豆まき後の鬼たちを描く “鬼のまち”福知山が舞台の オリジナル絵本

節分の掛け声は「鬼は内、福は外」。鬼にゆかりの深い京都府福知山市

2月3日の節分といえば「鬼は外、福は内」の掛け声と共に、
豆まきをする習わしがありますが、一風変わった掛け声の地域があります。
鬼とゆかりの深い京都府福知山市の、
三和地域にある「大原神社」の節分祭のかけ声は「鬼は内、福は外」です。
巷にある悪いものを神社で清めたうえで(=鬼は内)、
村に福をお返しする(=福は外)一風変わった節分祭になっています。
鬼がお多福に変わる演出は地元の有志により演じられ、
いまもなお地元のひとたちに愛されている恒例行事です。

福知山市にある大江山

また、福知山市にある大江山には、平安時代中期の武将・源頼光が、
「頼光四天王」と呼ばれる屈強な家臣らを従え丹波国⼤江⼭へ向かい、
酒吞童子(しゅてんどうじ)率いる鬼の一味を討伐(鬼退治)する
という伝説が伝わっています。
大江山は2007年に「丹後天橋立大江山国定公園」に指定されました。
毎秋、酒呑童子伝説と大江山をテーマとした「大江山酒呑童子祭り」も
開催(2023年は台風災害のため中止)されています。

さらに丹後天橋立大江山国立公園の中にある「元伊勢内宮皇大神社」の節分祭では、
豆まきを行い、人に災いをもたらす三鬼(病鬼・陰鬼・貧鬼)を神前に追い込み、
お祓いをして病鬼を元気に、陰鬼を陽気に、貧鬼を富貴のお多福に変身させます。

大江山の鬼伝説

一方福知山市北部の大江地域では昭和以降、
大江山の鬼伝説がまちおこしに使われるようになりました。
大江駅前には72枚の鬼瓦があり、大江山までの道中には13体の鬼像が佇むなど、
さまざまな場所に自然と鬼が共存しています。

令和になったいまも、福知山市は鬼伝説をモチーフにしたPR動画やポスター、
鬼ラッピングのタクシーなどさまざまな鬼コンテンツを企画し、
「鬼のまちづくり」をすすめています。

コロナ禍では2月2日の「鬼鬼の日」に、市役所大江支所職員や地域で働く人々が
“鬼のまち”をポップに楽しくアピールしようと、すすんで鬼マスクや角を装着し、
そのシュールな姿が一部で話題になりました。

地元の人が教える 牡蠣のおいしい食べ方から 季節のビッグイベントまで。 わたしのまちの 「冬の過ごし方」


今月のテーマ 「冬のお約束」

日々の習慣をはじめ、
人それぞれ決まった手順や日課などがあるはず。
それは、季節の過ごし方にも言えるのではないのでしょうか。

今回は、「その土地ならではの冬の楽しみ、過ごし方」を
全国にお住まいのみなさんに紹介してもらいました。
冬の定番食べ物を味わったり、お決まり行事を友だちと毎年開催したりと、
楽しみ方もさまざま。

寒い寒いと、家のなかでぬくぬくしているのも
冬のリラックスタイムとして至福のひとときですが
ぜひ自分なりの季節ごとの楽しみを探してみてください。

【岡山県浅口市】
冬といえば寄島牡蠣!

私が暮らす岡山県浅口市の港町・寄島町(よりしまちょう)は、牡蠣が特産です。
だいたい11月下旬から3月末頃限定で手に入る、冬限定の味覚です。
寄島牡蠣は1年もので小粒ですが、栄養たっぷりの瀬戸内海でぷくぷく育ち、
濃厚な味わいが特徴で、指名買いされる老舗料亭もあるとか。

生ではなく必ず火を通して食べますが
移住して殻つき牡蠣の手軽な食べ方を教えていただきました。

軽く洗ったら平らな皿に並べて、ふんわりラップをして、レンジでチン。
加熱時間は牡蠣の量によりますが、
3つで1分半くらい、殻が開いていなかったら数十秒さらに加熱し、
殻が開いたら完成です。

ポン酢などで食べる人も多いですが、私はそのまま、
じゅわーっと広がる海の味わいを楽しむのが好きです。

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こばん

大阪府出身。〈カブ〉で旅するフォトライター。全国各地を愛車と旅する様子をインスタグラムに投稿するのが趣味。フォトジェニックな「星と海のまちあさくち」に一目惚れし、2017年5月、岡山県浅口市地域おこし協力隊に着任。浅口の魅力を取材し、紙面やWEB、SNSで発信中。

銭湯入り放題の特典付き! 奈良県御所市にある古民家物件が 入居者を募集中

銭湯の「番頭候補生」を兼ねた入居者も同時募集

奈良県の西南部に位置し、すぐそばには金剛山や葛城山がそびえ立つ
自然豊かなまち、御所市(ごせし)。

このまちで100年近い時を刻んできた長屋を改修した住居
〈赤塚長屋(あかつかながや)〉で入居者を募集しています。

奈良県の西南部に位置する御所市(ごせし)

この古民家の再生に携わるのは「文化財をまもる、いかす」をミッションに、
主に奈良県下で歴史的建築物などの文化財を活用した持続可能なまちづくり事業を
展開する企業〈御所まちづくり〉。

同社は、御所市の中心街「御所まち」で2008年に廃業した銭湯〈御所宝湯〉を復活させ、
さらに近隣4棟の古民家物件も宿泊施設やガストロノミー・レストランに開発した
「泊・食・湯」分離の分散型ホテル〈GOSE SENTO HOTEL〉を2022年にオープンし、
まちの活性化に一役買っています。

大正7年創業の万年筆本舗をリノベーションした宿泊施設〈RITA 御所まち〉。

大正7年創業の万年筆本舗をリノベーションした宿泊施設〈RITA 御所まち〉。

かつての自転車屋の面影を残した、昭和レトロな宿泊施設〈宿チャリンコ〉。

かつての自転車屋の面影を残した、昭和レトロな宿泊施設〈宿チャリンコ〉。

同じ御所まちに完成した〈赤塚長屋〉は、空き家などの古民家をリノベーションする
同社の住居事業「narrative house」の第1号物件となります。

きっかけは、古民家活用が抱える「設計・施工の難しさ」「用途開発・資金調達の
困難性」といった性質により開発期間が長期化し、その間にも守るべき古民家が
更地になっていく姿への問題意識からでした。

そこで、短い期間かつ比較的コストを抑えて古民家を救える方法のひとつとして
narrative houseをスタートし、それぞれの建物が持つ歴史や⽂化、営みといった
物語(narrative)をできる限り残すかたちで改修し、住居としての市場価値を与え
流通させる取り組みを行っています。

「新築住宅と⽐べると、決して快適な空間ではないかもしれませんが、⼿間のかかる
不⾃由さを享受し、⼯夫を凝らして過ごす⽣活、建物に寄り添いながら暮らす⽇常を
提案します」と、〈御所まちづくり〉の担当者は話します。

「narrative house」の取り組み。

「narrative house」の取り組み。

そんな想いのもとに生まれた〈赤塚長屋〉は、長屋独特の奥行きある空間を
効率的に使うための「通り土間」や、古民家ならではの木材や土壁などの
自然素材をしつらえ、伝統的な住まいが持つ本来の魅力を感じることができる
住居となっています。

〈赤塚長屋〉の内観。

〈赤塚長屋〉の内観。

飾って、使って、食べて、楽しめる。 「2023年買ってよかったもの」


今月のテーマ 「2023年買ってよかったもの」

お手軽で便利なものから、一生付き合えるものまで
毎年さまざまな新商品・新製品が販売されます。

今回は、2023年に買ってよかったものを
全国にお住まいのみなさんに教えてもらいました。

土地に根づく人や店の人気商品をぜひ手に入れてみてください。

【東京都・武蔵野市】
旅先でのプレゼントや癒しにぴったりな一輪挿しカード

一輪挿しカード

今回のテーマは「2023年に買ってよかったもの」。
いつも食べ物ばかり紹介しているので、たまには違うものを紹介したいと思います。
武蔵野市・吉祥寺の仲道通りは、さまざまな雑貨店が点在しているのですが、
そのひとつに紙雑貨を専門に販売している〈ペーパーメッセージ〉というお店があります。

