連載
posted:2025.11.27 from:青森県 genre:食・グルメ
PR 青森県県産品販売・輸出促進課
〈 この連載・企画は… 〉 青森県は、豊かな大地と清らかな雪解け水、澄み切った空など、おいしいお米を育む自然条件に恵まれた国内有数のお米の産地です。この連載では、青森の恵みがひと粒ひと粒に詰まった “あおもり米〈青天の霹靂〉〈はれわたり〉〈まっしぐら〉の魅力をご紹介します。

Writer
Chihiro Kurimoto
栗本千尋
くりもと・ちひろ
青森県八戸市出身。旅行会社勤務→編集プロダクション→映像会社のOLを経て2011年よりフリーライターに。主な執筆媒体はマガジンハウス『BRUTUS』『CasaBRUTUS』『Hanako』など。2020年にUターン。
X(@ChihiroKurimoto)
Photographer
Yuji Hachiya
蜂屋雄士
はちや・ゆうじ
1981年宮城県仙台市生まれ、青森県八戸市鮫町在住。ウェブデザイナーや写真館勤務などを経て、2013年フリーランスのフォトグラファーに転身。地元の八戸を中心にフイルムで人々の写真を残す「はちや写真館」も開催している。
Kazumasa Harada
原田教正
はらだ・かずまさ
1992年生まれ。武蔵野美術大学在学中より雑誌や広告など多方面で活動。2023、2024年にベルリンでの滞在制作、2025年9月より同地に拠点を移す。
米の産地というと、新潟県や北海道、秋田県などをイメージする人が多いかもしれませんが、実は青森県も米の食料自給率が300%超えと、国内有数の米の産地。県内で生産される“あおもり米”の主力品種は、〈青天の霹靂〉〈はれわたり〉〈まっしぐら〉の3つがあります。今回は、2006年にデビューし、青森県で最も作られているお米〈まっしぐら〉についてご紹介。
まずは、青森県三沢市に本社があり、米卸業を行う株式会社PEBORAの取締役で、「五つ星お米マイスター」の認定を受けている川村敦子さんにお話を聞きました。

川村敦子さんは、ペットボトルに精米をボトリングした〈PeboRa(ペボラ)〉をはじめ、日本のお米を世界に発信する米卸業を行う、青森県三沢市の株式会社PEBORA取締役。日本に476人しかいない(※2022年9月30日時点)「五つ星お米マイスター」の認定者。
2006年にデビューし、青森県で最も作られているお米〈まっしぐら〉。お米のプロから見て、どんな特徴のお米なのでしょうか?
「稲の病気である“いもち病”に強く、収量が安定するため、現在では青森県の看板品種となっています。県内全域で作付けされ、最も多く生産されています。やわらかすぎず硬すぎず、万人受けする食感と粒感だと思います。あっさりとした甘みで、何にでも合いますよ」
〈まっしぐら〉のおすすめの食べ方について、「万能なお米なので、卵かけご飯のようにシンプルにお米を味わうのはもちろん、チャーハンのように炒める食べ方でも幅広く相性がいいと思います」と、川村さん。

PEBORAが運営するお米の専門店〈KOMEKUUTO 八戸店〉には、炊きたてのご飯と本格的な日本茶が楽しめるカフェレストランも併設。ここで提供している中から、〈まっしぐら〉に合うメニューを紹介してもらいました。「卵かけご飯」880円。なんとご飯はおかわり1杯無料!米は月替わり。
〈まっしぐら〉は、店頭でも購入可能です。
information
KOMEKUUTO八戸店
続いて、〈まっしぐら〉を生産している米農家さんのもとへ。五所川原市の成田収聴(しゅうき)さんは、津軽平野を縦断する五所川原の中里広域農道、通称「こめ米(まい) ロード」に面して広がる田んぼで〈まっしぐら〉を栽培しています。

農家さんから見てで、〈まっしぐら〉はどんな品種なのでしょうか?
「〈まっしぐら〉は病気や倒伏に強く、天候に左右されにくいので、品質が安定していて収量を確保しやすいのが特徴です。農家にとってはつくりやすく安定的に販売しやすい、頼れるお米。私たちはできるだけ農薬を減らしながらも、安定した収量を確保できるように工夫しながら栽培しています」

津軽平野は昼夜で寒暖差があり、水害なども比較的少ないエリアなので米づくりに適している場所。
成田さんは、祖父母から続く米農家の3代目ですが、もともと農家を継ぐつもりはなかったといいます。
「幼い頃から親や祖父母が農作業をしている姿を見てきましたし、たびたび手伝わされてきました。それが嫌だったので、家を離れて、絶対に別の仕事に就くぞ!と(笑)。県内の大学を卒業後、パンクやロック音楽を学ぶためにカナダのトロントに5年ほど住み、帰国後も東京でDJ活動をしていました」

