きな梁をあえて見せることにしたそうです。
また、古材を用いた明るい空間で、気軽に入りやすい開放感のある場所になっています。
かどぱんは、木曜日から日曜日の間、パンの販売とカフェの営業をしていて、
地元の方で賑わっています。

九州産小麦を使用し、オーガニックレーズンから起こした自家製酵母を使ったハード系のパンが人気の〈かどぱん〉。(写真提供:かどぱん)
営業日には約20種類のパンが並ぶほか、イートインもできます。
パン好きの旅行者は、木曜日から日曜日を狙って宿泊するのがベストかもしれません。
かどぱんの営業日以外でも、cueの朝食にはかどぱんのトーストがついてくるので、
朝食を予約するのがおすすめです。

〈たけた駅前ホステルcue〉の朝食は1食で700円。かどぱんのトーストは焼き加減も抜群でおいしい。
フロントから奥はゲストハウスのスペースになっており、
1階はセレクトショップを併設したラウンジスペースのほかに、
宿泊客専用のシャワールーム、キッチン、リビングがあります。
湯船に浸かりたい方は、ゲストハウスの徒歩圏内にある温泉を利用しましょう。
ここは地元の人々が日常的に利用する温泉施設なので、
竹田の地元らしい雰囲気を満喫するにはピッタリの場所。
事前にゲストハウスで入浴チケットを購入すれば、割安で地元温泉が楽しめます。
2階に上がるとドミトリーと個室の部屋が全部で5つ。

「光」は角部屋で一番日当たりのいいお部屋。
それぞれ「光」「蒼」「星」と名づけられた個室は
壁の色や部屋のデザインが少しずつ異なりますが、
全体的にはとてもシンプルなつくりで、
旅の余韻にゆっくりと浸ることのできる落ち着いた雰囲気。

「光」の室内。大きな窓から差し込む光が特徴のお部屋です。
ドミトリーは男女混合と女性専用に分かれています。
どちらもプライバシーに配慮したカプセル型で、
全室にコンセント、読書灯、ハンガーを完備。
女性専用のカプセルは、荷物が個室内に持ち込めるようにと
広めにデザインされているので、女性の一人旅にもおすすめです。

ドミトリーはカプセル型で個室感のあるタイプ。
地域おこし協力隊からゲストハウスのオーナーへ

夫婦で〈たけた駅前ホステルcue〉を営む堀場貴雄さんとさくらさん。
ゲストハウスを運営するのは、2014年に地域おこし協力隊として
千葉から移住してきた、堀場貴雄さんとさくらさんご夫妻です。
実は結婚する以前から旅好きだったおふたり。
たまたま居合わせた最南端の島のゲストハウスが出会いのきっかけだったそう。
ふたりは竹田に移住する以前から
「いつか自分たちの手で旅人を受け入れる場づくりができたら」
と、ゲストハウス開業の夢を持っていました。

その夢が現実的な話として進みだしたのが、
地域おこし協力隊に着任して2年目の2016年3月頃のこと。
竹田市内のイタリアンレストラン
〈Osteria e Bar RecaD(オステリア・エ・バール・リカド)〉オーナーで
友人でもある小林孝彦さんが、10年以上空き家状態だった、
駅近の元化粧品店の古民家が売買物件として出されているのを知り、夫妻に相談。
その場所の最適な活用法として堀場夫妻に提案されたのが、
ゲストハウスへのリノベーションと運営でした。
また、ちょうど城下町での移転話が持ち上がっていた
臼田朗さん、成美さん夫妻のパン屋〈かどぱん〉が同じ建物内に加わることで、
3者による共同プロジェクト「イミルバプロジェクト」がスタートしました。
「イミル」は大分弁で増える、満ちるという意味で、この場所が
かつてあったような賑わう場所になるようにと名づけられたプロジェクトです。
2016年10月に小林さんがこの物件を購入し、
そこから、古民家内に残されていた家財やゴミの整理と
リノベーションがスタートしました。

古いものを上手に活用した、地球にやさしい場づくり
内装のデザインは、リカドも手がけた長野県諏訪市の
〈株式会社リビルディングセンタージャパン〉の東野(あずの)唯史さんに依頼。
実際の解体や施工の際にはボランティアで集まってくれた多くの方々の協力を得て、
物件購入から約半年後の2017年3月にかどぱんが、
4月にたけた駅前ホステルcueが誕生しました。

ゲストハウス全体を見渡してみると、すべてを新しいものに取り替えるのではなく、
昔からあるものと上手に共存できていることが、
訪れた人々をホッとさせる雰囲気に結びついているような気がします。

引き戸の取っ手部分をよーく見るとフォークを利用してる! 建物内にはこういうちょっとした工夫がたくさん。
さくらさんにそのことを尋ねると、
東野さんの場づくりのセオリーに共感したのが理由だと教えてくれました。
「あず君がリカドを手がけているとき、
私たちもお手伝いをさせていただく機会を得ました。
そのときに普通だと捨ててしまうものや廃材を新しく蘇らせるという
彼のやり方にとても共感したので、ぜひ私たちの宿でも
その手法を生かしたいと思って、デザインを依頼しました」
ゲストハウスの元となった古民家をリノベーションする際、
すでにそこにあった家財や床材の中で利用できそうなもの選別し、
残せるものはできるだけアイデアを絞って活用したそうです。

共用のラウンジスペース。壁の棚はお餅や食料を保存する室蓋を再利用したもの。
例えば、個室で使われている机や棚板はすべて元の家から出てきたものを再利用したり、
室蓋をラウンジの壁に貼りけて棚として使っていたりなど、
ゲストハウスのいたるところに昔のものが新しいものに姿を変えて
利用されているのが目につきます。

古民家から出てきた着物をほどいてつくった「あずま袋」(1320円)。ここでしか手に入らない唯一無二のお土産に。
また、東野さん直伝の古いものを新しいものに変えるというセオリーは、
ゲストハウス内で売られているグッズにもあるそうで、
この古民家から出てきた古い着物は、あずま袋や
風鈴(季節商品のため夏季のみ販売)の短冊にも再利用されています。

ラウンジにあるセレクトショップ。オーガニックコットンのエコバッグやTシャツのほか、伐採した竹を利用してつくられたボールペンなどが販売されています。
ラウンジの一角にあるセレクトショップには、
未来を考えるきっかけとなるアイテムがずらりと並んでいます。
旅の思い出とともに環境について考える「心のしおり」として、
手にとってみるのもいいかもしれません。
『edit Oita』では、堀場さくらさんの仕事や暮らしについての
インタビューを掲載しています。記事はこちらから↓
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竹田と旅人をつなぐ古民家ゲストハウス〈たけた駅前ホステルcue〉堀場さくらさん']
information
たけた駅前ホステルcue
住所:大分県竹田市竹田町560-1
TEL:0974-63-0179
アクセス:JR豊後竹田駅から徒歩約3分
宿泊料金:1泊3850円~10500円
客室数:計5室
*価格はすべて税込です。
