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この4月に移住して
ちょうど1年になりました。
下田では早咲きの河津桜が散ると、ソメイヨシノや山桜が咲き始めます。
縁もゆかりもない、けれどなぜか惹かれて移住してきた下田。
暮らし始めてからは恵まれすぎているのでは? というほどに、
さまざまな人とのありがたい縁に恵まれ楽しく暮らしています。
娘がこちらの暮らしに馴染めるか心配でしたが、仲の良い友だちもできて、海遊びも大好きになりました。
前回書いたように、念願の米づくりも始めます。
少しずつですが理想の暮らしに近づいている気がします。
こちらが借りることになった田んぼです。この地域では土を肥やすため、稲刈りが終わってかられんげの種をまきます。そのれんげの花が咲き、そして桜の花も咲き。なんとも美しい田植え待ちの春の田んぼ。
この土他の住民は、
いずれも豊かではなく、ただ生活するだけで精いっぱいで、
装飾的なものに目をむける余裕がない。
それでも、楽しく暮らしており、食べたいだけは食べ、
着物にも困っていない。
家も清潔で日当たりがよいし、気持もよい。
世界のいかなる土地においても、労働者の社会の中で
下田におけるよりもよい生活を送っているところは他にあるまい。
『ハリスの日記』より
これは幕末、下田で暮らしたアメリカの初代在日総領事
ハリスが書き残したものです。
質素でも楽しく、食や着物に困らず、日当たりのよい気持ちのいい家。
この文章は最近知ったのですが、まさにこんな暮らしを理想として
下田に移住してきました。160年も前にこのまちで
そうした暮らしが営まれていたと思うと、感慨深いものがあります。
ハリスが暮らした日本初のアメリカ総領事館、玉泉寺はわが家のすぐ近く。下田には歴史的に重要なさまざまな史跡や寺院などが点在しています。保育園のバス停に吉田松陰像があったのには驚きました。