〈ホテルロイヤルクラシック大阪〉が 大阪・なんばに開業。 そのみどころ、魅力を 一挙紹介!

旧新歌舞伎座の意匠を復元 アートを身近に感じるホテル

大阪・ミナミのランドマーク旧新歌舞伎座跡地に、
宿泊施設〈ホテルロイヤルクラシック大阪〉が、12月1日に開業。
旧新歌舞伎座の在りし日を思い起こさせる姿が、今注目を集めています。

さまざまな伝統文化の発信地として、
長年大阪の人たちに愛されてきた新歌舞伎座ですが、
老朽化などにより2009年6月に惜しまれつつ閉館。
冠婚葬祭事業を展開する〈ベルコ〉が跡地を引き継ぎ、
当時の意匠を受け継ぐ都市型ホテルとして産声をあげることになりました。

ホテルの設計は、東京オリンピック・パラリンピックの拠点となる
新国立競技場の完成も記憶に新しい、建築家・隈研吾氏が担当。
隈氏も敬愛する村野藤吾氏設計の旧新歌舞伎座の象徴とも言える、
幾重にもなった唐割風(からはふ)を低層部に復元するなど、
長く親しまれてきた“ミナミの顔”の意匠を継承した外観が特徴となっています。

2階のカフェラウンジ〈コアガリ〉や共有スペース、エントランスには、
旧新歌舞伎座で使用されていた金物や鬼瓦などが展示されており、
その歴史を垣間見ることができます。

旧新歌舞伎座 懸魚 真鍮製(直径600mm)

旧新歌舞伎座 懸魚 真鍮製(直径600mm)

旧新歌舞伎座 鬼瓦銅板製 辻普堂左・歌舞伎十八番「嫐(うわなり)」で使用された隈取をイメージ右・歌舞伎十八番「暫(しばらく)」で使用された隈取をイメージ

旧新歌舞伎座 鬼瓦銅板製 辻普堂 左・歌舞伎十八番「嫐(うわなり)」で使用された隈取をイメージ 右・歌舞伎十八番「暫(しばらく)」で使用された隈取をイメージ

館内は、天然木をふんだんに取り入れた和モダンな佇まい。
館内の階数表示やお手洗いのピクトグラムにも木を用いるなど、
スタイリッシュながらも温かみのある空間に仕上がっています。

全天候型のチャペルアトリウム〈大空〜SORA〜〉も木でつくるこだわりよう。

全天候型のチャペルアトリウム〈大空〜SORA〜〉も木でつくるこだわりよう。

新潟の海の幸を里山で味わう。 南魚沼〈龍寿し〉が名店といわれる理由

南魚沼市と魚沼市のちょうど中間にあたる大崎集落。
住宅や商店がポツリポツリと点在するこのエリアに、
遠路はるばる車を走らせ顧客が集う寿司屋〈龍寿し〉があります。

先代の頃は出前と宴会が売り上げの多くを占める、
いわゆる農村地帯のお寿司屋さんだった同店は、
2代目大将の佐藤正幸さんの手により、
新潟でも屈指のレベルと評判の名店へと進化を遂げました。

現在では県外からのお客さんが約3割を占め、
南魚沼市の高級宿〈里山十帖〉をプロデュースする
〈自遊人〉の代表取締役である岩佐十良(とおる)さんをはじめ、
食通たちに愛されています。
その道の通たちをうならせる秘密はどこにあるのでしょう。

手間、時間、独自のアイデアが生む、ここにしかない味

この日はカウンターで、つまみと握りのおまかせコース
「信楽(しがらき)」(7500円・税別)をいただくことに。
おつまみ4~5品、握りが10~12貫にお味噌汁がついた
バラエティに富んだ人気メニューです。

まずはおつまみから。
細くシャキシャキとした食感が心地よい岩もずくに始まり、
幻の魚と呼ばれるアラの刺身、甘エビの刺身、ノドグロの塩焼きと続きます。
岩もずくからノドグロまでこの日の主役はすべて佐渡産です。

ノドグロの塩焼きに添えられた枝豆も地物。

ノドグロの塩焼きに添えられた枝豆も地物。

アラと甘エビに添えられたつまは、だしで漬けた南魚沼産の糸瓜。
糸瓜は「糸かぼちゃ」「そうめんかぼちゃ」とも呼ばれる長岡の伝統野菜です。
大根よりも味が濃く、身が詰まっているため、佐藤さんがひと手間加えることで、
それだけで立派な一品として仕上がっています。

甘エビの刺身には、長岡野菜の糸瓜のつまを。八海山の伏流水で育てた魚沼わさびはその都度すりおろす。

甘エビの刺身には、長岡野菜の糸瓜のつまを。八海山の伏流水で育てた魚沼わさびはその都度すりおろす。

「糸瓜を使い始めたのは3年前から。
2015年に〈雪国A級グルメ〉というプロジェクトの講演会に参加したときに
山形の〈アル・ケッチャーノ〉の奥田政行シェフのお話を聞いて、
もっと地元の食材に目を向けてみようと思ったのがきっかけです。
糸瓜はまず巻物の具として使い始めて、その具をそのまま
『これ、つまにも使えるじゃん!』とひらめいたんです」

大将の佐藤正幸さん。

大将の佐藤正幸さん。

おつまみの締めは地物トマトと新潟県産ぶどうのカプレーゼ風味。
トマトは2種、ぶどうは3種使用し、
酒粕、アーモンド、砂糖、クリームチーズと和えたもの。

トマトとぶどうの酸味や甘みにクリームチーズのコクが絶妙に絡み合う
爽やかな味わいで、おつまみの終わりと握りの始まりをつなぐための
一品としての役割を果たしている印象を受けました。
佐藤さんの気遣いとクリエイティビティが伝わってきます。

おつまみの締めは、地物トマトと新潟県産ぶどうのカプレーゼ風味。佐藤さんのお客さんへの気遣いを感じる一品。

おつまみの締めは、地物トマトと新潟県産ぶどうのカプレーゼ風味。佐藤さんのお客さんへの気遣いを感じる一品。

〈Maple Activity Center〉
岩見沢の移住者たちが立ち上げた
地域に根ざしたアクティビティ

北海道岩見沢市の美流渡(みると)に移住した來嶋路子さんが、
いまとても気になっているというのが、
美流渡のお隣、毛陽というエリアで始まった
〈Maple Activity Center(メープルアクティビティセンター)〉。
今回はその活動と、アクティビティセンターを立ち上げたメンバーたちを取材しました。

広大な敷地で体験できるアクティビティ

札幌から車で約1時間、岩見沢市街地から車で約20分のところにある〈メープルロッジ〉。

札幌から車で約1時間、岩見沢市街地から車で約20分のところにある〈メープルロッジ〉。

岩見沢市の自然豊かなエリア、毛陽に佇む宿〈ログホテル メープルロッジ〉。
総面積20万平米という広大な敷地には、屋外テニスコートと屋内テニスコート、
りんごや桃などが収穫できる果樹園などもある。

一歩足を踏み入れると、開放感のあるホールが。太い丸太を柱や梁に使ったログハウス風ホテル。

一歩足を踏み入れると、開放感のあるホールが。太い丸太を柱や梁に使ったログハウス風ホテル。

スイートルーム「ホワイトバーチ」は広々として家族で泊まるのに最適。4名利用で1名13550円~(税別)。

スイートルーム「ホワイトバーチ」は広々として家族で泊まるのに最適。4名利用で1名13550円~(税別)。

以前から宿泊施設だったが、老朽化した設備などを一新し、
2018年4月に大幅リニューアル。料理も北海道産の食材にこだわるなど、
よりこの地域の魅力を生かす宿に生まれ変わった。
天然温泉や本格的なフィンランド式サウナも備え、グランピングも楽しめる快適な宿だ。

敷地内には菜園もあり、ここでとれた野菜やエディブルフラワーもレストランの料理に使用されている。

敷地内には菜園もあり、ここでとれた野菜やエディブルフラワーもレストランの料理に使用されている。

そのメープルロッジのフィールドで、4輪バギーなどのアクティビティを提供するのが、
〈Maple Activity Center(メープルアクティビティセンター)〉だ。
ここでは4輪バギーで公道を走ることはできないが、
免許はなくてもスタッフの講習を受け、広大な敷地の中を駆け巡ることができる。
近年、各地で人気が高まっているアクティビティだ。

ほかにも「焚き火カフェ」や地域の歴史を知ることができるようなサイクリング、
冬はスノーシューなど、このエリアで楽しめるアクティビティを企画、実施している。

4輪バギーはバイクのような乗り物だが、4輪でバイクよりも安定感がある。

4輪バギーはバイクのような乗り物だが、4輪でバイクよりも安定感がある。

このアクティビティセンターを立ち上げたのは、
イラン出身でアメリカ育ちのスティーブン・ホジャティさん。

「ここは草地が広がる広場もあるし、4輪バギーだったら
この敷地内でも楽しめるんじゃないかと思いつきました」

12歳未満の子どもは大人と同乗すれば乗車できるので、
家族でも、大人同士でも楽しめると好評だ。

図書室にウール工房、そして遊び道具!?
東広島市の古民家は自由自在!

