colocal コロカル マガジンハウス Local Network Magazine

連載の一覧 記事の検索・都道府県ごとの一覧
記事のカテゴリー

連載

地元で大ヒット!
知られざる「わたしのまちで
愛される調味料」

このまちのくらしとけしき
vol.031

posted:2021.1.30   from:全国(岩手、秋田、福島、長野)  genre:暮らしと移住 / 食・グルメ

〈 この連載・企画は… 〉  毎月コロカル編集部からテーマを出し、
日本各地で活動している地域おこし協力隊の方から集まった写真とメッセージを紹介していきます。
その土地ならではのものだったり、自分の暮らしと変わらないものだったり……。
どんな暮らしをしてどんな景色を見ているのか、ちょっと覗いてみませんか?

editor’s profile

Chihiro Ogawa, Sachi Honda, Takayuki Endo, Mina Ohba, Saki Kunishige

小川ちひろ/本多紗智/遠藤孝行/大場美奈/國重咲季


今月のテーマ 「わたしのまちで愛される調味料」

料理の味の決め手になる調味料。
全国的に有名なものも多いですが
地元企業がつくり、地元で大人気の知られざる商品も
全国各地に存在しています。

今回は、まちの人たちに愛される必需品的な調味料を
〈地域おこし協力隊〉のみなさんに紹介してもらいました。

名産品を使ったもの、伝統的につくられ食べられているものなど、
さまざまな調味料がラインナップ。
気になるものがあればお取り寄せしてみてください。

【岩手県奥州市】
一度食べたら病みつきに! ネギ農家さんがつくるネギドレッシング

奥州市江刺のネギ農家高橋沙織さんがつくる
〈ネギ屋のドレッシング〉。

ネギ農家の高橋沙織さん。

ネギ農家の高橋沙織さん。

個人で製造しているため、
できる時に、できる量だけ、自分のペースでつくられているそうです。
リピーターからの口コミで広がり、
SNSで販売告知をするとすぐに完売してしまうほどの大人気商品なんです。

ネギ畑の様子。

ネギ畑の様子。

息子さんも時々お手伝いをしてくれるそうです。

息子さんも時々お手伝いをしてくれるそうです。

〈ネギ屋のドレッシング〉は、
ネギだけでなくにんじんも入っているので鮮やかなオレンジ色。
ネギ特有の辛みや匂いは感じず、
本来の甘みが凝縮されている濃厚なドレッシング。

ベースのレシピはあるけれど季節によって
異なるネギの甘みや水分量に合わせて、
高橋さんの舌で味のバランスを調整しています。

販売先である古道具や雑貨、野菜などを販売する
〈YOLISUL〉のオーナーおふたりも、
あまりのおいしさに1回にボトル半量を
サラダにかけてしまうというのも納得。
材料に動物性のものは一切使用していないので、
ビーガンの方にもおすすめです。

かわいいデザインのパッケージ。

かわいいデザインのパッケージ。

ネギ生産者である高橋さんが、
このドレッシングを販売するきっかけになったのは
岩手県奥州市江刺にあるヨガスタジオ
〈ヨガスペースコパン〉で開催されたマルシェ出店だったそうです。

それ以来、ネギを生産するだけではなく、
自分が育てた野菜そのもののおいしさを引きだす商品を開発し続けていて、
その商品をいろいろなかたちでお客さんに届けています。

マルシェの様子。

マルシェの様子。

自慢のネギはもちろん……。

自慢のネギはもちろん……。

さまざまな野菜を販売!

さまざまな野菜を販売!

また、〈ネギ屋のドレッシング〉だけではなく、
ビーガンスイーツづくりもされている高橋さんは
「つくることが好きなんです」と話してくれました。

イベント限定のスイーツやピクルスなども販売。

イベント限定のスイーツやピクルスなども販売。

キャロットケーキにはドライいちじくも入っています。

キャロットケーキにはドライいちじくも入っています。

購入方法は市内のお店で数量限定、不定期で販売。
ハンバーガー屋〈GROW〉には
ネギ屋さんオリジナルソースを使用したメニューがあるので、
気になる方は、お試しあれ!

information

map

YOLISUL FUCHI″

住所:岩手県奥州市江刺川原町3-9

TEL:0197-34-0388

営業時間:11:00〜16:00

Instagram:@yolisul.fuchi

information

map

GROW

住所:岩手県奥州市江刺六日町1-1

TEL:0197-47-6207

営業時間:11:00〜14:30(14:00L.O)、17:30〜22:00(21:00L.O)