現在も米農家をするかたわら、デザインや動画の編集、「GAMEBOY」名義でのDJ活動を行っています。
家業を継ぐのを避けていた成田さんが、農家になることを意識するようになったのは、2011年の東日本大震災後のボランティア活動がきっかけでした。震災直後に福島へ行った際、田んぼの壊滅的な状況を見て危機感を覚えました。
「そのとき、かつてあんなに嫌だった田んぼが、自分の中で原風景になっていて、創作活動にも影響を与えてくれていたことに気づきました。親も歳をとってきているし、家の田んぼは大丈夫なのだろうかと考えるようになったんです」
翌年Uターンすると、家業を手伝うようになった成田さん。農業を始めてから、「自然に生かされている」と実感するようになったそう。

「もちろん稲が育つようにいろいろ手助けしますが、人間のできることは限られています。太陽とか水とか、自然の強さによって育つんですよね。そのお米を食べて、エネルギーにして、また稲が育つための手助けをして、循環する。そういう自然の循環の中に自分がいる心地良さがだんだんわかってきたんです」
私たちが日々、当たり前のように口にしているお米は、こうした農家さんの営みに支えられています。
これからお昼休憩だという成田さんに、農家さんごはんを見せていただくことに。
「〈まっしぐら〉は、お米の粒が白くツヤがあって、炊きあがりも粒立ちがよく、時間が経ってもおいしいです。粘りが控えめなので丼や寿司にも使いやすいのも特徴のひとつ。今日は、わっぱのお弁当箱にご飯を用意して、スーパーで納豆と塩漬けすじこを買ってきました」

五所川原市内の金木町出身の文豪、太宰治も愛したと言われる「すじこ納豆」。食べ方は人によって違うようですが、成田さんはすじこの粒がバラバラになるまで混ぜる派。
「その名の通りすじこと納豆をかけ合わせただけのシンプルなものですが、お米とともに永劫食べ続けたいと思わせる魅力があると思います」

就農して10年以上の成田さんですが、まだまだ父の背中を追っていると話します。
「父は何十年も米農家をやってきたから、米の状態を見ただけで、『ちょっと水分が足りていないな』とかがわかるんですよね。もう70歳を過ぎているんですけど、よく動くし、筋肉もあって。今は米の栽培も父親の比重が大きいんですが、これからもっと自分が引き継いでいけたらと思っています」

かつての自分のように、お子さんが田んぼを訪れることも。今は田んぼよりも虫を見るのに夢中とのことですが、お子さんにとっても、ここが原風景になるのではないでしょうか。
「子どもには、農業に限らず自分の好きなことを自由にやってほしい」と話す一方で、若い人にどんどん農業に挑戦してほしいとも。
「ドローンやAI制御など、機械や技術が発展して、農業はやりやすくなってきています。昔の農家さんよりも自由な時間が増えているので、私のように半農半Xの可能性が増えています。もし農家になりたい若い人がいたら応援していきたいですね」
そう話す成田さんの思いを胸に、田んぼを後にしました。
取材先情報

成田収聴さん
最後に、雑誌やWEBなどで活躍中の料理家・冷水希三子さんに、〈まっしぐら〉に合う食材を使ったレシピを教えてもらいました 。卵を使った、朝に食べたいおかずです。

「粘りが少なくあっさりしている〈まっしぐら〉には、お米の風味を立たせる『しらすの出汁玉じめ』を。スクランブルエッグをつくる要領で、最後に出汁をかけるので、出汁巻き玉子よりも簡単です」
■しらすの出汁玉じめ

【材料(1〜2人分)】
しらす…12g
卵…2個
万能ネギなどの香味野菜…少々
砂糖…ひとつまみ
かつお昆布出汁…80ml
薄口醤油…少々
油…小さじ2
【つくり方】
①ボウルに卵を割り入れ、しらすと香味野菜、砂糖ひとつまみを加えて混ぜる。
②小さなフライパンに油を入れ、強火で①を混ぜながら半熟状に焼く。
③出汁を加え1分ほど煮たら、最後に醤油で味をととのえる。
汁ごとご飯にのせて食べると、出汁の旨みと一緒に味わうことができます。簡単な手順でさっとつくれるうえに、リッチな気分になれるメニューです。
ほかにも、〈まっしぐら〉のに合うおかずについて、「梅干し、焼き魚、漬物、卵料理、お浸しなど、米の風味を立たせる食材が合います」と冷水さん。粒感がしっかりしているので、炊き込みご飯にしても出汁を吸い込んでくれるのだそうです。ぜひお試しを!
全3回にわたり、あおもり米の魅力を紹介してきました。生産者のみなさんに共通していたのは、食を通じて子どもたちの未来を守りたいという思い。これまで県内で消費されることが多かったあおもり米ですが、今後は首都圏をはじめ別の地域で見かけることも増えるかもしれません。生産者の思いが詰まったお米を、ぜひ手にとってみてくださいね。
取材者情報

冷水 希三子
料理にまつわるコーディネート、スタイリング、レシピ制作を中心に、書籍、雑誌、広告などの仕事をしている。
Instagram:@kincocyan
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青森県県産品販売・輸出促進課
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