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日光に、古着屋とスケートパーク!
ゆるりとマイペースで、
好きなものに囲まれて暮らす

わが家が楽しすぎる! BESS × colocal
vol.014

posted:2022.4.27   from:栃木県日光市  genre:アート・デザイン・建築

sponsored by BESS

〈 この連載・企画は… 〉  ライフスタイルの基本は、やはり「家」。
ログハウスなど木の家を得意とする住宅ブランド〈BESS〉とともに、
わが家に好きなものをつめこんで、
最大限に暮らしをおもしろがっている人たちをご紹介します。

writer profile

Tomohiro Okusa

大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

photographer

Shin Hamada

濱田晋

はまだ・しん●写真家。ポートレイト、取材、ドキュメンタリーの分野で撮影を行う。近作に『あたりまえのことたちへⅡ』(2021)、『ECHO』(2021)。2022年より思考実践『HAMADA ARCHITECTS™️』を始動。フリーペーパーの発行、プロトタイプ製作、お茶飲み、交換などさまざまな手段を横断し既存の社会システムへの対抗を始めている。

好きなことを思いきり楽しむためのウォーク・イン・クローゼットと本棚

日光市で古着屋とスケートパーク、そして音楽ガレージ(貸しスタジオ)が
ひとつになった〈Van Dyke(ヴァン・ダイク)〉を営む永井康之さん。
日光市で生まれ、埼玉で美容師として働いたあと、地元にUターンした。
ふたり目の子どもが産まれたこともあり、
家を建てたいと探し始めたときにBESSに出合い、2019年に家を建てた。

永井さん家族。

永井さん家族。

「僕が絶対に木の家じゃないとイヤだ、というところからスタートしています」
という康之さん。

彼や妻の里奈さんのファッションや雰囲気から考えると、
BESSであれば遊びごころが前面に出た「ワンダーデバイス」シリーズが似合いそうだ。
しかし「DIYなどをマメにできる人に向いている家ですよね。
でも僕はあまりそういうのは得意ではなくて。
アウトドアを趣味にしているわけでもありませんし」と語る。
そこで一目惚れしたのが和の雰囲気が漂う「程々の家」だった。

2階から土間を見る。

2階から土間を見る。

「本当なら古民家に住みたいくらいなんです。
古いものが好きで、味が出てくるものが好き」と本音を語る里奈さん。

「もちろん今は子育てが重要ですが、いろいろ迷うなかで、
結局自分たちが住みたい家にしようという結論に至りました。
子供が独立したあと、老後でもふたりで違和感なく落ち着いて暮らせる家を考えたら、
程々の家でした」(里奈さん)

ウォーク・イン・クローゼットには、大量の洋服が。

ウォーク・イン・クローゼットには、大量の洋服が。

永井夫妻の価値観が最もよく見てとれるのがウォーク・イン・クローゼットと本棚だ。
古着屋をやるくらい洋服好きだった永井夫妻。
当然、家は大量の洋服で溢れていたという。
自分たちらしい暮らしを思いきり楽しむために、
このふたつは絶対叶えたいと思っていた。

「なるべく洋服をハンガーでかけられるように考えました。
自分たちが持っているアウターはこれくらいで、
畳んでしまうニット類はこのくらいで、って計算しましたね。
あと重要なのは私の身長で届くかどうか」(里奈さん)

本棚スペースには、仕事や子どもたちの勉強用にデスクも設置。

本棚スペースには、仕事や子どもたちの勉強用にデスクも設置。

また本屋さんが好きで、天井まである本棚に憧れていたともいう。

「図書館でも、本棚と本棚の間の床に座って読むのが好きだったんです。
これも文庫本サイズを計算した棚にしたり、奥行きが2列になるように設計を考えました。
これまでは本を買いたくても、しまうところがなかったので自粛していたんですよ。
これで思いっきり買うことができます。
子どもたちにも同じように本を好きになってほしい」(里奈さん)

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傷も味になる家とは?

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将来の自分たちが住む家をイメージした

BESSの「程々の家」は、和のイメージもあり、落ち着いた雰囲気だ。
内装にも濃い色の木材が使われていて、どちらかといえば50〜60代に人気の家だ。
しかしそんなパブリックイメージなど意に介さず、自分の感性に忠実な永井さん。

「木の家は譲れなかったから、総ヒノキの家も見学してみたんですが、
自分たちが暮らしている姿をまったく想像できませんでした。
白くて明るすぎたり、傷がつくのが怖くなるくらいきれいな家ではなく、
傷も味わいになったり、温かみのある家がいいなぁと」

玄関から土間へ。

玄関から土間へ。

まさに家はリラックスするべき場所という考えだ。

「家に帰るとすぐ横になってしまう。程々って名前もいい。
僕の場合、程々では済まないくらい力が抜けてしまっていますけど」と笑う康之さん。
その一方で、手間のかかる薪ストーブは手放せない存在になっているという。

「ふたりともマメな性格ではないので、
当初、薪ストーブは入れないつもりだったのですが、やはり最終的に入れたくなって。
結果、もし次に家を建てることになっても薪ストーブは欠かせないくらいです。
正直に言って、薪にする木はカットできずにたまっていて、
買ったりもらったりもしているのですが……」(里奈さん)