日・祝日 11:00〜14:30(14:00L.O)

定休日:火曜

※ハンバーガー完売次第閉店。

Web:https://grow-funburger.com/

photo & text

小川ちひろ おがわ・ちひろ

東京都品川区出身。大学で移民を学び、言語や異文化に興味を抱く。オーストラリア留学、台湾ワーキングホリデーと海外生活を経験。着任前は都内ギャラリーカフェに勤務。2018年5月岩手県奥州市地域おこし協力隊着任。今年度は台湾向けに東北のリアルライフスタイルやカルチャーシーンを伝えるウェブメディア立ち上げを目指し、自身も旅するように東北でしか味わえない経験を堪能中。

Page 2

【長野県下伊那郡天龍村】
唐辛子とゆずのいいとこ取りの調味料。その名も〈赤いイナズマ〉

私の住んでいる長野県下伊那郡天龍村では、
加工品の原材料としてゆずが頻繁に使われています。

今回のテーマはローカル調味料ということで、
地域資源の加工品の企画・製造・販売を行っている〈合同会社ゆずすけ〉の
ピリ辛ゆず調味料〈赤いイナズマ〉を紹介します。

〈赤いイナズマ〉

原材料はゆず、唐辛子、塩といたってシンプル。
固形に近いゆず胡椒とは違って、
こちらはとろみのある緩い液状調味料。
口に含んでみると、マイルドかつピリリとくる辛さの中に、
スッキリと切れ味のよい赤唐辛子のフレーバーと
フレッシュなゆずの香りがふわっと広がります。

紹介文には「ピザ、餃子、焼き肉、ラーメン、
うどん、そばなどにおすすめ」との記載がありますが、
私はおでんの汁に溶かして食べてみました。
昆布と大根のだしが溶けこんだやわらかいおでんつゆの風味が、
瞬時にさわやかな味わいに変化して、
とってもおいしかったです。

コロナ禍の中で、自炊をする人も増えていると思うので
洋風にも和風にも合う絶妙な辛さとゆずの香りを、
ぜひいろいろなお料理に試してもらいたいです。
通信販売にも対応しているので、
お気軽に問い合せしてみてください。

information

合同会社ゆずすけ

photo & text

本多紗智 ほんだ・さち

信州最南端、県内で一番早く桜の咲く村「天龍村」で地域おこし協力隊をしています。ないものづくしといわれる「ド」田舎ではありますが、ちょっと視点を変えてみれば、ここにはまだ「かろうじて残っているもの」がたくさんあります。秘境と呼ばれるこの村から、鮮やかな四季のうつろい、なにげない暮らしの風景をお届けできたらと思っています。

Page 3

【福島県猪苗代町】
食べれば体の中から温まる生姜パワーもうれしい〈うまくて生姜ねぇ!!〉

〈うまくて生姜ねぇ!!〉を知っていますか?

この、なんともふざけたネーミングの商品は、
国産生姜に昆布やエゴマを混ぜ、
特製醤油だれに漬け込んだ、
いわゆる”ご飯のお供”であり万能調味料です。

地元住民からも根強く愛されており、
「いつも冷蔵庫に常備している」と話す町民も多いです。
また、新作の味が販売されると
「食べた?」「どうだった?」と町内で噂になるほど!

大人気の〈うまくて生姜ねぇ!!〉。おいしいだけでなく、体の中から温まります。

大人気の〈うまくて生姜ねぇ!!〉。おいしいだけでなく、体の中から温まります。

国産生姜にハバネロを加えた〈辛くて生姜ねぇ!!〉も、辛さがクセになるおいしさ。

国産生姜にハバネロを加えた〈辛くて生姜ねぇ!!〉も、辛さがクセになるおいしさ。

ご飯に乗せて食べたり、うどんやそうめんなどの薬味にしたり、
納豆・漬物などの調味料にしたり、料理の隠し味にしたり、と
さまざまなアレンジができる食品です!

