東京下町・酎ハイ街道のれんめぐり
〈亀屋〉琥珀の酎ハイに隠された
「秘密」とは

●東京下町でいただく今宵の酎ハイは……
母と息子と常連が守り続ける、琥珀の味わい

酎ハイ街道。
その名がつけられているのは、
東武伊勢崎線鐘ヶ淵駅と京成線八広(やひろ)駅を結ぶ、鐘ヶ淵通りを中心に広がる一帯。
結ぶといっても、鐘ヶ淵通りは鐘ヶ淵駅から八広駅まで歩いて15分ほど。
広がるといっても、隅田川と荒川に囲まれた、
タクシーを使うのも申し訳なく思うほどの距離。
そこは、小さな家々が迷路のように誘う、地番だけでは探れない複雑な細い、細い路地。
ともに各駅停車しか止まらない、だから残されたのか、とも感じる、
昭和、下町という場所と時間。
ライトアップされた東京スカイツリー、
拡張され区画整理された道路や新しい建物はあっても
東京になんとか残されたある種のノスタルジー。
そこになぜか酎ハイの名店が揃い、酎ハイを愛する人々が集まってきます。

東京スカイツリー

今回から始まる酎ハイ街道の旅。
その1軒目は〈亀屋〉。創業昭和7(1932)年。
現在のご主人、小俣光司さんの父である2代目が、
時代の先鞭となって亀屋の酎ハイを考案。

2007年に道路拡張などの再開発で現在の場所に移転し、
外観内観からは昭和の面影はなくなりましたが、伝統の酎ハイは変わりません。
いや、変わらないのではなく守り続けています。
さあ、暖簾をくぐりましょう。

鐘ヶ淵通り沿い、八広駅からのほうがやや近いけれど、鐘ヶ淵駅との中間あたり。まさに酎ハイ街道の一丁目一番的な場所。場所は変わっても3代88年、守り続けた亀屋ののれんは今日もあたたかく客を迎えます。

鐘ヶ淵通り沿い、八広駅からのほうがやや近いけれど、鐘ヶ淵駅との中間あたり。まさに酎ハイ街道の一丁目一番的な場所。場所は変わっても3代88年、守り続けた亀屋ののれんは今日もあたたかく客を迎えます。

カウンターと小あがり。大衆酒場というよりきれいな小料理屋の感じもしますが、肩ひじ張らずリラックスできる雰囲気、そして地元の常連さんたちが亀屋と一緒につくり上げるやわらかい空気感もあります。

カウンターと小あがり。大衆酒場というよりきれいな小料理屋の感じもしますが、肩ひじ張らずリラックスできる雰囲気、そして地元の常連さんたちが亀屋と一緒につくり上げるやわらかい空気感もあります。

定番とホワイトボードに書かれた今日のおすすめ。つまみはだいたい400円~500円とわかりやすい設定。計算というよりも単純な足し算で飲み代がわかるのも下町の酒場らしさ。

定番とホワイトボードに書かれた今日のおすすめ。つまみはだいたい400円~500円とわかりやすい設定。計算というよりも単純な足し算で飲み代がわかるのも下町の酒場らしさ。

店内に入ってすぐ右手、カウンターの端は、
酎ハイをつくる道具が置かれています。
ここは3代目の母、女将の美代子さんの指定席にして、
伝統の酎ハイが注がれる場所。
聖地があけっぴろげに待っていてくれている、なんという贅沢。
こうなればさっそく、酎ハイを注文しましょう。

冷えた強炭酸をシュワシュワっと注いでから、琥珀色の焼酎を注ぐ。氷なしでも心地よい喉越しと温度に。これも女将の変わらぬ技術。

冷えた強炭酸をシュワシュワっと注いでから、琥珀色の焼酎を注ぐ。氷なしでも心地よい喉越しと温度に。これも女将の変わらぬ技術。

亀屋のスタイルは「氷なし」。
タンブラーの真ん中あたりに厚めに輪切りにしたレモンを入れ、
そのレモンに当てるように、まずは炭酸を注ぎ込みます。
炭酸は地元墨田区の業者の強炭酸。
この炭酸の強弱も酎ハイの味わいに個性をもたらす大切な要素です。
そして最後に注ぎ込まれる琥珀の液体。
甲類焼酎とお店それぞれの個性あふれる「企業秘密」がミックスされた、
この液体こそが、酎ハイの命。
もちろんその中身は明かせないですよね?
と恐る恐る3代目に尋ねると、
ニッコリと柔和な笑顔で「秘密」を少しだけ話してくれました。

「毎晩、店を閉めた後に母が仕込んでいます。
私もレシピは知っているんです。
でも、隠し味がわからないんですよ」

レシピとして見せてくれたのは、25度の〈宝焼酎〉と、
台東区で製造されている梅のエキス。
これがなければ亀屋の酎ハイではないし、
でも、これだけでも亀屋の酎ハイではない。

「実は……」と明かしてくれたもうひとつの裏話。
商品開発のために、
やっきになってそのアイデアを求めていた宝酒造の社員が足繁く通い、
惚れ込んでいたのが〈亀屋〉の酎ハイ。
その熱意に負け、ヒントを教えたのだとか。

やや濃いめの琥珀。梅系のエキスだけではきっとない……そんな「?」も酎ハイの楽しみ。

やや濃いめの琥珀。梅系のエキスだけではきっとない……そんな「?」も酎ハイの楽しみ。〈焼酎ハイボール〉(300円)。

物語にあふれる琥珀の「企業秘密」が、
タンブラーにあふれんばかりに注がれます。
この「なみなみ」は先代のこだわり。
たっぷり飲んでほしいという思い。
口元にもってくるのが大変、なんていう幸せな不満をいいながら、
口元をタンブラーに寄せていきます。
味わえばまったりと、でも心地よいさっぱり感。
そして喉を通った瞬間に、小気味よく細やかな強炭酸のパンチ。
氷がない分、シャープすぎず、焼酎と琥珀のやさしい味わいも堪能できます。

最初の1杯を楽しんで、そろそろおかわり視野という頃に、おつまみが登場。
下町の大衆酒場よりも、下町のおうちに遊びに来たような
飾らない家庭的な料理がしみじみと合います。

〈MACHITOKI(マチトキ)〉 何気ない“日々の時間”を大切にする 擬洋風建築の郵便局を利用したカフェ

お客さんの声からカフェをオープン

JR信越本線、加茂駅から車で15分ほど。
加茂市の七谷(ななたに)と呼ばれるのどかな里山に、1軒のカフェがあります。
名前は〈MACHITOKI〉。オーナーは渡辺幸治さん、サヨさんご夫婦。
2012年に横浜から幸治さんの故郷であるこの地にやってきました。

オーナーの渡辺幸治さんサヨさんご夫婦。サヨさんは北海道の出身。

オーナーの渡辺幸治さんサヨさんご夫婦。サヨさんは北海道の出身。

カフェの建物は昭和10年に建てられた擬洋風建築の旧七谷郵便局。
現在は市の有形文化財に指定されています。

実は幸治さんはプロダクトデザイナーの顔も持ち、
当初ここは幸治さんがデザインしたアイテムを展示する
ショールームとしてオープンしたそうです。次第にお客さんから
「居心地がいいので、もっとゆっくりしていきたい」と言われるようになり、
その声に応えるかたちで2015年、カフェを開くことに。

「僕たちは日々の時間を豊かにするお手伝いがしたいという想いで、
2010年にデザイン&Webショップ、MACHITOKIを立ち上げ、
横浜を拠点にポーランド陶器の小売り販売をしていました。
MACHITOKI(街時)の“街”は“暮らしのある場所”で、“時”は“過ごす”という意味です。
カフェは初めての挑戦でしたが、基本的な考え方は同じ。
このすてきな建物を多くの方に見ていただきたいですし、
カフェを通じて、いい時間を提供できればと思っています」

「ハイカラ建築」とも呼ばれるこの建物は、
ヨーロッパの家を彷彿とさせるマンサード屋根が目を引きます。
茶色い外壁とコントラストをなす白いラインも愛らしくて印象的。
さらに正面玄関の彫刻欄間には「〒」印があしらわれ、
凝ったつくりであることがうかがえます。

この建物は幸治さんが偶然見つけたそう。市の指定有形文化財ということもあり、借りられるとは思わなかったそうですが、大家さんの厚意もあって使わせてもらえることに。

この建物は幸治さんが偶然見つけたそう。市の指定有形文化財ということもあり、借りられるとは思わなかったそうですが、大家さんの厚意もあって使わせてもらえることに。

店内はなるべく手を加えず、そのままの雰囲気を残したというおふたり。

「リノベーションしてしまうと、せっかくの味わいが損なわれてしまう気がして。
朽ちている部分だけ修理しました。大家さんがていねいに管理されてきたので、
85年経ったいまでも美しい状態が保たれているんです」

カフェ2階のテーブルは事務所の机をそのまま利用した味わいのある雰囲気。

カフェ2階のテーブルは事務所の机をそのまま利用した味わいのある雰囲気。

建物と調和している什器は廃校になった小学校からもらってきたそう。

建物と調和している什器は廃校になった小学校からもらってきたそう。

昔ながらの造形美が残るカフェは瞬く間に注目を集め、地域の人たちの憩いの場に。
そしてカフェを通じてたくさんのすてきな出会いに恵まれたというおふたりは、
この場所を拠点に地元の人たちと一緒にさまざまな“楽しい時間”をつくっています。

カフェ2階の入り口には「交換室」の文字。当時のままの扉が残されています。

カフェ2階の入り口には「交換室」の文字。当時のままの扉が残されています。

たとえば、新潟で活躍するクリエイターの展示会を開いたり、
地元ベーカリーの天然酵母パンを店頭で販売したり。
またこの夏は近所の保育園と共同で小さなイベントを開催。

「お子さんを保育園に預け、お母さんたちに
カフェでのんびりしてもらおうというものです。
午前中の1時間半という短い時間でしたが、
コロナ禍で沈んだ心を少しでもリフレッシュしてもらえればと企画しました」

群馬県北軽井沢〈TAKIVIVA〉
本音で語り合うための
大人の合宿場がオープン!

