連載
posted:2019.12.2 from:岐阜県高山市 genre:旅行 / 食・グルメ
sponsored by 宝酒造
〈 この連載・企画は… 〉
「和酒を楽しもうプロジェクト」もいよいよ7年目へ。
舞台をイエノミからソトノミに移し、“酒場推薦人”の方々が、日本各地の魅力的な「ローカル酒場」をご紹介します。
writer profile
Daiji Iwase
岩瀬大二
いわせ・だいじ●国内外1,000人以上のインタビューを通して行きついたのは、「すべての人生がロードムーヴィーでロックアルバム」。現在、「お酒の向こう側の物語」「酒のある場での心地よいドラマ作り」「世の中をプロレス視点でおもしろくすること」にさらに深く傾倒中。シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。シャンパーニュ騎士団認定オフィシエ。「アカデミー・デュ・ヴァン」講師。日本ワイン専門WEBマガジン『vinetree MAGAZINE』企画・執筆
credit
撮影:小坂奎介
今回のローカル酒場は岐阜県高山市で創業約80年、
高山の郷土料理にこだわった〈みかど〉。
酒場であり、郷土料理の定食店としても人気です。
地元の人にも愛されつつ、多くの観光客も迎え入れ、
外国人客向けに英語のメニューも用意されています。
現在、店を引き継ぐのは地元出身の加賀江徹さん。
3代目としてお店を引き継いで20年になります。
もともとは〈みかど食堂〉という名で長年愛されていたお店ですが、
店の継承で困っていたところ、加賀江さんのお父様が権利を取得。
板前さんを雇い存続していました。
そのころ加賀江さんはバックパッカーとして世界を放浪。
25歳、バンコクに滞在していた時に一本の電話。
「母親から店を継いでほしいと連絡がありました。さすがに親不孝も続けられないなと」
調理師免許を持っていたことも幸いし、〈みかど〉の名を継ぐことを決断したのです。
今回の案内人のふたり、朝倉圭一さんと、飲み仲間の中島亮二さんも、
加賀谷さんと同じように、一度は県外に出て、そして戻ってきたUターン組。
この〈みかど〉を紹介してくれた朝倉さんは、名古屋に出て、27歳で高山に戻りました。
自営業を継ぐ同級生たちが多い中で、サラリーマン家庭育ちの朝倉さん。
「一生続けられる仕事ってなんだろう?」と自問し、
「ここでこそやれる仕事をしたい」という思いから、
地元の器や民芸品を扱う〈やわい家〉を開業。
「高山市は、市区町村の面積で日本一。とはいえ98%は山と山林ですからね(笑)」
と笑う朝倉さんですが、だからこそ木材に恵まれ、
生活道具にも毎日を豊かに暮らす知恵が込められます。
2階にサロン的な古本屋を立ち上げましたが、
これも知の部分から高山を掘り下げていく試みです。
中島さんも新潟の建築会社に就職し、設計の仕事をしていましたが、
ほうれん草などを栽培する実家を継ぐために帰郷。
その傍ら、地元ゆかりの若手クリエイター7人で、アートイベント「山の日展」を開催。
今年8月に2回目を終えたこのイベントは、
デザイン、絵、写真、左官、猟&レザークラフト、
生態学研究に、中島さんが手がける建築&農業と多彩。
第1回では中島さんの実家にある築150年の蔵を、
多目的スペースに転用する事例を展示したのです。
さらに今年は、温室を使った空間の展示や表現に挑戦しました。
この取り組みを紹介するパンフレットで中島さんはこんな言葉を残しています。
「盆地である高山に、新しい道を通すことにもつながるのではないか」
高山を囲む自然は大いなる恵みをもたらす一方、
交流を阻む要因ともなっていたかもしれません。
だからこそ大いなる自然が残り、そこで幸せに生きる知恵が生まれ
独自の食文化、郷土料理が育まれました。
しかし、高山は不思議なまち。
江戸情緒が残る「さんまち通り」などを歩いていると
多くの人たちが行き交う豊かな商都としての賑わいがあります。
朝倉さんによれば、
「江戸時代は幕府の天領でした。ということはそれだけ豊かなものがあり、
交流の地でもあったんです」
郷土の恵みがあるからこそ人々が集う。
そして集った人たちとともになにかが生まれる。それが飛騨高山。
今夜の酒は、タカラ「焼酎ハイボール」〈ドライ〉。
強炭酸のガツンとしたキレと、宝酒造ならではの焼酎の旨みが楽しめるお酒です。
朝倉さんはぐっとひと口飲んで、
「スッキリ感がいいですね。高山ならではの濃い味の料理にも合いますよ」
そういいながら朝倉さんはメニューから
