連載
posted:2020.8.20 from:静岡県静岡市 genre:旅行 / 食・グルメ
sponsored by 静岡市
〈 この連載・企画は… 〉
富士山と徳川家康で知られるまち、静岡市。山海の自然と温暖な気候に恵まれた、
のんびりとした土地柄で長い歴史や文化に育まれてきた豊かな暮らしが根づいている。
そんな静岡市の魅力を今注目の3つのキーワードでひもといた。
writer profile
Ai Sakamoto
坂本 愛
さかもと・あい●香川県高松市出身。フリーランスの編集&ライター。建築と食という両極端な2ジャンルが大好物。製麺所(いまは廃業)の孫として、子どもの頃から鍛えられたおかげで、うどんも打てます。
photographer profile
Norio Kidera
木寺紀雄
きでら・のりお●写真家。神奈川県横須賀市出身。役所勤務、スタジオマンを経て、ホンマタカシ氏に師事。2001年独立しフリーとなる。雑誌広告、CMなどで活動中。
静岡市の魅力を注目の3つのキーワードで紹介していくシリーズ。
今回のキーワードは“お茶”。
絶景でのお茶の体験プログラムや、100種ものお茶が試飲できる日本茶専門店、
富士山や駿河湾を望む展望施設など、静岡の新しいお茶の楽しみ方を紹介します。
全国におけるお茶の約4割を生産する静岡県は、言わずと知れた日本一の茶どころ。
静岡市は、そんな静岡茶の発祥の地でもある。
ペットボトル入りのお茶が浸透する一方、急須で淹れる茶葉の需要が減少している昨今。
静岡市の茶業界で、新たな動きが起こっている。
まず注目したいのは、茶畑の真ん中に設けたテラスで、
その地でとれたお茶を味わえる体験プログラム〈茶の間〉だ。
いくつかある会場の中でも、人気が高いのは
標高350メートルの山間、両河内地区にある〈天空の茶の間〉。
運がよければ遠くに富士山と駿河湾、
早朝なら雲海が眼下に広がることもあるという絶景ポイントだ。
天空の茶の間が設置されているのは、世界的なパティシエ、
ピエール・エルメが食材探しに訪れたこともある茶園〈豊好園(ほうこうえん)〉。
場所によっては手をつかないと登れないほど急斜面の畑に、
約20種の品種茶を栽培している。
「茶葉は品種によって摘採期が違うので、長い期間、
それもいい状態の新芽を摘み取れるよう多品種を栽培しています。
とは言え、20種は多すぎますけどね(笑)」
こう話すのは、3代目園主の片平次郎さん。
豊好園では、生葉の生産から製茶、販売までをすべて自分たちで行う
自園・自製・自販のスタイルをとっており、最近では海外へも出荷している。
「僕が目指しているのは、湯呑みに入ったお茶の香りを嗅いだとき、
そして飲んだときに、思わず茶畑の光景が目の前に浮かぶような茶葉。
製茶をするとき、手のひらで葉の状態を感じながら、
つくりたいお茶のイメージに近づけていくんです。
お茶は僕にとっての作品なんだと思います」
2019年からスタートした茶の間プロジェクトへの参加以外にも、
片平さんが始めた取り組みに〈茶農家集団ぐりむ〉がある。
「静岡の茶産業を復活させたい」という思いから、
廃業が決まっていた両河内地区の共同工場を茶農家仲間とともに受け継ぎ、
自園・自製・自販とは差別化した、
主に市場に出荷する荒茶(仕上げ前の原料茶)をつくりながら、
耕作放棄地となった茶園の再生にも努めている。
日本平にある〈全景の茶の間〉のまわりにあるのも、茶農家集団ぐりむが管理する茶園。
富士山を望むパノラマとともに、茶農家が手塩にかけて育てたお茶を味わいたい。
information
豊好園
住所:静岡市清水区布沢270
天空の茶の間の予約・問い合わせ先
TEL:080-7016-1201(株式会社AOBEAT)
information
全景の茶の間
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農家から荒茶を仕入れ、火入れや合組(ごうぐみ=ブレンド)といった
