連載
〈 この連載・企画は… 〉
毎月コロカル編集部からテーマを出し、
日本各地で活動している地域おこし協力隊の方から集まった写真とメッセージを紹介していきます。
その土地ならではのものだったり、自分の暮らしと変わらないものだったり……。
どんな暮らしをしてどんな景色を見ているのか、ちょっと覗いてみませんか?
editor’s profile
Koban, Saki Kunishige
こばん/國重咲季
全国にはさまざまな習慣やルールがあり、
まちの文化として代々受け継がれています。
今回は地元の人には当たり前となっている
習慣やご当地に伝わるルールについて
〈地域おこし協力隊〉のみなさんに教えてもらいました。
何気ない暮らしの一部から
その地域の暮らしを覗いてみましょう。
私が暮らす岡山県浅口市鴨方町は手延べ麺のまち。
手打ち麺は生地を麺状に切っていきますが、
手延べ麺は包丁を使わずにだんご状の生地をひたすら延ばしてつくられます。
屋外で麺を干す仕上げの作業「かどぼし」が昔はそこここで見られたそう。
現在は機械化が進み、
麺づくりの全工程を屋内で行う麺工場がほとんどですが、
今でも晴れた日は季節を問わずかどぼしを行っているのが〈河田賢一製麺工場〉です。
12時頃、白い糸のような麺が軒先でリズミカルに舞います。
かどぼしは空気がきれいでないとできません。
そのため、地区内では午前中の野焼きは禁止。
細かい灰が手延べ麺に付着してしまうのを防ぐためです。
地元の伝統産業を守る、地域のルールの紹介でした。
photo & text
こばん
大阪府出身。〈カブ〉で旅するフォトライター。全国各地を愛車と旅する様子をインスタグラムに投稿するのが趣味。フォトジェニックな「星と海のまちあさくち」に一目惚れし、2017年5月、岡山県浅口市地域おこし協力隊に着任。浅口の魅力を取材し、紙面やWEB、SNSで発信中。
Page 2
秋田県にかほ市では、
秋になるといちじくの甘露煮をつくる習慣があります。
冷蔵庫などの保存技術が発達していなかった時代から、
受け継がれているこの文化。
産地であるにかほには、秋の旬の時期になると
いちじくを買い求める人たちが訪れます。
地元では庭でいちじくの木を数本育てているという方も多く、
実ったいちじくを毎年家庭で甘露煮にするのが習慣になっています。
家庭によって、使う砂糖の種類が違ったり、
つくり方が違ったりと自分流に工夫できるのも楽しいポイント。
たくさんできた甘露煮は、知り合いやご近所さんにお裾分けします。
昨年は地元の方から、酢を隠し味に使ったこだわりの甘露煮をいただきました。
にかほでは梅仕事ならぬ、いちじく仕事が秋の習慣。
みなさんも今年はぜひ挑戦してみてください。
photo & text
國重咲季 くにしげ・さき
京都府出身。秋田県の大学に進学したことを機に、東北各地の1次産業の現場を訪ねるようになる。卒業後は企業に勤めて東京で暮らした後、にかほ市で閉校になった小学校の利活用事業「にかほのほかに」に携わるべく秋田にAターン。地域で受け継がれてきた暮らしを学び、自給力を高めることが日々の目標。夢は食べものとエネルギーの自給自足。
Feature 特集記事&おすすめ記事
Tags この記事のタグ