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学童保育がなければどうする?
働き方を変えてみる!
移住先で複数の仕事をもつ
という選択肢|Page 3

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.030

Page 3

自分のやってきたことを生かし、自宅でもできる仕事を

山本さんは経営者ですが大工でもあり、さらには設計もされているそうです。
同じく大工だったお父さんが1978年に創業された会社を2002年に引き継ぎ、
下田を中心に住宅、店舗の仕事をされています。

実はこの連載でもたびたび登場する〈TableTOMATO〉、
もともとは洋服屋だった店舗を飲食店にリノベーションする
工事をしたのも山本さんでした(妻のパンのイベント
させていただいたのがTable TOMATOです)。

下田では出会う人たちが知り合い同士ということが珍しくありません。つながるつながる。

山本さんは設計、積算、業者への指示資料づくりなどの
建築の専門的なデスクワーク、
現場での施工管理ができる人を探しているそうです。

これからはホームページやブログなどで
しっかり情報発信をしたいのだけど、山本さんは現場に事務作業に忙しく、
そこまで手が回らないという話も。

僕は移住前、建築家の設計事務所やリノベーション会社で
設計から施工管理までを経験してきました。
工務店のホームページの立ち上げや運営、
ブログでの情報発信も経験があります。
自分にとっては最適ともいえる仕事です。

そして、デスクワークはパソコンとネット環境さえあればどこでもできます。
自宅で仕事をすることについて聞いたところ、
事務所が狭いので逆にありがたいくらいで問題ないとのこと。

でも、仕事内容は最適でも建築にはいろいろあります。
僕も建築の仕事は長くやってきたのでそれなりにこだわりがあります。
安普請の家づくりを仕事にしたくない、そんな思いもあります。
そこはしっかり判断したいのです。

そして、最近完成した山本建築の設計施工による住宅を見せてもらいました。

正直、工務店が設計する家は、仕上がりはいいけど
垢抜けない家が多いイメージがありました。
でも、そのイメージはうれしくなるくらい見事に裏切られました。
山本さんはこう言います。

「ハウスメーカーのありきたりな家では満足できないけれど
建築家に頼むほどの予算もない。
でも、こだわりのあるしっかりとした家をつくりたい。
そんな層が安心して頼める工務店を目指しているのです」

とても共感できるスタンスです。

案件が増えてきて手が回らなくなってきたこともあり、
人を探し始め、まず引っかかったのが僕だったというのです。

家でできる仕事という意味でも最適、
求められる経験としても最適、やりがいも充分にあります。
山本さんとしてもタイミングよく現れた僕に興味を持ってくれたようです。
そうして、昨年末に山本建築への転職が決まりました。

妻の下田での初めてのまとまった仕事『伊豆下田100景』で撮影した〈ケークスカノン〉の店舗併用住宅も山本建築の設計施工だというのです。やっぱりつながる……。

でも、お世話になった看板づくりの職場にはなるべく迷惑をかけたくない。
退職の日程を相談して1月末まで働くことになりました。
そして、この2月より山本建築に籍を置き仕事をしています。

山本建築の作業場。東京の個人の工務店や大工ではここまでの作業場はなかなか持てません。東京だと外注するような木材の加工までここでやってしまうようです。

自宅での仕事はいまのことろダイニングテーブルにて(仕事部屋をどうするか妄想中)。家で図面を書いている僕が珍しいようで、娘も横で何やら図面らしきものを書いています。親の仕事する姿を見せられるというのはいいですね。