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下田に移住して1年、
ご近所づき合いはどう変わる? 
地域コミュニティについて思うこと|Page 3

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.034

Page 3

地域のコミュニティについて考える

春になってからは庭で過ごすのがとても気持ちよく、
娘は木登りや大縄跳びをして遊んでいます。

そこでも東京との違いを感じる場面に遭遇します。
夫と娘が大縄跳びをしていると、たまたま通りがかった友人が合流して、
近所の知らない子どもも入って、知らないおばちゃんも加わるという。
知ってる人も知らない人も、どこまでという区切りのない
この感じがおもしろい。

地方出身の方にとってはごく当たり前のことかもしれませんが、
東京生まれ東京育ちの私たちにとっては新鮮でなりません。
いわゆる下町というのか、よい時代がそのまま残っているというのか。

例えば、近所を散歩していると、すれ違う人と必ず挨拶を交わします。
東京ではそんなことすらなかった。
名前は知らないけれど、「久しぶりだね、元気にしてた?」と
立ち話をするような近所のおばちゃん友だちもできました。
おばちゃんが大縄飛びに飛び入り参加するのだって、
おばちゃんと立ち話をするのだって、下田ではごく当たり前なのです。

友だちが遊びに来てくれたので、庭の木に登って遊びました。総勢6人、ただ木に登るってだけなのにそれだけでみんな興奮状態。

以前この連載でも書かせていただいた稲垣えみ子さんの著書
『寂しい生活』に、こんな記述があります。

昔は各家庭にはなかった風呂や、冷蔵庫などの便利な電化製品。
それを経済成長と共に各家庭が所有し始めたことで、人とのつながりや、
助け合う力、共感する力を失ってしまったのではないか。

最近、地域コミュニティの衰退が問題になっています。
自治会や地域活動、近所づき合いを含む
地域の関係が希薄化しているというのです。

その原因としてあげられているのは、日中働きに出ているため
地域にいないことや、子どもの減少、高齢化、住民の頻繁な入れ替わり。
そして稲垣さんの考えるように、文明の発達による
人の暮らしの変化が大きな要因かもしれません。

娘の友だちが遊びにくると、みんなでおやつをつくって遊んだりします。おにぎりを握ったり白玉団子をつくったり、みんな夢中です。

ある資料に「地域コミュニティというのは、
個人や家庭といった私的な範囲よりは大きく、
政府や自治体といった公的な範囲よりは小さく、
地理的範囲・公共性ともに中間的なもの」と書かれています。

たしかに私自身、東京にいるときは家庭や会社、
自治体には属していましたが、地域のコミュニティについて
考えたこともありませんでした。
近所づき合いはないのが当たり前で、
それに対して疑問すら抱いていなかったのです。

これまたご近所さんにいただいたタケノコ。朝堀ったばかりのタケノコということで、すぐに茹でて炊き込みご飯にしました。えぐみが一切なく甘い香り。最高に美味でした。

地域コミュニティの衰退は都市部だけの問題ではなく、
地方部にも当てはまるといいます。
都市部への人口流出により、地域の中心となる若手の人材が
不足しているというのです。

東京から移り住んだ私たちにとっては親密に感じられる
下田のコミュニティですが、さかのぼるともっと濃かったのかな。
例えば稲垣さんが書いていた、まだ家庭にお風呂がなかった時代とか。
そんな疑問がふとわいてきて、ご近所の方に話をうかがってみました。