焚き火から本質的なコミュニケーションを

「焚き火」をテーマにした合宿施設〈TAKIVIVA(タキビバ)〉が、
この秋、群馬県北軽井沢にオープンしました。

ここは、企業をはじめとした集団が、
コミュニケーションを深め、プロジェクトを遂行するための、
火に集う場(宿泊型ミーティング施設)です。

焚き火に薪をくべている様子

さまざまな火を据えたオープンエアな空間で話し合いができ、
合宿当日はもちろん、合宿の前後を含めたプロセス設計から、
アドバイスやサポートが組み込まれ、
有意義な時間が過ごせるようになっています。

〈富士山ゲストハウス掬水〉
富士山の麓、眠った名所を世界へ開く
リノベーション

撮影:甲田和久

勝亦丸山建築計画 vol.7

静岡・東京の2拠点で、建築設計、自治体との取り組み、
都内のシェアハウスの運営などの活動をする
〈勝亦丸山建築計画〉の勝亦優祐さんの連載です。

最終回は、築70年以上の廃業した旅館をゲストハウスとして再生した、
富士宮市の〈富士山ゲストハウス掬水〉をテーマにお届けします。

マイ・ローカル・アドベンチャー

僕は静岡県富士市で育った。
幼少期は近くの山や沢に秘密基地をつくり、友だちとキャンプをした。
自転車に安い釣竿と道具一式をくくりつけて真夜中に海まで走った。
遊びは無限だった。

大人になって設計事務所を始めてから、
仕事と遊び、生活が密接に関わり合うようになった。

家から徒歩30分圏内について、僕はどれほど知っているのか? 
Uターンして数年間は車を持たず、自転車、徒歩、スケボーで移動してみたところ、
そこは未知の可能性にあふれていた。まるで冒険のような毎日。
そのなかで見つけた「場所」と「誰と」「何をするか」を組み合わせると、
さらに未知の世界が広がっていく。それらを実験していくことが、僕の趣味となった。

富士には多くの友人が訪ねて来てくれるので、季節ごとに遊びを考え、
自分が設計として関わった建築にも立ち寄りながら一緒にエリアを巡る。

〈富士山ゲストハウス掬水(きくすい)〉(以降、掬水)は
僕の遊びの主要拠点になっている。2019年3月、富士宮にオープンした宿だ。

撮影:甲田和久

撮影:甲田和久

富士市から車で30分ほど北上した富士宮市に位置する、
僕らが初めて手がけた宿泊施設。
富士市と富士宮市は同じ経済圏で、日常的に行き来がある。
掬水には遠方からの友人とだけでなく、地元の友人と宿泊して
お酒を呑むこともしばしば。
僕の日常圏内にありながら、“非日常”を感じる場所である。

築70年以上、割烹旅館〈掬水〉を継承する

富士宮の富士山本宮浅間大社には、特別天然記念物に指定される
「湧玉池(わくたまいけ)」があり、
富士山の湧き水が滾々(こんこん)と流れ込んでいる。
昔から富士登山者は、この湧玉池で身を清めてから霊峰に挑んだ。

湧玉池に浮かぶように見える建物は、かつて割烹旅館〈掬水〉として営業していた。
1952年時点で旅館であったことは確認できたが、創業時期はわかっていない。
40年ほど前に旅館の営業は終了し、その後、個人宅として使われたあと、
空き家となっていた。

そんな歴史を継承し、ゲストハウスとして再生させたのが、
静岡県三島市に本社を置く〈加和太建設株式会社〉だ。

国指定特別天然記念物の湧玉池を〈掬水〉から望む。水面に触れるくらい、近い。(撮影:甲田和久)

国指定特別天然記念物の湧玉池を〈掬水〉から望む。水面に触れるくらい、近い。(撮影:甲田和久)

大社の境内、湧玉池から掬水を見る。写真中央の池に突き出している部屋が「水の間」だ。(撮影:甲田和久)

大社の境内、湧玉池から掬水を見る。写真中央の池に突き出している部屋が「水の間」だ。(撮影:甲田和久)

山梨〈るうふ〉
古民家一棟貸しの
“時を超える宿”

築100年の古き良き古民家に泊まる

この秋、山梨の自然豊かな地に、
3軒の築100年を迎えた伝統的な古民家一棟貸しの宿
〈るうふ澤之家〉〈るうふ 書之家〉〈るうふ 丘之家〉がオープンしました。

一棟貸しなので1日1組限定。

「時を超える宿」をコンセプトに、
コロナ禍に対応する宿泊施設として、地域を観光するのではなく、
宿内で完結したアクティビティが楽しめるようになっています。

『猫村さん』作者の壁画がおしゃれ。
東京は下町の銭湯〈黄金湯〉が
リニューアルオープン!

レトロでモダンな東京下町の新名所

スカイツリーや隅田川を横目にたたずむ長閑な下町、東京都墨田区太平。
ここに先日、創業88年の銭湯〈黄金湯(こがねゆ)〉がリニューアルオープンしました。
場所は、複合型商業施設〈オリナス錦糸町〉の近く。

黄金湯は老朽化に伴い、昨年1月末より休業し、大規模な改装を実施。
クラウドファウンディングの目標金額の2倍、600万円もの資金を集め、
2020年8月に無事、リニューアルを果たすことになりました。

ところどころにあそびが効いたつくりに

オーナーである新保さんの「これまでにない銭湯にしたい!」という意向で、
全体のクリエイティブディレクションを〈HIROCOLEDGE〉のデザイナーで
アーティストの高橋理子(ひろこ)さんが、
内装設計をスキーマ建築計画代表の長坂常さんが担当。

さらに、風呂場の壁画は、
ドラマ化もされた『きょうの猫村さん』作者のほしよりこさんが手がけました。
銭湯壁画の定番と言えば「富士山」ということで、
特に男湯と女湯の間に描かれた富士山は見もの。
荘厳な富士山がやわらかなタッチで描かれていて癒されます。

昭和のレトロな味わいを残しつつ、
ところどころにモダンなエッセンスを感じさせるつくりとなっています。

気になる浴場はというと、
熱湯、中温湯、低温炭酸泉、水風呂と4つのバリエーションが。
水はすべて、お肌に優しい軟水を使用。

サウナも併設されており、
男湯には輻射熱でしっかりと汗がかける
〈麦飯石とヒバで作られたオートロウリュサウナ〉が。
そのあとは、水深90センチの冷たい水風呂と外気浴で整えて。

一方の女湯には、小さいながらも本格的に作られた
〈国産ヒノキのセルフロウリュサウナ〉が設備されています。

ビアバー

ビアバー。この法被も高橋理子さんデザイン。

また、エントランスのコミュニティスペースにはビアバーを併設。 
クラフトビールなど、こだわりのセレクトのドリンクを
お風呂上がりに楽しむことができます。

ここには、以前より開催していた〈レコード市〉を想定し、DJブースも設置予定。
コミュニティスペースとしても機能する銭湯になりそうですね。

「黄金湯」のロッカーキー

「次の世代に銭湯を繋いでいく」という使命感のもと、
より老若男女に愛される、モダンな銭湯になった黄金湯。
まちのシンボルとして、多くの人に愛されそうです。

小豆島の海と山で遊ぼう!
〈シマアソビ〉でSUPからキャンプまで

遊び方を知って、自然をもっと楽しむ

「小豆島の魅力って何ですか?」と聞かれることがときどきあります。
うーん、何でしょ。
自然が身近にあること、人が多すぎないこと、
島だけどネットで注文したら翌日に荷物が届くこと、などなど。
いろんな視点から、島の良さを考えることができると思います。

小豆島は人口約26000人の島。本州、四国とはフェリーがつなぐ。

小豆島は人口約26000人の島。本州、四国とはフェリーがつなぐ。

私たちが小豆島に移住することを決めたとき、
その理由のひとつに「離島であること」がありました。
私たちは海が好きで、海に囲まれた島で暮らすって
なんてすてきなんだろうと感じてました。
離島であること、すぐそばに海があることは、
多くの人にとって小豆島の魅力のひとつなんじゃないかと思います。

前回のこの小豆島日記「日常のなかに海がある! 小豆島で海遊び」でも書きましたが、
今年の夏はとにかく海でよく遊びました。

シュノーケルつけて魚を探したり、突堤から飛び込んだり、潜る練習したり。
そうそう、この夏、初めて小豆島の海でサーフィンしました(と言っても、
私はまだ数回しかやったことなくて、波においていかれてばかりですが)。
普段は穏やかで湖のような瀬戸内海ですが、
風が強い日は波がたち、サーフィンできるような時もあるんです。

風がある日は波がたつ。この日は小さな波。でもいつもの瀬戸内海と比べたら波がある!

