連載
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/
夏ーーーーー!
絵に描いたように青い空、モクモクの入道雲、
じりじり照りつける太陽、響き渡る蝉の声。
これでもかっていうくらい夏の風景が広がっている小豆島。
暑くて暑くて夜になるとクタクタの毎日ですが、夏だからしょうがない。
畑で作業して汗かいて、海で泳いで体冷やして、そんな日々を送っています。
さてさて、畑も夏モード全開です。
といってもトマトやピーマンなどの夏野菜の多くは7月にピークを迎え、
8月は夏終盤戦という感じ。
暑さに加えて雨も少ないので、夏野菜たちにとっても厳しいシーズンです。
そんな8月の上旬〜中旬に収穫ピークを迎えるのが「マクワウリ」。
ウリ科キュウリ属の野菜で、見た目は黄色だったり模様があったり、
いろんな種類があります。
漢字で書くと「真桑瓜」。
岐阜県の真桑村(現在は本巣市)が名産地だったことから
この名前が浸透したそうです。
ひと言で言うと「甘すぎないメロン」という感じ。
マクワウリはメロンの仲間というかメロンの先祖。
昔から日本各地で育てられている野菜です。
プリンスメロンやマスクメロンなどあまーいメロンに押されて、
いまはほとんど育てられなくなってしまったみたいです。
私たちも小豆島で暮らすようになって初めてマクワウリのことを知りました。
マクワウリを並べて販売していると、
「懐かしいなあ、小さい頃によく食べたわ〜」とよく言われます。
地元の人はマクワウリのことを「マッカウリ」とか「マッカ」と呼んだりして、
お盆のお供えものとして欠かせない野菜だったそう。
いまでもうちではお仏壇にお供えしてます。
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〈HOMEMAKERS〉で育てているのは、真っ黄色の〈金太郎〉という品種と、
緑と黄色の縞模様の〈タイガーメロン〉という品種のマクワウリ。
金太郎はスッキリとした甘みで、ほのかに酸味もありシャクシャクとした食感。
タイガーメロンはマクワウリの一種と西洋メロンをかけ合わせたもので、
柔らかくて甘くて、色も薄緑色なのでよりメロンに近い感じ。
同じマクワウリでも、品種によって見た目も味もだいぶ違います。
マクワウリのおいしい食べ方のポイントですが
・冷蔵庫でよく冷やしておくこと。
しっかり冷えているほうがきりりとした甘さを感じられます。食感もいい。
・切ったらすぐ食べること。切ってから時間が経つと身がだれてきちゃうので。
・甘さを足したければ、真ん中の種のまわりが甘いので、
ザルなどで種とワタをこして、汁をかけて食べる。
カットしてサラダに混ぜたり、生ハムと一緒に食べたりしてもおいしいですが、
うちではだいたい食後のデザートとして食べてます。
冷やして切ってお皿に盛るだけ。簡単!
より甘くしたいときははちみつで和えたり、
少し爽やかにしたいときはレモン果汁で和えたり、ちょっと味変えもおすすめです。
マクワウリはスーパーなどではあまり見かけない野菜。
道の駅や地元の産直市場みたいなところで、
8月上旬〜中旬頃に並んでいるのを見つけたら、ぜひ一度食べてみてください。
ちなみにマクワウリを選ぶときは、よく熟したもののほうが
味がしっかりしていて甘いです。
熟したサインは、ヘタのまわりの輪っか(ひび割れ)。
傷みやすくなるのでなかなかこの状態になるまで収穫を待てないのですが、
しっかり熟していておいしい。
真夏の野菜、マクワウリ。
懐かしくてやさしい甘さを味わってみてください。
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