エフスタイルのまなざし
大きなガラス戸から光が射し込む空間には整然と商品が並び、
見ているだけでも清々しい気持ちになってきます。
こだわったのは“もののまとう空気”も配せる空間。
「本来ものって、そのもののまとう空気があると思うんです。
ここでは“これぐらいの空気層がほしいな”という間隔を
十分にとって商品を見せています。
また、使い古された土鍋がまとうような、
“使われてこそまとう空気”も大切にしているので、
新品も使い込んだ商品もフラットに見せられるようにしました」(星野さん)

「私たちがこの仕事を続けていてよかったなと思うのは、
お客様それぞれの暮らしのなかで使い込まれた、
エフスタイルの商品に出会い直したときです。
人によっていろんな使い方があったり、経年変化の仕方があったり。
ものづくりをするときは、つくり手の方にそういった変化の可能性まで伝え、
ありとあらゆる可能性を想定しながらデザインしていきます。
つくり手ともお客さんとも、一緒に変化を楽しんでいけたらいいな、
と思うんですよね」(五十嵐さん)

〈亀田縞の風呂敷〉を持つ五十嵐恵美さん。

ゆえに、お客さんと話す機会も、大切な時間。
話を聞いて既存の商品にチューニングを加えることもあれば、
新しいアイデアが生まれることも。
エフスタイルのものづくりは、つくる人からデザインする人、
使う人へとバトンを渡すように続いていく循環のなかにあるようです。
そのデザインのはじまりにあるのは、産地の技術と、つくり手の思い。
「自分たちのデザインを製品化するために工場を開拓したことはありません。
つくり手と出会って、最初のイメージはまっさらで、
その方が本来何をしたいのかということを汲みとりながらデザインしていく。
そこに人の仕事が、暮らしがあって、私たちが関わることで
いいものが生まれたら、という気持ちでやっています。
いまは、もっともっと原点に立ち還りたいという気持ちがありますね。
お互いに全身全霊で持っているものを出し合って、
切磋琢磨していけるような人と純粋にものをつくりたいと思っています」(星野さん)

〈亀田縞のエプロン〉をつける星野若菜さん。腰元のマジックテープで固定するため、首の紐にかかる重さが少なく、軽い着心地。織りは亀田にある機屋〈立川織物〉によるもの。
「厳しい時代になってきていると思うんですね。
そういうときにこそ、本当に必要性があって、
心が踊るもの、長く使って楽しいものをつくっていかないと、
つくる意味がなくなってしまう。私たちも常に気持ちをクリアにして
取り組んでいきたいなと思っています」(五十嵐さん)

新潟市亀田の農民たちが水と泥に強い織物をつくっていたことから始まった綿織物、亀田縞の〈ベーシックシャツ〉。縫製は新潟県糸魚川市にある〈美装いがらし〉によるもの。
ものづくりについて、真摯に語ってくれた五十嵐さんと星野さん。
その言葉の奥に、生活への深い関心と愛情が垣間見えました。
それにしても、ふたりが時折口にする“楽しさ”ってどんなことなのでしょうか?
ふと知りたくなり、道具を使う“楽しさ”について聞いてみました。
「ものが持っている可能性を広げられたときですね。
ひとつのものを、こんなことにもあんなことにも使えた!
と発見していくことが楽しいです。
そもそも日本の暮らしって、人がものに寄り添い、
その人自身が技能を上げていったように思うのです。
与えられるだけではなく、自分から向かっていく、トライする暮らし、といいますか。
ものの佇まいから使う側が工夫して、ものと人がちょうどよく混ざっていく。
そんな時間を楽しんでいます」(五十嵐さん、星野さん)

東京都八王子市の〈佐藤ニット〉と改良を重ねてつくり上げた「ホールガーメント」のニット。ホールガーメント(無縫製ニット)は、袖部と胴が一体に編み上げられるため、縫い目がないのが特徴。スムーズな着心地とラインの美しさが魅力。
ショールームは、エフスタイルのまなざしが表れている空間。
ぜひその場で、ものづくりの息吹とものたちの佇まいに触れてみてください。
information
F/style
エフスタイル
住所:新潟市中央区愛宕1-7-6
TEL:025-288-6778
営業時間:毎週月・土曜のみ11:00~18:00(臨時休業・営業あり)
