〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/
小豆島でおいしくて体にやさしいごはんを食べたいなぁと思ったら、
おすすめのお店があります。
池田港という港近くの住宅街にある小さな一軒家を改修した
〈タネむすび堂〉というお店です。
たしかこの辺にあるんだよなぁと地図で確認しながら、住宅街をぐるぐる。
この細い道でいいのかなぁと向かっていくと、ようやく手づくりの看板発見。
ちゃんと地図を見て行かないと迷います(笑)。
タネむすび堂は、ごはん屋さんであり、おやつ屋さんであり、量り売り商店。
2013年に小豆島に移住してきた片岡玲子さんが営んでいます。
何かのお話に出てきそうな小さな平屋のおうち。
庭を通り抜けて、今日はお店やってるよなぁと思いつつ玄関をあけると、
玲子さんが自分たちの手でつくりあげた空間が広がります。
印象的なのは、やさしいサーモンピンクや黄土色、薄緑色に塗られた壁。
昭和中期頃に建てられたちょっとレトロな民家の雰囲気を残しつつも、
でも日本じゃないみたいな感覚。
そんなすてきなお店の中心にあるのが、スコーンやマフィンなどの
焼き菓子が並ぶガラスのショーケースと、さまざまな食材の量り売りのガラス瓶。
よく見てみるとガラス瓶には、素材名と価格が書いてあります。
オーガニックシナモンスティック、オーガニッククミンシードなど、
島のスーパーでは買えないようなものがずらり。
量り売りのいいところって、パッケージ袋などのゴミが出ないのはもちろん、
必要な分だけ買えるからロスが出ないこと。
島内だとオーガニックスパイスなど手に入らない食材が結構たくさんあって、
ネットで注文すると送料がかかるので、まとめて買ってしまう場合が多い。
そうすると使い切るまえに古くなってしまったり……。
身近なお店でこまめに必要な分だけ買えるって、あらためていいなと思いました。
そうそう、持ち帰り用の容器(空き瓶やタッパーなど)は
自分で持って行かないといけないですよー。
もし忘れちゃったら、玲子さんに相談すれば何か貸してくれるかもしれませんが。
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私がお店にうかがったのは、暑い夏の日の夕方。
もうごはんの時間は終わってしまっていたので、
冷たいロースイーツとハーブ&梅酵素ジュースをいただきました。
ロースイーツは、バターや白砂糖を使わず、
加熱せず生のままの果物やナッツなどの素材でつくられたおやつ。
体にやさしいのはもちろん、暑い夏にぴったりのおいしいおやつでした。
玲子さんのつくってくれるごはんやおやつは、地球という環境にとっても、
食べる人の体にとっても負荷がかからず、やさしい。
野菜はその季節に育つ旬の素材、そして小豆島で育ったもの。
ごちゃごちゃ手を入れずにシンプルに素材の味を楽しめる料理。
食べることは命をいただきつないでいくということ。
タネから芽吹いたいろんな命が それぞれの光を放ち
めぐりめぐって むすばれ 続いていくことを願い
ごはんやおやつをつくっています
これがタネむすび堂さんの想い。
ごはんやおやつを食べながら、そんなことをちょっと意識してみると、
よりおいしさやありがたさを感じられるんじゃないかと思います。
タネむすび堂の営業日は変則的なので、お店を訪れる前に
必ずWebサイトかインスタグラム などで営業日カレンダーをチェックしてくださいね。
タイミングがあえばラッキー!
おいしいごはんとおやつ、それから量り売りのこだわり食材たちに出合えます。
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