連載
posted:2022.6.20 from:香川県小豆郡土庄町 genre:旅行 / アート・デザイン・建築
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/
3年に一度開催されるアートイベント〈瀬戸内国際芸術祭2022〉。
春・夏・秋の3会期に分けて開催されますが、あっという間に春会期が終わり、
今は8月5日から始まる夏会期に向けて、
新しい作品の制作や、イベントの準備が進んでいます。
〈瀬戸内国際芸術祭2022〉会期
春会期:2022年4月14日(木)~5月18日(水)
夏会期:2022年8月5日(金)~9月4日(日)
秋会期:2022年9月29日(木)~11月6日(日)
芸術祭の会期中は、すべての作品の公開、イベントの開催、
高松港と直島にある公式ショップのオープン、臨時航路の運航など、
芸術祭全体がアクティブな状態になりますが、
実は会期と会期の間でも楽しめる作品がたくさんあるんです。
芸術祭の作品には、開館時間が決まっている屋内作品と、
いつでも開放している屋外作品があります。
この、屋外で公開されている作品については、会期中じゃなくても見に行けるんです。
作品の公開スケジュールは、芸術祭公式サイトで確認できます。
ちなみに島で暮らす私たちは、会期中より、
人が少ない会期期間外を狙って見に行くこともあります。
夏会期が始まるまでの今の時期におすすめなのが、
小豆島の三都(みと)半島で展開されている
〈三都半島アートプロジェクト〉の作品めぐりです!
三都半島は、小豆島のちょうど真ん中あたりから南に突き出している半島。
半島内には吉野地区、蒲野(かまの)地区、神浦(こうのうら)地区など
小さな集落がいくつかあり、移住する人も多い、人気のエリアです。
この三都半島では、2009年から〈小豆島アーティスト・イン・レジデンス〉や
ワークショップなど、行政と地域住民とアーティストの協働による
さまざまな取り組みが行われています。
2014年からは、広島市立大学芸術学部のみなさんが中心となって
アート活動を展開しており、今回の芸術祭では半島南西端の神浦地区をメインに、
屋外や古民家、バス停などで多くの作品が制作・展示されています。
そんな〈三都半島アートプロジェクト〉のなかで、
私が好きな作品をいくつか紹介します。
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まずは、伊東敏光(いとう としみつ)さんの『ダイダラウルトラボウ』。
インパクト抜群の石積みと流木、廃船で組み上げられた巨人アート。
この巨人、両足を伸ばしながら後ろに手をついて座っていて、
すごくリラックスしているんですよね。
その視線の先に広がるのは、美しい入江。
「こんなに美しい景色がここにはあるよ。
せかせかしてないで、ちょっとここに座ってごらんよ」
って言っているようで、それがとてもいいんです。
その巨人のすぐ横にあるのが、ブエノスアイレス出身のフリオ・ゴヤさんの『舟物語』。
高齢化が進み、使われなくなってしまった舟を持ち主から譲り受け、作品化したそうです。
最初に見たときは、舟だと気づきませんでした……(笑)。
「わー、素敵な鳥のオブジェ」というのが第一印象。
ポップな色が木々の緑のなかで、とても映えるんですよね。
テーブルとイスが置かれていて、ここでお茶を飲んだりお菓子を食べたり、休憩できます。
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それと最後にもうひとつ。
尾身大輔(おみ だいすけ)さんの『ヒトクサヤドカリ』。
古民家に住み着く巨大な木彫のヤドカリ!
もうパッと見ただけで惹かれちゃいますね。
だって家の玄関から、巨大なヤドカリの頭と脚がはみ出しているんです(笑)。
その彫刻のリアリティと迫力がすごい。
木とは思えなくて、今にも動き出しそうな気配さえします。
現代アートって解釈が難しいものも多いと思いますが、
これおもしろい! すごい! かわいい! っていう
素直な気持ちで楽しめたらいいなと思うんです。
芸術祭には、その場所ならではの作品、サイトスペシフィックな作品が多く、
瀬戸内海や島の風景と合わせて楽しめて、その土地の魅力に気づかせてくれます。
作品を観ているつもりが、実はその背景に広がる美しい農村や
漁村の風景に心奪われていることも。
それが芸術祭の魅力だなと私は思っています。
芸術祭の夏会期が始まるまでの6月、7月は、
梅雨時期でもあるのでお天気とは要相談ですが、
会期中より人が少ないので、飲食店に入れないようなこともなく、
ゆっくりと島を楽しめると思います。
小豆島〈三都半島アートプロジェクト〉、どうぞお楽しみください〜。
information
瀬戸内国際芸術祭2022
春会期:2022年4月14日(木)~5月18日(水)
夏会期:2022年8月5日(金)~9月4日(日)
秋会期:2022年9月29日(木)~11月6日(日)
会場:直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、沙弥島、本島、高見島、粟島、伊吹島、高松港周辺、宇野港周辺
Web:瀬戸内国際芸術祭2022
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