連載
posted:2014.5.19 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer's profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が異様に強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家を改装し、カフェをオープン。
http://homemakers.jp/
先日、私たちが運営しているHOMEMAKERSのFacebookページに
1件の問い合わせがありました。
震災後、ライフスタイルについて考えるようになり、海外の農場へ研修に。
そこで体験したようなライフスタイルに少しずつシフトしていきたい。
家族がかつて小豆島で暮らしていて、現在は誰も住んでいない家と畑が残っている。
その小豆島で農業をしている私たちのことを偶然知り、一度お話したい。
そんな内容のものでした。
その誰も住んでいない家と畑は、私たちの家から車で10分ほどの場所に。
すごく近くなのに行ったことのない集落で、
前々から一度行ってみたいなと思っていたので、
ぜひそこを見に行ってみたいとお返事して、
その2週間後にさっそくお会いする約束をしました。
せわしないゴールデンウィークが終わり、ほっとひと息のその日。
通ったことがない道を走り、ワクワクしながら現地に向かいました。
1年半住んでいても、まだまだ小豆島には行ったことがないところがたくさんあります。
ご連絡をくださった方と挨拶をして、さっそく敷地内へ。
家のまわりは植物が成長し、まさに映画『天空の城ラピュタ』のように
植物が建物をとりまいているような感じ。
植物をかき分け、家の中へ。
築80年のその家は立派な材でつくられていて、すごく味がある。
特に小屋組(木造建物の屋根部分の骨組み)は見上げると、おぉっとなります。
一方で、床が腐っていたり、家自体が多少歪んで窓がちゃんと閉まらなかったり。
直さないと住めないなあと思う部分はありましたが、
ここをこんなふうに直して、あそこの壁は抜いて……なんて
勝手に想像しながら終始ワクワクしていました。
そして、家の外の畑へ。
なんと、畑からは海が見える!
「子どもの頃に見たこの景色がずっと頭の中に残っていて」
とその方は何度もおっしゃっていましたが、確かにこの景色はたまらないなあ。
しばし、その畑で海を眺めながら立ち話。
どうやったら家を直せるか、ここでどんなふうに暮らすことができるのか。
この古い家の窓が開いて、明かりが灯され、
誰かが暮らす日が来るかどうかはまだわかりません。
眠っている古い家に手を入れて、直して暮らす。
そこには便利さや快適さは少ないけれど、
それでも暮らしたいと思わせる何かがあるんだなと思います。
information
HOMEMAKERS
住所 香川県小豆郡土庄町肥土山甲466-1
営業時間 金曜、土曜のみ 11:00~17:00(L.O. 16:00)
http://homemakers.jp/
Feature 特集記事&おすすめ記事
Tags この記事のタグ