広島県の中央に位置する東広島市。
週末にそこかしこで開放されている西条の酒蔵通りが観光の定番だ。
そんな「お酒のまち」としてのイメージが強い東広島市だが、
実は各地に個性際立つ古民家が点在している。

そこで地域に住まう人の息遣いが感じられる旅をするならぜひ訪れたい、
「場」として古民家をうまく活用している
〈ほたる荘〉〈豊栄ウール工房〉〈Belly Button Products〉の3軒を紹介する。

〈ほたる荘〉
みんなの力を借りて、愛すべき茅葺き古民家を残すための図書室

築約100年の茅葺き古民家を〈ほたる荘〉として活用している。

築約100年の茅葺き古民家を〈ほたる荘〉として活用している。

東広島市の志和堀地区はいくつもの茅葺き古民家が残る風情豊かな田園地帯。
そこに〈ほたる荘〉という茅葺き屋根の小さな図書室がある。

有名どころからコアなものまで、「経済・ビジネス」「科学」「社会・未来」などのジャンルで分けられている本棚。左奥のスペースには文豪たちの作品がずらりと並んでいた。

有名どころからコアなものまで、「経済・ビジネス」「科学」「社会・未来」などのジャンルで分けられている本棚。左奥のスペースには文豪たちの作品がずらりと並んでいた。

ここでは寄贈された本をまったりと読むことができるうえ、
カフェや畑仕事を楽しんだり、
音楽ライブなどのイベント会場として利用することもできる。

〈つくれば工房〉は水、土曜にオープン。

〈つくれば工房〉は水、土曜にオープン。

2019年には隣の蔵をリノベーションし、〈つくれば工房〉を迎え入れた。
3Dプリンタを備える木工室や機織り機が登場し、
子どもも大人も一緒になって学べる「ものづくりの場」としても機能している。

柔らかい光が差し込む窓際では気持ちよく読書できる。

柔らかい光が差し込む窓際では気持ちよく読書できる。

さらに直近では漫画図書室が新設され、
曜日ごとにテーマが変わる室長制度もスタートした。
〈ほたる荘〉はまさに、朝から晩まで入り浸りたくなるような空間へと
年々変化し続けている。

そんな〈ほたる荘〉の代表を務めるのは、鹿児島県出身の杉川幸太さん。
広島大学で教鞭を執るべく、5年前に東広島市へと引っ越してきた。

杉川幸太さん。最近は曜日ごとに室長さんがいるので、杉川さん自身が常に〈ほたる荘〉にいなくても回る体制になった。

杉川幸太さん。最近は曜日ごとに室長さんがいるので、杉川さん自身が常に〈ほたる荘〉にいなくても回る体制になった。

「子どもと一緒に志和堀を散歩していたら、
茅葺き古民家がいくつもあって衝撃を受けたのと同時に、とても感動しました!
とはいえ、志和堀の茅葺き古民家の数はここ10年で半分以下になったようです。
茅の修理や調達は経済的にも時間的にも負担が大きいことが原因でしょう。
効率的なものばかりが選ばれる世の中において、
いいものであってもいわば非効率な茅葺き古民家を
どうしたら残していけるのかということを考えていきました」

茅葺き古民家をできるだけ長く保全するためには、
個人で管理するのではなく、みんなで管理することが大切だ。
多くの人を巻き込むためには、ただ訪れてもらうだけではなく、
もっと踏み込んだ関わりを通して愛着を持ってもらう必要がある。
そこで生まれたのが「図書室」というアイデアだった。

「かしだしノート」を見ると、小さな子どもから年配の方まで、さまざまな人が〈ほたる荘〉を利用していることがわかる。

「かしだしノート」を見ると、小さな子どもから年配の方まで、さまざまな人が〈ほたる荘〉を利用していることがわかる。

「基本的に、ここにあるのは訪れた人が置いていった本なんですよ。
その多くは、捨てたり売ったりできずに手元に残っていた本です。
簡単には手放せなかった思い入れのある本を寄贈した場所のことは
一生忘れないだろうなと。そういう作戦です(笑)」

〈ほたる荘〉の本は近隣に住む人だけでなく、
旅行で訪れた遠方在住の人も借りることができる。

「いちおう返却期限は1か月にしてみたんですが、
そのままずっと持っていたり自由なルールで借りてる方も多いですよ(笑)。
引っ越しなどのタイミングで『あっ、〈ほたる荘〉の本だ!』と
思い出してくれたら、それでもいいのかなと思いますね」

取材でうかがった水曜日の室長は彦坂智恵さん。「新しい学びの場づくり」をテーマに活動している。焼き芋がとてもおいしそうだった。

取材でうかがった水曜日の室長は彦坂智恵さん。「新しい学びの場づくり」をテーマに活動している。焼き芋がとてもおいしそうだった。

古民家の改修は、
クラウドファンディングと杉川さんらの手持ち資金をもとに行った。
隣町の井上工務店(井上富雄さん)から指導を受け、
広島の建築系学生団体〈scale〉に所属する学生や地域の人々、
そして茅葺き職人とともにほぼセルフでリノベーションを進めた。

「はらぺこあおむし」風の本棚。

「はらぺこあおむし」風の本棚。

「学生たちは人手としてもそうですが、
アイデアをたくさん出してくれたのがとてもありがたかったですね。
例えば、表紙を見せて並べられる絵本用の本棚をつくってほしいと
学生にお願いしたんですが、結局は、
「はらぺこあおむし」風の本棚ができあがって(笑)。
学生が自由にやるとおもしろくなるんだなあと思いました」

〈つくれば工房〉と同じく、水、土曜ならば利用できる機織りスペース。

〈つくれば工房〉と同じく、水、土曜ならば利用できる機織りスペース。

図書室でありながら、実践的な学びの場であり、
自分の居場所を自分でつくる場にもなっている〈ほたる荘〉。
親子連れで行けば、基本的に誰かが子どもと一緒に遊んでくれるという。
本に読み耽ったり機織りをしてみたり、思い思いの時間をここで過ごしてほしい。

information

map

ほたる荘

住所:広島県東広島市志和町志和堀469

TEL:090-9088-5739

開室時間:11:00〜15:00

開室日:火・水・木・土曜

※つくれば工房は水・土曜にオープン

Web:http://www.openhotaru.mimoza.jp/

『BEAMS EYE ON』 BEAMSが独自の目線で キュレーションした ローカルガイドブックを無料配布中!

BEAMSスタッフ一押しの高感度なローカル情報が満載!

全国各地のBEAMSスタッフだからこそ知る、
その土地にしか存在しない文化、そこでしか手に入らないもの、
現地の人が足繁く通うローカル店……。

トレンドに敏感で感度の高い彼らだからこそ、
心をグッと掴むローカル情報を熟知しているのは間違いない。
そんな狙いでまとめられたかのごとく誕生したのが、
全国のBEAMSスタッフがキュレーションしたシティガイド『BEAMS EYE ON』です。

新宿、静岡、大阪、神戸、広島、福岡、松山、長崎、熊本、
それぞれの都市をフィーチャーした第一弾を今年の7月にリリースし
人気を博した本シリーズですが、現在、第二弾となる
札幌、京都、大阪、仙台、金沢、名古屋の計6都市分が、
新宿の〈ビームス ジャパン〉などで無料配布されています。

〈清津峡渓谷トンネル〉 日本三大峡谷の名勝地が インスタ映えの聖地になるまで

[tunnel of Light]Ma Yansong / MAD Architects(大地の芸術祭)

水面に反転した峡谷。その美しい風景を見るために、
そしてその風景の一部になってポーズをとり、写真を撮影するために。
いま、新潟県十日町市の山奥にある〈清津峡渓谷トンネル〉には
連日続々と人が訪れています。

SNSなどでこの光景を目にしたことがある人も多いと思いますが、
Instagramでハッシュタグ検索してみると「清津峡」で投稿された写真は2万件を超え、
インスタ映えするフォトスポットとして非常に人気が高いスポットです。

リニューアル前年の2017年に年間5万人だった来場者数は、
2018年に18万人へと大きく飛躍。2019年のお盆には、
1日の来場者数が過去最高となる5000人を突破しました。
なぜこれほどの人気スポットになったのでしょう?

