連載
posted:2022.5.30 from:埼玉県久喜市 genre:暮らしと移住 / アート・デザイン・建築
sponsored by BESS
〈 この連載・企画は… 〉
ライフスタイルの基本は、やはり「家」。
ログハウスなど木の家を得意とする住宅ブランド〈BESS〉とともに、
わが家に好きなものをつめこんで、
最大限に暮らしをおもしろがっている人たちをご紹介します。
writer profile
Tomohiro Okusa
大草朋宏
おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。
photographer
Daisuke Ishizaka
石阪大輔(HATOS)
南国のヴィラか? はたまたアメリカ西海岸の邸宅か?
今いる場所を錯覚してしまうようなBESSの家があった。
しかしここは、紛れもなく埼玉県久喜市である。
通りから奥まった場所にあり、エントランスを抜けていくと、
大きなドーム状の家〈BESS DOME〉が現れる。
住んでいるのは、宮澤さん一家。
そもそもこの土地を購入したのは10年ほど前。
当時、敷地は荒れていて、古い家屋が2軒建っていたという。
宮澤雅教さんは、まず敷地にアメリカから直輸入したトレーラーハウスを導入した。
新しく家を建てるつもりだったので、そのトレーラーハウスに住みながら、
既存の家を解体し、荒地を整備していった。
とはいえ宮澤さん一家は6人家族。さまざまな工夫をしながら暮らしていたようだ。
「庭に小さな池が見えるでしょう? あそこは当時お風呂でした。
ホースでお湯を張ってね。トレーラーハウスにはシャワーしかないから」
思いのほかワイルドライフだったようだが、雅教さんはそれを楽しそうに話す。
どんな環境でも楽しくやっていける豪胆さがある。
ひとりでコツコツと整備している期間に、小屋キットであるBESS〈IMAGO〉を導入し、
基本的には、雅教さんひとりでセルフビルド。
これを完成させたことによって、「四角い家ならば自分でもつくれそう」と感じたという。
これがのちのドーム購入にもつながっていく。
子どもの頃から、雑誌で見てドームの家に憧れていたという雅教さん。
「家を建てようと考えていたときは、どんな家にしようかと、
夫婦で紙に描いたりして話合っていました。
ただ僕の心の片隅には、常にドームがありました。
妻はきっとNGだろうなと思っていたんですよね。
でも一度見てもらおうと、
代官山にあるBESSのLOGWAY(ログウェイ・展示場)に行ったんです。
代官山だからランチでもしつつ1杯飲んで、なんて誘ってね」
初めてドームを見せられた妻・愛季さんは
「衝撃的でした。でもほしいと思った」と当時の感想を話す。
「私は、〈スターウォーズ〉が好きなんです。その世界観とつながりました。
パンフレットにも『有限の中の無限大。』というキャッチフレーズがあったり、
当時は『エイリアンズ』というニックネームもあって気に入りました。
もちろん使いにくい部分はあるかもしれないと思い、ほかの家も見ましたが、
それでもドームがいいと思ってしまったんですよね」(愛季さん)
雅教さんも「真上からドローンなどで撮った写真を見ると、
本当に宇宙船みたいに見えるんですよ。ビンテージのハンドルを買ってあるので、
プール前のウッドデッキ先端につけようと思っています。
何かあったら家ごと飛び出せる」と笑う。
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「あそこ、すごくかっこよくないですか?」と指した先を見ると、
屋根に三角形の窓が6枚集まっていた。
雅教さんは、BESS DOMEの構造美にも魅了されている。
「自分で小屋をセルフビルドしてみて思ったんですが、
ドームの三角形の組み合わせをつくるのってすごく難しいと思うんです。
だからこそかっこいい!」
雅教さんのSNSを見ると、この家を建てている途中、
骨組みだけのカットが複数投稿されている。たしかにドーム構造には工業的な魅力がある。
正三角形を組み合わせてつくる「ジオデシックドーム理論」が採用されて強度は保たれ、
それが独特の構造美をもたらしているのだ。
一方、そんな理系世界と対極にあるのが、自然あふれる庭である。
雅教さんは家よりも先に、庭の世界観をつくり上げていった。
「家の中から庭を見たい、逆に庭を通して家を見たい。
そう思って表ではなく裏庭にしました。
日本の植物だけでなく、いろいろな地域の植物も植えて、
どこにいるかわからない、異空間にしたかったんです」
