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コロカル編集部
全国第3位の温泉地数を誇る、新潟県。
これからの季節はますます温泉が恋しくなってくるでしょう。
十日町市にある山あいの温泉地・松之山温泉は、
観光地というだけではない、
もっといえば、入浴だけではない温泉の利活用方法を見出し、
さらにはビジネスに結びつけている、今後が楽しみな温泉地です。
松之山温泉は、地域おこしの観点でも最先端の温泉地。
全国に幾多ある「温泉旅館組合」という組織ではなく、
旅館、みやげ店、建築業者、一般市民からの出資による会社
〈松之山温泉合同会社まんま〉を中心とした組織です。
会社を起こし、地域でビジネスをしていくことで
松之山温泉の方向性や目的意識、課題意識をはっきりと見ることができます。
〈まんま〉では、地元ならではのオプショナルツアーや
日本三大薬湯の温泉を活用したコスメ商品を発売し、
松之山温泉に活気をもたらしました。
2019年には〈松之山温泉合同会社 地EARTH(ジアス)〉を設立。
十日町市所有の源泉から湧出する約120℃の蒸気や
熱水を利用しバイナリー発電を行っています。
バイナリー発電とは、温泉の熱水や蒸気を使って、発電を行うこと。
つくった電気は、照明などの電気設備に使用されています。
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一般家庭280世帯相当の年間電気使用量にあたる、年間約124万kWhを発電しており、
〈東北電力〉や〈みんな電力〉といった電力会社へ売電しています。
十日町市の第二次総合計画の
目標(市内の電力消費量の30%を再エネで創出)達成のための取り組みのひとつとして、
事業化が検討されてきました。
しかし当初は、源泉枯渇への懸念から、
地元住民など関係者の多数が事業に難色を示していたそう。
そこで〈まんま〉が地域の合意形成を担って
源泉の監視・状態把握方法や問題発生時の対処などについて話し合い、
関係者の不安をひとつずつ解消したこと、
さらに発電目的の掘削はせず、
余剰温泉資源のみの利用に制限したことで地域合意に至ったそうです。
2020年5月に施工開始して10月に完了というスピーディーさも、
地域住民の理解あってのことでしょう。
翌2021年にはみんな電力への試運転売電も開始しました。
そしてこの夏、協定関係にある東京都世田谷区への、
発電電力の供給が始まりました。
これらの売電利益は、温泉余熱の有効活用など、
地域活性化の財源の一部として活用される予定です。
地球の恵み、地熱を利用した温泉と、それらをエネルギーとして利活用していく事業。
ホカホカの温泉に入るたびに〈まんま〉と〈ジアス〉の取り組みを思い出しそうです。
information
松之山合同温泉まんま
Web:まんま公式ページ
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