「一輪挿しのカード」(132円)は、ペンペン草、デイジー、アカツメクサ、たんぽぽなど野に咲く花をモチーフにしたものをラインナップ。

「一輪挿しのカード」(132円)は、ペンペン草、デイジー、アカツメクサ、たんぽぽなど野に咲く花をモチーフにしたものをラインナップ。

店内にはゆるくてかわいいイラストのポストカードや
メッセージカードなどがズラリと並んでいる人気のお店です。
なかでも「一輪挿しのカード」と「花瓶のカード」の
アイデアがとっても気に入ったため購入しました。

「花瓶のカード」(165円)には切り込みが入っていて、一輪挿しのカード」を互い違いに刺すとしっかり留まるしくみになっています。

「花瓶のカード」(165円)には切り込みが入っていて、一輪挿しのカード」を互い違いに刺すとしっかり留まるしくみになっています。

実はわたし、花モチーフのデザインやイラストが大好きなのですが、
実際に花を育てるのが苦手。
観葉植物やエアープランツすら枯らしてしまうので、
部屋のなかで飾っておけるのは生花ではなく、
みかんやりんご、バナナなどの果実類くらいしかありません。
そんな寂しい部屋をパッと明るくしてくれたのが、このカードなんです。

花瓶のカードを組み合わせて使うのもよいのですが、ガラスや陶器でできた一輪挿し用の花器に「一輪挿しのカード」を生けるのも◎。

花瓶のカードを組み合わせて使うのもよいのですが、ガラスや陶器でできた一輪挿し用の花器に「一輪挿しのカード」を生けるのも◎。

手帳に入れてどこにでも持ち歩くことができるので、
旅先や取材先でお世話になった人にメッセージを書いて贈ることもできます。

やわらかくほんわかした気持ちになれます。

やわらかくほんわかした気持ちになれます。

お気に入りの香水を吹きかければ、ふんわりと辺りがいい香りになります。
デスクや宿泊先の窓辺などにちょこっと置くだけで癒されるので、
とってもお気に入りのアイテムです。

information

map

ペーパーメッセージ

住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町4-1-3

TEL:0422-27-1854

営業時間:11:00~19:00

定休日:不定休

Web:ペーパーメッセージ

photo & text

Momo*Kinari きなり・もも

ライター・エディター。東京在住。Webや雑誌、旅行ガイドブックで撮影・執筆。 国内外でグルメや観光スポットを取材。たまに料理やモノづくり、イラストの仕事もしています。 Twitter:@Momo_kinari

今こそ、知っておきたい 都道府県のサイズ感

わかっていたけど、そんなに大きい?!

日本地図を思い浮かべることができても、
ふだんの暮らしのなかで、都道府県のサイズ感を意識することは少ないと思います。
今やリモートワークなど、遠隔でのコミュニケーションも当たり前になり、
より実際の距離感覚も掴みにくくなっているかもしれません。

例えば、東海道新幹線に乗って「やけに静岡県長いなあ」とか、
東北自動車道を運転して「あれ? まだ岩手県なの?」とか、
実際に移動して、意外と距離があるんだと感じる人も多いはず。

よく話題にあがるのが、北海道のサイズ感。
その大きさは、関東1都6県も近畿7府県もすっぽりと入るほどです。

北海道と関東地方

北海道と近畿地方

※地図はウェブメルカトルをベースに、おおよその大きさを把握するために作図。緯度の違いによる歪みを許容しています(以下も同様)。

札幌在住の人に「今、函館に来ているんだけど、これから会えない?」なんて
距離感がつかめていない発言をすると、北海道あるあるだと冷笑されるでしょう。

札幌から函館は直線距離で150キロ以上あり、
車の道のりでも最短250キロ以上、4時間以上かかります。
旅行上級者となれば、北海道のサイズ感を逆手にとって、
空港のINとOUTを変えて計画を組む「北海道シティホッピング!」を楽しむ人も。

また、たびたびSNSでも話題になるのが、新潟県と九州地方の比較。
さすがに同じ長さではないですが、その近いサイズ感に驚く人も。
新潟県は日本海沿岸線で330.8キロ、
県境の端から端までの直線距離でも250キロを超えます。

九州地方は、門司港から佐多岬までの直線距離で330キロほど。

九州地方は、門司港から佐多岬までの直線距離で330キロほど。

新潟県とひと言で言っても、エリアによって気候や文化も違い、特産品もさまざま。
広い新潟県内の多彩な魅力は「新潟のつかいかた」でも紹介されています。

陸前高田の気仙杉を使った フレスコボールのラケット

三陸海岸は新スポーツ・フレスコボールの聖地

みなさん、〈フレスコボール〉って知っていますか?
お菓子の名前? それとも洗剤?
いえいえ、実はブラジル・リオデジャネイロ発祥の
ビーチスポーツの名前なんです。

どのような競技かというと、大きなしゃもじ型のラケットを持ち、
向き合うふたりがどれだけ協力してラリーを続けられるかを競う、というもの。

その様子から「思いやりのスポーツ」とも言われ、日本では2024年1月の時点で
27の一般社団法人日本フレスコボール協会(以下、JFBA)公認地域クラブと
3の公認学生団体があり、フレスコボールを通じた
地域コミュニティが形成されているんだとか。

〈フレスコボール〉

岩手県・陸前高田市も、そのように
フレスコボールが普及しつつあるまちのひとつ。
きっかけは、東京でフレスコボールの選手として活躍していた
橋詰友人選手が陸前高田へ移住したことから。
そこからフレスコボールの輪が広がり、
2022年からは高田松原海水浴場で公式戦も開催されました。

最近は、宮城県気仙沼に「気仙沼フレスコボールクラブ」も誕生。
三陸海岸は、東北におけるフレスコボールの聖地として、
盛り上がりを見せているようです。

飽和状態の気仙杉を有効活用

そんな東北のフレスコボールの聖地、岩手県・陸前高田で、
JFBAから、フレスコボールの新ラケットブランド
〈TRILL(トリル)〉が誕生しました。

フレスコボールの選手であり、山木屋としても活動する平山夫妻

フレスコボールの選手であり、山木屋としても活動する平山夫妻。

自身もプレイヤーとして活躍し、陸前高田市で
林業・木工業に携わる山木屋の平山夫妻が製作したこのラケット。
地元産材・気仙杉を使ったモデルを中心に、
子どもから大人までが楽しめる全5本を展開しています。

名前は、イタリア語で「鳥のさえずり」という意味の、
2つの音を交互に素早く演奏する音楽記号から。
2つのラケットで打ち合う競技特徴と、
鳥のさえずりの絶えない陸前高田という土地柄から、
このように名付けられました。

陸前高田市では、木材として活用できる
良質な気仙杉が放置されている課題を解決するため、
「自伐型林業」と呼ばれる小規模間伐型の森林施業を推進。
そこから、地域おこし協力隊制度を活用し、
林業における後継者づくりを行っています。

平山夫妻は、そんな地域おこし協力隊として
陸前高田市の林業に従事し、その後完全移住された夫妻。

〈三俣山荘図書室〉伊藤圭さん 大町を再び登山のまちに。 北アルプスの“秘境”の復興に挑む

山と人とまちをつなぐサロン

長野県大町市。『北アルプス国際芸術祭』の舞台でもあるこのまちも、
普段はさすがに開催時期ほどのにぎわいはない。
しかし、かつて戦前~1960年代まで、
このまちは登山文化の発信地のひとつとして、全国から客足が絶えなかったという。

〈三俣山荘図書室〉。店の使用電力は屋上に設置したソーラーパネルで賄う。完全オフグリッドだ。(写真提供:三俣山荘図書室)

〈三俣山荘図書室〉。店の使用電力は屋上に設置したソーラーパネルで賄う。完全オフグリッドだ。(写真提供:三俣山荘図書室)

