2020年(令和2年)は、北陸新幹線が開業して5年になる。
沿線の富山駅周辺は相次いでホテルの開業が予定されており、
この何年かで景色も大きく変わっていく。
一方でまちの中心部には、戦後間もなく生まれた旅館を4年かけてリノベーションし、
2019年(令和元年)に再オープンさせたおかみがいる。
北陸にある民間宿泊施設のリノベ物件では唯一、ZEB(ゼブ) Ready認証を取得した旅館で、
館内には老舗旅館らしからぬ仮眠室や共有キッチンなど
ホステルのような機能も完備した。
「旅慣れた人に集まってほしい」と願う〈喜代多(きよた)旅館〉の
3代目おかみ・濱井憲子さんの挑戦を聞いた。
旅館らしくない老舗旅館

喜代多旅館。改修や増改築を繰り返した歴史があり、右半分が鉄骨造、左半分が鉄筋コンクリート造。
旅館ときいて、どのような姿を連想するだろうか。
和式の建築に、畳の敷かれた客室があって、
温泉地では天然温泉が楽しめるといったイメージではないだろうか。
2019年(令和元年)にフルリノベーションの工事を経て、
富山市の中心部に再オープンを果たした喜代多旅館は、
その手の先入観を気持ち良く覆してくれる。

バリアフリーのユニバーサルルーム。
まず、喜代多旅館には、足腰のしっかりしない高齢の宿泊客を想定して、
ベッドに寝泊りできるバリアフリーの洋室(ユニバーサルルーム)がある。
室内だけ見れば、どこかの高級ホテルか、品のいいオーベルジュの宿泊施設のようだ。

仮眠室。
一方で館内には、高速バスユーザーなどを想定した、
早朝と深夜にのみ使用できる仮眠室のベッドが8人分、用意されている。
共用のキッチンがあり、スクリーンカーテンで間仕切りが可能な大部屋があり、
24時間利用可能なシャワールームもある。
こうなると今度は、ホステルのような印象すら受けるはずだ。

2階の共有スペースと、奥には24畳の大広間。
それでいて、館内全体に洗練されたデザインや設計のおもしろさが見てとれる。
家具類に至ってはリノベーションのために、すべてオーダーメードでつくられた。
一般の旅館と比べると廊下も広く共有スペースもたっぷりと設けられていて、
一方ではいかにも旅館らしい和式の客室も8室用意されている。



















































































