2015年、岩手県JR平泉駅の駅前に、1軒のカフェが誕生した。
店名は、店主・佐藤渉さんの苗字をそのまま取って付けられた〈SATO〉。
「SATOの隣の美術肖像画院は親父の店。つまり実家です」と話す佐藤さんは、
埼玉県からUターンして、勝手知ったるこのまちにお店を開いた。
生産者の思いに共感した素材を使い、
そのおいしさが生きる最高のかたちで料理を提供し続ける佐藤さん。
彼に、SATOというお店の在り方についてうかがった。
料理が、食べる人の記憶に残ってくれたら
〈中尊寺〉をはじめ、世界文化遺産に登録された史跡のある平泉町。
駅まで徒歩0分という好アクセスの場所に、SATOはある。
たまたま、ご実家が店舗貸ししていた場所を譲り受けることになり、
いわゆる観光客誘致のために、と選んだ場所ではない。
今はランチとカフェのみの営業で、予約があれば夜の営業も行う。
名物はロールキャベツと、菜種油を使ったゴボウのショコラ(ガトーショコラ)。
フレンチでもなく、イタリアンでもない「洋風のお食事と喫茶のお店」だ。

「ロールキャベツは昔から好きだったので、
ちょっとつくってみよう、という感じだったのですが、面倒ですよね(笑)。
ハンバーグだったらひき肉を練って終わりなのに、
そこからキャベツを茹でて、包んで、煮込んで……。
専門店じゃない限り、なかなかやらないと思いますけど、
『SATOのロールキャベツを食べに行こう』と
言ってくれる人が増えてくれたらいいな。特に子どもたち。
『変な店だったけど、あそこでロールキャベツ食べたな』
という感じで、記憶に残ってくれたらうれしい」と、佐藤さんは目を細める。

自家製サワークリームで仕上げる、ファンが多い特製ロールキャベツ(ごはんとサラダ、ドリンク付き)1300円。ランチメニューはほかに、SATOカレー、パスタ、定食、特製お子様ランチ。
ショコラに使う菜種油は
「安心・安全でおいしい油を届けたい」という熱い思いを持った
隣の一関市大東町の〈デクノボンズ〉が生産したもの。
もともと大東地域でつくられていた菜種の栽培から復活させ、
花畑の風景を守り地域の資源を循環させる仕組みづくりを目指す
彼らの思いに共感したことから、メニューに取り入れることとなった。
昔ながらの工程で丁寧に絞られる菜種油は香ばしいフレーバーが特徴の油。
パティシエの友だちに相談しても、お菓子の素材として使えるかどうか……と
最初は首を傾げられたという。

佐藤渉さん。
「でも逆に、この油が生かせるようなメニューを考えればいいか、と思って。
パンチが強い油だから、同じようにパンチが強いチョコレートを使って、
さらに香りの強いごぼうをキャラメリゼして合わせてみたら、これが大当たり」
菜種油のおかげで、ガトーショコラの生地はしっとりと仕上がり
ナッツにも似た香りとサクサクした食感のごぼうが抜群のアクセントとなって、
意外な看板メニューが誕生したのである。

デクノボンズの菜種油はSATOでも購入することができる。

ショコラのほかにも、季節のフルーツなどが使われる自家製ケーキもぜひ味わってほしい。
生産者と、その人がつくるものを好きになれるかどうか
佐藤さんの場合、まず素材に惚れ、そこからメニューを考える。
すべてではないが、徐々にそういったケースが増えてきているという。
「平泉に帰ってきて思ったのは、生産者が近くにいるのはいいな、ということ。
『いっぱいとれたから使って〜』というような感じで、
やっぱり1歩2歩踏み込んだ関係になれることが多いんですよね。
そうすると『じゃあ、この素材で何かできないかな?』という考え方になって
いろいろなアイデアが生まれてくるんです」
















































































































