同じく〈三俣山荘図書室〉店内。バーカウンター脇に登山ギアとウェアのポップアップ。

同じく〈三俣山荘図書室〉店内。バーカウンター脇に登山ギアとウェアのポップアップ。

「山と人とまちをつなぎたい」
北アルプス・黒部源流の稜線にある〈三俣山荘〉と〈水晶小屋〉のオーナー、
伊藤圭さんは、往年の登山文化の復興を目指して、
2022年、大町のシャッター街となった商店街の一角に、
〈三俣山荘図書室〉をオープンした。

空き店舗になっていた元呉服店の3階部分を、
1年かけてDIYでリノベーション。
当時を伝える登山道具や山の写真がディスプレイされた階段と通路を抜けると、
アウトドアのウェアやギア、登山やエコロジーなどをテーマにした
約400冊の本がずらりと並ぶカフェに到着する。
大きく開いた窓から飛び込んでくるのは、北アルプスの山々だ。

店のテラスに出ると北アルプスが望める。取材時は11月、早くも雪に彩られて美しい。

店のテラスに出ると北アルプスが望める。取材時は11月、早くも雪に彩られて美しい。

「いろいろなカルチャーを持った人たちが山と出会う、
ハブになるようなサロンにしたいんです。
そうすることで登山も新しいカルチャーに生まれ変わる。
そうでもしないと、登山に興味のある人の数は増えないと、僕は思うんです」

伊藤さんがそう考え、三俣山荘図書室をオープンさせるに至った背景には、
登山文化や山小屋、まちという地域が抱える、さまざまな課題があった。

にぎわいを失った登山のまち

伊藤さんは、東京出身。
四谷育ちの都会っ子でサブカルチャー好きと、山とは縁遠い生活を送っていたが、
先代で日本の登山文化の黎明期を担った父・正一さんのあとを継ぎ、
山小屋のオーナーになった。

戦後の時代、正一さんは荒れ果てた山小屋の権利を買い取り、
土地の猟師たちと小屋を再建。
その経緯を綴った正一さんの著書『黒部の山賊』(ヤマケイ文庫)は
現在も山岳文学の名著と謳われるほどで、まさにまちの登山文化の発展に貢献した人物だ。

〈三俣山荘図書室〉店内ディスプレイより、伊藤さんの父であり開拓者、正一さんの年譜。

〈三俣山荘図書室〉店内ディスプレイより、伊藤さんの父であり開拓者、正一さんの年譜。

事実、かつて大町は“登山のまち”だった。
都市の文化人たちがこぞって山を目指し、
北アルプスの象徴である槍ヶ岳から烏帽子岳までの黒部源流域に伸びる
〈裏銀座ルート〉を登るために、登山客でにぎわった。
彼らは、地元旧家の出である百瀬慎太郎の旅館〈對山館〉(1892頃~1943年)に集い、
さながらサロンのように交流していたという。伊藤さんはこう解説する。

「1950年代には、登山客が駅前でぎゅうぎゅうになって雑魚寝したとか、
登山口行きのバスが満席だったとか、そういう話が残っています。
その後もいわゆる「登山ブーム」でにぎわいましたが、
1979年に大町の登山文化は一旦途絶えてしまうんです」

〈三俣山荘図書室〉入口までの階段にディスプレイされた往年の登山道具。

〈三俣山荘図書室〉入口までの階段にディスプレイされた往年の登山道具。

原因には、まちにある北アルプスへの入山口に高瀬ダムが完成し登山道が途切れたこと、
上高地や新穂高のようなほかの入山口が充実し登山客が流れたこと、
そしてまち自体の過疎化などが挙げられるという。
その結果、「裏銀座ルートはすべて寂れてしまい、
ここ40年間は下降線の一途をたどっている」と伊藤さんは語る。
追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルスによる登山客の激減=山小屋の減収だ。
「収益が例年の25%くらいに落ち込んで、このままじゃつぶれる、
なにかやらなきゃって、考え始めたんです」

〈三俣山荘図書室〉店内。父・正一さんの著書や登山ファンにはお馴染みの本も。

〈三俣山荘図書室〉店内。父・正一さんの著書や登山ファンにはお馴染みの本も。

3月8日は「町家の日」! 町家を起点にしたイベントが 3月2日~10日に全国各地で開催

町家が持つ知恵や工夫を見直す1週間に

マーチ(3月)・ヤ(8日)で〈町家の日〉。3月8日を挟む1週間、
2024年3月2日(土)から3月10日(日)を「町家Week」とし、
京都をはじめ日本全国で町家を舞台にしたイベントが開催されます。

「町家の日」とは、全国で毎日のように姿を消している町家の
保全と再生を行う「京町家情報センター」主催の取り組み。
京都のみならず全国に残る町家の魅力を発信すべく、2017年からスタートし、
2024年で8年目を迎えます。町家が持つ知恵や工夫を見直し、
その伝統価値や素晴らしさを広めるきっかけづくりを行っています。

参加地域は年々増えており、今回は京都、姫路、越後高田など、
5都市以上での開催を予定。町家を活用したアートギャラリー、ワークショプ、
お茶会のほか、講演会やミニコンサート、地域主催のマルシェなど、
各地で趣向を凝らしたイベントが目白押しです。

古きよき日本の町家

上方講談師による講談が行われた、2023年開催時。

上方講談師による講談が行われた、2023年開催時。

町家リノベの住まい見学やマルシェ、伝統工芸のワークショップも

古きよき日本のまち並みと町家をめぐるツアーや、
普段はお目にかかれない指定有形文化財の公開などもあり、
土地の歴史や文化が色濃く反映される町家に触れられる良い機会。
建築、デザイン、工芸、地域再生などに興味のある方にも見逃せないイベントです。

会場のひとつである京都では、これまでになかった取り組みとして
実際に住まいとして使われている町家を開放するオープンハウスを実施予定。
外観からは想像できないリノベーションを施した町家を見学することで、
「こういう暮らし方もありかも」といった発見や新たな価値観に出会えそうです。

住まいとしての町家。内装や暮らしぶりも興味深い。

住まいとしての町家。内装や暮らしぶりも興味深い。

また、手織りや紙漉き、型染といった伝統工芸体験や
町家と切っても切れない内装にまつわるワークショップも開催予定。
特別な空間、非日常になりつつある町家が、体験を通して身近に感じられるかもしれません。

2023年に行われた、京からかみのはがき摺り体験。

2023年に行われた、京からかみのはがき摺り体験。

紙漉きのワークショップ。今回も行われる予定。

紙漉きのワークショップ。今回も行われる予定。

ローカルとクリエイター。 18人の「気づきのコトバ」

移住、起業……、ローカルに多様に関わる18の方法

クリエイティブな仕事は、東京よりもむしろローカルにあるのではないか。
ローカルで事業を起こしたり、自分で移住したり。
ローカルシフトしたクリエイターたちは、そこでどんなことを感じたのだろうか。

「普通のジェット機は高度10000メートル以上で雲の上を飛ぶけれど、
1000メートル以下を有視界飛行するプロペラ機から見ると、
日本列島はとてもきれいなのだとわかります。
これは日本のものすごい資源。
まさに津々浦々、海も森も地域ごとに個性があり、
自然の力にあふれているんです。
なおかつ千数百年にわたりひとつの国であり続けた文化的蓄積があります」
原研哉

2019年に発表した、原さんが日本各地を訪れ、自身で撮影し、
原稿を書く自主的なプロジェクト〈低空飛行〉について。

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「グローバル/ローカル」の時代。価値はローカルに眠っています。']

「毎日この景色を目にするたびに、豊かだなと思います。
緑の木々、川の流れ、燃えるような夕焼け。
家にいるだけで、写真を撮りたくなる瞬間がたくさんやってくるんです」
川内倫子

2017年、豊かな自然が残る環境と、
東京まで車で1時間という利便性を兼ね備えた千葉県に移住し、
新築した家での暮らしについて。

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移住先の千葉で見つけたものとは?']

