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二戸へ来たら〈Oli-Oli〉へ!
畑の恵みでつくるスムージーが
地域と農家をつなぐ

コロカルニュース

posted:2020.3.13  from:岩手県二戸市  genre:旅行 / 食・グルメ

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Haruna Sato

佐藤春菜

さとう・はるな●北海道出身。国内外の旅行ガイドブックを編集する都内出版社での勤務を経て、2017年より夫の仕事で拠点を東北に移し、フリーランスに。編集・執筆・アテンドなどを行なう。暮らしを豊かにしてくれる、旅やものづくりについて勉強の日々です。

credit

撮影:安彦幸枝

「ここは二戸のオアシス」

そんな声が聞こえてきたのは、
岩手県「二戸」駅から車で約10分、「堀野地区」と呼ばれる場所にある
カフェスタンド〈Oli-Oli(おりおり)〉。
メニューには高品質なスペシャリティコーヒーはじめ、
地元産果物を使用したスムージーやスイーツが並びます。

店主は、二戸市出身のバリスタ・工藤さおりさん。
「一度は地元を離れて北海道で暮らしていたのですが、
育った場所に何かしら恩返しがしたいと思い、二戸に帰ってきたんです」

昔ながらの商店街を進むと、木造のかわいらしい建物が現れます。

昔ながらの商店街を進むと、木造のかわいらしい建物が現れます。

南部鉄器の鉄瓶が目印

店の看板にデザインされているのは、岩手県を代表する工芸品・南部鉄器の鉄瓶。
コーヒーはすべて、鉄瓶で沸かしたお湯で淹れてくれます。

「(南部鉄器は)岩手のものであるということもそうですし、
これで沸かしたお湯でコーヒーを淹れたら味が変わるんじゃないかという勘があって、
実際淹れてみたら違ったんです。おいしくできて特徴も出せる。
お店を出すときには看板やロゴに使いたいと最初から思っていました」

olioli看板

スペシャリティコーヒーとの出会い

工藤さんは二戸に帰って来た当初、コミュニティFMに勤務。
「番組を通じて、二戸がどんな土地なのか、何が名産で、どんな人が活躍しているのか、
いろんな情報を知ったんです。人とのつながりもできて、
『私にできることは何だろう』ってすごく考えるようになって」

そんななか、隣町のカフェで、
スペシャリティコーヒーとラテアートに出会います。

「〈Oli-Oli〉を開業した堀野地区は、
気軽にコーヒーを飲めるカフェや喫茶店がないんです。
地元の人が集まる、おいしいコーヒーが飲める場所を二戸にもつくりたい。
『これが私にできることかもしれない』」

そう強く思った工藤さんは
影響を受けたカフェで修行をしながらバリスタの資格を取得、
2017年に自身の店をオープンします。

提供しているラテアート。焙煎をお願いしているのは修行時代の同僚が開業した〈ロースター・アリエッタ〉(青森県八戸市)。一緒に働いているころから「ゆくゆくはそれぞれお店を持とう」と話していたそう。

提供しているラテアート。焙煎をお願いしているのは修行時代の同僚が開業した〈ロースター・アリエッタ〉(青森県八戸市)。一緒に働いているころから「ゆくゆくはそれぞれお店を持とう」と話していたそう。

「できるだけ地元のもの使いたい」という考えのもと、
ラテは岩手県に工場をもつ小岩井乳業の牛乳と、
工藤さんも子どもの頃から買い物をしていた
二戸の〈高橋豆腐店〉の豆乳から選ぶことができます。
豆腐をつくるときにできるあまり汁ではなく、
おいしい豆乳をつくるためだけに豆腐をつくるこだわりがあり、
コーヒーに負けない深い味わいが特徴です。

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二戸は果物の産地

そんなコーヒーが自慢の〈Oli-Oli〉で、
ぜひ試してもらいたいのが、二戸の農家がつくる果物や野菜を使ったスムージー。

岩手県最北にある二戸市は、果物栽培が盛ん。
昼夜の寒暖差が激しいため、作物は昼に太陽の光ですくすく成長し、
夜は寒さから身を守ろうときゅっと締まることを繰り返す。
そうすることで糖度が高く実の引き締まったおいしい果物ができるんだとか。

1日の気温差は、年間を通じて10度前後と果物を育てるには理想的。
春から夏にかけて雨量が少ないこと、古代は海底にあった土地のため、
土壌にミネラルが豊富なことなど、おいしい果物を育む条件が揃い、
多種類のブランドフルーツがつくられています。

さくらんぼ〈夏恋(かれん)〉。日本の代表的品種「佐藤錦」のなかから、糖度17度以上、大粒で色が濃いものが選ばれます。(写真は二戸市の〈荒谷果樹園〉)

さくらんぼ〈夏恋(かれん)〉。日本の代表的品種「佐藤錦」のなかから、糖度17度以上、大粒で色が濃いものが選ばれます。(写真は二戸市の〈荒谷果樹園〉)

〈夏恋〉の旬は7月。
8月には500円玉大のブルーベリー〈カシオペアブルー〉、
10月から12月にかけては、りんご〈紅いわて〉、
〈カシオペア・クイーンサンふじ〉、〈冬恋(ふゆこい)〉など、
季節ごとにさまざまなフルーツを楽しめるのが魅力です。