風がある日は波がたつ。この日は小さな波。でもいつもの瀬戸内海と比べたら波がある!

そんな小豆島の海での遊び方を教えてくれる人たちがいます。
小豆島の北側、「小部(こべ)」という地区の海岸に
SUP(サップ)ベースキャンプ地を構える〈シマアソビ〉のみなさんです。
シマアソビは、小豆島生まれの大川大地くんと藤田智光くんが
2020年春に立ち上げたチーム。

〈シマアソビ〉の拠点は、島の北側の小部というエリアの海岸。もともとは地域の自治会が管理していたキャンプ場。ここの運営をいまはシマアソビがしています。

〈シマアソビ〉の拠点は、島の北側の小部というエリアの海岸。もともとは地域の自治会が管理していたキャンプ場。ここの運営をいまはシマアソビがしています。

SUPは「Stand Up Paddleboard(スタンドアップパドルボード)」の略で、ボードの上に立ってパドルを漕いで海・川・湖などの水面を進んでいくアウトドアアクティビティ。

SUPは「Stand Up Paddleboard(スタンドアップパドルボード)」の略で、ボードの上に立ってパドルを漕いで海・川・湖などの水面を進んでいくアウトドアアクティビティ。

私たちが生まれ育ったこの小豆島の素晴らしい自然を、
SUPを中心とした海遊びの中で魅力を伝えたいと思っています。
そこから少しでも島を好きになってもらえる人が増えると、
こんなにうれしいことはありません。
そして島生まれの子どもたちが将来、この島のことを誇りに思えるように、
アクティビティを通して伝えていきます。

シマアソビWebサイトより)

写真家・西野壮平さんの旅コラム
「別府の温泉に浸かり、声をかけ、
100湯以上を撮影した旅」

さまざまなクリエイターによる旅のリレーコラム連載。
第12回は、写真家・西野壮平さんによる
別府の温泉を撮影して回った話。
自らも地元の銭湯や温泉、通称「ジモ銭」に入りながら、
合計100湯以上で撮影を敢行したことで
エリアごとの小さな特徴を感じ、
ローカルでのコミュニティとしての役割を認識したようだ。

水にどうしても惹かれる

「山か海かどちらが好き?」と聞かれると
「海も湖も川も好き」と答えたいといつも思う。
僕は断然、水派だ。

水というものにどうも惹かれるのだ。
生まれたところは比較的海が近かったし、
今までの人生で引っ越しを10回ほどしてきているが、
自然と家の近くに川があるところを選ぶ傾向があった。

「温泉名人」の指原勇さん。

「温泉名人」の指原勇さん。

写真を生業にしてかれこれ15年以上経つが、
その大半がさまざまな世界の都市という舞台をテーマに作品を制作してきた。
撮影ではそのまちで生活しながら、都市の風景や人を写真に撮ってきた。
すべての場所がそうというわけではないが、
ある場所が都市となる前の風景には、たいてい水があった。

川や海があり、そこに人が集まり、交易、貿易が発達することで
さまざまな文化が生まれ、その繰り返しが脈々と続いたことで
今日の都市の姿へと変貌を遂げてきたのだ。

そのまちに流れる水の存在は、生命を維持する血管のようであり、
その水を見ることは、ひとつの生き物の体の中を見ているようだなと
ロンドンのテムズ川沿いを歩きながら思ったことがある。

別府のまち並み。

別府のまち並み。

ビル泊×美術館×模型。
静岡駅前に立つビルで
ユニークな試みが進行中

静岡市の魅力を3つのキーワードで紹介していくシリーズ。
今回のキーワードは“ビル”。
ビルの一部をリノベーションしたホテル、駅前の高層タワーに入る美術館、
模型の情報発信地など、静岡市のビルを舞台にした取り組みをご紹介します。

まちなかのビルを活用した分散型ホテル〈ビル泊〉

いま各地で分散型ホテルが注目を集めている。
分散型ホテルとは、地域に点在する空き物件を宿泊用の客室に転用し、
それらが位置するエリア全体をひとつの宿として見立てる新しいスタイル。
宿泊客がホテルの中を移動するようにエリア内を回遊することで、
地域活性化も期待されている。

多くの場合、客室には古民家が活用されるが、ここ静岡市ではひと味違う。
今年3月にオープンした〈ビル泊(ビルぱく)〉は、駅前の商店街に面した
4棟のビルの一部を客室として再生。現在、7室が稼働している。

1フロアが〈ビル泊〉の3室になっている「YS BLDG.」。写真は、3名まで利用可能な202号室。

1フロアが〈ビル泊〉の3室になっている「YS BLDG.」。写真は、3名まで利用可能な202号室。

水回りも美しくリノベーション。洗面ボウルも2つ備えるなど、大勢で泊まってもストレスはない。

水回りも美しくリノベーション。洗面ボウルも2つ備えるなど、大勢で泊まってもストレスはない。

ビルの入口に設置されたロゴが目印。ありふれたビルのエントランスと客室のギャップに驚かされる。

ビルの入口に設置されたロゴが目印。ありふれたビルのエントランスと客室のギャップに驚かされる。

おそらくは日本で初めての試みとなる、ビルを活用した分散型ホテルの仕掛け人は、
〈CSA不動産〉の社長・小島孝仁さん。

「市街地にあるビルの空き物件の活用は、どの地方都市にとっても深刻な問題。
それを解消し、中長期的に人が訪れるまちにするためには
どうすればいいかと考えたとき、ビジネスホテルとは違う、
滞在することが目的になるようなホテルをつくればいいと思ったんです」と言う。

小島孝仁さん(右)と、ビル泊の内装を手がけたデザイナーの李大英さん(左)。「部屋のどこにいても心地よく過ごせる、居場所をつくることを意識しました」と李さん。

小島孝仁さん(右)と、ビル泊の内装を手がけたデザイナーの李大英さん(左)。「部屋のどこにいても心地よく過ごせる、居場所をつくることを意識しました」と李さん。

静岡駅と地下道でつながるレセプションも、もちろんビル中に位置。ここから各室へは徒歩約2~7分。

静岡駅と地下道でつながるレセプションも、もちろんビル中に位置。ここから各室へは徒歩約2~7分。

全7室の客室は、55~99平方メートルの広さがある贅沢なつくり。
コンクリートの躯体を生かした内装で、
敢えてビルの一室であることを前面に出している。
ふと窓から下を見ると、商店街を行き交う人たち。
「まちを感じながら、ビルに泊まる」という体験が、ここでの醍醐味だ。

屋上テラス付きの住居を改修した「MASATOYO BLDG.」301。むき出しの躯体がインダストリアルな雰囲気を醸しだす。

屋上テラス付きの住居を改修した「MASATOYO BLDG.」301。むき出しの躯体がインダストリアルな雰囲気を醸しだす。

小さなテラスに面した「COSMOS BLDG.」401のベッドルーム。リビングルームにはハンモックもある。

小さなテラスに面した「COSMOS BLDG.」401のベッドルーム。リビングルームにはハンモックもある。

静岡ならではの魅力を感じてもらうための工夫も欠かさない。
客室には、同市を代表する模型メーカー、タミヤのパーツパネルを飾るほか、
地元の布団職人・新貝晃一郎さんが手がけたオーダーメイドの座布団を用意。
希望すれば、調味料まですべての食材を静岡産で揃えた
豪華な朝食を味わうこともできる。

小島さんが気に入り、各室に設置したタミヤのパーツパネル。レセプションにはビル泊のオリジナルも。

小島さんが気に入り、各室に設置したタミヤのパーツパネル。レセプションにはビル泊のオリジナルも。

一部の客室に置かれた、遠州織物を使った座布団。角までしっかりと綿が入っており、座り心地も抜群だ。

一部の客室に置かれた、遠州織物を使った座布団。角までしっかりと綿が入っており、座り心地も抜群だ。

32種の小鉢がずらりと並ぶ朝食(5,000円)は、レセプション近くの店で提供。端正な重箱は地木工職人・戸田勝久さんが手がけた。(写真提供:ビル泊)

32種の小鉢がずらりと並ぶ朝食(5,500円・税込)は、レセプション近くの店で提供。端正な重箱は地木工職人・戸田勝久さんが手がけた。(写真提供:ビル泊)

information

map

ビル泊

住所:静岡市葵区紺屋町1-5 協友ビルB1(レセプション)

TEL:054‒292-6800

料金::1泊1名9,900円・税込~(客室と人数により異なる)

Web:https://birupaku.jp/

青森・秋田・岩手の醸造家が共同開発! コロナ禍だからこそ生まれた ハードサイダー〈D.A.V.〉が新発売!

