連載
posted:2016.2.22 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
credit
撮影:小豆島カメラ
島で暮らしている友人たちと〈小豆島カメラ〉として活動し始めてもうすぐ2年。
「見たい食べたい会いたい」をテーマに、
暮らしているからこそ出会えるシーンを撮影して発信しています。
この小豆島日記でも何度か活動のことを書いているので、
ご存知の方もいるかもしれませんね。
この活動が始まったきっかけは、写真家のMOTOKOさんの
「デザインも地産地消しよう」という考え。
外からプロのカメラマンさんに来てもらって撮影するんじゃなくて、
暮らす人たち自らが写真を撮って島の魅力を伝えることができたらいいよねと。
MOTOKOさんとは、2013年の瀬戸内国際芸術祭の際に
〈小豆島の顔〉プロジェクト(島で暮らす225人の方を撮影し、島の風景の中に展示)を
一緒に行い、その後も何度か小豆島に来てくださり、
写真や地方での活動について教えてもらっています。
いろいろな話をするなかで、自分たちの手で写真を撮って
発信していけないかという思いが少しずつ具体的になっていき、
カメラメーカーのオリンパスさん、写真雑誌PHaT PHOTOさんが加わり、
一緒に活動する島のメンバーも集まり、小豆島カメラは動き出しました。
と、そんな風にして始まった活動も2年。
Webサイトで毎日いまの小豆島を発信したり、写真展や撮影ツアーを行ったり。
年に数回、外から先生に来ていただいて、撮影方法や写真の展示方法に関する
レクチャーを受けさせてもらったりしてきました。
この2年でたくさんのことを得ました。
そのひとつが、撮影や取材仕事の依頼が来るようになったこと。
活動を継続してきたことで、小豆島カメラのことを知ってくれる人が増えました。
島の人から「パンフレットをつくるから商品の撮影をしてほしい」とか
「イベントの様子を撮ってもらえないかな」と頼まれたり、
島の外の人からもガイドブックの撮影仕事の依頼があったり。
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そしてもうひとつは、メンバーのつながりが強まったこと。
なんというか強力なネットワークができたというか。
きっと一緒に活動をしていなくても知り合ってはいただろうけど、
いまのようにいろんなことを相談できる存在にはなっていなかっただろうなと思います。
「撮影頼まれたんだけど、撮りに行けるかな」
「こんな写真が欲しいんだけど誰か持ってないかな」
「今度友だちが遊びに来るんだけど、予算1万円で魚料理がおいしい宿ないかな」
取り組んでるプロジェクトのことから些細なことまで、
毎日のようにグループメッセが交わされています。
ひとりではできないことが、チームになると実現できる。
ほんとに心強い仲間です。
2年前にはなかったチームができて、そこでいろんなことが生み出されていく。
それはとてもエキサイティングなことなのですが、
活動を続けていくうえで悩ましいこともたくさんあります。
みんな別の仕事をしながら活動に取り組んでいるため、
時間をつくることが難しかったり。活動資金がほとんどなかったり。
そもそもなんでこんな大変な思いをして、
活動を続けてるんだろうと考えることもあったり。
私たちがしていることは仕事なのか趣味なのか、
きっとはっきりと線引きできないことなんだと思うけど、
組織のかたち、お金のまわし方などもっといい方法があるんじゃないかなと
日々考えながら活動している感じです。
今年は瀬戸内国際芸術祭が開催されるので、たくさんの人が島を訪れます。
そんな年だからこそ私たちがここでできることをしようと思っています。
来てくださった方たちに、一度きりで終わってしまうのではなく、
また来たい、また食べたい、また会いたい! と思ってもらえるような
きっかけをつくれたらいいなと。
そして3年目の小豆島カメラは、自分たちの気持ち、力で動けるチームになれるよう、
そのかたちをイメージしながら仲間とともに活動していきます。
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