撮影:吉次史成
〈タラブックス〉の編集者、ふたりのギータが日本にやってきた!
いま、わたしが転居を計画中の岩見沢の山里で、“森の出版社”を始めてみたい。
そんな想いを、この連載で以前に書いたことがある。
その構想の源になったのは、〈タラブックス〉という小さな出版社の活動だ。
南インドのチェンナイにあり、手漉きの紙に手刷り、手製本による
工芸品のような美しい絵本を生み出す出版社として、その名を知られている。
長年、出版を行うのは都会がベストという固定観念を持っていたのだが、
これらの本を眺めているうちに、過疎化が進む山間部でも、
印刷工房をつくって出版活動ができるんじゃないか?
という可能性が感じられるようになったのだ。

ハンドメイド本『夜の木』は、やわらかな質感の黒い紙に手で刷られたもの。インクがしっかりとのったシルクスクリーン印刷ならではの力強さを感じさせる。
タラブックスの活動を深く知るようになったのは、つい最近のこと。
きっかけは、板橋区立美術館で開催中のタラブックスの展覧会に、
長年仕事をともにしてきた仲間が関わっており、
準備段階から話を聞いていたことによる。
さらに、7月に玄光社より刊行された書籍『タラブックス』を読み、
出版社の様子を詳しく知ることができた。
しかも、タラブックスのことをもっと知りたいと思っていた矢先、
展覧会を手がけていた仲間から、関連企画として行うシンポジウムの
資料づくりや司会のサポートをしてほしいと頼まれ、
実際にタラブックスの編集者に会えるという、すばらしい機会がやってきたのだ!

2017年11月25日から板橋区立美術館で開催中の『世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦』展。2018年1月8日まで。(撮影:吉次史成)

インドの東部、西ベンガル州に伝わる絵巻物も紹介されている。タラブックスでは、ポトゥア(絵巻物師)の伝統的な語りや新しい物語を、本というかたちで展開する試みを行った。(撮影:吉次史成)
シンポジウムも開催。タラブックスの本づくりの視点とは?
シンポジウムのテーマは「世界を変える本づくり」。
パネリストはこの出版社の編集者、ギータ・ウォルフさんと
V・ギータさん(ふたりのギータと呼ばれている)に加え日本から7名が参加。
日本のパネリストも個性的な本づくりに関わっていることもあり、
開催前から注目度は高く、定員300名の会場は事前予約でいっぱいとなった。
11月28日、東京都港区の〈コクヨホール〉でシンポジウムが開催され、
まずウォルフさんの基調講演が行われた。
20分と短いものではあったが、タラブックスがどんな視点で
本づくりを行っているのかが多角的に語られていった。

1994年にタラブックスを創設した代表のギータ・ウォルフさん。インドの絵本は西洋の翻訳本が中心だった状況のなかで、子どもたちに向けたインドならではの新しい本づくりを開拓。タラブックスから20冊以上の著作を出している。(撮影:南阿沙美)

基調講演ではV・ギータさんも壇上で本を紹介してくれた。広げているのは、日本人作家・タカハシカオリさんとつくった『ぱたぱた絵本 くまさんどこかな?』。上下左右にページが開かれるという独創的なもの。本の形状の可能性を広げる実験も、タラブックスの特徴のひとつ。(撮影:南阿沙美)





















































