青森・秋田・岩手の醸造家が共同開発

秋田県横手市のゲストハウス&発酵バル〈Hostel&Bar CAMOSIBA〉が
プロデュースするハードサイダー(シードル)ブランド〈OK, ADAM〉から、
〈D.A.V.(ダヴ)〉が発売になりました!

青森・秋田・岩手の北東北3県の醸造家が、
それぞれの知恵を持ち寄り共同でつくりあげた新商品です。

〈CAMOSIBA〉とタッグを組んだのは、
「ホップの里からビールの里へ」という理想を掲げ、
行政・民間・生産者が連携したまちづくりを実践する
岩手県遠野市のマイクロブリュワリー〈遠野醸造〉と、
青森県弘前市の〈もりやま園〉で
サイダーの醸造研修を行うサイダーメーカー及川貴史さん。

〈CAMOSIBA〉の阿部円香さんと松橋真美さん、サイダーメーカーの及川貴史さんが〈遠野醸造〉に集結!

〈CAMOSIBA〉の阿部円香さんと松橋真美さん、サイダーメーカーの及川貴史さんが〈遠野醸造〉に集結!

〈もりやま園〉は、青森県弘前市で100年以上続くりんご園で、
摘果作業で間引かれ廃棄されていた果実をつかった
〈テキカカシードル〉を開発し、話題となっています。
岩手県大船渡市出身の及川さんは、
盛岡でクラフトビール専門店HOPPERSを経営した後、
ハードサイダーに出会い〈もりやま園で〉修行を開始。
2021年春には岩手県紫波町でサイダリーのオープンも予定しています。

商品名〈D.A.V.〉は三者の結束を「夏の大三角形」になぞらえ、3つの恒星のデネブ(Deneb)、アルタイル(Altair)、ベガ(Vega)の頭文字から名付けられました。

商品名〈D.A.V.〉は三者の結束を「夏の大三角形」になぞらえ、3つの恒星のデネブ(Deneb)、アルタイル(Altair)、ベガ(Vega)の頭文字から名付けられました。

ゲストハウス&発酵バル〈Hostel & Bar CAMOSIBA〉

〈CAMOSIBA〉を秋田県横手市で運営するのは、地元出身の阿部円香さん。

〈CAMOSIBA〉を運営する地元出身の阿部円香さん

円香さんは、東京の大学に在学中、休学して半年間海外に滞在。
ゲストハウスのおもしろさを味わい、
いずれ地元でゲストハウスを開きたいという思いをもって帰国します。
大学時代の恩師からもらった「いずれ帰るなら今帰ればいいじゃない」
という言葉をきっかけに、東京での就職活動をいっさいやめてUターン。
実家が創業100年を超える麹屋であるというルーツから、
2017年、発酵バルを併設したゲストハウスをオープンしました。

建物は大正後期に建てられた旧加藤茶舗店蔵をクラウドファンディングの支援も受け改装。今年国の有形文化財としての登録も決定しました。茶箱が椅子やテーブルとして活用されています。店を発酵バルとして、母屋をゲストハウスとして運営。

建物は大正後期に建てられた旧加藤茶舗店蔵をクラウドファンディングの支援も受け改装。今年国の有形文化財としての登録も決定しました。茶箱が椅子やテーブルとして活用されています。店を発酵バルとして、母屋をゲストハウスとして運営。

地域の人とつくるハードサイダー

発酵バルでは、実家である〈阿部こうじ屋〉の糀や味噌を使用した料理や、
オリジナルのハードサイダーをいただけます。

クリームチーズの味噌漬け

クリームチーズの味噌漬け

発酵のエッセンスを取り入れたメニュー

発酵のエッセンスを取り入れたメニュー

ハードサイダーづくりに欠かせないのは、
地域の人たちをはじめとした周りの人たちとのつながり。
ビールが好きで、横手はホップの産地でもあるため、
クラフトビールもつくりたいと思っていた円香さんでしたが、
〈CAMOSIBA〉を始めると、近所の果樹農家さんが発酵バルに来てくれるようになります。

「横手市の十文字地区はさくらんぼの産地ということはわかっていたんですが、
桃やリンゴなどいろんな果物が採れるんです。
お店に来てくれる果樹農家さんと仲良くなって話を聞いていると、
リンゴにも種類があって味も食感も全然違うことや、
そのおいしさをあらためて知ることができました。
そんなときにリンゴを原料としてつくる発泡酒・ハードサイダーの存在を知って……。
横手にはホップもリンゴもある、
ハードサイダーなら全部横手のものでつくることができるって思ったんです」

自分の好きなものに正直な円香さん。だからこそ軸がぶれずに〈CAMOSIBA〉ができあがったのかもしれません。

自分の好きなものに正直な円香さん。だからこそ軸がぶれずに〈CAMOSIBA〉ができあがったのかもしれません。

円香さんは真美さんとともに
アメリカ・オレゴン州のサイダリーで1か月醸造技術を学び、
ハードサイダーブランド〈OK, ADAM〉を設立。
秋田県内のマイクロブッリュワリーに委託醸造し、
2020年2月から横手産のりんご〈ふじ〉や〈紅の夢〉を使用した
ハードサイダーの販売をスタートしました。

秋田県羽後町の〈羽後麦酒〉とつくった〈HOP IN!〉と秋田市の〈BREWCCOLY〉とつくった〈PIQUANT RED〉。

秋田県羽後町の〈羽後麦酒〉とつくった〈HOP IN!〉と秋田市の〈BREWCCOLY〉とつくった〈PIQUANT RED〉。

「いろんな人に手伝ってもらって、
ゲストハウスも発酵バルもつくってくることができたから、
これからは地域の人たちと同じラインに立って、
周りの人たちと一緒にものをつくることで
(周囲に)還元できたらいいなと思っています」と話す円香さん。
ハードサイダーづくりはそのひとつの活動です。

九十九島アクティビティも!
飲み歩きも!
佐世保を遊びつくす体験ガイド

2018年4月、国際NGO〈世界で最も美しい湾クラブ〉に
加盟認定された九十九島(くじゅうくしま)。
長崎県佐世保湾から北へ、平戸までの約25キロの海域には複雑に入り組んだリアス海岸と
208の島々が織りなす美しい自然景観が広がっています。
大自然を満喫できる九十九島のアクティビティを中心に、
佐世保の魅力を詰め込んだ、とっておきの旅をご案内。

世界文化遺産に登録された集落のある黒島や佐世保で話題のはしご酒スポットまで。
佐世保のよくばりなアウトドアトリップへ、出かけてみませんか?

ウェブサイト 『ほんものにっぽんにのへ』に学ぶ 岩手・二戸「ほんもの」の営み

(画像:『ほんものにっぽんにのへ』ウェブサイト内動画より)。

ウェブサイト『ほんものにっぽんにのへ』公開

岩手県二戸市が、南部美人や浄法寺漆など、
土地の資源や気候を生かし、
持続可能な産業を育むことで培われてきた
テロワールの魅力を紹介するウェブサイト『ほんものにっぽんにのへ』を公開しました。

ウェブサイトでは、
国産漆生産の70%を占める浄法寺の漆で器をつくる
塗師・岩舘巧さんや、世界40か国・地域に輸出され、
国内外のコンペティションでも数々の受賞歴がある
南部美人の5代目蔵元・久慈浩介さんなど、
二戸で生きる人々の魅力を伝える記事や動画が掲載されています。

南部美人の久慈浩介さん(画像:『ほんものにっぽんにのへ』ウェブサイト内動画より)。浄法寺漆と南部美人については、こちらの記事でも紹介しています。

南部美人の久慈浩介さん(画像:『ほんものにっぽんにのへ』ウェブサイト内動画より)。浄法寺漆と南部美人については、こちらの記事でも紹介しています。

その土地に適した、無理のない方法で育まれてきたからこそ価値があり、
世界的にも誇れる素材となっている二戸のテロワール。
首都圏の30代~40代の知的好奇心の高い女性や、
インバウンドの富裕層をターゲットとした観光プロジェクトですが、
新型コロナウイルス感染症の拡大により、県外との行き来は困難に。

それでも二戸では、辛抱強く、力強く、ほんものの営みが続けられています。

7月に開催されたウェブサイトのお披露目会では、二戸のテロワールを育むつくり手が登壇し、これからの観光産業の展開を考える意見交換会が開催されました(左から浄法寺うるしび合同会社代表社員三角裕美さん、株式会社南部美人代表取締役社長久慈浩介さん、二戸市観光協会会長中田勇司さん、株式会社小松製菓執行役員青谷耕成さん、おぼない旅館若女将大建ももこさん、藤原淳二戸市長)。