長野県白馬村に 地産地消のイタリア食堂 〈Trattoria Liberta〉オープン

白馬豚や信州サーモンなど地元素材を使って

日本アルプスの山間部に位置し、自然豊かな長野県白馬村。
冬はスキーやスノーボード、夏はハイキングが楽しめる避暑地として知られ、
2023年には国連世界観光機関(UNWTO)による「ベスト・ツーリズム・ビレッジ※」の
ひとつに選ばれた、いま注目のエリアです。

2023年10月、ウインタースポーツのベストシーズンを迎えた白馬村に、
カジュアルイタリアン〈Trattoria Liberta(トラットリア リベルタ) 〉が
新しくオープンしました。

〈Trattoria Liberta〉

〈Trattoria Liberta〉は、
今後オープン予定の古民家ホテル〈Kominka Hotel YUWAI 結〉の離れに位置し、
蕎麦屋をリノベーションしてつくられました。

木のぬくもりを感じられる内装

店内は、フィンランドのインテリアブランド〈Artek〉の家具などを使用し、
木のぬくもりを感じられる内装を目指しました。
大きな窓からはやわらかな光が差し込み、心地よい空間を演出しています。
テーブル席やカウンター席のほか、個室、テラスなども用意されており、
ひとりでも家族連れでも自由に過ごせます。

イチオシは、本場レシピの「マスターこだわりカルボナーラ」。

メニューは地産地消にこだわり、
白馬豚や信州サーモン、地元の野菜などを使用したカジュアルイタリアンです。
イチオシは、本場レシピの「マスターこだわりカルボナーラ」。
まったりとした濃厚な味わいが贅沢な、食べ応えのあるひと皿です。

ランチはカルボナーラのほか、「季節野菜のアーリオオーリオペペロンチーノ」、
「イタリア産トマトのシンプルスパゲッティー」の3種類から選べる、
ドリンク・サラダつきのランチセットがおすすめ!

ディナータイムには、「信州サーモンのカルパッチョ ハニーマスタードソース」や
「はくばの豚のスカロッピーネ 白ワインソース」など
前菜料理やメイン料理などが豊富に用意されています。
お酒とともに、長野県産の食材をたっぷり楽しめますよ。

※国土交通省官公庁の「日本の4地域が「ベストツーリズムビレッジ」に選ばれました! ~国連世界観光機関(UNWTO)が世界29カ国54地域を認定」を参照

別府に新ゆるキャラ誕生⁉︎ シーツをアップサイクルした 〈湯ザメぬいぐるみキーホルダー〉

〈湯ザメぬいぐるみキーホルダー〉(1980円)

売り上げの一部は観光促進に還元

国内きっての温泉地・別府。
今ここで、ユニークなキーホルダーが販売されているのをご存知でしょうか?
その名も〈湯ザメぬいぐるみキーホルダー〉。

〈湯ザメぬいぐるみキーホルダー〉

このゆる〜い表情。なんとも愛らしく、身につけていたら、
ふとした瞬間、癒しをもたらしてくれそうですよね。

実はこのキーホルダー、別府の宿泊施設で
役目を終えたシーツでつくられているんです。

古くから多くの宿泊施設がある別府ですが、
そのぶん不要なシーツや枕カバーなどが莫大な数にのぼるといいます。
プロジェクトに賛同した別府市を管轄するリネンサプライ2社への調査によると、
1か⽉に約800kg〜1tのシーツや枕カバーが処分されているんだとか。

それを一般社団法人 別府市産業連携協働プラットフォーム〈B-biz LINK〉は、
アップサイクル商品を開発して、
その売り上げを観光促進に還元する仕組みを考案。
〈湯ザメぬいぐるみキーホルダー〉として販売されることになりました。

このキャラクターをデザインしたのは、
福岡を拠点に活動する人気イラストレーターの oshow(おしょう)さん。
なぜ「サメ」をモチーフにしたかというと、
怖いイメージのサメをかわいらしいぬいぐるみに
落とし込んだときのギャップに惹かれたのと、
「湯冷め(ゆざめ)」と温泉になぞらえた言葉との
ダジャレ的な観点から採用されたそう。

キーホルダーにした理由は、
修学旅行などで現地のお土産さんに入ったときに、
ご当地のヘンテコなキーホルダーが興味深かった記憶から。

道産子のような強さを持った アカエゾマツを携えて 「WOODコレクション2024」 に参加します!

病原体や虫などへの防御物質を持つアカエゾマツ

北海道の東側、
弟子屈町にも本格的な冬がやってきた。
毎朝の気温は、マイナス10度以下。
そんな厳しい寒さのなかでも、
アカエゾマツは空に向かって真っ直ぐ、凛と立っている。

12月になって、川湯ビジターセンターの裏に広がる「アカエゾマツの森」にはやっと雪が積もり始めた。

12月になって、川湯ビジターセンターの裏に広がる「アカエゾマツの森」にはやっと雪が積もり始めた。

弟子屈町に蒸留所を構え、
「森林、樹木、草花の機能成分を有効活用し、
動物や人の健康福祉に貢献する」ことを
目的に掲げてアカエゾマツを研究している団体
一般社団法人Pine Grace(パイングレース)〉。
代表理事である酪農学園大学名誉教授の横田博先生は、
アカエゾマツの魅力を次のように語る。

「北海道の厳しい寒さや過酷な環境でも育つアカエゾマツには、
独自の強みがあるんです。
成長が遅いので、ほかの木にも適した好環境では負けてしまう。
ところが、谷地など水分を多く含む環境では
カビや害虫などが多く繁殖し、
普通の樹木は枯れるリスクが高いのですが、
アカエゾマツはそれらに対抗できる防御物質を持っているので
成長していくことができるんです」

横田先生をはじめとするPine Graceのメンバーは
こんな頑張り屋さんのアカエゾマツに恋焦がれて、
アカエゾマツが持つ防御物質の有効な活用方法を
日々探り続けている。

Pine Graceが活用するのは、アカエゾマツの枝葉。このなかに独自の防御物質が閉じ込められている。

Pine Graceが活用するのは、アカエゾマツの枝葉。このなかに独自の防御物質が閉じ込められている。

川湯ビジターセンターでは毎週末、
館内でアカエゾマツの蒸留をしている。

「うわぁ、森の香りですね」
「山から帰ってきたじいちゃんの匂いだ」などなど、
来館者のさまざまな感想はあるけれど、
それでもほとんどの人が好感を持ってくれる、
アカエゾマツの香り。

上品でやさしい(人によっては「甘い」という感想もある)香りを
「北海道の森」を象徴するものとして、
より多くの人に感じてもらいたいと、
ショップをオープンしてから1年間、
蒸留の実演を続けてきた。

館内の実演で使用しているのは、アロマ水蒸気蒸留器。1回につき、約120グラムの枝葉に350ミリリットルの水を合わせ、30〜60分ほどかけて抽出する。

館内の実演で使用しているのは、アロマ水蒸気蒸留器。1回につき、約120グラムの枝葉に350ミリリットルの水を合わせ、30〜60分ほどかけて抽出する。

「何に使うのですか?」「どんな効果があるの?」
香りの感想のあとに、来館者からはそんな質問が続く。

〈久原本家〉創業の地・久山町で 農業を通じて未来を耕す、 〈里山サポリ〉の循環の輪

個性的な企業、個性的な個人が共存する久山町

福岡県の中央に位置する久山町。
福岡市の近郊にも関わらず、手つかずの自然が残る土地として知られている。
そんな久山町の名前が全国へと広がるきっかけになったのが、
1893年に創業した〈久原本家〉の存在だ。

久原本家が手がける和食の店〈御料理 茅乃舎〉の鍋の味わいを家庭でも再現できる
「だし」を販売したところ大ヒットする。
そのヒットを受けて、茅乃舎のだしは全国的な知名度を獲得。
久山町という名前も全国へと知れ渡っていった。

久原本家グループの本社。周囲には田畑が広がる。

久原本家グループの本社。周囲には田畑が広がる。

〈御料理 茅乃舎〉から生まれた〈茅乃舎〉ブランドでは、
現在、だしだけでなく、醤油や味噌、麹といった幅広い調味料を展開。
さらに、こうした商品を企画・販売するだけでなく、関わりの深い食材にスポットをあて、
産地とつくり手を自社のウェブサイトを通して紹介している。