水鏡のアイデアで大人気の撮影スポットに

そのきっかけは、越後妻有で2000年から3年に1度開催されている
世界最大級の国際芸術祭〈大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ〉
(以下、大地の芸術祭)。清津峡渓谷トンネルは、
この芸術祭の作品のひとつとしてリニューアルされ、来場者数が激増しました。

もともとは、日本三大峡谷にも数えられる絶景「清津峡」を目にしようと、
全国から訪れる観光客のためにつくられた清津峡渓谷トンネル。
全長750メートルのトンネル内には、当時から3か所の見晴台と
終点のパノラマステーションが設けられています。

そう、トンネル自体は20年以上前から同じ場所にあり、
基本的な構造はほぼ変わっていません。

大きく変わったのは、現在フォトスポットとなっている終点のパノラマステーション。
リニューアル前は、清津峡の歴史を学べる資料館として開放されていましたが、
2018年の大地の芸術祭に合わせて、中国出身の建築家であるマ・ヤンソンと、
彼によって設立された建築事務所〈MADアーキテクツ〉が
『Tunnel of Light』というタイトルのアートへと昇華させたのです。

床一面に沢水を張り、壁面にステンレス板を貼ることで、
外の景色が水に反転して映る現在の姿へ。
落石から身を守るためにつくられたトンネルを、
人々にとって“ツール”から“目的”へと生まれ変わらせた、
発明と言えるほどの画期的なアイデアだったのです。

終点の「ライトケーブ(光の洞窟)」。この日は風の影響で水面が波立っているが、普段はもっとくっきりと景色と人が反転して映る。水位が低い右端から壁を伝うように進んでいく。[tunnel of Light]Ma Yansong / MAD Architects(大地の芸術祭)

終点の「ライトケーブ(光の洞窟)」。この日は風の影響で水面が波立っているが、普段はもっとくっきりと景色と人が反転して映る。水位が低い右端から壁を伝うように進んでいく。[tunnel of Light]Ma Yansong / MAD Architects(大地の芸術祭)

webサイト『低空飛行』が美しい! 原研哉さんが 日本のよりすぐりスポットを紹介

写真や動画、文章も原さんが手がける

グラフィックデザイナーの原研哉さんが、
「こんな日本はいかがですか」と日本国内の
よりすぐりのスポットを紹介するwebサイト『低空飛行』を立ち上げました。

webサイトの名前となっている「低空飛行」は、
地上の景色をつぶさに眺められるような低い高度での飛行のこと。
日本の深部あるいは細部をくまなく見てまわる旅をイメージし、
そのように名付けたといいます。

サイトには原さんがセレクトした日本各地のスポットが
自身が手がけた動画、写真、文章とともに紹介。
そのほか観光にまつわるエッセイも掲載されています。

ちなみに現在までに公開されているスポットはこちら。
どれでも日本の奥深さを感じる美しいところばかりです。

・北海道 釧路湿原 塘路湖と釧路川

・北海道 倶知安町 坐忘林

・秋田県 乳頭温泉 鶴の湯

・石川県 能登 さか本

・石川県 山代温泉 べにや無何有

・栃木県 那須 アートビオトープ 水庭

・群馬県 みなかみ町 法師温泉

・神奈川県 湯河原 石葉

・神奈川県 小田原 江之浦測候所

・長野県 修善寺 あさば

・長野県 小布施 枡一客殿

・三重県 志摩 アマネム

・和歌山県 椿温泉 海椿葉山

・奈良県 吉野町 吉野杉の家

・瀬戸内海 客船旅館 ガンツウ

・鹿児島県 妙見温泉 雅叙苑

・鹿児島県 霧島連峰 テンクウ

音楽家・蓮沼執太の旅コラム
「現代まで使用されている
江戸時代のキネティックアート」

さまざまなクリエイターによる旅のリレーコラム連載。

第4回は、音楽家の蓮沼執太さんが
香川県の〈金毘羅山〉を訪れた話。
四国駆け足旅の一貫として登った金毘羅山ですが
現地で知った歌舞伎舞台の仕組みには、とても驚いたようです。

「海」と「山」を意識させる金毘羅山

去年の冬、香川県西部に位置する琴平山、通称〈金毘羅山〉へ行ってきました。

この旅ではまず、新幹線で東京駅から岡山駅へ向かい、
そこからはレンタカーで、四国を駆け足で回ろうという2泊3日の計画です。
旅の目的は、
有名無名を問わず四国のモダニズム建築を観に行くこと、
予約した〈イサム・ノグチ庭園美術館〉への訪問、
気になっていた陶器を買いに窯元を訪れる、
さまざまな種類の温泉に入る
など、リサーチと楽しみを詰め込んだ、わりと“旅”の定番のようなものでした。

今振り返ると、四国周辺をレンタカーで3日間、
倉敷、尾道、道後、琴平、丸亀、鳴門、高松と回って、
再び岡山に戻ってくるルートは
かなりかっ飛ばすような、勢いある道中のようにも思えます。

この日は、晴れ間にプカプカと白い雲が浮かぶ天気の良い日。
車を走らせていると、
丸みを帯びたみどり色とつち色の台形が、地面とくっついた山が見えてきました。
これが琴平山。この辺りの山はひとつひとつが独立していて、
山脈のような連なりを感じさせない、まさに「山」が存在している印象でした。

高山〈みかど〉
ドライな焼酎ハイボールに最高のアテ
飛騨牛を朴葉みそで
“チリチリ”と焼く幸せ

旅の醍醐味はローカル酒場!
全国おすすめ酒場探訪記 飛騨高山編
こだわる。でも飾らず、自然体で

今回のローカル酒場は岐阜県高山市で創業約80年、
高山の郷土料理にこだわった〈みかど〉。
酒場であり、郷土料理の定食店としても人気です。
地元の人にも愛されつつ、多くの観光客も迎え入れ、
外国人客向けに英語のメニューも用意されています。
現在、店を引き継ぐのは地元出身の加賀江徹さん。
3代目としてお店を引き継いで20年になります。

昭和の風情も残る商店街に、昔ながらの純和風な建物。でも近づいてみると英語の表記もあって、高山の昔と今が一緒に感じられます。

昭和の風情も残る商店街に、昔ながらの純和風な建物。でも近づいてみると英語の表記もあって、高山の昔と今が一緒に感じられます。

もともとは〈みかど食堂〉という名で長年愛されていたお店ですが、
店の継承で困っていたところ、加賀江さんのお父様が権利を取得。
板前さんを雇い存続していました。
そのころ加賀江さんはバックパッカーとして世界を放浪。
25歳、バンコクに滞在していた時に一本の電話。
「母親から店を継いでほしいと連絡がありました。さすがに親不孝も続けられないなと」
調理師免許を持っていたことも幸いし、〈みかど〉の名を継ぐことを決断したのです。

やわらかい笑顔でお客様を迎える加賀江さん。世界を訪ねるバックパッカーから、世界から訪れる人たちを迎え入れる仕事へ。

やわらかい笑顔でお客様を迎える加賀江さん。世界を訪ねるバックパッカーから、世界から訪れる人たちを迎え入れる仕事へ。

今回の案内人のふたり、朝倉圭一さんと、飲み仲間の中島亮二さんも、
加賀谷さんと同じように、一度は県外に出て、そして戻ってきたUターン組。
この〈みかど〉を紹介してくれた朝倉さんは、名古屋に出て、27歳で高山に戻りました。

自営業を継ぐ同級生たちが多い中で、サラリーマン家庭育ちの朝倉さん。
「一生続けられる仕事ってなんだろう?」と自問し、
「ここでこそやれる仕事をしたい」という思いから、
地元の器や民芸品を扱う〈やわい家〉を開業。

「高山市は、市区町村の面積で日本一。とはいえ98%は山と山林ですからね(笑)」
と笑う朝倉さんですが、だからこそ木材に恵まれ、
生活道具にも毎日を豊かに暮らす知恵が込められます。
2階にサロン的な古本屋を立ち上げましたが、
これも知の部分から高山を掘り下げていく試みです。

中島さんも新潟の建築会社に就職し、設計の仕事をしていましたが、
ほうれん草などを栽培する実家を継ぐために帰郷。
その傍ら、地元ゆかりの若手クリエイター7人で、アートイベント「山の日展」を開催。
今年8月に2回目を終えたこのイベントは、
デザイン、絵、写真、左官、猟&レザークラフト、
生態学研究に、中島さんが手がける建築&農業と多彩。
第1回では中島さんの実家にある築150年の蔵を、
多目的スペースに転用する事例を展示したのです。
さらに今年は、温室を使った空間の展示や表現に挑戦しました。

この取り組みを紹介するパンフレットで中島さんはこんな言葉を残しています。
「盆地である高山に、新しい道を通すことにもつながるのではないか」
高山を囲む自然は大いなる恵みをもたらす一方、
交流を阻む要因ともなっていたかもしれません。
だからこそ大いなる自然が残り、そこで幸せに生きる知恵が生まれ
独自の食文化、郷土料理が育まれました。

しかし、高山は不思議なまち。
江戸情緒が残る「さんまち通り」などを歩いていると
多くの人たちが行き交う豊かな商都としての賑わいがあります。

江戸時代の趣を残す昼のさんまち通り。外国人観光客も多く、平日にも関わらず賑わっています。

江戸時代の趣を残す昼のさんまち通り。外国人観光客も多く、平日にもかかわらず賑わっています。

朝倉さんによれば、
「江戸時代は幕府の天領でした。ということはそれだけ豊かなものがあり、
交流の地でもあったんです」
郷土の恵みがあるからこそ人々が集う。
そして集った人たちとともになにかが生まれる。それが飛騨高山。

ほろ酔いの会話も次々とすてきな言葉になる朝倉さん。郷土への愛を軽やかな言葉にのせて語っていただきました。

ほろ酔いの会話も次々とすてきな言葉になる朝倉さん。郷土への愛を軽やかな言葉にのせて語っていただきました。

今夜の酒は、タカラ「焼酎ハイボール」〈ドライ〉。
強炭酸のガツンとしたキレと、宝酒造ならではの焼酎の旨みが楽しめるお酒です。
朝倉さんはぐっとひと口飲んで、
「スッキリ感がいいですね。高山ならではの濃い味の料理にも合いますよ」
そういいながら朝倉さんはメニューから
定番料理とちょっと変わったものをセレクトしました。

「定番といえばやはり飛騨牛と朴葉みそ。味は濃いめですよ。
そして、あまり知られていないものでいえば、こもどうふ。
それから……これは僕もよく知らないのですが、かわきも」

