長い冬を越え、福岡は糸島市にある私たちの集落はすっかり春モードです。
山に入れば山菜があちこちに顔を出し、たけのこも旬をむかえ、
野生のものが手軽に収穫できる季節になりました。
春の野草は、独特の苦味で冬の間体に溜まった毒素を排出してくれるデトックス食材。
旬のものを食べて、体の中から春に変化させていきます。

菜の花と野草のパスタ。
ある日、お昼ごはんをつくろうとしたら野菜をストックする箱が空になっていました。
ピンと閃き、台所のつっかけを履いて庭へ出ると
そこにはセリ、ヨモギ、カラスノエンドウ、ハコベラなど、
野生のご馳走が競い合うようにわさわさと生えています。
やわらかい若い芽をプチプチ摘んで、パスタの具材にしてみました。
春のデトックス野草パスタなんて、都会で見かけたらちょっとお洒落じゃないですか。
次の日も、お昼ごはんの具材ないかなあとキョロキョロしていたら、
リビングに飾ってあった(ちょっとくたびれた)菜の花と目が合いました。
これは食べられる。
君はもう十分お花としての役割を果たした! お疲れさま! ということにして
中華鍋に放り込みました。

家にあった野菜と飾ってあった菜の花でチャーハンをつくりました。
飾って可愛い、食べておいしい。なんて優秀な食材なんでしょう。
こうして、わざわざ買い物に行かなくとも
その辺にあるものでちょちょっとつくれるのが田舎ごはんの楽しさでもあります。
集落の棚田で、無農薬無肥料のお米をみんなでつくっています。
種籾から発芽させた苗を田んぼに手植えし、天日干しでつくったこだわりのお米は
ふんわりと甘く、味が濃くて冷めてもおいしいのです。

手植えの様子。この姿勢を続けると次の日太ももの裏が痛くなるのです。
もちろん田んぼも最初からうまくいったわけではなく、
苗がうまく育たなかったり、イノシシに田んぼをぐちゃぐちゃにされたり、
天日干しの最中に台風が直撃して稲が吹き飛んでしまったり、
「こりゃーしんどい!」と思うことが何度もありました。
けれど、ときに喧嘩しながら、仲間みんなで乗り切ってきました。
つくった人の顔が見えるごはん、おいしいですよ!

収穫した玄米。食べる直前に精米します。
とはいっても、毎日食べる分のお肉を山でとれるわけでもないので、
普段はゆるいベジタリアン。
お魚も、お味噌汁のだしに使ういりこと鰹節程度でしょうか。
イノシシは、山でとるのも家で捌くのも体力と気力が必要です。
実際にやってみて、その大変さがわかるからこそ、お肉は自分たちが捌ける分だけ、
身の丈にあった量を食べたらいいのかなあと思っています。
そのため、基本的にお肉は自分たちで捌いたときに食卓にのぼるスタイル。
ほかには、誰かの誕生日パーティーや、
お客さまが来られたときのご馳走として出すことが多いですね。
お肉の出る日は我が家のハレの日。みんな大喜びです!

味噌づくりワークショップにて。
お味噌も冬に仕込むようになってからは買っていません。
お醤油はお味噌をつくるときにできるたまり醤油を使っていますが、
自給できるほどではないので、いつかは手づくりしたいなあ。
基礎調味料の自給は夢ですね。
こう書くと「食べ物を100%自給している」と思われてしまうかもしれませんが、
実は今、野菜の自給率は1割にも満たないくらい。
普段食べる野菜は買うことが多いです。
我が家の今後の課題は野菜の自給率を上げること、畑を頑張ることですね。
野菜を買うときも、スーパーマーケットなどで売られているような、
遠くから運ばれてくる野菜ではなく、
集落にある無人販売所だったり、直売所だったり、
誰がつくったのかわかるものを意識して買っています。
よく「買い物は企業への投票」といいます。
だからこそ、“いいもの” をつくってくれている、
応援したい会社のものを選ぶようにしています。

まるで絵本の世界のような我が家の集落。桜の先には海も見えます。