そのひとりが久山町でイタリア野菜を育てている城戸勇也さんだ。
海外での経験を含め、長らく飲食業に従事していたが、
前職のイタリアンでの勤務のなかで農業への転身を決意。
その後、ひとりで、しかも独学で、
ゼロから〈里山サポリ〉という屋号を打ち出し、農業を始めた。
しかも城戸さんは当初からイタリア野菜に特化。
その野菜づくりをベースに、さまざまなアクションを起こしているのだ。
そんな城戸さんの活動もまた、福岡県下はもちろん、今では全国へと認知を広げつつある。
久山という地に個性的な企業、そして個性的な人物が共存するのは、
果たして偶然なのだろうか。
普段よりも早起きして、久山町へと車を走らせた。

〈キッキリッキー〉のそばを流れる猪野川。水の透明度に見惚れてしまう。

〈キッキリッキー〉のそばを流れる猪野川。水の透明度に見惚れてしまう。

訪れたのは予約制をとる朝食専門店〈キッキリッキー〉だ。
入口のドアを開けると「いらっしゃいませ!」と元気な挨拶に迎え入れられた。
声の主はキッキリッキーを手がける里山サポリ代表・城戸勇也さんその人。
野菜づくりを軸としながらも、
こうして朝からキッキリッキーで料理人として自ら腕を振るい、
午後からは畑に出るという日々だ。

厨房に立つ城戸さん(写真中央)。

厨房に立つ城戸さん(写真中央)。

“食べられない果物”が、 おいしく大変身! カリンのまち、 まんのう町の新たな挑戦

カリンのまちに、ご当地カリン商品が誕生

カリンを使った粉末ドリンクにアイスクリーム、チョコレート。
これらの商品は、カリンのおもな産地のひとつである香川県まんのう町で、
地元の企業によって開発されたもの。

でもカリンそのものの味を想像できる人は少ないのでは。
それもそのはず、実はカリンは生では食べられず、加工も難しいことから、
シロップやリキュールなどに漬け込むような食べ方くらいしか知られておらず、
商品化にもつながりにくかったのだ。

そのカリンをなんとかおいしく食べてもらおうと、試行錯誤のうえ完成した商品は、
今回〈カリンのトリコ〉ブランドとして、
まんのう町で開催された「かりんまつり」で来場者に提供された。

2023年10月29日に国営讃岐まんのう公園で開催された「かりんまつり」には多くの人が訪れた。(写真提供:ロッテ)

2023年10月29日に国営讃岐まんのう公園で開催された「かりんまつり」には多くの人が訪れた。(写真提供:ロッテ)

甘すぎない爽やかな味わいに
「カリンは子どものときからある、身近な存在」
「懐かしい味にも感じた」と、カリンのまちならではの声が。一方で、
「シロップやのど飴くらいしかカリンのことを知らなかった」
「カリンって食べられるんだ!」という声も。
どうやらカリンのイメージは千差万別のようだ。

写真提供:ロッテ

写真提供:ロッテ

実はこの3商品、まんのう町と株式会社ロッテによる
取り組みのひとつとして開発されたもの。

1985年から〈のど飴〉を販売してきたロッテにとって、
カリンは大切な原料のひとつであり、シンボルマーク。
しかし、生では果実を食べられないこともあり、市場にはあまり出回っておらず、
実際にカリンの実を目にしたことがある人は少ないのが現状だ。

だが、カリンは1000年以上前から日本に根づいてきた果物。
家庭によっては寒くなり乾燥した季節になると、
カリンを漬け込んだシロップを飲むなど、古くから日常的に親しまれてきた。

そんなあまり知られていないカリンが持つ魅力を伝えるため、
ロッテは2022年9月に、商品に使用するカリン原料をすべて国産にリニューアル。
同時に、かねてよりカリンでまちを売り出そうとしていたまんのう町と
「まんのう町民のかりん認知拡大推進に関する連携協定」を締結し、
一緒にカリンを盛り上げていく仲間として、さまざまな取り組みを行っているのだ。

かりんまつりに先立ち実施された「かりん認知拡大推進に関する報告会」では、
ご当地カリン商品の開発に協力した、地元で活躍する3企業による商品の紹介と、
まんのう町のふたつの小学校で行われたカリンの魅力を伝える地域授業について報告。
ご当地カリン商品について、栗田隆義町長も
「カリンそのものを食べるのは難しいのですが、研究開発していただき、
おいしい商品ができたことを非常に喜んでいます」と太鼓判。

カリン商品に期待を寄せるまんのう町の栗田隆義町長(一番左)と、カリン生産者の田中阿佐実さん(左から2番目)。株式会社ロッテの豊田直弥さんと地元企業の担当者も〈カリンのトリコ〉ユニフォームで報告会に参加。

カリン商品に期待を寄せるまんのう町の栗田隆義町長(一番左)と、カリン生産者の田中阿佐実さん(左から2番目)。株式会社ロッテの豊田直弥さんと地元企業の担当者も〈カリンのトリコ〉ユニフォームで報告会に参加。

また、毎年7月頃になると約75万本が満開になるという、
まんのう町の夏の風物詩ひまわりと合わせて、
「春夏にはひまわり、秋冬にはカリンで、
まち、町民、カリン栽培者、企業みんなでカリンを盛り上げ、
ひまわりとカリンで元気あふれるまんのう町を推進していきたい」と、
まちぐるみでカリンを盛り上げていく意欲を語った。

和菓子屋のクッキーや アップサイクルで完成した逸品まで。 今年も気になる「ふるさと納税返礼品」


今月のテーマ 「ふるさと納税返礼品 2023」

活用している人も年々増加しているという
全国の自治体に寄付ができる「ふるさと納税」制度。

2021年もさまざまな地域に住むみなさんから
自慢の返礼品を紹介してもらいましたが、
今回は歴史ある名店や伝統工芸から生まれたアイテムをピックアップ!

本年度分の申し込みは12月末までと残りわずか。
趣向を凝らした逸品ばかりなので、
気になる人は急いでチェックしてみて。

【東京都武蔵野市】
安政2年創業の和菓子店がつくる、絵本のような〈井の頭の森クッキー缶〉

吉祥寺駅から徒歩8分、井の頭通り沿いにある〈御菓子処 俵屋〉は、
安政2年(1855年)に京都の福知山で御菓子造処司として創業し、
代々伝統を受け継ぎながら、
30年ほど前に吉祥寺に移転してきた老舗の和菓子店です。

和菓子職人の友田瑞穂さん(右)、パティシエの川島智紗さん(左)。クッキーなどの洋菓子をやりたい気持ちがあった友田さんは、専門学校の同級生である川島さんを誘って商品を製造しています。

和菓子職人の友田瑞穂さん(右)、パティシエの川島智紗さん(左)。クッキーなどの洋菓子をやりたい気持ちがあった友田さんは、専門学校の同級生である川島さんを誘って商品を製造しています。

同店の伝統的な商品の甘納豆や御召列車饅頭、
俵最中などの和菓子を和菓子職人の友田さんが、
クッキーやフロランタン、パウンドケーキなどを
パティシエの川島さんがひとつひとつ、ていねいにつくっています。

いちご大福や栗子餅など季節の和菓子も評判。

いちご大福や栗子餅など季節の和菓子も評判。

そんな老舗和菓子店に、
「絵本のような可愛らしいクッキー缶」をコンセプトにした
〈井の頭の森クッキー缶〉(寄付金額:14000円※)が登場。
武蔵野市のふるさと納税の返礼品としても購入できることになりました。
※11月現在の金額。今後変更予定。

食感や彩りのアクセントにキャラメルナッツや天然着色の金平糖も散りばめられています。

食感や彩りのアクセントにキャラメルナッツや天然着色の金平糖も散りばめられています。

10種のクッキーは、アーモンド、くるみ、
マカダミアナッツやヘーゼルナッツパウダーを使用。
発酵バターの風味豊かなリスのクッキーや、
米粉を使用した口溶けのやさしい米粉クッキー、宇治抹茶を練り込んだ
どんぐりのクッキーなど和のエッセンスも取り入れています。

