連載
posted:2014.5.12 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer's profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が異様に強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家を改装し、カフェをオープン。
http://homemakers.jp/
5月3日、毎年この日に肥土山農村歌舞伎が開催されます。
肥土山農村歌舞伎は、300年以上途絶えることなく続いている地元の伝統行事。
ここで暮らす人々自身が役者であり、大道具、衣装、舞台の準備なども
すべて自分たちの手で行っています。
はじまりは江戸時代。
当時、水不足で苦しんでいた農家を救うために、
この地の庄屋、太田典徳さんが私財を投じて蛙子池(ため池)を造成。
その完成のお祝いに、農民たちが小屋を建てて芝居をしたそうです。
この歌舞伎の楽しみのひとつが、割子弁当(わりごべんとう)。
大きな木箱の中に、20人分の小さなお弁当が入っています。
これを昔は各家庭ごとに作り、親戚や知人たちと一緒に食べながら
歌舞伎を鑑賞したそうです。
いまでは、大家族が減ってしまったためか、
割子弁当を持ってきている家庭はとても少なくなりました。
そして今年は、その割子弁当を友人たちとみんなで作って
持っていこうということで、午前中からうちに集まって割子弁当作り。
お弁当の作り手は、20〜30代の女子7人。
それぞれ、お弁当に詰める一品を担当。
みんなでワイワイ言いながら、巻き寿司を作ったり、夏みかんの皮をむいたり。
それそれは楽しい時間だった。
婦人会のおばちゃんたちが、地域の行事などで
お弁当を作ったりするときの雰囲気はきっとこんな感じなんだろうなと。
20人分のお弁当を私ひとりで作るとしたら、
それはすごくプレッシャーで大変だけど(というか作れない、笑)、
みんなで集まって料理をすれば、それ自体が楽しい時間になる。
畑で採れたスナップエンドウの和え物、掘りたてタケノコの醤油漬けなど。
地元の食材も使って、なんともおいしそうな割子弁当の完成。
木箱に入れて、いざ歌舞伎舞台へ。
最高の天気の中、子どもたちと一緒に、水の張られた田んぼの横を歩いて行きました。
みんなで作った割子弁当や持ち寄ったおやつを食べながら、
お酒を飲みながら、みんなで一緒に歌舞伎を見る。
出てくる役者は地元のよく知った人たちで、
あの人が演じてるんだなと思いながら見る。
それがこの農村歌舞伎の楽しみ方なのかなと。
来年は私たちの組が歌舞伎の当番(肥土山地区には6つの組があって、
交代で歌舞伎の準備、運営をしています)。
たくちゃん(夫)といろは(娘)も出演予定。
これまた楽しみです。
information
HOMEMAKERS
住所 香川県小豆郡土庄町肥土山甲466-1
営業時間 土曜(喫茶のみ)13:00~17:00(L.O. 16:00)
日曜(喫茶&カレー)11:00~17:00(L.O. 16:00)
http://homemakers.jp/
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