7月に開催されたウェブサイトのお披露目会では、二戸のテロワールを育むつくり手が登壇し、これからの観光産業の展開を考える意見交換会が開催されました(左から浄法寺うるしび合同会社代表社員三角裕美さん、株式会社南部美人代表取締役社長久慈浩介さん、二戸市観光協会会長中田勇司さん、株式会社小松製菓執行役員青谷耕成さん、おぼない旅館若女将大建ももこさん、藤原淳二戸市長)。

「このコロナは絶対乗り越えられる」

そう話すのは国税庁が酒類製造免許の取得手続きなどを簡素化したことを受け、
いち早く消毒用エタノールの代替品となる
〈南部美人アルコール65/77〉を製造した南部美人の久慈浩介さん。
「スペイン風邪やペストを乗り越えて、今この世界に私たちがいる。
ここに生きながらえている人たちは、世界の疫病を克服してきた末裔です。
だから絶対乗り越えられる」と熱く思いを語りました。

二戸の魅力をもう一度学び直す作業を始めたのは、
開湯380年の金田一温泉郷にある〈おぼない旅館〉。

おぼない旅館の若女将大建ももこさん(画像:『ほんものにっぽんにのへ』ウェブサイト内動画より)。

〈おぼない旅館〉の若女将大建ももこさん(画像:『ほんものにっぽんにのへ』ウェブサイト内動画より)。

金田一温泉郷の従来の宿泊は、関東関西九州が主流。
「日ごろ日帰り温泉を利用している
おじいちゃんおばあちゃんたちを守らなければならない」
という思いから4月末からゴールデンウィークにかけて
温泉郷全体で休業を決意します。
(おぼない旅館はこちらの記事でも紹介しています)。

緑美しい金田一温泉郷の景色(画像:『ほんものにっぽんにのへ』ウェブサイト内動画より)。

緑美しい金田一温泉郷の景色(画像:『ほんものにっぽんにのへ』ウェブサイト内動画より)。

「ずっと営業していた明かりが消えて、
源泉も天然資源なので一回止めて、温泉にお湯が入っていない状態を1か月過ごしたんです。
真っ暗い金田一温泉郷のなかから外に出ないで、
気持ちも落ち込んでいたときに、常連さんからぽつぽつメールが来るようになって」
と教えてくれたのは、おぼない旅館の大建ももこさん。

メールに書かれていたのは、
「もうちょっと頑張っててね」「待っててくださいね」という励ましの言葉。
それもいろんな国の言葉で。

遊び方いろいろ。
人々に愛される
ちょっとユニークな
「わたしのまちの公園」

今月のテーマ 「わたしのまちの公園」

原っぱで子どもたちが駆け回ったり、
ベンチで読書をしたり、園内をランニングしたりと、
自粛期間中もまちの憩いの場として活用されていた公園。

最近では、公園内にカフェやBBQ場があるなど、施設も充実。
公園での過ごし方も変化しています。

今回は、日本各地の〈地域おこし協力隊〉のみなさんに
お住まいの地域にある公園をご紹介いただきました。

遊具とベンチだけがある一般的な公園とは
ひと味もふた味も違うユニークなところばかり。
3密を避けた遊び方もできるようなので、
自身に合った楽しみ方で公園ライフを過ごしてみてはいかがでしょうか。

〈ヒッコリースリートラベラーズ〉 新潟のいいもの × デザインで生まれた アイテムが揃うセレクトショップ

テーマは“日常を楽しむ”

新潟駅からバスに揺られること10分。
信濃川にかかる国の重要文化財「萬代橋」を越えると、
古町(ふるまち)が見えてきます。
古町は北前船の寄港地として発展した歴史のあるまち。
いまも昔ながらの景色が残ります。

ここに、新潟のさまざまなモノやコトをクリエイトする集団がいます。〈hickory03travelers(ヒッコリースリートラベラーズ )〉。
代表の迫一成さんは、長岡造形大学の非常勤講師や〈NADC〉
(新潟アートディレクターズクラブ)の会長も兼任する、
新潟のデザイン界を牽引するクリエイターです。

そんな迫さんの手がけるショップ〈ヒッコリースリートラベラーズ〉が、
白山神社と白山公園につながる参道につくられた
「上古町商店街」(通称カミフル)にあります。

昔ながらの惣菜屋やおしゃれなレストランなどが軒を連ねる上古町商店街。

昔ながらの惣菜屋やおしゃれなレストランなどが軒を連ねる上古町商店街。

築80年の酒屋をリノベーションしたという店は風情ある雰囲気。
1階はお土産を中心とした小物類が並び、
2階はTシャツやセレクトアイテムが並んでいます。

靴を脱いで階段を上がっていくと、家屋の雰囲気をそのまま利用した2階の売り場へ。ポップな1階とは雰囲気の異なる、照明を落とした昭和レトロな空間。

靴を脱いで階段を上がっていくと、家屋の雰囲気をそのまま利用した2階の売り場へ。ポップな1階とは雰囲気の異なる、照明を落とした昭和レトロな空間。

新潟県出身のアーティスト、長沢明さんとのコラボアイテム。

新潟県出身のアーティスト、長沢明さんとのコラボアイテム。

ヒッコリースリートラベラーズのデザインテーマは“日常を楽しむ”。
いつもどこかに遊び心がある親しみやすいデザインが彼らの真骨頂といえます。

また、全国から選りすぐったセレクトアイテムに出合えるのも、
この店を訪れる楽しみのひとつ。

たとえば、ライフスタイルブランド〈NIZYU KANO(にじゅうかのう)〉のバッグ、
新潟五泉市のニット工場が手がける〈mino〉のポンチョ、
水彩画家・伊藤尚美さんのテキスタイルブランド〈SUMAU nani IRO〉のハンカチ、
奈良の老舗靴下屋〈西口靴下〉のソックス、益子焼き作家の陶器など。
売り切れ御免の一期一会のアイテムが多いので、訪れるたびに発見があります。

益子焼の陶芸作家、大塚菜緒子さんの器。シンプルだけどデザイン性の高い器は普段使いにぴったり。白、茶、青の釉薬が美しい。

益子焼の陶芸作家、大塚菜緒子さんの器。シンプルだけどデザイン性の高い器は普段使いにぴったり。白、茶、青の釉薬が美しい。

企画展も定期的に開催。この日はテキスタイルブランド〈十布/TENP〉のフェア。イラストレーター福田利之さんがデザインする美しいスカーフや刺子織のハンカチが並びます。

企画展も定期的に開催。この日はテキスタイルブランド〈十布/TENP〉のフェア。イラストレーター福田利之さんがデザインする美しいスカーフや刺子織のハンカチが並びます。

しらす×温泉×古民家ステイ。
静岡市の小さな港町・用宗で
週末散歩を楽しみませんか?

静岡市の魅力を3つのキーワードで紹介していくシリーズ。
今回のキーワードは“用宗(もちむね)”。
独特の漁法により抜群の鮮度を誇るしらす、その漁港に面した温泉施設、
一棟貸しの古民家宿など、まち歩きが楽しい注目のレトロタウンをご紹介します。

しらす漁で知られるレトロタウン

静岡市の西端にある用宗(もちむね)は、しらす漁が盛んな港町。
静岡駅から東海道線でわずか2駅7分のところにありながら、
まちのそこここに昭和の面影を残すレトロタウンである。

全国屈指のしらすの水揚げ量を誇る静岡県の中でも、
「用宗のしらす」はよく知られたブランド。
餌となるプランクトンが豊富な好漁場、安倍川の河口に近いこと、
そして独特の漁法による鮮度のよさがその理由だ。

晴れた日には、富士山も見える用宗漁港。毎朝6~7時に50隻以上の漁船が一斉にしらす漁に向かう様子は圧巻だ。

晴れた日には、富士山も見える用宗漁港。毎朝6~7時に50隻以上の漁船が一斉にしらす漁に向かう様子は圧巻だ。

用宗のしらす漁は、2艘の漁船と運搬船という3艘ひと組で行われるのが特徴。
2艘の漁船が網を引いてとったしらすは、運搬船の上で氷づけにされ港へと運ばれる。
これを1日に3~4回。港では、運搬船が着くたびにセリが行われるので、
鮮度抜群のまま取り引きされるのだ。

新鮮なしらすを食べたければ、漁協直営の〈どんぶりハウス〉へ。
一番人気は、漁期中(1月15日~3月下旬の禁漁期間以外)、
それも出漁した日にしか味わえない(出漁日でも提供されない日もある)
「生しらす丼」。定番の「釜揚げしらす丼」(ともに700円)と食べ比べれば、
それぞれの魅力を堪能できる。

口に含んだ瞬間、プリプリとした食感と磯の香りが広がる「生しらす丼」。マグロの漬けと一緒に味わえる「用宗丼」(900円)も人気。

口に含んだ瞬間、プリプリとした食感と磯の香りが広がる「生しらす丼」。マグロの漬けと一緒に味わえる「用宗丼」(900円)も人気。

用宗漁港内にある〈どんぶりハウス〉。客席は、写真奥にあるテントの下。漁船が停泊する港を見ながら食事を楽しむ。

用宗漁港内にある〈どんぶりハウス〉。客席は、写真奥にあるテントの下。漁船が停泊する港を見ながら食事を楽しむ。

information

map

どんぶりハウス

住所:静岡市駿河区用宗2-18-1

TEL:054‒256-6077(漁協直売所)