定番料理とちょっと変わったものをセレクトしました。
「定番といえばやはり飛騨牛と朴葉みそ。味は濃いめですよ。
そして、あまり知られていないものでいえば、こもどうふ。
それから……これは僕もよく知らないのですが、かわきも」
郷土料理のこもどうふは、わらを編んだ「こも」で豆腐を包み、
だし汁などで煮込んだもの。
豆腐の表面の模様と、食感が特徴的で、お盆やお正月のごちそうでもありました。
かわきもは、鶏の皮とレバーを、甘くて濃い醤油ベースのたれで煮た、岐阜・郡上の郷土料理。
これがまたドライな焼酎ハイボールとよく合う。
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さて、おふたりが飲むときは、家でまったりと過ごす「イエノミ」も多いとのこと。
中島さんは、10歳ほど先輩の朝倉さんとの時間は心地よいと言います。
「僕はあまり即答できないというか、会話の反応が遅いんです(笑)。
朝倉さんは僕が考えている間、何事もなく待ってくれるんですよ」
「そうなんだ」と笑う朝倉さんが「どんな関係なんだろうね」と聞くと
中島さんは少し考えて、「えーっと、親戚のお兄さんですかね(笑)」。
早くも1杯目が心地よく空きます。
ここで、おふたりの出会いを聞いてみましょう。
最初は中島さんが〈やわい家〉を訪れたことから。
「新潟から高山に戻ろうかと考えたときにSNSでお店を知りました。
取り組んでいることに興味を持ったんです」
すごいことをしている。そう思っていた中島さん。
はじめは緊張していたようですが、話しているうちに意気投合。
いや、意気投合というよりは、なんとなく波長が合って、
お互いが自然に結びついた、という感じだったのでしょう。
今でも、お酒の席では、なにか建設的な話をしようというのでもなく
「漠然とした不安であったりとか、なんだか同じようなことを繰り返し話してるかも」
と朝倉さん。しみじみといい酒の時間が流れていることが想像できます。
ここで〈飛騨牛朴葉みそ焼肉〉が登場。朝倉さんが解説してくれました。
「通常、朴葉みそというとみそにねぎとしいたけとシンプルなんですよ」
そこに、高山名物・飛騨牛を同時に食する贅沢なバージョン。
サシが多い飛騨牛と香ばしくコクがある味噌がからむと、
どうにも焼酎ハイボールが進みます。
この朴葉みそ。古くから高山で愛されていましたが、
高山の飲食店として初めて提供したとされるのがここ〈みかど〉。
居心地のいい店ですが、背負う伝統もあります。そしてこだわりも。
「実は季節ごとにメニューは絞っているんです。
時期によってとれる素材も変わりますし、通年で出せるものは限られます」と加賀江さん。
郷土料理も、季節感を求めることができるのが〈みかど〉流なのです。
ここで朝倉さんがひと言。「おもしろい店なんですよ」。
加賀江さんが笑いながら答えます。
「私は、もともと音楽もやってまして、パンクロックバンドのベーシストだったんです。
このあたりで音楽をやっているお客さんも多くて、
ライブの打ち上げで使ってもらったりしてます」
その人たちがつけた店の異名は「ロックンロールレストラン みかど」。
「郷土料理にこだわりながら、これですから」
という朝倉さんも実はミュージシャン活動歴の持ち主。
名古屋時代は、有名なモニュメントの前でストリートライブをしていた、
なんて話を聞かせてくれました。
加賀江さんも朝倉さんもアートイベントを動かす中島さんも、
こだわりを持ちながら、それを強く押し出すことなく表現しています。
饒舌に語らずとも豊かな酒席。
そこから、3人のキャラクターが見えてくるようでした。
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東京・下町生まれの元祖チューハイ(焼酎ハイボール)の味わいを追求。
キレ味と爽快感、ガツンとくる強炭酸の味わい。
宝焼酎ベースならではの、旨みと飲み応えが特長です。
下町の大衆酒場で愛されるスタイルだから、さまざまな酒場の肴にぴったり。
飛騨高山の濃いめ、甘めの郷土料理にも合わせやすいうえに、
飛騨牛のような余韻のある食材とも相性良し。
甘味料、糖質、プリン体ゼロなのもうれしいですね。
information
みかど
住所:岐阜県高山市末広町58
TEL:0577-34-6789
営業時間:11:30〜14:00 17:30〜20:30
定休日:水曜
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