そんな二戸で「地元のものをつかったメニューをつくりたい」と思ったときに、
「フルーツは外せない」と考えた工藤さん。

冷凍でき、1年を通じて安定的に提供できる
ブルーベリーのスムージーを考案します。

最初のスムージーメニューとして考案されたブルーベリー。通年提供

最初のスムージーメニューとして考案されたブルーベリー。通年提供

農家と地域をつなぐ

ブルーベリーを提供してもらっているのは、若手農家で、
コミュニティFMで農作業の様子や収穫物の情報も発信する〈荒谷果樹園〉。
当初スムージーはブルーベリーのみの予定でしたが、
「この季節にはこんな果物があるよ」とおすすめを提案してもらい、
夏は杏や桃、秋はりんご、冬は洋ナシなど、
今では季節限定のスムージーを〈Oli-Oli〉で楽しむことができます。

店を始めたことで生産者との出会いもあり、
〈あらきだ農園〉、〈馬場園芸〉など、
地元農家がつくる野菜を活かしたドリンクも開発。
観光客や帰省客、暮らす人たちに二戸の土地が育む素材の魅力を伝えています。

夏に提供される酵素ジュースは、無農薬で野菜を育てる〈あらきだ農園〉赤ビーツ、にんじん、ケールを使用したもの。ドリンクにする際は、カットしたり皮をむくなど加工するため、商品にならない果物や野菜を譲ってもらっています。「無駄が出ないので、農家さんからも喜んでいただけるのがうれしい」

夏に提供される酵素ジュースは、無農薬で野菜を育てる〈あらきだ農園〉赤ビーツ、にんじん、ケールを使用したもの。ドリンクにする際は、カットしたり皮をむくなど加工するため、商品にならない果物や野菜を譲ってもらっています。「無駄が出ないので、農家さんからも喜んでいただけるのがうれしい」

「〈あらきだ農園〉さんはひとりで農業を営んでいる農家さんで、
メニュー化することで存在を知ってもらったり、
何か広がりができればいいなと思ってお声がけしたんです。
身近に安全でおいしい、新鮮な野菜を一生懸命つくっている人がいることを、
カフェを通じて地元の人にも知ってもらえたらなと思って」

冬限定のほうれん草のスムージーは、二戸市浄法寺町で200年以上続く〈馬場園芸〉から「うちの野菜を使ってみませんか?」と声がかかり、メニュー化したもの。

冬限定のほうれん草のスムージーは、二戸市浄法寺町で200年以上続く〈馬場園芸〉から「うちの野菜を使ってみませんか?」と声がかかり、メニュー化したもの。

〈馬場園芸〉は、首都圏のレストランでも話題の
〈冬採れホワイトアスパラガス「白い果実」〉を生産する老舗農家。
果物と同じように、二戸地域の肥沃な土と、豊富な水、
夜間の低温によりアスパラの呼吸が抑制され、
糖の消費が少なくすむことで甘くてジューシーな
ホワイトアスパラガスがつくられています。

「ほうれん草も、二戸の厳しい寒さの中育ったものなので、
苦味がほとんど感じられず、
甘くて栄養価の高いグリーンスムージーができるんです。
外から来た人に〈馬場園芸〉さんのことを
知ってもらうきっかけになることはもちろん、
二戸では誰もが知る老舗農家さんの野菜を、
地元の人にも気軽に味わってもらえるのはいい機会だなと思っています」

〈Oli-Oli〉を通じて知る、二戸の果物や野菜の魅力。
工藤さんがつくるドリンクが、農家と地域をつないでくれています。

秋には二戸の海上地区の新生姜を使用したジンジャーシロップをメニュー化。さわやかな辛みとすっきりした後味が特徴です。

秋には二戸の海上地区の新生姜を使用したジンジャーシロップをメニュー化。さわやかな辛みとすっきりした後味が特徴です。

店では焼き菓子も提供。
〈高橋豆腐店〉の豆乳を使用したマクロビスイーツで、
〈荒谷果樹園〉のりんごをつかったアップルシナモンケーキ、
プルーンのタルトなど、そのとき仕入れられる果物を使用した
“気まぐれ”メニューです。
どんなメニューがあるかは、行ってからのお楽しみに!

秋冬に提供された〈荒谷果樹園〉のりんごをつかったアップルシナモンケーキ

秋冬に提供された〈荒谷果樹園〉のりんごをつかったアップルシナモンケーキ

人がつながって、笑顔になれる場所にしたい

〈Oli-Oli〉の意味は、ハワイ語で「幸福・喜び」。

「コーヒーやスムージーで、日常が少しだけ豊かになって、
二戸の人たちが笑顔になってほしい。そんな思いを込めています。

ここは、小さい町だからこそ、人への思いやりや譲り合いがあります。
私もいろんな人に助けられて今があるので、
ここでいろんな世代の人や生産者さん同士がつながって、
ビジネスを始めようと思ったり、困り事を解決してもらったり、
おすすめを教えてもらったり、何かの力になれればと思っています。

『二戸でもお店を立ち上げられるんだ』って若い人でも、
女性でも、思ってくれて、一歩踏み出すきっかけになれたら。
あとに続いてお店をはじめてくれる人が出てきて、
まちが元気になってくれればうれしい」

テイクアウトが主ですが、店内にはイートインスペースもあります。

テイクアウトが主ですが、店内にはイートインスペースもあります。

そのほかの二戸のおすすめ情報は、ほんものにっぽんにのへ に。
おでかけ前に、ぜひチェックしてみてください!

information

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Cafe Stand Oli-Oli 

住所:岩手県二戸市堀野字大川原毛106-14

営業時間:10:00-18:00

定休日:水曜日

TEL::090-5351-4579

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