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下田に移住して1年、
ご近所づき合いはどう変わる? 
地域コミュニティについて思うこと|Page 2

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.034

Page 2

雨降って、地固まる? 我が家の1年

が家が下田に引っ越してきたのは昨年の4月10日、
丸1年が経ちました。
「まだ1年しか経っていないんだ」というほど、
私にとってこの1年は長く感じられます。

移住してからしばらくは自分たちの選択が正しいのか自問自答し続け、
不安でいっぱいでした。
娘がこの土地に馴染めるか心配だったし、
東京の仕事と下田の生活のバランスにも悩み、夫婦喧嘩も絶えなかった。
きっと、移住を経験した誰もが最初は思い悩むように、
我が家もその例外ではなかったのです。

そうして1年経ったいま、娘も夫も私も下田の暮らしを楽しんでいます。
嵐が吹き荒れ大雨が降り、少しずつ我が家の地が固まりつつあるようです。

天気がいい日に出かける自宅近くの「九十浜海水浴場」。無料の駐車場に車を停め、そこから「爪木崎」まで散策。お金をかけなくても、こんなに気持ちのいい時間が持てるこの環境は、とても贅沢です。

私たちが迷いながらもここまでやってこられたのは、
地域の方々の支えがあったからです。
もし我が家だけで孤立していたら、
下田での暮らしは続かなかったと思います。
「いつでも遊びにおいで」と声をかけてもらったり、
「困ったことがあれば相談して」と気にかけてもらいました。

そうして1年過ごすうちに、娘にも変化がありました。
引っ越してきた当初はモジモジしていた娘が、
いまではひとりで友だちの家に遊びに行くようになり、
さらに夕飯までご馳走になってくるのだから驚いてしまいます。
きっと、安心して身を委ねられる感覚を肌で感じているのだと思います。

我が家によく遊びに来てくれる近所のお友だち。同じ小学校の3学年上のお姉ちゃんで、娘にとてもやさしくしてくれます。この日は「Sボード」なるものを手取り足取り教えてくれました。

私たちが以前住んでいたのは東京の杉並区。
ハイソでもないし下町でもない、いわゆる平均的な住宅街です。
その東京での暮らしといまの下田を比べてみると、
人と人との距離がどこか違います。
下田のほうが圧倒的に近いのです。

例えば家でゴロゴロしていると庭先に突然人が現れるとか。
友人が採れたてのわかめを持って来てくれたり、
「近所についでがあったから」と寄ってくれたり。
ちなみに郵便屋さんも勝手に「ガラガラ」と戸を開けて
郵便物を置いていきますし、
友人も「こんにちは~」と言いながら家にあがってきます。

ご近所さんが海で採ってきたわかめをおすそ分けしていただきました。立派なわかめを前に、家族3人大興奮。「めかぶを刻んで生卵と混ぜてご飯にかけるとおいしいよ」と教えてもらったので試してみたら、もう絶品でした!

食べきれない分は茹でてから天日干しに。すぐ目の前の海でわかめやひじきが採れるなんて、本当に豊かな環境です。

東京で暮らしていたときは「いまから行くね」という連絡があった後、
インターホンが鳴るというのが通例でした。
けれど、下田で借り始めた家にはそもそもインターホンすらついてない。
引っ越してきた当初は少々戸惑いましたが、
慣れてくるとその感じが嫌じゃない。
むしろ、その身内的な距離感が心地よいとすら感じるのです。

ひじきもいただきました。採れたてのひじきをドラム缶で茹でたとのこと。潮の香りが部屋中に漂います。