絵本のようなリーフレットを読みながら味わえば、ほっこりした気持ちになれること間違いなし。

絵本のようなリーフレットを読みながら味わえば、ほっこりした気持ちになれること間違いなし。

お菓子はすべて化学製食品添加物不使用。
小さな子どもも安心して食べられます。
今年のふるさと納税は老舗和菓子店がつくるクッキーを選んでみては?

information

photo & text

Momo*Kinari きなり・もも

ライター・エディター。東京在住。Webや雑誌、旅行ガイドブックで撮影・執筆。 国内外でグルメや観光スポットを取材。たまに料理やモノづくり、イラストの仕事もしています。 Twitter:@Momo_kinari

一関市の老舗〈京屋染物店〉が “地域の価値の創造”に挑む 複合ショップ〈縁日〉

染め物屋の枠を超えて

岩手県一関市の里山に、
築およそ200年の古民家を改装した複合ショップ〈縁日〉がオープンした。

店内には衣・食・住の暮らしの道具を販売するショップスペースとカフェがあり、
敷地内にはワークショップができるスペースやギャラリーも有している。

縁日の母屋の外観。

縁日の母屋の外観。

縁日のショップスペース。

縁日のショップスペース。

企画や運営を担うのは大正7(1918)年に創業した〈京屋染物店〉。
城下町だった一関で着物の友禅染めから商を始め、
現在は半纏や手ぬぐいなど、おもに郷土芸能や祭の衣装を手がけている。
代表は4代目の蜂谷悠介さん。100年以上続く老舗だが、若い担い手が多く、
柔軟な発想で新しい取り組みに次々と挑戦している。

手の力で染料を布に押し込む手捺染(てなっせん)で半纏の生地を染める様子。

手の力で染料を布に押し込む手捺染(てなっせん)で半纏の生地を染める様子。

染め終えた布は張り上げて乾燥させる。デザインから染め、縫製までを一貫して行っているのも同社の強みだ。

染め終えた布は張り上げて乾燥させる。デザインから染め、縫製までを一貫して行っているのも同社の強みだ。

2018年には自社ブランド〈en・nichi〉を立ち上げ、
東北地方の伝統的な野良着「猿袴(さっぱかま)」から着想した〈SAPPAKAMA〉、
山仕事に用いられていた「山シャツ」から着想した〈YAMA SHIRT〉など、
東北ならではのエッセンスを盛り込んだ商品を開発してきた。
ほとんどの製品が永久修繕に対応。
東北に根づく刺し子の手法を生かしたお直しも受けつけている。

SAPPAKAMAは2019年度「グッドデザイン賞」を受賞。

SAPPAKAMAは2019年度「グッドデザイン賞」を受賞。

縁日では、こうした自社製品に加え、同社がセレクトした品も数多く並ぶ。
北日本のつくり手を中心に、心地良い循環が生まれている商品など、
製品づくりにおける思想に共感したことがセレクトの基準だ。

ものを買う場所としてだけではなく、食や祭り、ワークショップなどを通じて、
体験する機会も提供している同店。
こうした場をつくったのは、染め物屋という枠に留まらず、
土地ならではの伝統や手仕事の技術を後世に伝えていきたいという想いがあるからだ。

店頭にはさまざまな製品が並ぶ。写真は五穀豊穣を祈願してつくられてきた民芸品 ”馬っこ” をリデザインした〈ノ馬 - nouma -〉(1430円〜)と、奥州市の休耕田で育てたお米から蒸留したエタノールを使用した〈遠野が香るアロマスプレー〉(2400円〜)。

店頭にはさまざまな製品が並ぶ。写真は五穀豊穣を祈願してつくられてきた民芸品 ”馬っこ” をリデザインした〈ノ馬 - nouma -〉(1430円〜)と、奥州市の休耕田で育てたお米から蒸留したエタノールを使用した〈遠野が香るアロマスプレー〉(2400円〜)。

最先端の温泉地は電気をつくって売る!? 松之山温泉のホットな取り組み

地下に眠る豊富な資源で電気をつくる!

全国第3位の温泉地数を誇る、新潟県。
これからの季節はますます温泉が恋しくなってくるでしょう。
十日町市にある山あいの温泉地・松之山温泉は、
観光地というだけではない、
もっといえば、入浴だけではない温泉の利活用方法を見出し、
さらにはビジネスに結びつけている、今後が楽しみな温泉地です。

松之山温泉のまち並み。

松之山温泉のまち並み。

松之山温泉は、地域おこしの観点でも最先端の温泉地。
全国に幾多ある「温泉旅館組合」という組織ではなく、
旅館、みやげ店、建築業者、一般市民からの出資による会社
〈松之山温泉合同会社まんま〉を中心とした組織です。
会社を起こし、地域でビジネスをしていくことで
松之山温泉の方向性や目的意識、課題意識をはっきりと見ることができます。
〈まんま〉では、地元ならではのオプショナルツアーや
日本三大薬湯の温泉を活用したコスメ商品を発売し、
松之山温泉に活気をもたらしました。

〈松之山温泉合同会社まんま〉のみなさん。

〈松之山温泉合同会社まんま〉のみなさん。

2019年には〈松之山温泉合同会社 地EARTH(ジアス)〉を設立。
十日町市所有の源泉から湧出する約120℃の蒸気や
熱水を利用しバイナリー発電を行っています。
バイナリー発電とは、温泉の熱水や蒸気を使って、発電を行うこと。
つくった電気は、照明などの電気設備に使用されています。

家具の“循環”を体感する場所 〈トトン〉が見据える、 これからの暮らし

捨てられていく家具を目の当たりにして

富山県富山市に昨年9月オープンした、“家具の循環を体感できる”複合施設〈トトン〉。
非常にユニークなコンセプトのこの施設はどのようにして生まれたのか。
トトンの事業責任者を務める、富山市の家具・インテリア販売の老舗〈米三〉の
常務取締役・増山武さんに尋ねると、トトンの構想が生まれる以前から抱えていた、
あるもどかしい思いがきっかけだったという。

「我々は新しい家具をお客様に売るときに、
お客さまがそれまで使っていた家具を引き取っています。
その家具を一旦倉庫に持ち帰り、まとめて廃棄をしていたのですが、
それでいいのだろうかという思いがありました。
昔の家具は丁寧なつくりをしていてまだまだ使えるし、
とてもいい素材を使っているものも多いです。
しかも、廃棄するコストも高騰していました。
そうした状況にずっと“もったいない”という気持ちを抱いていたんです」

米三の倉庫に置かれた、購入者から引き取ってきた古い家具。

米三の倉庫に置かれた、購入者から引き取ってきた古い家具。

大量に生産し、大量に消費し、大量に廃棄する。
そうしたこれまでの一方通行型の経済活動から、
循環型の経済活動への転換が世界全体の課題となっている現在。

引き取って、もう処分されるだけの運命しかない家具で、
「循環」をつくり出すことはできないか。
そう考えた増山さんは、イベントで知り合った、
タンスや木彫りの熊のアップサイクル事業を手がけている〈家’s〉代表で、
のちにプロジェクトメンバーのひとりとして
〈トトン〉の立ち上げに関わっていくことになる伊藤昌徳さんに相談を持ちかけた。

「僕は家’sという会社で、引き取ったタンスをアクリルと掛け合わせ、
新たな価値をもたらすアップサイクルを行っています。
ただし、メインのスタッフが僕ひとりしかいないので、
どうしてもスピード感を出せないことから、
多くの家具を扱うことができません。
そこで、大量の中古家具を引き取っている米三だからこそできることとして、
中古家具の2次流通をやってみてはどうかと、増山さんに提案してみました」(伊藤さん)

株式会社家’sの伊藤昌徳さん。

株式会社家’sの伊藤昌徳さん。

家’sが手がける〈Re-Bear Project〉でアップサイクルされた木彫りの熊。

家’sが手がける〈Re-Bear Project〉でアップサイクルされた木彫りの熊。

当初はそのように、引き取った中古家具の2次流通のみを目指した施設を構想していたが、
伊藤さんのほか、グラフィックデザイナーやコピーライター、設計事務所など
チームが拡大しさまざまな議論を重ね、
他の施設や企業の事例も知るなかで、次第にその思いは変わっていった。