郷土料理のこもどうふは、わらを編んだ「こも」で豆腐を包み、
だし汁などで煮込んだもの。
豆腐の表面の模様と、食感が特徴的で、お盆やお正月のごちそうでもありました。

料亭のだし巻き玉子焼きにも見えるけれど、これが豆腐。高野豆腐ほど濃い出汁ではなく、素朴な風味も味わえます。400円(税抜き)

料亭のだし巻き玉子焼きにも見えるけれど、これが豆腐。高野豆腐ほど濃い出汁ではなく、素朴な風味も味わえます。400円(税抜き)

かわきもは、鶏の皮とレバーを、甘くて濃い醤油ベースのたれで煮た、岐阜・郡上の郷土料理。
これがまたドライな焼酎ハイボールとよく合う。

こちらがかわきも。タレのコクとドライな焼酎ハイボールの相性は抜群。お酒はもちろん、残ったタレを白米にかけたくなる誘惑。500円(税抜き)

こちらがかわきも。タレのコクとドライな焼酎ハイボールの相性は抜群。お酒はもちろん、残ったタレを白米にかけたくなる誘惑。500円(税抜き)

酒場の定番コロッケは飛騨牛入り。フライものも手は抜きません。600円(税抜き)

酒場の定番コロッケは飛騨牛入り。フライものも手は抜きません。600円(税抜き)

ひとり旅にうれしい定食は、昼夜問わず提供。定食なら飛騨牛も手軽にいただけます。〈飛騨牛陶板焼き定食〉2000円(税抜き)

ひとり旅にうれしい定食は、昼夜問わず提供。定食なら飛騨牛も手軽にいただけます。〈飛騨牛陶板焼き定食〉2000円(税抜き)

〈岩の原葡萄園〉 マスカット・ベーリーAのふるさとへ。 老舗ワイナリーで味わう日本ワイン

〈マスカット・ベーリーA〉。
ワイン好きに限らず、この名を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか? 
それもそのはず、マスカット・ベーリーAは
日本で生産されている赤ワイン用のぶどうのなかで最も生産量が多い品種だから。

そんな日本のワインぶどうの代名詞ともいえるマスカット・ベーリーAが生まれたのが、
新潟県上越市にあるワイナリー〈岩の原葡萄園〉です。

今年6月に開催された「G20大阪サミット2019」では、
赤ワイン〈深雪花(みゆきばな)〉が振る舞われるなど、
1890(明治23)年の開設以来、日本のワインのパイオニアとして、
ワイン界を牽引してきた同園。
ここでは、創業者であり「日本のワインぶどうの父」と称される
川上善兵衛氏と日本のワインがたどってきた歴史に触れることができます。

岩の原葡萄園のワインができるまで

岩の原葡萄園があるのは、新幹線の上越妙高駅から車で25分ほどの距離にある
上越市の頸城(くびき)平野。
1時間ほどあればすべてを見て回れる広さの園内には、葡萄畑はもちろん、
ワインを製造・販売する施設とオフィスが併設されています。

生産棟、第一号・第二号石蔵、雪室、
ワインショップ・レストラン・資料室からなる川上善兵衛記念館などがあり、
生産棟とオフィスを除くすべての施設が開放されています。

赤ワインの仕込み風景。ぶどうを除梗破砕機に入れ、果梗と実に分ける。

赤ワインの仕込み風景。ぶどうを除梗破砕機に入れ、果梗と実に分ける。

取材に訪れたこの日は、県外から仕入れた約600キロの
マスカット・ベーリーAを乗せたトラックが横づけされ、
赤ワインの仕込みをしているところでした。

「このマスカット・ベーリーAは、糖と酸のバランスがほどよくて、
そのまま食べてもおいしいんですよ」

善兵衛が生んだ日本固有種〈マスカット・ベーリーA〉。日本で最も多く栽培されている赤ワイン用ぶどうで、生食兼用のぶどう。

善兵衛が生んだ日本固有種〈マスカット・ベーリーA〉。日本で最も多く栽培されている赤ワイン用ぶどうで、生食兼用のぶどう。

ぶどうは丸ごと除梗破砕機に入れられ、まずは果梗と実に。
次に搾汁機で実を搾り、果汁になります。
常温だと発酵の温度が上がり、苦味や雑味が出てしまうため、
冷やしたぶどうを使ってなめらかに仕上げます。
園内で収穫したぶどうで仕込む際には、7度前後の冷蔵庫でひと晩冷やすのだそうです。
1キロの葡萄から約800ミリリットルのワインができます。

次に向かったのは葡萄畑。取材で訪れた10月上旬は収穫の最盛期。
晴天の空の下、約20名の方々が斜面に立てた脚立を器用に使って、
ロゼワイン用のマスカット・ベーリーAの収穫をしていました。

サイズと糖度の基準を満たしたぶどうから順に収穫。斜面に器用に脚立を立て、高いところのぶどうも手際よく。

サイズと糖度の基準を満たしたぶどうから順に収穫。斜面に器用に脚立を立て、高いところのぶどうも手際よく。

岩の原葡萄園のぶどう収穫

園内では、〈ブラック・クイーン〉、〈ローズ・シオター〉、
〈レッドミルレンニューム〉、〈ベーリー・アリカントA〉を主に栽培。
糖度とサイズを計測し、条件に達したぶどうから収穫していきます。

収穫したぶどうはカゴへ

小豆島のキャンプ場で遊ぼう!
「小豆島アウトドアフェスティバル」

クライミングで小豆島の魅力を味わう

小豆島にはいくつかキャンプ場があります。
施設が充実していていろんなスタイルを選べる〈小豆島ふるさと村キャンプ場〉、
海のすぐそばにある〈小部キャンプ場〉や〈田井浜キャンプ場〉、
天然温泉を楽しめる〈小豆島オートビレッジYOSHIDA〉などなど。
海も山もすぐそばにあって、おまけに天然温泉も島内に何か所かあるので、
小豆島でキャンプ! おすすめだったりします。

先日、そんな小豆島のキャンプ場の中のひとつ、小豆島オートビレッジYOSHIDAで、
「小豆島アウトドアフェスティバル」というイベントが開催されました。

今年初開催の「小豆島アウトドアフェスティバル」。

今年初開催の「小豆島アウトドアフェスティバル」。

会場となった〈小豆島オートビレッジYOSHIDA〉は人気のキャンプ場。

会場となった〈小豆島オートビレッジYOSHIDA〉は人気のキャンプ場。

小豆島アウトドアフェスは、岡山県玉野市と小豆島を舞台とした
クライミングと音楽の複合型フェス「瀬戸内JAM」の一環。
瀬戸内海を目の前に臨む玉野市には、
王子が岳というすばらしい景観に恵まれたエリアがあり、
このエリアは海の眺めが美しいだけではなく、
40年以上も前に開拓されたボルダリングスポット。

このエリアの魅力をもっとたくさんの人たちに知ってもらい、
瀬戸内エリアのツーリズムにつなげていきたいという思いから、
瀬戸内JAMは始まりました。2018年から始まり、
2回目となる今年から小豆島も新たな舞台として加わりました。

今回の小豆島アウトドアフェスは、
小豆島のクライミングジム〈ミナウタリ〉の渡利知弘さん、みきさんご夫婦を中心に、
ジムに通う皆さんで準備・運営をされていました。

会場に設置されたボルダリングウォール。いつかあの奥にある岩を登る日が来るかも。

会場に設置されたボルダリングウォール。いつかあの奥にある岩を登る日が来るかも。

登るのってシンプルで楽しい。小さな子どもたちがずっと遊んでました。

登るのってシンプルで楽しい。小さな子どもたちがずっと遊んでました。

小豆島には岩場があちこちにあって、
昔から小豆島にクライミング目的で来られる方も多いのですが、
島で暮らす人で、クライミングの場としての小豆島の魅力、
小豆島の山や岩場の魅力をを知って楽しんでいる人はあまり多くありません。

こんなにもすばらしい環境で暮らしているのにそれはもったいない。
まずは外で遊ぶことの楽しさに気づいてもらいたい、
クライミングのフィールドである「吉田の岩場」に足を運んでもらって
理解を深めてもらいたいという思いから、
吉田の岩場のすぐそばにあるキャンプ場、小豆島オートビレッジYOSHIDAを舞台に
小豆島アウトドアフェスを開催することにしたそうです。

家族で遊びに来てくれてる方がたくさんいました。

家族で遊びに来てくれてる方がたくさんいました。

スラックラインで遊ぶ子どもたち。

スラックラインで遊ぶ子どもたち。

写真家・石塚元太良の旅コラム
「芸術的な思考に適していた
〈秋芳洞〉の暗闇空間」

さまざまなクリエイターによる旅のリレーコラム連載。
第3回は、写真家の石塚元太良さんが
山口県美祢市の〈秋芳洞〉に行った話。
フィルムカメラで撮影をすることにこだわる石塚さんは、
フィルムを現像する暗室作業と洞窟の暗闇に共通する思いを抱いたようです。

暗室作業と洞窟の闇は似ているのかもしれない

洞窟には惹かれるものがある。このデジタルカメラ全盛の時代でも、
フィルムカメラでの撮影をこだわり続けているのは、
暗室作業というある種の「洞窟」での作業プロセスを
愛しているからかもしれないと思う。

真っ暗な状況というものは、不思議と居心地が良いものである。
「見る/見られる」という視覚のチャンネルが無化されると、
初めの不安がだんだんと安堵に変わっていくような感覚があるのだ。

考えてみたら、人はあまり都市生活の日常のなかで
「真っ暗な」状況というものを経験しないのではないだろうか?
まちは隅々まで明るいし、都市はどこかで犯罪抑止的に「真っ暗な」状況を抹殺する。
けれど、人はもしかしたらどこかで「闇」を必要としているかもしれない。
洞窟での奇妙な居心地の良さを思い出すと、そんな風にも思うのだ。

注目の詩人・最果タヒによる 「詩のホテル」が 〈HOTEL SHE, KYOTO〉に 期間限定でオープン!

