人と人とをつなぐ才能を持った友人、黒川文恵さん
北海道にエコビレッジをつくりたい。
わたしは自分の夢を友人たちに話していくことで、
この数年のあいだに世界が大きく広がったように思う。
「それなら、みっちゃん、あの人に会ったらいいんじゃない?」
道内の友人たちはそう言って、興味深い活動をしている人を次々と紹介してくれる。
なかでも、特にたくさんの人と引き合わせてくれた
黒川文恵さんのことを今回は書いてみたいと思う。
彼女は、昨年、ようやく自分のやりたいことをかたちにし、
長沼で小さなお弁当屋さんを始めたところだ。

岩見沢生まれの黒川文恵さん。大学進学のためにいったん上京し、30歳で北海道へ戻った。一時は就職するが、その後5年ほど農家の手伝いをしながら暮らしていた。
文恵さんと出会ったのは、わたしが北海道・岩見沢に移住して数年が経った頃のこと。
同じ市内に住んでいた彼女は、農家で畑仕事をしながら、
自分の進むべき道を探っていた。
通っていた何軒かの農家は、いずれも農薬を使わず有機栽培を行うところ。
こうした環境に負荷をかけない農法に興味を持っていた文恵さんは、
食の安心安全を考え、食を通じた持続可能な社会を目指そうとする
スローフードの活動にも関わっていた。
そして、北海道各地のローカルな場所で、独自の生き方を模索している人々との
つながりをたくさん持っていたのだった。

2017年4月から〈ごはんや 野歩〉を始めた。最初は配達がメインだったが現在では店舗販売も。
「会わせたい人がいるから」、彼女はそう言って
何人もの友だちをわたしに紹介してくれた。
実際にエコビレッジのような場所をつくっている人や
山の恵みを生かした暮らしをしている人など、その活動はさまざまだが、
会うと必ずと言っていいほど意気投合できるのだった。
初対面なのにもかかわらず、仕事のことや子どもの教育のこと、
ときには政治や経済のことだって、深く意見交換できることに驚いた。
北海道に移住して2、3年は、友人関係も広がらず、
寂しさを感じることもあったなかで、こうして本音で語り合える人たちと
めぐり合えたことは、わたしの大きな心の支えとなった。

店内では料理関連の本も販売。本屋でアルバイトをしていた経験が生かされている。
こんなふうに、わたしのことをいつでも気にかけてくれていた文恵さんだが、
お弁当屋さんを開くまでの彼女は、いつも自分のことは
“後回し”にしているように思えてならなかった。
「自分が出会ってきた有機栽培や自然栽培の農家さんたちの
野菜を使った加工品をつくってみたい」
農家で働いている頃から彼女はそう話していたが、
なかなかベストな方法が見つけられずに、暗中模索の時期が長かったように思う。
畑を手伝うだけでは収入は十分でなく、厨房の経験を積むために
レストランで働いたり、給食センターで働いたりした時期もあった。
そして、あるときは、わたしの住む美流渡(みると)地区で
一緒にカフェができないかと模索したり、またあるときは、
真空パックしたカット野菜をつくって札幌に卸してみたこともあった。

お弁当の配達も自分で行く。美流渡で開催したイベントのときも、長沼から車で40分ほどかけて、お弁当を届けてくれた。

野歩のお弁当は、近郊でとれた有機栽培や自然栽培の野菜がいっぱい。厚焼き卵も長沼の平飼いの卵。調味料も無添加のものを選んでいるが、値段は650円とお手頃。








































































