庭には、小川や小さな池をつくり、水が絶え間なく流れている。
実は雅教さんは〈UWS ENTERTAINMENT〉という会社の代表で、
アクアリウムクリエーターとして活動している。
子供の頃から「水槽のなかに住みたかった」と言うくらい、
アクアリウムづくりが好きだった。
庭づくりも、アクアリウムづくりを拡大したような感覚なのだ。
だから水辺は必須。
「子供の頃から、水がチョロチョロしていないと寝られないです」
大きな窓からは、確かに庭がよく見える。
庭を見るためカーテンはつけておらず、ダイレクトに季節を感じられ、雨も楽しむ。
庭の先は神社の参道なので、うまくご神木のヒノキに囲まれ外部の喧騒は感じられない。
庭や家を整えることに没頭するあまり、
2年ほど、あまり仕事をしなかったというから、かなり手を入れたのだろう。
「あまり会社に行かない時期もありましたが、
“好きなことをやる”ことが重要だと思うようになりました。
結果的に、こういう家に住んでいることで、アクアリウムの仕事の幅も広がりましたね」
雅教さんはこれをBESSが提案する暮らしの価値観から学んだことだという。
BESSが考える暮らしの楽しみ方、自分でやることの自由さ。
それまでは、オフィスやレストランなどから発注を受け水槽をつくる受注仕事だった。
しかしBESSのLOGWAYが、
展示場でありながら多くの人に楽しんでもらうような仕かけになっているのを見て、
「たくさんの人が見に来て楽しんでもらえるような水族館やアクアリウムをつくりたい」
と思いは変化していった。自分発信をしたいと思ったのだ。
以来、雅教さんの自由な発想は爆発。
金魚や日本刀を取り入れた和の世界観やミラーボールを活用した宇宙モチーフなど、
アクアリウムの固定観念から解き放たれていく。
流木や自然素材をそのまま使用することが多いのが、
宮澤さんのアクアリウムの特徴だ。
「真っ直ぐなものを組み合わせるのは苦手、自然のものを組み合わせるのが得意です。
いろいろいじっていると、どこかでピッタリと合う、気持ちいいポイントがある。
その気持ちのいいところがかっこいいところなんです」
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宮澤家を訪れると、鳥たちが出迎えてくれる。
現在、一緒に暮らしているのは4羽のインコ。
「昔から鳥が好きでした」と言うのは愛季さん。
「子どもが小さいときは、まだ飼わないでいたんですが、やはり欲しくなって。
かつて自分がほしい鳥を本に印をつけていました。
10年以上経ってそれを見返してみると、
当時もいまほしいと思う鳥に印をつけているんです。
つまり昔からほしい鳥が変わっていない。これはもう飼うしかないなと」
ドーム状の家で鳥を飼うのは、とても理に適っているようだ。それは空間のこと。
「私たちは、上の空間を有効活用できません。
鳥たちが自由に飛んでくれたらいいなと思って。
最初は上に行ったまま下りてこないこともあったけど、
今は慣れたのでちゃんと自分のお家に戻ってきます」(愛季さん)
ドーム特有の高さ、頭上の空間。人間には使いようのないこの空間は、
鳥のためにあるのではないかと思うほどだ。
「鳥が楽しそうです。ドームを買った人は鳥を飼ったほうがいい」と雅教さんも言う。
まさに鳥も喜ぶ家だ。
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宮澤さんの会社〈UWS ENTERTAINMENT〉は東京都江戸川区にあり、
アクアリウムの現場仕事が入れば長く出張することもある。
しかし水槽をつくる工場は近くにあり、デスクワークはもっぱら自宅、
もしくは「離れ」のIMAGO。
会社スタッフを自宅に呼ぶことも多く、そのときはプール会議をしているという。
「僕は毎日プールに入りますね。スタッフが来たら全員でプール会議。
魚の気持ちにならないとね(笑)」
スペックだけ聞くと優雅なライフスタイルに思えるかもしれないが、
最近ではあえてオフィスをカフェのようにしたり、キャンプ会議なども流行っていて、
そうした効果は認められつつある。
「お客さんが“楽しい” “すごい”と思ってくれるものをつくるのが仕事」と言う宮澤さん。
それにはまず自分が楽しんで暮らしていること。
そんな宮澤さんがつくるエンターテインメントならば、実に信用できる。
真っ直ぐに本気で暮らしを楽しんでいるからだ。
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