最果タヒさんの言葉の海に泊まる

心ときめく言葉が空間いっぱい広がる。

“詩に泊まる”そんな夢の世界にタイムスリップするような体験ができるホテルが
この冬より期間限定で京都に登場しました。

〈HOTEL SHE, KYOTO〉入り口

〈HOTEL SHE, KYOTO〉入り口

場所はJR京都駅・八条口から南へ徒歩10分ほどのところにある〈HOTEL SHE, KYOTO〉。
“最果ての地のオアシス”をコンセプトに今年の3月にリニューアルオープンしており、
どこかノスタルジックでゆったりとしたムードが漂います。

そんな〈HOTEL SHE, KYOTO〉内に、今回言葉を散りばめたのは詩人・最果タヒさん。
ご存知の方も多い通り、中原中也賞、現代詩花椿賞などを受賞し、
詩集はもちろん、エッセイの刊行や、広告、美術館での展覧会など精力的に活動する、
今注目の詩人です。
今回は“最果”つながりで抜擢されることに。まさに奇跡の最強タッグですね。

部屋

ホテル内には、そんなタヒさんが今回のプロジェクトのためだけに書き下ろした
珠玉の言葉たちが広がります。いったいどんな空間になっているのでしょう。

ちなみにホテルの部屋はダブルとツインの2タイプがあるのだそう。
ぜひ恋人や家族、友人と一緒に、泊まりに行ってみてください。

レコード『こちら99等星』

レコード『こちら99等星』

また、今回のプロジェクトに合わせてオリジナルグッズも登場。
これまでタヒさんの書籍デザインを手掛けてきた佐々木俊さんがデザイナーとして入り、
タヒさんの詩のレコード『こちら99等星』がリトルモアから発売。
朗読は青柳いづみさんが担当されており、数量限定販売となっています。
ホテルでも購入できるほか、予約時に購入することも可能。
ファンならぜひ手に入れて。

妙高〈björk 森の宿ビヨルク〉 旅のスタイルに合わせて楽しむ小さな宿

アウトドアと旅を愛する夫婦が営む小さな宿

日本百名山に選定される妙高山の麓、妙高高原。
新潟県と長野県の2県6市町村にまたがる妙高戸隠連山国立公園の一部で、
夏季はハイキングと登山、冬季はスキーが楽しめる山々に、
滝や湖、さらには豊富な温泉と四季それぞれの過ごし方ができる自然豊かな場所です。

自然のアクティビティに事欠かない妙高。夏は登山、トレッキング、サイクリングに加え、車で15分の野尻湖で釣りやSUP、カヤックを楽しめる。疲れた体は温泉であたためて。

自然のアクティビティに事欠かない妙高。夏は登山、トレッキング、サイクリングに加え、車で15分の野尻湖で釣りやSUP、カヤックを楽しめる。疲れた体は温泉であたためて。

〈björk 森の宿ビヨルク〉があるのは、左右と後方をぐるりと緑に囲まれた一角。
岡倉天心や与謝野晶子などの文化人が愛したという赤倉温泉郷から少し離れた、
静かなエリアです。

看板を頼りに車1台が通れるほどの道を分け入るように進むと、
木造の2階建てが目に飛び込んできます。
宿を正面に見て、左手には見事な妙高山、右手には森林が広がります。

オーナーの爲石篤史さん、麻美子さん夫妻により、
2018年11月にオープンしたビヨルク。
「ビヨルク」とは、スウェーデン語で白樺を意味する言葉ですが、
「宿の名前は、窓から見える白樺が印象的だったから」だそう。

朝食のほか、ドリンクとおつまみや定食がオーダーできるダイニング。常時お水とコップが用意されている。ドリンクとフードのオーダーは18:30~22:30。

朝食のほか、ドリンクとおつまみや定食がオーダーできるダイニング。常時お水とコップが用意されている。ドリンクとフードのオーダーは18:30~22:30。

ダイニングから見える景色。右手に見えるのが宿の名前の由来にもなった白樺。

ダイニングから見える景色。右手に見えるのが宿の名前の由来にもなった白樺。

1階は共用のバス、トイレのほか、
朝食や夕方から夜にかけてフードやドリンクをオーダーできるダイニング、
スピーカーとソファが配置されたくつろぎスペースが。

ダイニング奥のくつろぎスペースには、篤史さんが父親から譲り受けたオーディオから心地よく音楽が響く。こぢんまりとした広さが心地よく、本を読んだり、文章をしたためたり、静かなときを過ごしたくなる。

ダイニング奥のくつろぎスペースには、篤史さんが父親から譲り受けたオーディオから心地よく音楽が響く。こぢんまりとした広さが心地よく、本を読んだり、文章をしたためたり、静かなときを過ごしたくなる。

客室数は、4人部屋が1室、2人部屋が5室の計6室。
ベッドとその脇に小さなテーブルが置かれたシンプルな客室に入れば、
ふんだんに使われた木材、リネンの白、絨毯の深みのあるブルーの配色が、
窓の外の景色を引き立てているのに気づき、心がすーっと安らぎます。

2人部屋。朝には窓を開けて自然の音色に耳を傾けてみよう。

2人部屋。朝には窓を開けて自然の音色に耳を傾けてみて。

家族や複数人での滞在にうれしい4人部屋。

家族や複数人での滞在にうれしい4人部屋。

通路に飾られた照明や椅子、生けられた野花と花器、
どれもさりげなく、だけどあるのとないのとではまったく違う。
すべてが大切に選ばれてきたのだろうなと想像できます。

“年貢”を納めて村民に。
新たな発想で地域を支える
〈シェアビレッジ〉の仕組みとは?

失われていく古民家を維持する仕組みづくりを

集落の過疎化が進み、次第に失われつつある日本の原風景。
そこで各地域でさまざまな地方創生への取り組みがなされているが、
とりわけ近年話題を集めているのが、
秋田県の辺境、五城目(ごじょうめ)から始まった〈シェアビレッジ〉プロジェクトだ。

消滅の危機に瀕する古民家を再生し、
地域に新しい“村民”を呼び込もうというこのプロジェクトは、
「村があるから村民がいるのではなく、村民がいるから村ができる」という考えに基づき、
集った人々でひとつの家を支える仕組みを創出したもの。
従来の“村”の概念を覆す取り組みの全容を追った。

シェアビレッジ・プロジェクトの中核を担う、村長・武田昌大さん(右)と御意見番・丑田俊輔さん。ふたりは五城目(ごじょうめ)のまちで偶然の出会いを得て、プロジェクトを実現させる。

シェアビレッジ・プロジェクトの中核を担う、村長・武田昌大さん(右)と御意見番・丑田俊輔さん。ふたりは五城目(ごじょうめ)のまちで偶然の出会いを得て、プロジェクトを実現させる。

「高校卒業と同時に故郷の秋田を出て、
大学を卒業した後は東京のゲーム会社で働いていました。
もともとゲームが大好きでしたし、何より都会での暮らしに強い憧れを持っていたので、
ようやく念願を叶えた思いでいました。
ところが、ある年に帰省した際、
見慣れた地元の商店が軒並みシャッターを下ろしている様子を見て愕然としたんです。
子どもの頃から当たり前のように存在していた風景が失われていくのを、
ただ傍観していていいのだろうかと、居ても立っても居られない気持ちになりました」

そう語るのは、シェアビレッジ・プロジェクトで「村長」を務める、
〈kedama inc.〉代表取締役の武田昌大さんだ。

あれほど“早く出ていきたい”と思っていた秋田のまちを、
“どうにかして救いたい”と願って止まなくなった武田さんは、
会社を退職し、秋田へ帰る決意をする。
今、自分が本当にやるべきことはゲームづくりではない。
故郷のために何かやれることがあるはずだと、ひたすらアイデアを絞る日々が始まる。

そこで最初に始めたのが、農家とお客さんを直接つなぎ、
単一農家100%の米をオンラインで販売する〈トラ男〉というサービスだった。

秋田県鷹巣町(現・北秋田市)出身の〈kedama inc.〉代表取締役・武田昌大さん。2010年、秋田の米をネット販売するサービス〈トラ男〉をスタートさせた。現在はシェアビレッジ・プロジェクトの「村長」も兼任。

秋田県鷹巣町(現・北秋田市)出身の〈kedama inc.〉代表取締役・武田昌大さん。2010年、秋田の米をネット販売するサービス〈トラ男〉をスタートさせた。現在はシェアビレッジ・プロジェクトの「村長」も兼任。

農家にとって、自分が丹精込めて育てた米がほかの米と混ぜて売られる現在の流通網には、
大きな不満がある。
いくら努力を重ねて旨い米を育てても、これではモチベーションは維持できない。
ただでさえ後継者不足の課題を抱える日本の農業は、
ますます衰退の一途をたどることになる。
そこで武田さんは、単一農家の米を直接売るサービスを思い立ったのだった。

果たして、トラ男のコンセプトは農家からも消費者からも絶大な支持を得て、
事業は順調に成長していった。

「しかし、トラ男のイベントで秋田の田舎にお客さんを大勢呼んだ際、
泊まる場所がないことに気がつきました。
これでは何を企画しても、継続的に人が訪れる場所にはなれません。
そこで宿泊施設として使える物件がないかと周囲に聞いてまわったところ、
すでに取り壊しが決まっている当時築133年だったこの古民家に出合ったんです」

写真家・大森克己の旅コラム
「桜を追い求めて
日本全国を歩く、長い春」

さまざまなクリエイターによる旅のコラム連載。
第2回は、写真家の大森克己さんが
かつて桜を追いかけて全国への旅を始めたきっかけや、
当時、感じた気持ちを綴っています。
全国を歩いたこの旅は、どのようにして終わったのでしょうか?

