“食べられない果物”が、 おいしく大変身! カリンのまち、 まんのう町の新たな挑戦
逆転の発想で誕生した〈SUNNYSIDE FIELDS〉のチョコレート
最後に紹介するのは〈かりんのチョコレート〉。
開発を手がけたのは、讃岐山脈を見渡す里山に店舗を構える
〈SUNNYSIDE FIELDS(サニーサイドフィールズ)〉。
インドネシアから直輸入したカカオ豆とコーヒー豆を
店内の工房で焙煎・加工したクラフトチョコレートやコーヒーをはじめ、
農薬や化学肥料を使わない野菜でつくるお弁当なども販売しているショップだ。

もともとは看板工場だったという建物をリノベーションしてつくられた〈SUNNYSIDE FIELDS〉の店舗。
果物とチョコレートなら相性がよく、商品化しやすかったのではと思いきや、
「カリンを使うのは初めてでしたし、カリンを使ったチョコレートの前例がないか、
かなり探したのですがまったくなかったですね」と話すのは、
ショコラティエの八十川(やそがわ)恭一さん。
「チョコレートは、基本となるチョコレートがあって
フルーツと一緒に食べるとおいしい味わいになるのですが、
カリンの場合は独特の渋みや酸味がある。
そこで逆の発想で、カリンにチョコレートを合わせるかたちにしました。
インドネシアのカカオ豆はレッドベリーや南国系の果物に例えられる味わいなのですが、
その味わいとカリンの酸味がケンカしないような
チョコレートにするのに苦労しましたね」

SUNNYSIDE FIELDSショコラティエの八十川恭一さん。
カリンの酸味と合うように、カカオ豆の焙煎具合から工夫をして
完成したというチョコレートは、板チョコレートではなく生チョコレート。
通常、生チョコレートは生クリーム、チョコレート、
バターを混ぜ合わせてつくるものだが、ここでも八十川さんのひと工夫が。
「生クリームの代わりに、カリンのシロップとはちみつカリンペースト、
そしてローズマリーを加えて長時間炊いたものをチョコレートに合わせています。
ただ、それだけだと乳脂肪分が入らないため硬さが出てしまうので、
まんのう町産の〈まんのうひまわりオイル〉を入れて硬くなりすぎないようにしました」

左からカカオ豆、カリンの濃縮シロップ、まんのうひまわりオイル、はちみつカリンペースト。ペーストは程よい甘さと渋みで、パンやクラッカーに塗ってもおいしそうな味わい。
そして完成した〈かりんのチョコレート〉は、チョコレートの濃厚さのあとに
カリンの程よい酸味を感じられる、かつてない味わいに。
カリンがもっと広く認知されれば、
チョコレートの定番にすらなれるかもしれないおいしさだ。

口どけなめらかな〈かりんのチョコレート〉。カリンとチョコレートがそれぞれのおいしさを引き立て合っている。
また、商品開発をするのが好きという八十川さんには、
まだカリンを使った商品のアイデアが。
「うちでつくっているフレーバーチョコレートで、
瀬戸内レモンの果汁をパウダーにしたものを
チョコレートに練りこんでいるものがあって。
カリンの果汁もパウダー状にできるのであれば、
ミルク風味のチョコレートにしてもおいしいと思うんです」
まだまだ加工技術が発達していないというカリン。
今後の技術の発展次第では、次々とおいしいスイーツが誕生しそうだ。

SUNNYSIDE FIELDS代表の多田周平さんがこの景色を気に入ってここに店舗を構えたという、自然豊かな風景が広がる。ここで暮らすヤギも人気者。