「上辺だけ取り繕ってもダメだなと。はじめは家具の2次流通を
どううまく回すかというビジネス軸の考え方をしていたのですが、
そうではなくDIYやリメイク、アップサイクルの価値を高めていけるような、
ひいては富山のカルチャーをつくっていくような場所にしていこう、
そういう思いにシフトしていきました」

トトンを案内してくれた増山武さん。

トトンを案内してくれた増山武さん。

そして、家具の循環を中心に新たなライフスタイルを提案する
複合施設〈トトン〉がオープンした。

富山駅から車で10分ほどの「問屋町」にあるトトン。
巨大なコンクリート造の倉庫が並ぶエリアの一角にある、
米三が保有する倉庫の1階と2階の広大なスペースを
リノベーションしてつくられた施設だ。

1Fには、サステナブルな雑貨やリペアした家具を販売するストアと
家具のリペア、DIYを行うスペース、
2Fにはカフェ、コワーキングスペースなど、
開放感ある施設内にはさまざまなエリアが設けられている。
さらに特筆すべきは、カフェやコワーキングスペースで使われている机や椅子、
食器や配膳のお盆まで、ほとんどすべての家具や道具が再利用、
あるいはアップサイクルされたものだということ。
まさに“家具の循環を体感できる”というコンセプトを体現した場所だ。

熊野古道に 探究型×バイリンガル小・中一貫校が 2025年4月開校予定

探究型グローカルスクールの〈うつほの杜学園〉

海や山をはじめとした大自然と温暖な気候に恵まれ、世界遺産である熊野古道を持つ
和歌山県田辺市中辺路町。
1000年以上の歴史があるこの地に、世界の子どもたちと日本の子どもたちが集う
国際的な学びのフィールドとして2025年4月、小・中一貫校の
〈うつほの杜学園〉が開校予定です。

和歌山県田辺市中辺路町

〈うつほの杜学園〉は、「熊野古道を世界とつながる学びの聖地へ」を目標に掲げた
探究型グローカルスクールを実現する小・中一貫校です。
「グローカル」とは、「グローバル=地球規模の視座」と
「ローカル=身近な地域社会の視座」の両方を持つこと。
そのため、バイリンガル教育にも力を入れ、英語の授業に加え、
一部教科も英語で行う計画です。

同学園が目指す探究型グローカル教育では、地域社会と世界、自然界とつながる中で
出された教科横断的なプロジェクトを中心にした「自分軸での学び」を大切に
「関係力」「探究力」「創造力」を育んでいきます。

加えて、日本の小・中学校の義務教育の内容もカバーしたカリキュラムとなり、
卒業時には私立校の卒業証明書が発行されます。

代表を務める仙石恭子氏は教育業界の出身ではないものの、
地方で育つ子どもたちに新たな教育の機会を提供するために、地元への移住を選択しました。

和歌山県の魅力を発信する 〈わかやま、ええわいしょ プロジェクト〉が発足! 第1弾のテーマは「梅酒」

和歌山県の魅力を知り尽くす放送局発のプロジェクト

和歌山県の魅力あふれる「いいもの」を発信する
〈わかやま、ええわいしょプロジェクト〉がこの夏に発足しました。

ええわいしょとは、「いいですね」といった意味で使われる地元の方言。

和歌山県が誇る食や文化などを日本国内はもちろん、
世界へ紹介しようと始まった取り組みです。

8月29日に東京・羽田で開催されたイベントに出席した関係者の皆さん。

8月29日に東京・羽田で開催されたイベントに出席した関係者の皆さん。

立ち上げの中心となったのは、1959年から県内でラジオ放送事業を行う〈和歌山放送〉。

コロナ禍でさまざまな課題に直面する事業者を目の当たりにしたことをきっかけに、
放送局としてできることを模索していたなかで生まれたのが、このプロジェクトでした。

60年以上にわたって地域密着で事業を行い、誰よりも県内の情報や名産品のよさを
知り尽くしている〈和歌山放送〉だからこそ、和歌山の魅力を全国に伝えることが
できるのではないかと考えたといいます。

同社がこれまで築き上げてきたつながりを生かして始動したプロジェクトの
第1弾となるテーマに掲げたのは「梅酒」。

第1弾となるテーマに掲げたのは「梅酒」

日本一の梅の産地としても有名な和歌山県には、多くの梅農家のほか、
梅酒をつくる酒造会社が点在しています。

近年、20代・30代の女性を中心に梅酒の人気が高まっていることを背景に、
ホワイトリカー以外のお酒をベースにした梅酒が登場するなどバリエーションも
多様化しています。

そこで、県内で梅酒を製造している23の事業者を取り上げ、
それぞれの個性あふれる梅酒を紹介。

東京と大阪で行う販売会などで商品の魅力を伝えるほか、
梅種の魅力をわかりやすく届けるPRブックを制作し、
協力事業者の店舗をはじめ、さまざまな場所で無料配布を行っています。

旅&ローカルフードをテーマとした 広島初の複合アンテナカフェ 〈FRASCO〉

広島市中区に旅とローカルフードを体験できる
複合アンテナカフェ〈FRASCO〉がオープンしました。

運営を行う〈FRASCO〉は、地方自治体を中心とした地域の活性化に伴うプロジェクト
(中山間地域振興や観光振興、シティプロモーション、移住定住など)を中心とした事業を
展開してきた企業です。
これまで培ってきた地域との繋がりをいかしつつ、新たな事業展開として、
地方と都市をつなぐリアルな場として複合アンテナカフェを開設しました。

複合アンテナカフェ〈FRASCO〉

敷地内には素朴ながらも、安心で豊かなローカルフードが味わえる
〈Tabi Labo CAFE〉、里山・里海のとっておきの食や雑貨が並ぶ〈さとやま商店〉
が併設され、スタッフから県内外の旅の情報を聞くことができます。

店舗デザインは「⽇本空間デザイン賞 2022 shortlist (⼊賞)」や、
令和元年度「美しい街づくり賞 リノベーション部⾨賞」など数々の受賞歴がある
呉市のクリエイティブデザイナー兼ディレクターの中本尋之⽒が⼿がけています。
段々になっているエントランスは、ホップ、ステップ、ジャンプと複合アンテナカフェの
3つの機能へ訪れて欲しいという想いが込められた遊び心あふれるスペースに。
ここで、コーヒーやプリンを楽しむことも可能です。

壁面には、広島・山口の旅マップもあり、各地の地方創生を手がける
FRASCOのオフィスも併設されているので、
ローカル好きな人と出会えるかもしれません。

旅するローカルフードの〈Tabi Labo CAFE〉

「ひろしま さとやまプリン」

県内のとっておき素材でつくられたローカルフードで
地域の魅力を発見できる〈Tabi Labo CAFE〉。
看板メニューは、広島を代表する安心と健康に配慮した
広島市湯来町の〈サゴタニ牧農〉の牛乳と生クリームを贅沢に使用した
「ひろしま さとやまプリン」(480円)です。

サゴタニ牧農の牛は、土づくりからこだわった
自社牧草地の栄養たっぷりの牧草を食べて育ちます。
日本の95%の牛乳は超高温殺菌されていますが、砂谷牛乳は残りの5%に当たる
パスチャライズド牛乳です。
一般的な牛乳作りより、手間も時間もかけられています。
パスチャライズド牛乳中のタンパク質は、ほとんど熱変性しないため、
カルシウムと共に体内でゆっくり消化吸収され、お腹がゴロゴロしにくい
とも言われています。

また、プリンには県内産の新鮮たまごや甜菜糖を使用し、
なめらかで、トロッとしたミルキー食感に仕上がっています。

サゴタニ牧農の牛

店内限定のプリンは、広島の陶芸作家であり、金継ぎ職人の
藤原華苗さんの器でいただくことができ、グリーンやブルー、ピンクにイエローなど、
やさしい淡い色は瀬戸内の風景を思わせます。