営業時間:11:00~14:00

定休日:雨天時、禁漁時の木曜

Web:http://namashirasu.com/

絶景×茶畑×カフェ。
日本有数の茶どころ・静岡市で
新たなお茶の魅力に出合う

静岡市の魅力を注目の3つのキーワードで紹介していくシリーズ。
今回のキーワードは“お茶”。
絶景でのお茶の体験プログラムや、100種ものお茶が試飲できる日本茶専門店、
富士山や駿河湾を望む展望施設など、静岡の新しいお茶の楽しみ方を紹介します。

〈天空の茶の間〉でつくり手の顔が見えるお茶を味わう

全国におけるお茶の約4割を生産する静岡県は、言わずと知れた日本一の茶どころ。
静岡市は、そんな静岡茶の発祥の地でもある。

ペットボトル入りのお茶が浸透する一方、急須で淹れる茶葉の需要が減少している昨今。
静岡市の茶業界で、新たな動きが起こっている。
まず注目したいのは、茶畑の真ん中に設けたテラスで、
その地でとれたお茶を味わえる体験プログラム〈茶の間〉だ。

いくつかある会場の中でも、人気が高いのは
標高350メートルの山間、両河内地区にある〈天空の茶の間〉。
運がよければ遠くに富士山と駿河湾、
早朝なら雲海が眼下に広がることもあるという絶景ポイントだ。

朝焼けの〈天空の茶の間〉。夏期は早朝プランもある。90分1名3000円。雨天中止。(写真提供:豊好園)

朝焼けの〈天空の茶の間〉。夏期は早朝プランもある。90分1名3000円。雨天中止。(写真提供:豊好園)

天空に浮かんでいるようなテラスで、目の前の茶畑でとれたお茶が味わえる。

天空に浮かんでいるようなテラスで、目の前の茶畑でとれたお茶が味わえる。

夏季限定で、お茶を使ったかき氷「茶氷」と冷茶が1種ついたプランが登場。

夏季限定で、お茶を使ったかき氷と冷茶が1種ついたプランが登場。

天空の茶の間が設置されているのは、世界的なパティシエ、
ピエール・エルメが食材探しに訪れたこともある茶園〈豊好園(ほうこうえん)〉。
場所によっては手をつかないと登れないほど急斜面の畑に、
約20種の品種茶を栽培している。

絶好の条件が重なると、左手に富士山、眼下に雲海が見える。(写真提供:豊好園)

絶好の条件が重なると、左手に富士山、眼下に雲海が見える。(写真提供:豊好園)

「茶葉は品種によって摘採期が違うので、長い期間、
それもいい状態の新芽を摘み取れるよう多品種を栽培しています。
とは言え、20種は多すぎますけどね(笑)」

こう話すのは、3代目園主の片平次郎さん。
豊好園では、生葉の生産から製茶、販売までをすべて自分たちで行う
自園・自製・自販のスタイルをとっており、最近では海外へも出荷している。

園主の片平次郎さん。父の働く姿に憧れ、大学卒業後すぐ実家に戻り就農した。(写真提供:豊好園)

園主の片平次郎さん。父の働く姿に憧れ、大学卒業後すぐ実家に戻り就農した。(写真提供:豊好園)

「僕が目指しているのは、湯呑みに入ったお茶の香りを嗅いだとき、
そして飲んだときに、思わず茶畑の光景が目の前に浮かぶような茶葉。
製茶をするとき、手のひらで葉の状態を感じながら、
つくりたいお茶のイメージに近づけていくんです。
お茶は僕にとっての作品なんだと思います」

〈豊好園〉では品評会に出品するお茶から、ほうじ茶、茎茶、紅茶まで手がけている。(写真提供:豊好園)

〈豊好園〉では品評会に出品するお茶から、ほうじ茶、茎茶、紅茶まで手がけている。(写真提供:豊好園)

2019年からスタートした茶の間プロジェクトへの参加以外にも、
片平さんが始めた取り組みに〈茶農家集団ぐりむ〉がある。

「静岡の茶産業を復活させたい」という思いから、
廃業が決まっていた両河内地区の共同工場を茶農家仲間とともに受け継ぎ、
自園・自製・自販とは差別化した、
主に市場に出荷する荒茶(仕上げ前の原料茶)をつくりながら、
耕作放棄地となった茶園の再生にも努めている。

静岡市の中心地から車で約1時間の距離にある両河内地区。市内では比較的新しい茶産地だ。(写真提供:豊好園)

静岡市の中心地から車で約1時間の距離にある両河内地区。市内では比較的新しい茶産地だ。(写真提供:豊好園)

日本平にある〈全景の茶の間〉のまわりにあるのも、茶農家集団ぐりむが管理する茶園。
富士山を望むパノラマとともに、茶農家が手塩にかけて育てたお茶を味わいたい。

日本平ホテル近くにある〈全景の茶の間〉。目の前に広がるのが〈茶農家集団ぐりむ〉の管理する茶畑。

日本平ホテル近くにある〈全景の茶の間〉。目の前に広がるのが〈茶農家集団ぐりむ〉の管理する茶畑。

information

map

豊好園

住所:静岡市清水区布沢270

Web:http://houkouen.org/

天空の茶の間の予約・問い合わせ先

TEL:080-7016-1201(株式会社AOBEAT)

Web:https://changetea.jp/

information

map

全景の茶の間

受付場所:静岡市清水区馬走1500-2 日本平ホテル1Fテラスラウンジ

TEL:080-7016-1201(株式会社AOBEAT)

Web:https://changetea.jp/

〈KIRO 広島 by THE SHARE HOTELS〉 屋内プールをリノベーションした シェア型複合ホテル

広島から瀬戸内へ、ローカルへの分岐路

広島県広島市に、かつての役目を終えた建物から生まれた、
ユニークなリノベーションホテルがあります。
名前は〈KIRO 広島 by THE SHARE HOTELS〉。
既存建物の改修・再生を手がける〈リビタ〉が
プロデュースを手がけるシェア型複合ホテルです。

〈KIRO 広島 by THE SHARE HOTELS〉2019年9月オープン。

2019年9月にオープンした〈KIRO 広島 by THE SHARE HOTELS〉。

客室

客室

客室の様子。

見どころは、3階にあるラウンジバー〈THE POOLSIDE〉。

〈THE POOLSIDE〉

〈THE POOLSIDE〉

〈THE POOLSIDE〉

こちらの空間は、もともと屋内プールだったのだそう。
いまもどことなくプールの趣がただよう、解放感のある空間になっています。

THE POOLSIDEは、日中はモーニングを楽しめるレストラン、
夜はバーとして利用できます。
メニューの監修を手がけているのは、岡山の〈キノシタショウテン〉。

こちらは1階にあるドリンクスタンド〈cicane -liquid stand-〉。
バリスタとのお喋りを楽しめる、カジュアルなスタイルが魅力です。

リンクスタンド〈cicane -liquid stand-〉。テーマは「旅の給水所」。

リンクスタンド〈cicane -liquid stand-〉。テーマは「旅の給水所」。

同じく1階には、広島・瀬戸内エリアの工芸品や食品、
雑貨などが並ぶショップ〈SHOWCASE〉も。
THE POOLSIDEとcicane、SHOWCASEは宿泊客以外の方も利用できます。

〈SHOWCASE〉

〈SHOWCASE〉

リノベーション前の建物。以前はリハビリ専門の整形外科病院として使われていました。

リノベーション前の建物。以前はリハビリ専門の整形外科病院として使われていました。

土産商・岡野弥生さんの旅コラム
「イイダコ、ワカメに見開き御朱印!
1泊2日×6回の東北ショート旅」

さまざまなクリエイターによる旅のリレーコラム連載。
第11回は、江戸土産ブランド〈新吉原〉を手がける岡野弥生さんによる
松島、平泉、石巻、気仙沼などを旅した話。
東日本大震災をきっかけに東北を再認識し、
東北旅を毎年春の恒例行事としてきたそう。
1泊2日で行ける東北アチコチの魅力を伝えてくれます。

1泊2日の旅を繰り返し、東北各地へ

東京から近いのになかなか訪れる機会のなかった東北。
私の住んでいる台東区には“東北への玄関口”といわれている上野駅があるし、
行こうと思えばすぐに行けると思っていたのかもしれない。

東日本大震災をきっかけに2012年から17年までの間、
春になると毎年友人と一緒に東北を旅した。
春の恒例行事にしていこうと思っていたが、
好きなときにふらっと行けていた旅が結婚や出産などでだんだん難しくなっていき、
また行けるかなと思った頃に新型コロナウイルスで旅どころではなくなってしまった。

今まで海外も国内もたくさん旅してきたが、
事前の下調べやスケジュールを組むのも大好きなので、
最近はいろいろなコースを頭の中で考えながら過ごしている。
東北旅行のときも私がほぼ全部スケジュールを決めていた気がする。