家の前の桜から、東北、北海道の桜まで

ちょっと前の話である。どのくらい前かというとゼロ年代の前半、
トルシエ・ジャパンとかジーコ・ジャパンの頃である。
1963年生まれの自分はまだ40歳前だった。
春になって毎年桜が咲いて人々が浮き足立つ。
当時事務所のあった西麻布の笄(こうがい)公園、
青山墓地、皇居のお堀、新宿御苑、代々木公園。
身近にあるさまざまな桜たち。花見の宴のような特別な機会でなくとも、
東京のまちを歩いていると、春になると否が応でも桜の花が目に入ってくる。

松田聖子も福山雅治もケツメイシも桜を歌う。
西行も藤原定家も本居宣長も桜を詠む。
松尾芭蕉はおそらく、一番ハードコアである。
「さまざまのこと思い出す桜かな」
こんなことを言ってしまって良いのか、という驚くばかりの平凡さである。
桜以外の植物でこの句は果たして成り立つかしら? すごいこといいますね、芭蕉さん。

モデル・KIKIの旅コラム
「たった数時間でカゴいっぱいになった
菅平高原のきのこ狩り」

さまざまなクリエイターによる旅のリレーコラム連載。
第1回は、モデルのKIKIさんが
昨年、長野県の菅平高原に、きのこ狩りに訪れた話。
きのこは食べられるかどうかの判断が難しいですが
採れたてのおいしさには目を見張るものがあったようです。

最初はわからなかったけれど、だんだんときのこの場所がわかってくる

昨年の今ごろ、きのこ狩りに誘われて長野の菅平高原に行ってきた。
声をかけてくれたのは東京でレストランを営むKさんご夫妻。
毎年その時季のきのこ狩りは、ご夫妻にとっては恒例行事でもあり、
実際に採れたきのこは自分たちで食べるのはもちろん、
レストランでも料理をして出しているのだそう。
採り方はもちろん、美味しくきのこを料理することについても
豊富な知識を持っているのは確実である。

以前、別の知人に誘われてきのこ狩りに行ったことがある。
その人はきのこに関する知識は抜群だったけれど、きのこ愛が過剰で、
「多少毒があってもすごくおいしいきのこがあり、
われわれきのこ好きはお腹を壊すのを覚悟で食べる」と口走っていた。

その晩キャンプをして、
すばらしい料理の腕を振舞ってくれたのはうれしかったのだけれど、
あとでお腹が痛くなるのではないかと気が気でなかった。
実際お腹を壊すことはなかったものの、
この人ときのこ狩りはもう行くまい、と心に決めたのだった。

上尾〈ただ〉
“渋イイ”酒場で見つけた、
秘密のチューハイと郷土愛

旅の醍醐味はローカル酒場!
全国おすすめ酒場探訪記 埼玉編
愛は叫ばず、そっと出す

都会だけれど都会じゃない。でもやっぱり都会。
郷土愛があるかと言われればそう強くもない。でもこの場所は気に入ってる。
埼玉県人が語る埼玉は、ちょっと自嘲気味。
「お店に旬の魚料理も多いですね!」と聞けば、
大将はニコっと笑いながら
「海もないのにね!」

上尾丸山公園

JR上尾駅からバスで15分ほどの〈上尾丸山公園〉。自然豊かな上尾市民の憩いの場です。園内には大きな池や滝、水浴び場と水辺の景観が楽しめます。

今回のローカル酒場は埼玉・上尾の〈ただ〉。
上尾は大宮からJR高崎線で2駅。
さいたま市、都心へのアクセスも良くベッドタウンとして発展してきました。
「昔は大きな工場もあり繊維製品のまちでもありました。
実はうちも転業。父は学校の制服を手がけていたんです」と大将の齋藤芳男さん。

上尾〈ただ〉の暖簾

変体仮名を使った印象的で力強い暖簾。でもその暖簾をくぐると居心地のいい空間が待っています。

昭和44年、このまま繊維関係を続けても先がないと考えたお父様の決断により開店。
「ただ」という店名は、お父様の名前「唯夫(ただお)」から。
最初は絞り切ったメニューのコの字型の小さな店。
料理といってもお新香、冷奴、焼鳥だけ。
それが少しずつ広がって今の店、そして多彩なメニューへ。
店がある上尾駅西口側は再開発以降、全国展開のチェーン店が多く、
また東口側も酒場通り的なところはなく数軒が点在している程度。
酒場というイメージのないまちですが、
酒飲み、おいしいもの好きが愛して支えてきた店はここにちゃんとあります。

今回の案内人、風間夏実さんは、
埼玉で育ち現在は都内住まい。渋谷で企業広報として働いています。
渋谷で広報。行く店はおしゃれなバルや流行りの店というイメージですが……
「渋谷でよく行くのは、のんべい横丁ですね(笑)」
知人のお店があることがきっかけで踏み込んだ酒場街。
ひとりで大人の酒場の暖簾をくぐるのは少し躊躇するけれど、
入ってみれば得難い居心地の良さがあることは知っているのです。

今回の案内人、風間夏実さん

「お酒は好きだけど、そんなに強いというわけではないので」と夏実さん。レモンサワーなどを3杯ぐらいが適量。だから最初の1杯からちゃんとおいしいものをいただきます。

「お客さん、店員さんとの距離が近い飲み屋さんが好き」と言う夏実さん。
もうひとつ、選びたい酒場は「世話焼きのおばあちゃんがいてくれるような店」。
東京・赤羽や埼玉・大宮にもそんな好きな店があって、今回は上尾。
埼玉の酒場のおもしろさを一緒に探ってもらいましょう。

では乾杯。もう飲むものは決めています。
その名も〈ただでしか飲めない特製チューハイ〉。通称“ただスペシャル”。
宝焼酎をベースにした、だれもが頼む人気メニューです。
焼酎のハイボールに“秘密の”エキスを加えたチューハイで、
レモンとソーダが軽やかな味わいに整えつつも、宝焼酎の風味もしっかり感じる、
正真正銘、初めてのチューハイ体験です。

夏実さんはひと口飲んで驚き、そして幸せな笑顔へ。
「口あたりがまろっとしていて、余韻が心地いい! そしてなんだかジューシーです」
なるほど、炭酸もほどよく、パンチや爽快感というよりもゆったり。
抵抗なく体に溶け込んだあと、レモンの爽やかさが上品にとどまり、
そしてゆっくり焼酎のコクが溶け合い続いていく。
それでもちゃんとキレもあるから、夏実さんはこんな感想。
「最初は度数が低く感じるんですけど……危ない気がします(笑)」

大将はそれを聞くと満足そうに
「そう。『低いんじゃない?』ってよく言われるんですけど、
3杯飲めばわかりますよ、って答えてます」
とこちらも笑顔。そして裏話。

「どうやったらほかにないおいしいチューハイができるだろうって、
いろいろと試作して味をみました。
毎日昼からやって、いつもほろ酔いで店を開けてたんです」
こうしていつも変わらぬまろやかな〈ただスペシャル〉の味が完成。
そして、夏実さんの目はたまらず料理のメニューへ。
「早くいろいろな料理に合わせたいです。私、結構食べますよ(笑)」

メニューは王道酒場モノから洋食系まで多彩。
夏実さんは「よく食べますよ」という言葉通り、
最初からなかなかのオーダーっぷり! 
並んだ料理を見ると、なんとも色合いのバランスがいいおひとり様のカウンター。
もともと女性や高齢の方でも足がつけられて居心地がいいようにと
カウンターと椅子を低めにしたと言う大将。

女性がひとりでも心地よくおいしい酒と料理を楽しめる店にしたい。
そんな大将の想いがこうやって重なっていくのでしょう。

「常連の女性のおひとり様がいらっしゃるんですけど、
最初に来られたのは上尾から大宮に引っ越すという直前。
もっと前に知っていたら引っ越さなかったのに、なんて言ってくださって。
その方、会社は都内なんですけど、いまだにわざわざ大宮越えて来てくれるんです」
埼玉を愛しているというよりも、埼玉に好きな店がある。
ことさら郷土愛なんてことを持ち出さなくても、愛着はある。