「ひろしま さとうみゼリー」

そしてもう一つの名物が、瀬戸内のさまざまな地域の農家が育てた
季節ごとのフルーツやお花を使用した、「ひろしま さとうみゼリー」(480円)です。
瀬戸内の寒天を使用することで、おばあちゃんがつくってくれたような、昔ながらの
固め食感を再現したカラフルでPOPなゼリーになっています。
フレーバーは季節に応じて異なりますが
イチゴや柑橘、ブルーベリー、ピオーネ、無農薬バタフライピーなど。
開発には、大崎上島町の岩﨑農園・岩﨑亜紀さんも関わっています。
テイクアウトが可能で、ネットショップ〈さとやま商店〉でのお取り寄せもできます。

ちなみに店舗やプリン、ゼリーのロゴデザインは、デザイナーの寺下のぞみさんによるもの。
たまごとプリンで広島県の形をイメージしています。
ゼリーは、かもめのお腹に、風・海・山をデザインし、里山里海の風土で育った
果実を使用していることを表現しています。

〈カネス製茶〉が立ち上げた
ボトリングティーブランド
〈IBUKI bottled tea〉で、
見据える日本茶の未来

地元を離れ、家業、そして日本茶の価値に気づいていく

〈カネス製茶〉は、創業から60年以上の歴史を誇る静岡県の老舗の茶商。
昨年11月に会社として初となる
ボトリングティーブランド〈IBUKI bottled tea〉がローンチした。

ボトリングティーとは、特別な製法で茶葉のポテンシャルを最大限に引き出し
ボトルに詰めたリキッドタイプの高級茶のこと。
1本1万円から何十万円もするものまで、価格帯の幅は広いが、
いずれにしても通常のお茶の常識とはかけ離れた味と価格が特徴だ。

川根地区にあるカネス製茶の契約農家の茶園。このあたり一帯は鎌倉時代から続く茶園だという。

川根地区にあるカネス製茶の契約農家の茶園。このあたり一帯は鎌倉時代から続く茶園だという。

カネス製茶は静岡県の中部に位置する島田市の金谷と呼ばれるエリアに会社を構える。
大井川流域のこのエリアは銘茶の産地としても名高く、
下流域には全国の茶園面積の約12%を占める日本一の茶産地「牧之原茶園」がある。
お茶どころ静岡のなかでも特に古い歴史を持ち、
お茶づくりにおいて質・量ともに日本をリードしてきた地域なのだ。

カネス製茶の外観。直売所も備えている。

カネス製茶の外観。直売所も備えている。

〈IBUKI bottled tea〉は、
「IBUKI」「KOUSHUN」「NIROKU」といった3つのコレクションで構成されている。
自社の研究茶園で20年以上かけて研究開発した
希少な茶葉「金谷いぶき」を原料に使用した「IBUKI」は、
口に含んだ瞬間に強烈に広がる豊かな甘みと濃厚な旨みが特徴。

地元の島田市・伊久美地区の契約農家で栽培された
茶葉「香駿」が原料の「KOUSHUN」は、
さっぱりとした飲み心地と華やかな香りが堪能できる
バランスのいい飲み口のボトリングティーだ。

「NIROKU」はなんと和紅茶。
和紅茶栽培のパイオニア的存在である村松二六さんがつくった
品種「いずみ」を原料にしており、そのリスペクトをこめた名前に。
甘い蜜のような香りと自然な心地よい甘みが特徴だ。

「大前提として、これらは単体で楽しんでもらいたいものですが、
僕は新しい楽しみ方としてカクテルを提案したいです。
例えば、IBUKIやKOUSHUNなどの旨みを感じるタイプの煎茶は
ジンと合わせて飲むことをオススメします。
意外な組み合わせだと思われるでしょうけど、
マティーニのようなおいしいカクテルになります。
NIROKUは個人的にはスコッチ系統のジャパニーズウイスキーを2、3滴足して飲むと、
ウイスキーの芳醇な香りと紅茶の甘い香りが絶妙にマッチして最高です。
ペアリングするなら、チーズやアンチョビなどがいいと思いますね」

〈IBUKI bottled tea〉のラインナップ。左から「IBUKI」「KOUSHUN」「NIROKU」。

〈IBUKI bottled tea〉のラインナップ。左から「IBUKI」「KOUSHUN」「NIROKU」。

福井県越前市に町屋を活用した コワーキングスペース〈Idea Sync〉が誕生

県外企業も注目の新たな交流拠点

2023年8月25日(金)、福井県越前市に
コワーキングスペース〈Idea Sync(アイデア シンク)〉がオープンしました。

コワーキングスペース〈Idea Sync(アイデア シンク)〉

Idea Syncはコワーキングスペースのほか、
シェアオフィスや会議室として使えるレンタルブース、
撮影・イベントブースなども兼ね備えていて、
打ち合わせやドロップインなどさまざまな用途で使うことができます。
越前市役所から徒歩約5分の好立地も魅力です。

2階にあるシェアオフィスの一室

2階にあるシェアオフィスの一室。

シェアオフィスは全部で5室あり、県内企業だけでなく
東京を拠点とするVtuber関連企業の入居もすでに決まっており、
仕事を通じた新たな交流に期待が高まりつつあります。

1階のコワーキングスペース

1階のコワーキングスペース。

今後は研修や、教育サービスの提供など、さまざまなイベントが開催される予定とのこと。
運営元は越前市に事務所を構えるデザイン会社〈株式会社Idea Craft〉で、
同社のノウハウを活かした「デザイン・マーケティング相談窓口」の開設も
進めているそうです。

山から跨線橋まで。
知床・羅臼、奥州、秋田、東京の
「まちの絶景」といえば?


今月のテーマ 「まちの絶景」

旅先やふと訪れた場所の風景に心を奪われた人も少なくないはず。
今回は本企画ライター陣に
「これだ!」と思う自分の住む「まちの絶景」について教えてもらいました。

四季折々の表情をみせる自然の雄大な美しさはもちろん
もうすぐなくなってしまう文豪が愛した絶景スポットも見逃せません。
週末や連休を使って足を運んでみてはいかがでしょうか。
思い立ったが吉日ですよ。

【岩手県奥州市】
山・水・空を一度に見渡せる〈奥州湖眺望台〉

私のおすすめの絶景スポットは〈奥州湖眺望台〉。
市内西側の玄関口に位置する〈胆沢(いさわ)ダム〉にある展望台です。
周辺は自然に囲まれていて、向かう道中も気持ちのいいドライブが楽しめます。

〈奥州湖眺望台〉から見える焼石連峰。

〈奥州湖眺望台〉から見える焼石連峰。

左手には栗駒国定公園の一部である「焼石連峰」が一望でき、
右手には日本三大扇状地のひとつである「胆沢扇状地」が広がっています。

胆沢扇状地。

胆沢扇状地。

季節や時間帯によって、異なる色の空・水・緑・風を360度感じられ、
ほかに人がいなければ、美しい景色を贅沢に独り占めできちゃうかも!

また、展望台の反対側にある〈胆沢ダム管理支所〉に行くと
国内最大級のロックフィルダムであるダム堤体の上を歩くことができ、
そこから眺める景色も圧巻なので、ぜひあわせて訪れてみてもらいたいです。

紅葉シーズンもおすすめですが、
11月頃から眺望台までの道が閉鎖されるので事前に道路情報の確認をお忘れなく。

information

map

奥州湖眺望台(胆沢ダム)

住所:岩手県奥州市胆沢若柳

Web:胆沢ダム

photo & text

小川ちひろ おがわ・ちひろ

遊軍スタイルフリーコーディネーター。東京出身。オーストラリアや台湾での海外生活も経験する放浪人間。異なる文化や感覚を持つ「人」に興味を抱く。 転職を機に〈地域おこし協力隊〉の制度を活用して岩手へ移住。現在は遊軍スタイルのフリーコーディネーターとして、旅するように東北の暮らしを堪能中。フットワークの軽さとコミュニティの広さをいかして、人をつなげてケミカルな反応が起こる「場」や「間」を創り出すことを楽しんでいる。