スタジオからオンラインで〈リソグラフ〉について学ぶ
〈森の出版社ミチクル〉という名前で小さな出版活動を始めて4年。
そのなかで、いつも頭を悩ませていることがある。
それは“印刷”についてだ。
自分の本は絵も文字も手書きで、デザインも含めて全部手で行っているのだが、
印刷という段階になると、どうしてもほかの会社に委ねることになってしまう。
ネット印刷などを利用する場合は、入金してデータをアップロードしてと、
フォーマット化された作業の流れに自分の本を載せるのだが、
これがどうにも馴染めない。
しかも、印刷にはコストが結構かかり、気軽に誰もが本をつくることが難しい、
その要因になっているのではないかと感じている。
自分の手で印刷までできる方法はないだろうか?
最近、真剣に考えていたなかで、友人から
オンラインワークショップに参加してはどうかという誘いがあった。
講座は「Virtual Risograph Basics」。
ポートランド州立大学の教授でイラストレーターの
ケイト・ビンガマン・バートさんによる
〈リソグラフ〉という印刷機を使った作品づくり体験だ。
私に声をかけてくれたのは、ポートランド在住の山中緑さん。
札幌からの移住を「冒険の旅」として、
美流渡(みると)でお話会をしてくれたことがあり、
このワークショップ開催のためにつくられた団体
〈いろいろイロラボ〉の推進役のひとりでもある。

〈リソグラフ〉は刷り色を自分で選んで印刷する。2色を重ねてつくったワークショップ参加者の作品。
リソグラフとは〈理想科学工業〉の製品で、
チラシや教材の印刷で広く使われている印刷機。
コピー機と同じように見えるが仕組みが異なり、コピー機よりも省エネルギーで、
高速で印刷できるため、1枚ごとの単価が安いのが特徴。
こんなふうに説明するとオフィス機器としての印象が強くなるが、
この印刷機独特の風合いに注目して、
クリエイターらが作品づくりに生かすケースも多く、世界中にファンがいる。
オンラインワークショップが開催されたのは3月28日。
日本とアメリカから63名の参加があった。
司会と進行役を務めたのは、いろいろイロラボの代表・井出麻衣さん。
井出さんは日本でテキスタイルデザイナーとして活動後、
ポートランドに活動の拠点を移し、現在州立大学でアートを専攻している。
大学で学ぶなかでケイトさんと出会い、
彼女の主宰するアートスタジオ〈アウトレットPDX〉をたびたび訪ねて、
リソグラフによる作品づくりを体験してきた。
このすばらしいワークショップを日本の皆さんにも伝えたいという思いから、
日本語による「Virtual Risograph Basics」を今回企画したという。

司会と進行役を務めた井出麻衣さん。

講師となったのはケイトさん(左)とアシスタントのリランド・ヴォーンさん。
ワークショップの始まりは、ケイトさんのこれまでの活動紹介から。
ケイトさんはイラストレーターとして、世界中のクライアントと仕事をしてきた。
2006年から1日も休まずに、目に止まった日用品などを
ペンで描くことを続けているという。
「これがすべてのインスピレーションの源です。
ここからリソグラフでZINEをつくったり、陶器のデザインをすることもあります」

15年間、毎日かかさず続けているというドローイング。インスタグラムでも配信している。
こうした制作とともに大切にしているのが、人にものづくりの楽しさを伝える活動。
「私はできるだけ人と出会いたいと思ってワークショップを行ってきました。
旅行を兼ねてスタジオを訪ねてくれる人もいて、とてもうれしかったですね」
対面でのワークショップがスタートしたのは2017年。
これまで1000名以上が参加したという。
リソグラフの魅力を直接伝えることを重視していたため
オンラインでの開催はしてこなかったが、
2020年3月からコロナ禍となり、方向転換を余儀なくされた。
「実際に始めてみると、世界中のリソグラフ・ファンとつながることができて、
とても興奮しました」


























































































