イラストレーター・
STOMACHACHE.の旅コラム
「大阪の本屋に絵本の展示をしに行く」
在廊は、正直いうと少し苦手である
二日目。
朝食をホテルの近くの喫茶店で食べ、服部緑地へ向かう。
この日は徳島に住んでいたときに仲の良かった友人家族が
会いに来てくれることになっていた。
娘の同級生の家族なのだが、幼稚園の頃からよくお互いの家で遊んだり、
ときどきみんなでごはんを食べに行く親しい間柄だった。
引っ越し後、久しぶりに会えるということで娘も私もとても楽しみにしていたのだ。
遊具で遊び倒し、緑地内を散策し、昼食を囲んで久々の再会を楽しんだ。
服部緑地には以前にも一度来たことがあったのだが、
都会の中にあるとは思えない気持ちのいいところだなぁと思う。

服部緑地にて。
午後からは私はお店にいることになっていたので、
みんなで展示を見に行き、それぞれ本を物色した。
恋人は次の日が仕事だったので先に名古屋に戻り、
娘は友人家族に万博記念公園の水族館〈ニフレル〉に連れて行ってもらった。
展示での在廊は正直いうと少し苦手だ。
普段、家に篭って仕事をしているせいか、人前に出ると異常に疲れてしまう。
それでも、やはりたくさんの人に会えるのは刺激があり、
直接話ができる貴重な機会だなぁと思う。
初めて会うお店の常連客の方々や懐かしい友人姉妹、
たまたま名古屋から遊びに来ていた友人家族、
10年以上ぶりに会う高校時代の友人も突然現れたりして驚いたが、
変わらない調子で話す彼女を見ていたら、お互い昔に戻ったように話していた。
夜はまた別の高校時代の友人たちと梅田で食事をし、またもや懐かしい気分に浸った。
みんな、学生の頃とあまり変わらないようで、やはりお互い歳をとったなぁとも感じる。
娘には退屈極まりない時間だったかもしれないが、
この日ばかりは夜更かしをしてつき合ってもらい、22時半頃ホテルに戻った。
この濃厚な一日をいつもの淡白な日々で割れたらちょうどいいのに、と思った。
三日目は娘も一緒にお店にいることになっていた。
朝はホテルの部屋で簡単に朝食を済ませ、
チェックアウトの時間ギリギリまでダラダラと過ごした。
緑地公園駅を少しうろついて、蕎麦屋で鴨南蛮蕎麦をすすり、昼過ぎにお店に到着。
娘はとりあえず学校の宿題を済ませ、店内の本を読ませてもらったり、
途中、ひとりでコンビニにおやつを買いに行ったりしていた。

blackbird booksの吉川さんと店内で学校の宿題をする娘。
展示で一緒に在廊するのは何度目かなので、
娘も少し退屈しながらも彼女なりの時間を過ごしていた。
昨日ほどではなかったが、
また別の同級生が子どもを連れて会いに来てくれたりして時間が過ぎていった。
昔から知っている人と場所、新しい人と場所、その中間の人たち。
それらがごちゃ混ぜに入り乱れた三日間だった。
また来たいな、と思ったが、
その頃には新しい人と場所は「知っている人と場所」になり、
また新たな「新しい人と場所」が加わるのだろう。
日常もその繰り返しのはずで、当たり前のようなそれを改めて強く感じたのは、
非日常を訪れる「旅」でこそだったのだと思う。
大阪から家に帰ると、恋人が「籍を入れるのはいつにするの」と言い始めた。
私たちが不在のときに何やら動きがあったらしい。
そんなこんなで年末に入籍することになり、
それも含めて印象に残る旅となったのだった。
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宮崎信恵(STOMACHACHE.)
1984年、徳島県生まれ。STOMACHACHE.として妹とともに雑誌などのイラストを手がける。絵本に『See You Tomorrow』(ELVIS PRESS)がある。
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