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古い家を直して暮らす。
改修のビフォーアフター!

小豆島日記
vol.194

posted:2018.2.26   from:香川県小豆郡土庄町  genre:暮らしと移住

〈 この連載・企画は… 〉  海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/

暮らしながら、いまも少しずつ改修中

私たちがいま暮らしている家は、築130年くらいの古い農村民家です。
たくちゃん(夫)のひいおじいちゃんの代に建てた家
(いつか詳しいことを調べてみたいなと思ってます。
ファミリーヒストリーをもっと知りたい!)。

何十年も人が暮らしてきて、その時々の暮らし方によって手を入れてきた家。
もともとは土間があって竈(かまど)があって、そこで料理をしていたんだろうけど、
そこに床をつくって流しやガスコンロを設置して新たな台所ができたり。
建てた頃にはなかったであろう壁が設置され、部屋が小さく分けられていたり。
そうやって継ぎはぎされて変わってきた家の歴史をひもといていくのは
結構おもしろかったりします。

5年前の冬。最初の写真と比べるとだいぶ玄関まわりは変わりました。

私たちがこの家で暮らし始めたのはいまから5年半前。
私たちにとっての幸運は、古いままで残っているものが多かったこと。
竈は使われてはいなかったけどそのままの形で残っていたし、
家も大きなリフォームはされていませんでした。

ただ逆に言うと、傷んでいる部分がけっこうあって、
床下の材が腐って、床がべこべこしてるところは何か所もありました。
家の横に蔵も残っていたのですが、雨漏りはひどいし、
土壁がくずれてしまって壁がないところはあるしという状態。
5年半経ったいまも、現在進行中でいろいろなところを直しています。

改修前のキッチン。

古いキッチンはすべて撤去して、新しく入れ替えました。

ふと、もともとここはどんな家だったかなと思うことがあり、
改修前の家の写真を見る機会があったので、ビフォーアフターを比べてみようと思い、
改修前と同じようなカットで写真を撮りました。

改修前の竈。すでに使われておらず物置きになってました。

竈は残しました。煙突部分を黒く塗り直しただけでだいぶ雰囲気が変わりました。

ちなみにこれから家を改修しようと思っている方は、
改修前の写真を隅々まで撮っておくことをおすすめします。
当たり前ですが、改修したら前の状態はなくなってしまうので。
その家の歴史を残しておくためにも!
後々、比較したりすると楽しいですしね。

改修前の玄関から居間への引き戸。

畳から板張りに改修。引き戸は新しいものに入れ替え。

ちなみに私はちゃんとしたカメラでは撮ってなくて、
iPhoneで撮ったものしか残っていません。
ま、それでも残っていただけよかったですが。

改修前の縁側。

縁側の床はかなり傷んでいたので張り替えました。窓は透明ガラスに入れ替え。

次のページ
どれくらいの期間、どれくらいの費用が必要?

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ちなみにこれだけの改修をするにあたって、スケジュールとしては、

2012年10月 引っ越し

2012年11月~ 片づけ、測量、図面・模型作成

2013年3月~ 大工さんと見積もりやスケジュール調整

2013年7月~ 工事スタート(工事は約3ヶ月間でほぼ完了)

2013年10月~ カフェスペースのつくり込み

2014年2月22日 カフェオープン

といった感じでした。
私たちは暮らしながら改修したので、それはそれはエキサイティングでした(笑)。

朝起きてふすまをあけたら隣の部屋の床がない! とか、
脱衣所スペースを工事してる間はブルーシートで囲んで着替えたりとか。
できれば引っ越し前にある程度の工事は済ませておきたいですね。
でも暮らしながらでも工事できないことはないです。

改修前はお風呂でした。

お風呂を移動して、カフェスペースに改修。

それから費用ですが、大工工事で600万円くらい、
その他設備や什器などで200万円くらい。

できるところ(内装など)は自分たちで工事していますが、
構造に関わる部分などは基本的に大工さんにお願いしました。
ほぼすべての床をはずして床下の基礎部分を直していますし、
お風呂も新設、外構の工事も含んでいます。
どこまで改修するかで費用は大きく変わってくると思うので、
ひとつの参考程度にしてもらえれば。

模型をつくるとどんなスペースになるのか想像しやすいです(私たちは大学時代建築学科だったので、そのときの道具や材料を使ってつくりました)。

床の工事中。ひと部屋ずつ順番に工事していきました。

植物も、ビフォーアフター?でこんなに!

そうそう、5年半経つと植物はだいぶ大きくなります。

引っ越してきて3か月後くらいのこと。
取り壊しになる家の敷地内に立派なオリーブの木(樹齢100年くらい?)の
切り株が残っていて、その切り株をいらないか? と聞かれました。
最終的にそのオリーブの切り株を持って帰ってきて庭に植えることに。
引っ越してきた頃を思い出すだろうからと。

樹齢100年くらいのオリーブの切り株。

掘り起こして、軽トラに積み込み。

オリーブの切り株と一緒にくっついてきた実生のオリーブの木を庭に移植。

そしていま、そのオリーブの切り株の脇から生えてきたオリーブの木が
だいぶ大きくなりました。切り株になってしまったオリーブの木が、
切り株になる前に落とした実から育ったオリーブです。
庭に移植する際に、切り株と土と一緒に我が家にやってきました。

通常オリーブは挿し木で育てていき、その場合は数年後から実をつけ始めます。
実から育ったオリーブ(実生のオリーブ)は、実をつけるまで10年以上かかるそう。
我が家のオリーブが実をつける頃、私たちは小豆島暮らし15年くらいで50代か~。

5年前の庭。

いまの庭。実生のオリーブはだいぶ大きくなりました。

まだこれから5年10年と、家も人も、それからこの地域もどんどん変わっていく。
いまの姿もいつかまた改修前になるかもしれないな。
普通の日々を記録に残しておこうと思います。

information


map

HOMEMAKERS 

住所:香川県小豆郡土庄町肥土山甲466-1

営業時間:金曜、土曜のみ 11:00~17:00(L.O. 16:00)

http://homemakers.jp/

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