薪ストーブ脇にロッキンチェアが定位置。

薪ストーブ脇にロッキンチェアが定位置。

家具も、家の内装に合わせた色目で揃えられている。ほとんどは古家具を購入。
この家に似合うものを探すのが上手だ。

「でも子どもが大きくなってきて、少し無理がでてきました」と康之さんが言えば、
里奈さんも「このテーブルは、水をこぼしたら隙間からこぼれて床が洪水になりますよ。
でも、気にしません」と笑う。

統一感のあるリビングスペース。

統一感のあるリビングスペース。

どうしても、子どもが机にシールを貼ってしまったりするが、
それを無下に咎めることもしたくない。

「子育てのしやすさと“古き良き”のバランスが難しいなと。
でも新品の机にシールを貼られるほうが目立つので、これでいいのかな」
と里奈さんは言う。いい“バランス”を見つけたようだ。

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Van Dykeとはアレのカタチ

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古着、スケートパーク、音楽ガレージの融合体

〈Van Dyke〉としては、昨年(2021年)6月に、
自宅の敷地内にあるプレハブ小屋でまずは古着屋から始めた。
当時はまだほかの仕事をしながら、平日夜と土日のみ営業。
しかしすぐにいい場所が見つかり、
古着屋、スケートパーク、音楽ガレージを一緒にしたお店を始めることになった。

Van Dykeとは髭の形のこと。永井さんの髭がまさにVan Dyke型。「店名にしてしまったので、もう髭を剃れません」と笑う。

Van Dykeとは髭の形のこと。永井さんの髭がまさにVan Dyke型。「店名にしてしまったので、もう髭を剃れません」と笑う。

「コロナ禍もあって前の仕事を退職することになりました。
普通なら別の会社に転職するところですが、まだ30歳ということもあり、
一度本当にやりたいことをやってみようと思ったんです。
妻から『インターネットで古着を売ってみるのもいいのでは?』 という
薦めもあって始めてみました」

古着もスケートボードも、バンドも、趣味の範囲内。
これまで仕事にしたことはなかった。
何の経験もなくいきなり始めてみたが、不安はまったくなかったという。
好きなことをできているという感覚の強みかもしれない。

だから「僕と趣味の合う人は一日中遊んでいられる」という客層を呼び込む。
ただしそういう意味では、永井さん夫妻は日光では珍しい部類に入るだろう。
そもそも地域にそこまでニーズがあったのだろうか?

スケートパークの屋内に設置されているスケートランプにて永井さんが滑る。

スケートパークの屋内に設置されているスケートランプにて永井さんが滑る。

「古着屋は日光市内で一番初めにやったら、話題にはなるだろうなと思っていました。
スケートパークは近くの〈丸山公園〉に公共施設がありますが、
こちらは個人だし、差別化していけばうまくできるだろうと。
まだまだスケボーやスケーターに対して怖いイメージを持っている人もいて、
昔からある場所にあとからだと入りづらいというのもあるみたいなんです。
だから新しいパークならば、初心者や子どもでも始めやすいと思います。
ちなみにうちの子はまったくやる気ないみたいです(笑)」

スケートパークは屋外にもある。(写真提供:永井康之さん)

スケートパークは屋外にもある。(写真提供:永井康之さん)

さらに、スケーターの特性と組み合わせることも想定した。
それは必然的にローカルを盛り上げることにつながる。

「丸山公園で滑っていると、県外から来ている人が結構多いんです。
連休にもなると、
スケーターって旅行感覚で全国のスケートスポットを回ったりするんですよね」

日光は言わずと知れた全国的に有名な観光地。
きっとスケーターが〈日光東照宮〉を観光することもあるだろう。
すでにそのようなお客さんもいるという。
これからほかのアクティビティやゲストハウスなどと組んでいきたいと話す。
そうなれば、新しい観光の流れを生み出すことができるかもしれない。

周囲を森に囲まれたローケーションにある。

周囲を森に囲まれたローケーションにある。

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#瀬尾活性化計画とは?

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日光、瀬尾……、地域を盛り上げたい

日光といえば、観光地として有名であるが、
それが圧倒的に強すぎるゆえにほかのイメージが浮かびづらい。
当たり前だが、そこにも普通に暮らしている人たちがいる。

「古着もあるし、スケボーもできる。
若い人たちの意識を、そういう方向に変えていけたらと思っています」

古着の買いつけも永井さんが行う。

古着の買いつけも永井さんが行う。

日光市も全国と同じような若手不足、高齢化という課題を抱えている。
永井さんと趣味の合う人の多くは、東京など都心部に出てしまった。

「同世代が少なくなっているし、遊ぶところも少ない。
地元で買い物できたり、飲みに行けたりできるほうがいいですよね。
若い人がおもしろいと思ってもらえればと思います」

そうした気持ちが、Van DykeのSNSにおけるハッシュタグ、
「#瀬尾活性化計画」や「#日光活性化計画」という表現につながる。

「特別、瀬尾や日光に強い愛着を持って活動しているわけではありませんが、
自分が住んでいる場所くらいはおもしろくしたい。
スケボーも、古着も高校から好きだったもの。
バンドもやっていて、妻もやっていました。
自分の通ってきた道で盛り上げられたらとは思っています」

地域を盛り上げたいという気持ちはあれど、自分にできることは好きなモノやコト。
自分の個性や価値観を大切にして、
無理せず自然体で取り組むことが、きっと何よりの王道なのだろう。

information

Van Dyke 
ヴァン・ダイク

住所:栃木県日光市瀬尾1131

(※場所は店名で検索してください)

営業時間:13:00〜20:00

定休日:不定休

Web:Van Dyke

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わが家が楽しすぎる! BESS × colocal

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