大将が言います。
「別に埼玉の郷土料理があるわけでもないし
そういう素材を使おうってわけじゃないんです。
ただ、ゆるりとしていただければうれしいんですよ」

〈ただスペシャル〉とごぼうのから揚げ

〈ただスペシャル〉は合う料理の幅も広いのです。滋味深さとサクっと軽やかな食感がいい〈ごぼうのから揚げ〉の魅力をさらに広げてくれます。

カウンター越しの大将と談笑中

「お店の人との距離が近いほうが好き」と夏実さん。それはもともとの部分と仕事で得た楽しさと。カウンター越しの大将との話も好奇心いっぱい。

そんななかで、夏実さんが気になったのはぎんなん。
「秋と言えばこれ。すごく好きなんですけどとても鮮やかな緑ですよね?」
そう、これは旬よりも“はしり”。
わずかな期間、鮮やかな緑が楽しめるものを岐阜から取り寄せています。
広い埼玉には、自然豊かな環境がすぐそばにある秩父のような地域や、
旬の名産品が身近な深谷や狭山のような地域もありますが、大部分は都市部。
毎日都内に通う、忙しい人たちも多いのです。
その忙しさの中でいつしか旬という感覚も失われてしまいそうに。
だから地元に、行くだけで旬や季節の変化がわかる店があるのは貴重なのです。

食感が楽しいぎんなん

しっとりモチモチとした食感が楽しいぎんなん。この弾力は“はしり”のものだからこそ。目にも楽しく食欲がそそられます。

パウチされた定番メニューも充実していますが、
白い紙に書かれた日替わりメニューも同じぐらいのボリューム。
「毎日仕事をしていて、定番だけじゃつまらないじゃないですか!」
それだけですよと笑う大将ですが、
やはり、せっかくなら旬を感じてほしいという思いがそこにあります。

夏実さんもどうやらそれを感じていたようで、
「目に見えないところかもしれませんけど、それこそコミュニケーション。
見習いたいなって思います。
私も人と会うのが好きで広報や取材の仕事をしています。
結局やりたいって気持ちがあるから仕事って楽しくなるんですよね」

「場所の声を聞く」
照明デザイナー長町志穂さんが生み出す
地域再生の“あかり”とは?

取り組みやすいイベントの欠点とは

“あかり”を用いたイベントが、全国の温泉地でよく行われるようになった。
竹灯籠、和紙あかり、イルミネーションや冬花火をはじめ、
季節限定から通年開催までさまざまにある。

あかりは、場所の印象を変える。

“写真映え”を工夫すれば、世界から注目が集まる時代だ。
撮影を楽しむ人によって印象的な写真がSNSで拡散され、
温泉街が一躍話題になる。そういったあかりが、
温泉街に泊まる理由のひとつになれば主催側の狙い通りである。

住民の手による「湯西川温泉かまくら祭」(栃木県日光市)は、2019年も多くの観光客を楽しませた(1月下旬〜3月上旬開催)。

住民の手による「湯西川温泉かまくら祭」(栃木県日光市)は、2019年も多くの観光客を楽しませた(1月下旬〜3月上旬開催)。

「歩きたくなる温泉街」を掲げる新潟県月岡温泉。観光庭園〈月あかりの庭〉では、夕刻から和柄の円柱にあかりが灯る。

「歩きたくなる温泉街」を掲げる新潟県月岡温泉。観光庭園〈月あかりの庭〉では、夕刻から和柄の円柱にあかりが灯る。

和紙あかりをはじめ、その手法は意外にもさほど難しくないと聞く。
真似しやすいから、全国でたびたび行われる。
しかし取り組みやすいことは反面、誰でもできるイベントになりがちだ。
一時の流行は飽きられる。どこでも同じような夜景なら、
わざわざ遠くの温泉地に行く必要はない。近ければ日帰りできる。
泊まる必要はなくなる。

だからほかを圧倒する独自の仕掛けがあかりのイベントに必要になる。
コアなファンを獲得するために。

それはどういう仕掛けか?

「心の準備」とあかりの関係

プランで示した夜間照明。これは新たに誕生する「竹林の階段」。温泉街の玄関口となる駐車場から音信川まで結ぶ。

プランで示した夜間照明。これは新たに誕生する「竹林の階段」。温泉街の玄関口となる駐車場から音信川まで結ぶ。

〈長門湯本温泉〉再生プロジェクトの中にも、あかりの演出が入っている。
それは、再生の6つのキーワード(第2回参照)のひとつ、
「そぞろ歩き(回遊性)」を成功させる大事な役割を担う。
計画的に配置された照明によって、
「夜こそ歩きたくなる」魅力的な温泉街に変えていく。

担当は照明デザイナーの長町志穂さん(株式会社LEM空間工房・代表取締役)。
長門湯本温泉観光まちづくり計画を推進する「デザイン会議」のメンバーである。

長町さんが手がけるあかりによるまちづくり。これは京都府宮津市「天橋立まち灯り」。夏は砂浜が幻想的に照らされる。

長町さんが手がけるあかりによるまちづくり。これは京都府宮津市「天橋立まち灯り」。夏は砂浜が幻想的に照らされる。

長町さんは松下電工株式会社(現・パナソニック)に長年勤務し、
照明器具デザインによるグッドデザイン賞を104作品で受賞するなど、
あかりの達人として知られる。
2004年の自身の独立以降は関西を拠点にして、
大阪・御堂筋イルミネーションを筆頭に、
近年は島根県邑南(おおなん)町の「INAKAイルミ@おおなん」、
鳥取県境港市の「水木しげるロード」リニューアル照明演出、
京都府宮津市「天橋立まち灯り」をはじめ、
あかりによる公共空間のにぎわいづくりを手がけている。

長町さんによる鳥取県境港市の「水木しげるロード」リニューアル照明演出。照明デザイン賞の最優秀賞に輝いた。

長町さんによる鳥取県境港市の「水木しげるロード」リニューアル照明演出。照明デザイン賞の最優秀賞に輝いた。

長町さんが長門湯本温泉でまず取り組んだのが、
温泉街の軒先を照らすあかりである。
オリジナルの「湯本提灯」を企画し、
同プロジェクトメンバーのグラフィックデザイナー・白石慎一さんに
長門湯本温泉を象徴するマークの制作を依頼。
それらを使った複数の提灯デザイン案を住民ワークショップで示し、
提灯をつくり有料で販売することを参加者に提案した。
多くの参加者が、有料で購入して軒先に吊るすことに賛同した。

提灯のデザインは長門湯本の3つの地区(湯本、門前、三之瀬)を、温泉マークと川とに見立てている。

提灯のデザインは長門湯本の3つの地区(湯本、門前、三之瀬)を、温泉マークと川とに見立てている。

当時、シンボルの公衆浴場・恩湯(おんとう)さえ、
改修解体のため光を失った状態(2017年に解体、2019年冬に再建予定)。
温泉街のあかりは減少し、人通りも激減して寂しい状況だった。

長町さんはチームで手分けして、
興味があると意思表示のあった温泉街の全戸を訪ねて、
「湯本提灯」の目的を説明しながら、取り付け方などを検討してまわった。
ひとつ3000円と有料にしたのは、
「予算の問題はもちろんあるけれど、それ以上に、
まちづくりの共感者を増やしたい、
住民参加型にしたいという思いがありました」と、胸のうちを話す。

「湯本提灯は“心のために”やってみたいと思いました」と、長町さん。
「長門湯本は変わっていく、みんなで変えていくという、
“心の準備”のようなものにあかりがなれたらと考えたのです」

2017年の社会実験では長町さんが大西倉雄市長と星野リゾートの星野佳路代表を招き温泉街を案内。照明演出による効果などを説明した。

2017年の社会実験では長町さんが大西倉雄市長と星野リゾートの星野佳路代表を招き温泉街を案内。照明演出による効果などを説明した。

設置から2年ほど。川沿いの軒先には、湯本提灯が変わらずにある。
夕刻になると点灯し、通りを行き交う人々を優しい光が出迎える。
心のあかりが温泉街を照らしている。

〈京の温所 西陣別邸〉 皆川明と中村好文の こだわりが詰まった宿がオープン!

築約95年の邸宅を皆川さんと中村さんがディレクション

2019年10月1日、古き良き京都のまち並みが残る西陣エリアに、
ワコールが展開する宿泊施設〈京の温所(おんどころ) 西陣別邸〉がオープンします。

ディレクションを手がけたのは、
〈ミナ ペルホネン〉の皆川明さんと建築家の中村好文さん。
宿のあちこちに中村さんと皆川さんの思い、
それから、皆川さんがセレクトしたアートピースや、
ミナ ペルホネンのプロダクトがちりばめられています。

〈京の温所 西陣別邸〉外観

〈京の温所 西陣別邸〉

2階のライブラリールーム

2階のライブラリールーム。ブックディレクター・幅充孝さんがセレクトした書籍が15冊ほど並ぶ。皆川さんがセレクトした、モリソン小林さんのアートピースも。

シャワーブース

2階には太陽の光が降り注ぐシャワーブースが。1階には中庭を眺めながらゆったりと浸かれるヒバの風呂もあります。

建物は、明治後期に西陣織の商家が
客人をもてなすために建てた京町家。
そのゆったりと広く、細部までていねいにつくられた建物を
未来へ継いでゆく「住まい」としてリノベーションしています。

かねてより親交のある皆川さんと中村さんは、旅仲間でもあるそう。
この宿には、そんなふたりのこだわりがたくさん。

ダイニングルーム

町家ならではの火袋の構造を活かしたダイニング

たとえば1階には、ワインセラーを備えたキッチンと
町家の構造を活かした吹き抜けのダイニングが。
ここには京の新鮮な食材を料理して食べる贅沢を
体験してほしいという思いが込められています。

大型冷蔵庫に三口コンロ、グリル、オーブンレンジ。
さらに〈ストウブ〉の大きな鍋や、
〈iittala〉の「Teema」シリーズの皿やマグ、
〈Cutipol〉のカトラリーも揃っています。

朝、自動車に乗って美山や大原の朝市へ
食材を探しにいくのも楽しそう!
また、コンシェルジュに相談すれば、仕出しやケータリングも承ってくれます。

暮らしを楽しむことにかけても、すばらしいセンスを
お持ちの皆川さんと中村さん。楽しい滞在になりそうですね!