私は、冷奴や湯豆腐に乗せて食べたり、
納豆に混ぜてご飯と一緒に食べたり、
漬物をつくる時に混ぜたり、
生姜焼きの調味料のひとつとして使ったりしています。

最近ではテレビや雑誌にも取り上げられ、
年間40万個製造の大ヒット商品となっています。
この商品をつくっているのが、
福島県耶麻郡猪苗代町の山奥にある創業60年の〈吾妻食品〉です。

さまざまなな料理に使えます。

さまざまなな料理に使えます。

〈うまくて生姜ねぇ!!〉シリーズは現在8種類あり、
これらの商品は〈吾妻食品〉公式オンラインストアから購入できます!
ぜひお召し上がりください!

information

map

有限会社吾妻食品

住所:福島県耶麻郡猪苗代町大字若宮字高森甲2988

TEL:0242-64-3514

FAX:0242-64-3515

Web:http://www.adm-food.jp/

photo & text

遠藤孝行 えんどう・たかゆき

福島県の会津に位置する「猪苗代町」で地域おこし協力隊をしています。もともと東京でエンジニアをしていたこともあり、ITのノウハウを活かして「ふるさと納税」と「猪苗代湖の環境保全」を担当しております。現在、協力隊3年目となり、情報発信・教育・観光事業を主とした株式会社アウレを起業しました。

Page 4

【福島県広野町】
高校生が開発したみかんとゆずを使ったドレッシング

広野町のローカル調味料は
もちろん〈青春ドレッシング〉シリーズです。
このシリーズはふたば未来学園高校の生徒が開発した
ご当地ドレッシングになります。

味は2種類あり、広野町のみかんを使った〈みかんドレッシング〉、
もうひとつは隣町のゆずを使った〈ゆずドレッシング〉になります。

みかんドレッシング

〈みかんドレッシング〉は少し甘めの味つけで
唐揚げなどの肉料理にとてもよく合います。
マヨネーズと〈みかんドレッシング〉を混ぜた
特性ドレッシングはもう最高です。

ゆずドレッシング

〈ゆずドレッシング〉はゆずの皮が入っていて
とてもさわやかな大人の味となっています。

〈青春ドレッシング〉シリーズはこのほかにも
焼き肉のタレとつけダレもラインナップ!
商品は地元のスーパーで買うことができますが
スーパーに並ぶと飛ぶように売れて、すぐに完売してしまいます。

そのほかに地元のレストランで使用していたり、
広野町の給食で使われたりと、
ちょっとずつ広野町に〈青春ドレッシング〉が根づいています。

photo & text

大場美奈 おおば・みな

1993年生まれ。福島県いわき市出身。医療系専門学校を卒業後、委託職員として広野町入庁。そのときに広野町に恋をして、まちと共に生きることを決意。まちづくりの修業のため、一旦まちを離れて山形県南陽市地域おこし協力隊に着任。2019年4月に広野町起業型地域おこし協力隊に着任。現在は民間がつくるコミュニティースペース〈ちゃのまベース〉を立ち上げ、運営を開始。地域課題を企業というかたちで解決しながら会社設立に向けて奮闘中。

Page 5

【秋田県にかほ市】
肉や魚、野菜にも使える昔ながらの万能調味料

秋田の伝統的な調味料のひとつである〈寒こうじ〉。
その名の通り寒い時期に仕込み、
季節の移り変わりとともに発酵を進めるというつくり方が特徴です。

材料

材料は砂糖、麹、塩、米(もち米が一般的)。
分量を混ぜ合わせて、
保存容器に入れたらあとは発酵を待つだけ。

寒こうじ

米どころの秋田では、米や米麹を使った発酵食品が発達し、
受け継がれています。寒こうじもそのひとつ。
漬物の素と言われるほど、
野菜や肉、魚などなんでも漬けることができる万能調味料です。

こうじ

野菜は少しの〈寒こうじ〉で、
素材の味が生きる浅漬けになるほか、
肉や魚は寒こうじで漬け込んだあとに、焼いたり唐揚げにすると、
身もやわらかくなり、旨みが増しますよ。

photo & text

國重咲季 くにしげ・さき

京都府出身。秋田県の大学に進学したことを機に、東北各地の1次産業の現場を訪ねるようになる。卒業後は企業に勤めて東京で暮らした後、にかほ市で閉校になった小学校の利活用事業「にかほのほかに」に携わるべく秋田にAターン。地域で受け継がれてきた暮らしを学び、自給力を高めることが日々の目標。夢は食べものとエネルギーの自給自足。

Feature  特集記事&おすすめ記事