仕上げの加工を施して小売店に販売する製茶問屋の中にも、ユニークな動きはある。
直営の日本茶専門店、それもカフェテイストの店を出店する問屋が増えているのだ。
その先駆けとなったのが、創業140年超の製茶問屋〈マルモ森商店〉が、
2014年にオープンさせた〈chagama〉。
一見するとセレクトショップのようなモダンな空間や、
100種ものお茶が自由に試飲できるスタイルが話題を呼んだ。
「chagamaは、いわば実験場。日本茶専門店と聞くと、敷居が高くて入りづらい、
入ったら高いお茶を買わなくてはいけないと思う人が多いでしょう。
その認識を変え、気軽にお茶に触れて、飲んでもらうための場がここなんです」
と6代目社長・森宣樹さんは話す。
カフェのように気軽に利用してもらえるよう、
またこれまでにない新しい飲み方を提案すべく、
オリジナリティあふれるメニューも用意。
エスプレッソマシンで抽出した煎茶エスプレッソとミルクでつくる煎茶ラテや、
週末の金曜と土曜に行われる夜の部〈chagama NIGHT〉に登場する、
お茶をベースにしたカクテルなどが楽しめる。
オープンから6年が経ち、店の認知度が上がると同時に、
「お茶に興味を持ってくれる人が増えた」と森さん。
10~60代と客層は広がり、ラテ好きの女子高生が家族を連れてきたり、
試飲で日本茶の魅力に開眼した男性客が急須を買っていったという、うれしい話も。
「静岡茶の魅力は、シーンを選ばないスッキリとした飲みやすさ。
お茶の栽培には、覆いをかぶせて遮光する方法と、
遮光しない露地栽培の2タイプがあるのですが、
露地栽培がメインの静岡茶には清々しい清涼感があります。
chagamaの試飲で、ぜひそのおいしさを体験してほしいですね」
information
chagama
住所:静岡市葵区鷹匠2-10-7 パサージュ鷹匠1F
TEL:054‒260-4775
営業時間:10:00~19:00
定休日:月曜(祝日の場合は営業)
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2018年、日本平の山頂にオープンした展望施設〈日本平夢テラス〉でも、
静岡茶を味わうことができる。静岡県産の木材をふんだんに使った建築は、
〈国立競技場〉を手がけた隈研吾建築都市設計事務所が設計。
シンボル施設3階の展望フロア、そして1周約200メートルの展望デッキから、
富士山や駿河湾はもちろん、南アルプスまで全方位を眺められる。
2階にあるカフェラウンジ〈茶房 夢テラス〉では、煎茶や抹茶に加えて、
静岡茶を使用したソフトドリンクやゼリーなどのスイーツも充実。
なかには、静岡の食材を使用したお茶漬けなどもある。
静岡茶発祥の地であり、日本のお茶の約8割を占める代表品種
「やぶきた」が誕生した地でもある静岡市。
長い歴史に培われた茶文化を次代に残すための試みは、まだまだ続く。
information
茶房 夢テラス
住所:静岡市清水区草薙600‒1 日本平夢テラス2F
TEL:054‒340‒1172
営業時間:9:00~17:00(ドリンク16:30 L.O.)、土曜9:00~21:00(ドリンク20:30 L.O.)
定休日:火曜(祝日の場合は翌平日休)
information
静岡市観光・MICE推進課
TEL:054‒221‒1454 (受付時間8:30~17:15 *土・日・祝日を除く)
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*掲載している店舗、施設の営業時間や営業形態は、状況により変更になる場合があります。
*各店舗、施設では、営業時には消毒、マスクの着用などガイドラインにそった感染予防対策を行っています。
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