〈マスカット・ベーリーA〉。
ワイン好きに限らず、この名を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか?
それもそのはず、マスカット・ベーリーAは
日本で生産されている赤ワイン用のぶどうのなかで最も生産量が多い品種だから。
そんな日本のワインぶどうの代名詞ともいえるマスカット・ベーリーAが生まれたのが、
新潟県上越市にあるワイナリー〈岩の原葡萄園〉です。
今年6月に開催された「G20大阪サミット2019」では、
赤ワイン〈深雪花(みゆきばな)〉が振る舞われるなど、
1890(明治23)年の開設以来、日本のワインのパイオニアとして、
ワイン界を牽引してきた同園。
ここでは、創業者であり「日本のワインぶどうの父」と称される
川上善兵衛氏と日本のワインがたどってきた歴史に触れることができます。

岩の原葡萄園のワインができるまで
岩の原葡萄園があるのは、新幹線の上越妙高駅から車で25分ほどの距離にある
上越市の頸城(くびき)平野。
1時間ほどあればすべてを見て回れる広さの園内には、葡萄畑はもちろん、
ワインを製造・販売する施設とオフィスが併設されています。
生産棟、第一号・第二号石蔵、雪室、
ワインショップ・レストラン・資料室からなる川上善兵衛記念館などがあり、
生産棟とオフィスを除くすべての施設が開放されています。

赤ワインの仕込み風景。ぶどうを除梗破砕機に入れ、果梗と実に分ける。
取材に訪れたこの日は、県外から仕入れた約600キロの
マスカット・ベーリーAを乗せたトラックが横づけされ、
赤ワインの仕込みをしているところでした。
「このマスカット・ベーリーAは、糖と酸のバランスがほどよくて、
そのまま食べてもおいしいんですよ」

善兵衛が生んだ日本固有種〈マスカット・ベーリーA〉。日本で最も多く栽培されている赤ワイン用ぶどうで、生食兼用のぶどう。
ぶどうは丸ごと除梗破砕機に入れられ、まずは果梗と実に。
次に搾汁機で実を搾り、果汁になります。
常温だと発酵の温度が上がり、苦味や雑味が出てしまうため、
冷やしたぶどうを使ってなめらかに仕上げます。
園内で収穫したぶどうで仕込む際には、7度前後の冷蔵庫でひと晩冷やすのだそうです。
1キロの葡萄から約800ミリリットルのワインができます。
次に向かったのは葡萄畑。取材で訪れた10月上旬は収穫の最盛期。
晴天の空の下、約20名の方々が斜面に立てた脚立を器用に使って、
ロゼワイン用のマスカット・ベーリーAの収穫をしていました。

サイズと糖度の基準を満たしたぶどうから順に収穫。斜面に器用に脚立を立て、高いところのぶどうも手際よく。

園内では、〈ブラック・クイーン〉、〈ローズ・シオター〉、
〈レッドミルレンニューム〉、〈ベーリー・アリカントA〉を主に栽培。
糖度とサイズを計測し、条件に達したぶどうから収穫していきます。
