ほとんどが地域内で消費される、幻の海苔
ウニ、イクラ、サケ、カニ、ホッケなど、数多ある北海道の海産物のなかで、
海苔のイメージはあるだろうか。
実は北海道の多くの日本海沿岸の地域では天然の岩海苔が採られている。
しかし天然ものゆえに少数ロットしか生産されず、
ほとんどは地域内消費に終わってしまっている。
札幌にすら、あまり流通していない状況だ。
積丹半島にある神恵内村(かもえないむら)も然り。
そんな地元の海苔のおいしさを広く伝えたいと、
Uターンで神恵内村に戻ってきた〈いちき岡田商店〉の岡田順司さんは、
地元で食料品などを販売する商店経営のかたわら海苔づくりを始めた。
「沿岸地域の人たちにとって、
この時期においしい海苔が食べられることは常識です。
それを神恵内の価値として、世に出したいと思いました」
と、きっかけを話してくれた岡田さん。
高校から札幌に出て、そのまま大学に進学した。
大学ではヒップホップダンスに目覚め、踊りに明け暮れる毎日。
そのときの経験を生かし、現在でも村の子どもたちにダンスを教えている。
積丹周辺の学校の先生にも、年数回、指導に行くこともあるという。
そんな異色のセンスと派手なルックスを携えて、
神恵内村に戻ってきたのは約10年前、25歳の頃だ。

冬の神恵内村。
「戻ってきたときは、村に活気がないと感じました。
経済循環も悪いし、疲弊している。
対外的に“神恵内”という名前の認知度が低かったことも問題でした」
海苔業の担い手も少なくなっていた。
岡田さんが師匠と呼ぶ3人は50代、60代、80代。
だから30代の岡田さんが技術を受け継いでいくことに意味がある。
そして海苔を広めていくことにより、神恵内村のブランディングができて、
知名度を高めていくことができる。そんな思いで海苔づくりに乗り出した。

岡田さんのつくる〈神海苔〉は、希少な天然の海苔。まず封を開けるとふわっと磯の香りが漂ってくる。後味にも風味が残り、ご飯がいくらでも食べられる。少し直火であぶると最高だ。
天然海苔の風味は、養殖の10倍!
大寒の頃の天然岩海苔が、一番品質が良いとされている。
だから地元では「寒海苔」と呼ばれている。
そこで岡田さんは、神恵内の「神」の字を用いて
〈神海苔〉(かんのり)と名づけた。

漁の季節、積丹半島は当然、雪に覆われる。
「養殖に比べたら、天然海苔は風味が10倍良い」と表現する岡田さん。
「師匠からは、海苔を採るときにその場でちょっと食べてみて、
おいしかったら採ればいいと教わりました。
その場で食べてみると、爆発的な磯の香りがしますよ」

時に冷たい水しぶきを浴びながらの作業。
〈神海苔〉のつくり方を教えてもらった。
まずは海で岩海苔を採る。
海苔漁が漁協から許可されているのは、12月下旬から4月末までの7〜12時。
真冬なので、厳しい寒さとの闘いだ。
波打ち際の岩場に張り付いている岩海苔を見つけては、剥していく。

繊維の長い岩海苔は「糸海苔」と呼ばれている。






























































