当時は友人も私も会社員だったので週末しか休みがなく、
1泊2日で行ける範囲となると大体決まってしまい、
松島、平泉、石巻、気仙沼くらいまでしか行けなかった。
松島ではお寿司を食べて素敵な風景を堪能し、
平泉ではわんこそばを食べて中尊寺に行った。

気仙沼はまだまだ復興途中という時期に訪れたが、
ちょうど〈シャークミュージアム〉がオープンしたばかりでサメについて学んだ。
東日本大震災の爪痕が残る場所へ案内してもらえる〈語り部タクシー〉にも乗り、
テレビでしか見ていなかった被災地を実際に訪れ、いたたまれない気持ちになった。

〈チームラボ かみさまがすまう森〉 武雄温泉・御船山楽園で 自然が織りなす 光のアートを体感してみて

今年も開催!「自然が自然のままアートになる」野外プロジェクト

佐賀県の武雄にある御船山楽園で7月22日から始まった、
森のアート展〈チームラボ かみさまがすまう森〉。
今年で6回目となる本展は、江戸時代後期に開園した
国登録記念物の名勝地である御船山楽園の自然と、
最新のデジタル技術が融合したアートプロジェクトです。
国内外から注目され続けるアートコレクティブ、チームラボによる
森の中のアート展は、2020年7月22日〜11月8日までの期間、
訪れる人々を幻想空間へと誘います。

御船山楽園は、第28代武雄領主の鍋島茂義により約3年の歳月がかけられ
1845年に完成しました。御船山楽園の敷地はなんと50万平米にも及びます。
日本有数の巨木である、樹齢3000年以上の神木の大楠が
今もなお存在していることからも、古来よりこの地で守られ
受け継がれている森であることがわかります。

「小舟と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング」

「小舟と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング」

広大な敷地を最大限利用した、チームラボの作品群。
池の水面が七色にプロジェクションされ、
魚の群れや小舟の動きは連動し
互いに影響を受けながら軌跡を描いていきます。

「かみさまの御前なる岩に憑依する滝」

「かみさまの御前なる岩に憑依する滝」

「自然が自然のままアートになる」プロジェクトテーマを掲げ、
人々の存在によって、変容し続ける空間に。
変動と静寂が見る者の体感として伝わってくるようです。

「増殖する生命の巨石」

「増殖する生命の巨石」

高さは約5.5メートルにもなる苔生す巨石。
花々が咲いては散り変化する様子が1時間を通して岩面に映し出されます。
永遠に繰り返されてきた生命の生と死の連続性に、
自分という存在を透過させてみてはいかがでしょう。

「生命は連続する光」

「生命は連続する光」

御船山の断崖下に広がるつつじ谷。
久留米つつじが光り輝く様子は、大きなものに包み込まれる安心感と
生命を宿したつつじの美しさにうっとりと引き込まれてしまいます。

「グラフィティネイチャー - 廃墟の湯屋に住む生き物たち、レッドリスト​」

「グラフィティネイチャー - 廃墟の湯屋に住む生き物たち、レッドリスト​」

「人々が描いたさまざまな生きものたちによって、創られていくひとつの生態系」

廃墟となった湯屋で繰り広げられる生きものたちのストーリー。
ここではワクワクする遊びが体験できます。
紙に動物や花のお絵描きをすると、その絵が光となって動き出すーー。
手作業のアナログ×デジタル技術が掛け合わされた
参加型の作品展示となっています。

ほか、全22作品を展示予定です。

チケットは、公式ウェブサイトで販売中。
今年はサウナとアートの新しい体験ができる1日40名限定の
セットチケットも用意されています。御船山楽園ホテル大浴場
「らかんの湯」日帰り入浴(サウナ)が利用できるので、
汗を流してリフレッシュした後は自然の中でアートを満喫してくださいね。

北海道を掘り下げるタブロイド紙
『THE KNOT SAPPORO Magazine』
が生まれて

Art Direction by Ryo Ueda [COMMUNE], Photo by Ikuya Sasaki

地域のカルチャーを取り上げる新たなメディア

北海道で生きる人々と、地域のカルチャーを取り上げる新しいメディアが生まれた。
『THE KNOT SAPPORO Magazine』は、8月1日に札幌でオープンしたホテル
〈THE KNOT SAPPORO〉が年2回刊行するタブロイド判フリーペーパーだ。
アートディレクターは札幌を拠点に活動する〈COMMUNE〉の上田亮さんで、
上田さんに声をかけてもらい、私は編集長を務めた。

〈THE KNOT SAPPORO〉。ラウンジにはデザインの違う椅子が並べられ遊び心を感じさせる。(photo:Tsubasa Fujikura)

〈THE KNOT SAPPORO〉。ラウンジにはデザインの違う椅子が並べられ遊び心を感じさせる。(photo:Tsubasa Fujikura)

THE KNOTは2017年、横浜を皮切りに、新宿、広島、札幌にも拠点を持つ。
コンセプトは「旅するホテル」。その土地の特性を生かし、
地域ごとに、それぞれ内装やアメニティ、食にもこだわっている。

札幌は「大自然の大都会」を軸に据え、
建築には札幌軟石や赤れんがなど地元らしい素材を取り入れ、
道内で活動するアーティストらの作品を壁面に設置したりなど、
この場所のために作家に作品制作を依頼する、
いわゆるコミッションワークも行っている。

『THE KNOT SAPPORO Magazine』も、ホテルの情報は控えめに、
北海道を深く掘り下げるメディアであり、これらを通じて、THE KNOTは
宿泊だけでないアートやカルチャーが生まれる場所をつくり出そうとしている。

ラウンジからはアーティスト国松希根太さんの作品が見える。タイトルは『HORIZON』。地平線のようにも水平線のようにも見える風景だ。(photo:Tsubasa Fujikura)

ラウンジからはアーティスト国松希根太さんの作品が見える。タイトルは『HORIZON』。地平線のようにも水平線のようにも見える風景だ。(photo:Tsubasa Fujikura)

特集は「MOUNTAIN IS」。
第1号では、THE KNOTに縁のある人々を紹介するものにしようと考え、
ホテルに併設されたギャラリーのオープニングを飾る展示を行った
フリーランスのキコリである〈outwoods〉足立成亮さんと、陣内雄さんを取り上げた。

山は私にとっても思い入れの強いテーマ。
一昨年に山を購入し、以来、新しい視点で山の価値を見出そうとする山主や
林業者に興味を持ち、折りに触れ取材をしてきた。

足立さんには1年ほど前に、別の媒体で取材をしたことがある。
そのとき、芸術祭にアーティストのひとりとして参加し、
文章も書く足立さんの姿を見て、キコリに対するイメージが
ガラリと変わったのを覚えている。

また、陣内さんには今回が初めての取材となったが、林業関係者から、
次世代の林業をつくるためにアグレッシブに活動している人だと聞いており、
ぜひ一度会ってみたいと思っていたのだ。

ちなみに、アートディレクターの上田さんとの出会いも山がきっかけ。
前々から上田さんは山に家を建てたいと考えており、
この連載で私が山を買ったことを知ってくれて、
友人を介して会ったのが交友の始まりだ。

photo:Ikuya Sasaki

photo:Ikuya Sasaki

飛騨高山のゲストハウス〈cup of tea〉
銭湯に浸かりながら、
新しい「木」のまちづくりを。

今回のゲストハウス:cup of tea(岐阜県高山市)

外国人観光客から特に人気の高い観光エリア、飛騨高山。
東京と京都の間に位置することで寄りやすく、
豊かな自然が満喫できることも魅力となっている。
その高山で2018年にオープンしたゲストハウスが〈cup of tea〉。
海外経験豊富なオーナー・中村匠郎さんにオンラインインタビューにて
11の質問を投げかけた。

Q1 立ち上げ経緯は?

