colocal コロカル マガジンハウス Local Network Magazine

連載の一覧 記事の検索・都道府県ごとの一覧
記事のカテゴリー

news

熊野古道に
探究型×バイリンガル小・中一貫校が
2025年4月開校予定

コロカルニュース

posted:2023.11.2   from:和歌山県田辺市  genre:暮らしと移住 / 活性化と創生

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Riho Nakamori

中森りほ

なかもり・りほ●東京生まれ東京在住のフリーライター/編集者。仕事やプライベートで月に1回以上、地方や海外へ。各地のおいしい食べ物やお酒、素敵なホテルや旅館を発掘するのが趣味。好きな番組は『ブラタモリ』『六角精児の呑み鉄本線・日本旅』。

探究型グローカルスクールの〈うつほの杜学園〉

海や山をはじめとした大自然と温暖な気候に恵まれ、世界遺産である熊野古道を持つ
和歌山県田辺市中辺路町。
1000年以上の歴史があるこの地に、世界の子どもたちと日本の子どもたちが集う
国際的な学びのフィールドとして2025年4月、小・中一貫校の
〈うつほの杜学園〉が開校予定です。

和歌山県田辺市中辺路町

〈うつほの杜学園〉は、「熊野古道を世界とつながる学びの聖地へ」を目標に掲げた
探究型グローカルスクールを実現する小・中一貫校です。
「グローカル」とは、「グローバル=地球規模の視座」と
「ローカル=身近な地域社会の視座」の両方を持つこと。
そのため、バイリンガル教育にも力を入れ、英語の授業に加え、
一部教科も英語で行う計画です。

同学園が目指す探究型グローカル教育では、地域社会と世界、自然界とつながる中で
出された教科横断的なプロジェクトを中心にした「自分軸での学び」を大切に
「関係力」「探究力」「創造力」を育んでいきます。

加えて、日本の小・中学校の義務教育の内容もカバーしたカリキュラムとなり、
卒業時には私立校の卒業証明書が発行されます。

代表を務める仙石恭子氏は教育業界の出身ではないものの、
地方で育つ子どもたちに新たな教育の機会を提供するために、地元への移住を選択しました。

Page 2

学校長には東洋大学国際部教授が大学教授と兼任で就任予定、旧二川小学校での開設を予定

中辺路にある旧二川小学校跡地での開設を予定

1学年の定員は25名で、小学校150名・中学校75名です。
学費は生徒一人あたり年間80万円~100万円を想定。
中辺路にある旧二川小学校跡地での開設を予定しており、
田辺市・旧二川小学校周辺の地域住民と三者協定を結んで準備を進めています。

〈うつほの杜学園〉の学校長予定者には、市川顕氏が選出されています。
市川氏は東洋大学の国際学部グローバル・イノベーション学科にて、地方創生や
グローカルに関する研究を長年おこなっており、〈うつほの杜学園〉が目指す
グローカル教育の具現化に適任であると考え選出されました。

また、企業との初の包括連携先として、南紀白浜にあるテーマパークと動物園を併設する
〈アドベンチャーワールド〉を運営する株式会社アワーズと契約を締結予定です。

バイリンガル教育、探究型プロジェクト、食学、きのくにフィールド体験の4つの教育特徴

〈うつほの杜学園〉

〈うつほの杜学園〉には、大きく分けて4つの特長があります。

ひとつ目はバイリンガル教育。
地方にいながらも、世界とつながれることがポイントで
いくつかの教科において日本語だけでなく英語での指導を行います。
東洋大学の外国留学生と交流を持つ中で、多言語での交流を図る機会ももうけるそう。

ふたつ目は探究型プロジェクトです。
教員の指導のもと、子どもたちが感じた「なぜ?」を積極的に探究してもらえるよう
理科と社会の教科の代わりに教科を横断して設けられるプロジェクト授業の中で
自分で考える力や学び続ける力、またプレゼン能力を身に付けていきます。
例えば、4年生は「道」というテーマを予定。
熊野古道を通じて社会の問題、道ができた歴史、現在あるいろいろな交通機関、
宿場町、どうしてその街に至ったのか、本宮に至ったのかなど
教科書の順で学ぶのではなく、再編成し、
自らの経験で学べるようにしていくそう。

3つ目は食学です。
自然豊かな和歌山の地は、海の幸、山の幸に恵まれています。
「私たちの身体は私たちが食べたものでできている」
「動物、植物の命をいただいて生きている」そんな、本来は当たり前のことを
伝えていきます。
自分たちで作り、調理し、そして食べる。
地域の方々に伝統的な食の知識を教えていただく。
そのような科目を準備しているとのこと。

4つ目がきのくにフィールド体験。
学校周辺の熊野古道、高野山をはじめとする豊かな自然のフィールドや
文化的歴史的フィールドの中で体験学習を行います。

世界・地域・自然とつながり、関係力・想像力を育んでいく「探究型グローカル教育」
を掲げる〈うつほの杜学園〉。
教育移住を選ぶ家庭が増えているという状況も追い風に、
新たな学校設立が、過疎化が進む地域の活性化にもつながることが期待されます。

information

map

うつほの杜学園

Feature  特集記事&おすすめ記事

Tags  この記事のタグ