連載
posted:2018.4.23 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
江戸時代から300年以上続く伝統行事「肥土山(ひとやま)農村歌舞伎」。
毎年5月3日に肥土山にある離宮八幡神社の舞台で奉納されます。
農村歌舞伎というのは、その字の通り農村で行われる歌舞伎。
その年の豊作を祈願し、神社にある舞台で、そこで暮らす人々が歌舞伎を演じます。
地域の、地域による、地域のための歌舞伎。
小豆島では、昔は各地域に芝居小屋があり歌舞伎が行われていたそうですが、
いまでは私たちが暮らす肥土山とお隣りの中山の2か所だけとなりました。
そんな希少な小豆島の農村歌舞伎は、香川県の無形民俗文化財として登録されていて、
地域の人だけでなく、外からもたくさんの人が毎年見に来てくれます。
この連載「小豆島日記」でも、もう何度も肥土山農村歌舞伎のことを書いてきました。
今年で6年目になります。
毎年いろんな思いがあって、年によって関わり方も少しずつ変わり、
子どもも成長し、私たちの小豆島暮らしの大切な一部になっています。
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ここであらためて、肥土山農村歌舞伎の楽しみ方を書こうと思います。
肥土山農村歌舞伎は、肥土山離宮八幡神社で
5月3日(木・祝)の15時から20時まで行われます。
今年上演されるのは次の4演目。
15時開演 第一幕「寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)」
16時頃 第二幕「仮名手本忠臣蔵 三段目 松の間の場/裏門の場」
17時半頃 第三幕「仮名手本忠臣蔵 七段目 一力茶屋の場」
19時頃 第四幕「絵本太功記 十段目 尼崎閑居の場」
第二幕は地域の子だもたち、第三幕は今年歌舞伎担当組の有志の方、
第四幕は肥土山歌舞伎保存会の方が演じます。
歌舞伎舞台の前には段々になっている桟敷があって、
そこに座ってお弁当を食べたりお酒を飲んだりしながら歌舞伎を見ます。
桟敷は芝なので、敷物とか座布団とかがあるといいです。
日が暮れてくるとぐっと冷えるので防寒着と敷物はあったほうが快適。
ずっとじぃーっと歌舞伎を見ないといけないわけじゃなくて、
話しながら笑いながら楽しんでもらえたらいいのかなと思います。
そうそう、歌舞伎はストーリーをわかっていたほうが見ていておもしろいので、
事前にパンフレットをもらって解説を読んだり、
まわりのよく知ってそうな人に内容を聞くのをおすすめします。
昔は「割子(わりご)弁当」という、大きな木箱に20人分くらいの
弁当がつめられたものを多くの家族が持ってきて、
それをみんなで食べていたそうですが、その風景は少なくなりました。
私たちは、毎年友人たちと一緒に割子弁当をつくって持って行きます。
割子弁当とビールは農村歌舞伎を楽しむ必須アイテムだと個人的には思っています(笑)。
今年もいろは(娘)とたくちゃん(夫)は役者として出演します。
いろはは第二幕に、たくちゃんは第三幕に出演。
今年はふたりとも難しい役で、家でも毎日のように自主練しています。
日に日にうまくなっていく姿を見て、すごいなぁと素直に思います。
2月から始まった練習も残りあと10日です。
5月3日という日は、1年の中でもトップ10に入るんじゃないかな
というくらい気持ちのいい日。
まぶしいほどの新緑と青い空、水の張られた田んぼ、心地いい風。
そんな風景や空気を感じながら、その中で行われる農村歌舞伎を
楽しんでいただけたらいいなと思います。
小豆島肥土山でお待ちしています。
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