家具の“循環”を体感する場所 〈トトン〉が見据える、 これからの暮らし

クリエイターが集い、ものづくりが始まる場所に

2階には、コワーキングスペース、マテリアルライブラリー、
カフェ食堂〈トトンKITCHEN〉、フォトスタジオという4つのエリアが設けられている。
家具がずらりと並べられて開放的だった1階の空間と比べて、
しっかりとエリアごとでその用途が分けられている。

2Fの大半を占めるコワーキングスペースは、月額1万円で会員利用できるほか、
一般の方の一時利用も可能。
置かれた机や椅子は、すべて米三が引き取った家具を再利用したものだ。
なかには家具をユニークに活用した場所もある。
打ち合わせスペースの座席に
ベッドのカバーを取り外したポケットコイルが使われていたり、
個室ブースの扉が食器棚になっていたり、
どのように引き取った家具が活用されているかを考えるのも楽しい。

食器棚は隠し扉のようになっていて、奥には個室スペースがある。

食器棚は隠し扉のようになっていて、奥には個室スペースがある。

増山さんはこのコワーキングスペースに、
サステナビリティやアップサイクルに関心を持つクリエイターや企業を集め、
新たなものづくりの拠点にしたいと考えている。

「富山市はビジネスパーソンが集うコワーキングスペースはあるのですが、
クリエイターに特化した場所はないんです。
クリエイターの方とともに、メーカーの新規事業部の人や
行政の人が出張オフィスのようなかたちでここにデスクを置いて、
自然とセッションが生まれて新たな何かにつながる、
シェアオフィスのような場所になってくれたらという思いがあります」

コワーキングスペースではイベントもよく開催しているという。
机やテーブルを移動すれば、200人規模のイベントの開催も可能だ。
さらにコワーキングスペース奥には、別途イベント用のスペースも設けられている。
ここではクローズドのイベントが開催でき、
サルベージパーティやワークショップなど、さまざまなかたちで利用されている。

2Fへ続く階段を上がったカフェ横のスペースにあるマテリアルライブラリーは、
富山の企業を中心に、製品の製造過程のなかで発生する端材や廃材などを紹介するエリア。
レーザー加工で切り抜いた金属の残材や、ガラス瓶を細かく砕いたもの、
木材の端材などが展示されている。

これらは展示されて終わりではない。
これまでは捨てるしか道がなかったこれらの素材を、トトンで展示することにより、
素材の特性に目をかけた企業や団体と
新たな商品開発へとつなげていくことを狙った場でもあるのだ。
実際にトトンでは、印刷工程の途中で破棄される紙を活用して、
スタッフの名刺を作成している。

writer profile

平木理平 Rihei Hiraki
ひらき・りへい●静岡県出身。カルチャー誌の編集部で編集・広告営業として働いた後、2023年よりフリーランスの編集・ライターとして独立。1994年度生まれの同い年にインタビューするプロジェクト「1994-1995」を個人で行っている。@rihei_hiraki

photographer profile

朝岡英輔 Eisuke Asaoka
あさおか・えいすけ●写真家。埼玉県出身。歴史や文化の薄い郊外のベッドタウンで育ち、茫漠とした青春を送る。その反動か、旅雑誌やメディアの仕事を通じて、国内外の暮らしや企業を取材するようになる。リサーチプロジェクト「住むの風景(東京編)」では、作家の温又柔氏を中心に『四十年目の都市』をテーマに建物の建て替えとともに変わっていく東京をリサーチしている。2022年末に写真集『over』を上梓。 @eisuke_asaoka_photography

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