玄関

ミナ ペルホネンのファブリック「ガーデンパッチワーク」が印象的な玄関。天井から光が差し込むと、床に光の粒が反射し、きらきらと映ります。

新潟県・佐渡で秋キャンプ! 〈スノーピーク〉による 〈LOCAL WEAR TOURISM in SADO〉

焚き火や稲刈り、バーベキューなど。1泊2日で佐渡を味わい尽くす 

〈スノーピーク〉による日本各地の
自然を味わうローカルツアー〈LOCAL WEAR TOURISM〉。

春に続き、第2弾の開催が9月28日(土)、29日(日)に決定しました。
舞台は第1弾と同じく、新潟県佐渡島。
今回は春に植えた稲の収穫を行います。以下、ツアー詳細です。

●1日目

14:00 両津港集合(受付終了後専用車にて加茂湖畔舟屋へ)

14:30 ウェルカムドリンク・開会式(歩いて椎崎諏訪神社へ)

15:30 テント設営体験

設営終了後 フリータイム 温泉等(※日帰り入浴温泉「朱鷺の舞湯」/ 椎崎諏訪神社から徒歩1分 入浴料500円別途)

17:30 夕食(佐渡の味覚満喫BBQ)

19:00 焚火ラウンジ(焚火を囲んでゆったり過ごす)

20:00 佐渡伝統芸能鑑賞

22:00 テントにて就寝・消灯

●2日目

7:00 朝食 加茂湖・大佐渡山脈を眺めながらホットサンド作り

9:00 椎崎諏訪神社から専用車にて岩首 昇竜棚田へ移動

10:00 稲刈り体験(昼食は棚田で収穫された新米と味噌汁、漬物などをご用意)

14:30 専用車にて両津港へ移動

14:45 両津港にて解散

食事:3食(1日目:夕食、2日目:朝食・昼食)
体験:岩首昇竜棚田で稲刈り体験
宿泊:テント(スノーピーク製アメニティドームがべース。1組1張り。人数によりテントのサイズを変更)

稲刈り風景

普段なかなか体験できない稲刈りをここで体験。

新米の炊きたてを竹筒によそう

刈ったばかりの新米の炊きたてをいただきます。

伝統芸能を鑑賞

涼やかな秋の夜長に佐渡の伝統芸能を鑑賞。

1泊2日で佐渡文化の象徴である、 能舞台の傍らにテントを建てて宿泊。
そこで日本初の世界農業遺産となった佐渡食材でバーベキューしたり、
満天の星の下で焚火を楽しみます。

2日目はこの島でしか見られないトキを探しながら、
海を見渡す絶景の棚田で稲刈りを体験。
刈ったばかりのお米もお昼に早速いただきます。

秋空の気持ちのよい空気の中で、佐渡の豊かな自然を
めいっぱい満喫できるツアーになりそうですね。
現在、こちらのページにて申し込み受付中。
ちょうど予定が空いているという方、奮ってご参加ください!

information

map

LOCAL WEAR TOURISM in SADO

開催日時:2019年9月28日(土)、29日(日)1泊2日

募集定員:10組様(先着順)

募集期間:2019年8月9日(金)正午より受付開始(先着順)

旅行代金:大人1名(13歳以上)24,800円(税込)、子供1名(7〜12歳)16,800円(税込)※未就学児無料 ※佐渡両津港までの移動手段は各自手配

申込方法:WEBサイトにて申込受付

主催・実施:株式会社スノーピーク、一般社団法人 佐渡観光交流機構

特設サイト:https://www.snowpeak.co.jp/sp/localwear/

ツアー詳細・申込:https://www.snowpeak.co.jp/experience/localtourism/wear_sado_2nd/

国内最大級の登山・アウトドアイベント 〈TANZAWA山モリ!フェス 2019〉が 10月5〜6日に開催。

2018年の〈山モリ!フェス〉開催時は、2日間で登山・アウトドアファンの1万5千人以上が集った大人気イベント。

登山・アウトドア好きの皆さん、〈TANZAWA山モリ!フェス 2019〉に集まれ〜!

今年もやってきました、
〈山モリ!フェス〉が10月5〜6日の2日間に渡って開催されます! 

会場となるのは神奈川県秦野市の秦野戸川公園。
塔ノ岳、鍋割山といった表丹沢の山々へアプローチする際の拠点にされることも多く、
山や森を感じられる緑豊かなエリアです。

ボルダリングを体験できるロックステーション

ボルダリングを無料で体験できるロックステーションを常設。3歳以上ならばどなたでも体験可能です。

この〈山モリ!フェス〉の魅力といえば
“登山とアウトドア”をテーマにしたコンテンツが、
どどーんと山盛りに詰め込まれているところ。

例えば、自然の中を駆け抜けるトレイルランや林道を
マウンテンバイクで走る体験ができ、
登山ボディを手に入れるトレーニング法を伝授してもらえます。

また、登山初心者にはありがたい、山の天気の見方や、
安心して登山するための歩き方、
地図とコンパスの使い方やテーピング講座などもラインナップ。

細引きづくりワークショップ

細引きづくりのワークショップ。参加費は300円。おとな女子登山部メンバーと一緒に細引きでジッパータグづくりに挑戦します。

燻製づくり体験

燻製づくり体験。参加費は500円。おとな女子登山部と一緒に、SOTOスモークポッドを使って自宅でも簡単にできる燻製づくりに挑戦します。

さらに、オリジナルバゲッジタグや缶バッジ、
燻製や山ごはんのワークショップなど、「つくる」「食べる」のコンテンツが充実。
雑誌『山と溪谷』などの編集長を歴任した萩原浩司さんによる、
山にまつわる名著を切り口にしたトークイベントもおもしろそう……。

既に山の魅力を知っている人にも、
これから山と関わっていきたいと思っている人にもピッタリなイベントです。
山に関わるモノ・コトを満喫し尽くしましょう!

1日1組限定。 広島の隠れ里・庄原市に 一棟貸の宿〈長者屋〉〈不老仙〉が誕生

江戸時代に建てられた築250年ほどの入母屋造りの農家 〈長者屋〉。

広々とした風情ある古民家で贅沢な時間を過ごす

直島や芸術祭などで近年賑わいを増している瀬戸内エリア。
ここに2019年9月、また新しい宿が誕生しました。

中国山地の中ほどにあり、里山に囲まれた“広島の隠れ里”庄原市内には
築100年~250年の趣あふれる古民家が散在しています。

その中でも、特にすばらしい景観に建つ2棟が〈長者屋〉と〈不老仙〉。
今回リノベーションされ、宿泊施設としてオープンした古民家です。
これらは瀬戸内ブランドコーポレーションの地方創生プロジェクト
「せとうち古街計画」に基づき、農泊推進補助金を活用し整備され、
地元の有志の方の協力によって誕生しました。

国の文化財に指定された 香川の老舗旅館〈敷島館〉が 新築オープン

「こんぴらさん」へと続く参道に伝説の旅館が復元

香川県の象頭山(ぞうずさん)の中腹に鎮座する〈金刀比羅宮〉。

本宮まで785段、奥社まで1368段という
参道の長い階段を登ってようやくたどり着く
ご利益ある神社というのは、みなさんご存知の通り。

ここまでの道のりに、以前国の登録有形文化財にも指定された
老舗旅館〈敷島館〉があったことをご存知でしょうか。

17世紀前半に創業、金刀比羅宮へ向かう途中に、
迫りくるような美しい入母屋造りの老舗旅館として
以前より観光客や地元の人に親しまれました。
しかし観光客の減少などで2002年に廃業。
その後解体され、建材だけ保管されていたそうです。

その〈敷島館〉が先日8月9日(金)に復元され、
新しい湯宿として新築オープンしました。

唐破風(からはふ)玄関や三階屋根の千鳥破風などの古材を使用し、
外観部分のたたずまいを可能な限り当時のまま再現。
古きよき明治時代の建築様式と現代の建築技術が融合した建物が
「こんぴらさん」に懐かしくも新しい風情を醸します。

客室ツイン

客室ツイン

7階建の100室、7種類の部屋が用意されており、
解放感のある露天風呂付の部屋も。お部屋によっては
〈金刀比羅宮〉へ続く表参道を眺められるのも魅力です。