「世界の都市や東京から見てローカルコミュニティの可能性を感じました」

「高校生の頃から海外に留学し、大学、社会人と合計5か国10年間、
海外で生活していました。
それまで日本もグローバリゼーションの渦のなかで
発展していくべきだと思っていたのですが、
21世紀をリードすると考えられているシンガポールや上海で働くことで、
日本も同じ線上で勝ち目の薄い戦いをするべきなのかという疑問と違和感を持ちました。
それよりも別の土俵で戦うべきで、
それであれば東京よりローカルのほうが課題もたくさんあり、
解決できるのもローカルの現場だ。
そう思い、実家に戻って銭湯を継ぎつつ、
まずはゲストハウスをオープンすることにしました」

中村さんの実家は銭湯。かつては銭湯を継ぐことは考えてもいなかったというが、
東京で盛り上がりを見せる銭湯業界を目の当たりにし、
これからのコミュニティ社会にとっての核になる可能性を感じたという。

cup of teaはすっきりとしたデザイン。

cup of teaはすっきりとしたデザイン。

〈LIFE〉相場正一郎さんの旅コラム
「日常ではなくなってしまった
千葉・平砂浦へのサーフトリップ」

さまざまなクリエイターによる旅のリレーコラム連載。
第8回は、カジュアルイタリアン〈LIFE〉のオーナーシェフ相場正一郎さんが
千葉の平砂浦を訪れた話。
新型コロナウイルスの影響で、お店の営業も、趣味のマラソンやサーフィンも
自粛せざるを得ない状況が続いていましたが、
久しぶりにサーフトリップをしたことで自分を見つめ直し、前向きになれたようです。

コロナ自粛で、20代からのルーティンが失われた

今年3月頃から、新型コロナウイルス禍での自粛が本格的になり、
外出自体に制限がかかり、県をまたいでの遠出はもちろんのこと、
近所での買い物すらままならない状況になってしまいました。

僕は飲食業を営んでいるので、その影響を直接に受けました。
政府の外出自粛要請の影響で、お店のお客さまは激減です。
僕の商売として、「ヤバイ」を超えていました。

4月7日の「緊急事態宣言」後には、お店も営業できない状態になり、
僕は毎日、気づけば溜息ばかり。
雇用のこと、お店の継続のこと、そして僕ら家族の生活のこと。
考えればキリがない。

趣味のサーフィンにも行けず。これは愛用のサーフボードとウェットスーツ。

趣味のサーフィンにも行けず。これは愛用のサーフボードとウェットスーツ。

何が一番怖いかというと、「未来」が霞んだこと。
僕にとって、今までに経験したことのない心境に襲われたことが、
自分でももっとも恐怖なことでした。
何が原因かは、まだはっきりと説明できませんが、
今までに経験をしたことがない失望感でした。

世の中の飲食業が、このコロナで大打撃。それは等しく僕らも一緒です。
渋谷区、代々木公園付近で飲食店を2店舗営んでいることもあって、
代々木公園が封鎖されて、ちょっとしたジョギングもできない状態です。

僕は常日頃から毎朝のマラソンは欠かさず、仕事の合間を見つけて、
月に何度か海にサーフィンに行っていました。
僕の唯一のストレス解消法です。

シングルフィンのサーフボードで楽しんでいる。

シングルフィンのサーフボードで楽しんでいる。

その当たり前の日常も一気に失われたようでドキドキしました。
その当たり前のルーティンは、自分でお店を始めてから、崩したことはなかったし、
もっといえば、その前の20代の頃からずっと変わっていません。

しかしこのコロナで「未来への期待」と「毎日のルーティン」が
一気に壊されてしまいました。
つい最近までの普通の日常が、一気に様変わりしてしまったのです。
僕は本当に不安な気持ちでいっぱいになりました。

古民家宿を夢見てUターン。
十日町〈茅屋や〉高橋美佐子さん

地域おこし協力隊から古民家宿の女将に

新潟県南部に位置するJR十日町駅から約30分。
のどかな田園風景を進み、道幅が徐々に細くなっていくその先に
数軒の民家が並ぶ三ツ山集落がある。
冬になると3メートルほどの雪が積もる豪雪地帯だ。

十日町市出身の高橋美佐子さんが
茅葺き屋根の農家民宿〈茅屋や〉を開業したのは2016年。
茅屋やでは雪国の山暮らしが体験できるほか、
狩猟免許を持つ高橋さんのジビエと里山料理を求めて食通が足を運ぶ。

のどかな田園風景のなかに佇む〈茅屋や〉。

のどかな田園風景のなかに佇む〈茅屋や〉。

周りにある畑で米や野菜を栽培。時季によっては宿泊者が農業体験もできる。刈った稲を干す、はぜ掛けの様子。

周りにある畑で米や野菜を栽培。時季によっては宿泊者が農業体験もできる。刈った稲を干す、はぜ掛けの様子。

十日町で生まれ育ち、高校卒業後に上京した高橋さん。
いまこうして宿泊業を営んでいるのは、東京の〈山の上ホテル〉や
食品卸しの会社で長く働いてきた経験を生かせると思ったから。

客室は1階と2階にひと部屋ずつの計2部屋。

客室は1階と2階にひと部屋ずつの計2部屋。

茅屋やの客室

開業の地として十日町を選んだのは、
離れて暮らす親の存在が気になるようになってきたのと、
ひっそりとした山の中の古民家暮らしに憧れていたためで、
地元に戻ることはごく自然なことだったと振り返る。

「東京にいた頃からとにかく古民家の宿を経営したくて、
働きながらインターネットを使ったり、帰省時に空き家情報をチェックしていました。
このまま東京にいても古民家の宿を開くのは難しいかもと思って
Uターンしようと思ったんですけど、仕事がないし、どうしようって。
そしたら地域おこし協力隊があると聞いてちょうどいいなと思ったんです」

囲炉裏で火起こしをする高橋さん。このあと高橋さんは夕食の準備でキッチンへ。辺りが暗くなっていくなか、火を見つめながら過ごす時間が心地いい。

囲炉裏で火起こしをする高橋さん。このあと高橋さんは夕食の準備でキッチンへ。辺りが暗くなっていくなか、火を見つめながら過ごす時間が心地いい。

東京を離れ、2013年から地域おこし協力隊として、
現在の茅屋やがある一帯を含む飛渡地区を担当した。

「協力隊の仕事をしつつもどうしても宿をやりたくて。
空き家探しを続けていたら、この家に住んでいたおばあちゃんが
家を離れようとしていることを知ったんです。こんなチャンスはもうないと思って、
『壊さないでください』とお願いして譲ってもらいました。

この辺りは冬になると3~4メートル雪が積もるので、
誰かが住んでいないと家が壊れちゃうんですよ。
壊れずに残っている空き家は、ここよりもずっと大きくて立派な家ばかりなので
どうしても高くなるし、ひとりじゃ手がまわりません。
ひとりでまかなえる広さで茅葺き屋根。この家に巡りあえてラッキーですよね」

茅屋やの囲炉裏

窓から見えるまちのストーリー
「わたしのまちの車窓からの風景」

今月のテーマ 「わたしのまちの車窓からの風景」

地域を走る電車から見える風景はまちによってさまざま。
海が見えたり、山沿いの木々の香りを感じたり、
トンネルを抜けた時に現れる田植えをした水田だったりと、
そのまちを感じられる景色が広がっています。

今回は日本各地の〈地域おこし協力隊〉のみなさんに
お住まいの地域を走る電車やバスの車窓から見える風景を切り撮ってもらいました。

ご自宅の周囲とはひと味違う
まち並みや自然を感じてみてください。

【長野県下伊那郡天龍村】
秘境の夏を楽しめるローカル駅の景色

JR飯田線のローカル駅が5つ存在している南信州の秘境・天龍村。
今回は「車窓からの風景」がテーマということで、
村内に点在する小さな駅の風景をご紹介します。
気軽に旅に出ることが難しくなってしまっている昨今ですが、
秘境駅にただよう初夏の風を感じていただけるとうれしいです。

平岡駅の駅舎。構内を入るとお土産ショップがあり、〈秘境駅ツアー〉もこの周辺で行われています。

平岡駅の駅舎。構内を入るとお土産ショップがあり、〈秘境駅ツアー〉もこの周辺で行われています。

駅直結の宿泊施設〈龍泉閣〉が併設されており、
村内5つの駅の中で唯一、特急列車が停まる「平岡駅」。
無人駅ではありますが、構内に入ればお土産などを買うことができます。
また、季節に合わせて駅周辺で開催される〈秘境駅ツアー〉は、
リピーターのお客さまも多く、毎回大人気のイベントとなっています。

無人駅のため、きっぷの回収も箱にいれるだけ。

無人駅のため、きっぷの回収も箱にいれるだけ。

幻の銘茶の産地でもある「中井侍駅」の周辺には、
美しく手入れされた茶畑が広がっており、新緑の季節の山々と茶葉の緑、
天竜川と空の青が織りなす景観は「すばらしい」のひと言。

こちらは銘茶の産地中井侍駅。駅を降りて歩くと茶畑が広がっています。

こちらは銘茶の産地中井侍駅。駅を降りて歩くと茶畑が広がっています。

そして、「伊那小沢駅」周辺のカンザクラは、
県内で最も早く咲く桜として、毎春の開花宣言が恒例となっています。
「信州に春を告げる村」というキャッチフレーズの、
原点のひとつとなった場所でもあります。

伊那小沢駅の様子。近くには信州でいちばん早く咲くカンザクラが植えられています。

伊那小沢駅の様子。近くには信州でいちばん早く咲くカンザクラが植えられています。

気兼ねなく旅ができる日々が戻ってきた暁には、
のんびりとローカル線に揺られて秘境駅巡りをしてみてはいかがでしょうか?
四季それぞれの雄大な自然と、あたたかい人々、
なによりもゆったりとした時の流れが、
最上級のおもてなしをしてくれることでしょう。

photo & text

本多紗智 ほんだ・さち

信州最南端、県内で一番早く桜の咲く村「天龍村」で地域おこし協力隊をしています。ないものづくしといわれる「ド」田舎ではありますが、ちょっと視点を変えてみれば、ここにはまだ「かろうじて残っているもの」がたくさんあります。秘境と呼ばれるこの村から、鮮やかな四季のうつろい、なにげない暮らしの風景をお届けできたらと思っています。