連載
posted:2019.8.1 from:京都府京都市 genre:旅行 / 食・グルメ
PR 宝酒造
〈 この連載・企画は… 〉
「和酒を楽しもうプロジェクト」もいよいよ7年目へ。
舞台をイエノミからソトノミに移し、“酒場推薦人”の方々が、日本各地の魅力的な「ローカル酒場」をご紹介します。
writer profile
Daiji Iwase
岩瀬大二
いわせ・だいじ●国内外1,000人以上のインタビューを通して行きついたのは、「すべての人生がロードムーヴィーでロックアルバム」。現在、「お酒の向こう側の物語」「酒のある場での心地よいドラマ作り」「世の中をプロレス視点でおもしろくすること」にさらに深く傾倒中。シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。シャンパーニュ騎士団認定オフィシエ。「アカデミー・デュ・ヴァン」講師。日本ワイン専門WEBマガジン『vinetree MAGAZINE』企画・執筆
credit
撮影:木村華子
真剣に語り合うのはちょっと照れ臭い。
うまい酒とアテでお互いの趣味の話をゆるゆると。
そんな時は、おもしろい店主とお客さんが集まる酒場がいい。
粋な京都人たちだけが知っている開けっぴろげの隠れ家へ。
今回のローカル酒場は京都・西院の〈エラマサ〉。
京都観光の中心部で、繁華街のある四条河原町界隈から
阪急電車でわずか3駅と至近ながら、観光ではなかなか訪れない、
住宅地が広がるエリアです。
一緒に楽しんでいただくのは、共に京都の最新&トップカルチャーを知る……、
いえ、そのシーンを牽引するおふたり。
「泊まれる雑誌」をコンセプトに掲げ、町家を改装した体験型宿泊施設
〈マガザンキョウト〉のオーナーである岩崎達也さんと、
「京都喫茶文化遺産」という取り組みを立ち上げ、
古き良き京都の喫茶店を継承した〈喫茶マドラグ〉など、
複数の人気のカフェを営む山崎三四郎裕崇さん。
おふたりは岩崎さんが会社勤めをしていた頃に仕掛けた、
イベントを通じて知り合いました。
そこからの縁で、京都の文化や地域の活性化などを共に牽引する仲に。
普段飲む時にもこうしたことで激論を交わすのでしょうか? と聞くと
岩崎さんは苦笑しながら
「いやぁ、これからの京都をこうしたいとか、そういう話は全然しないです。
なんか同志っていうのも恥ずかしいですし。
とても居心地のいい空気をつくってくださる兄貴感があるんですよ」と岩崎さん。
「〈エラマサ〉の名前は、クリエイターの友人たちから聞いていたので、
どんなお店か気になっていたんです」
さあ、それでは、乾杯といきましょう。
今回は京都ということで、〈寶「宝焼酎の宇治抹茶のお酒」〉を使った抹茶ハイ。
エラマサでもメニューに出して以来、かなりの人気とのこと。
山崎さんは「見た目は濃厚だけどさっぱりいただけますね。これは食がすすみそう」と感心。
お店を見渡せば壁一面の黒板に、ポップに書かれたメニュー。
これはエラマサのマスター・井上宏幸さんの手書き。
そしてカウンターには大皿・小皿のお惣菜が並びます。
最新のヒップなブルックリンのスタンディングバーのようであり、
田舎の気のいい大衆食堂や小料理屋のようでもあり。
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岩崎さんは、目の前にある大皿から〈プリプリ中華炒め〉をオーダー。
京都では給食でも出されるという地元のソウルフードだそう。
見た目は根菜たっぷり筑前煮、でも味はオイスターソースの効いた八宝菜。
なんとも不思議だけどこれがおいしい!
総菜としてタッパー持参で買って帰る人もいるという人気メニューです。
山崎さんは「この雰囲気で〈本日のお造り〉というのも気になるなあ」
その言葉にマスターの井上さんがニッコリ。
卸売市場の信頼できる知人から入荷するという魚。
お酒との相性で今日のおすすめは〈鹿児島産のツムブリ〉。
ブリに似た大型魚ですが、このサシが美しい。
食せばバターのように甘みがとろけていく感覚で、
抹茶ハイのまろやか&すっきりな飲み口と相性抜群。
山崎さんはマスターの仕事ぶりにも注目。
「とても丁寧。活〆したものを店でちゃんと寝かして、
オーダーごとに切って、きちんとに包んでまた寝かす」
手元だけを見れば割烹の厨房。でも、井上さんを見ればポップな装い。
「同じ〈鹿児島のヒメジ〉(スズキの一種)は、
皮と肉の間の脂がおいしいので炙りもいいですよ」
という井上さんのおススメにおふたりは迷わず「それ、お願いします!」
続いて小皿のアテを数品。これもうまい。酒がすすみます。
それにしても、井上さんのアテの腕を見て、味わうほどに謎が深まります。
2015年に開店したエラマサ。
それまで、井上さんが握っていたのは包丁ではなくエレキベース。
〈リキッド・スクリーン〉という京都を代表するパンクバンドで、
海外でのライブツアーも行うなど精力的に活動していました。
なぜ音楽活動をやめ、酒場を立ち上げたのか? と聞けば笑顔で、
「酒が好きでしたからね。ロックンロールは体力のあるうちだけにしておこうと。
あと、どっか飲みいこうかーとなったら、2、3軒巡ってしまうけど、
自分で店やったら1軒で済みますでしょ(笑)」
でも実は、UKツアー中に出会ったパブの楽しさ。
これをやってみたかった、という動機はあったそうです。
「今でも昔からの仲間は来てくれるけれど、
むしろここで知り合いになった人も多いんですよ。
カウンターの隣同士で仲良くなって新しいことが生まれることもあります」
うまい酒とアテがあって、楽しい会話と交流が始まる。
ステージとオーディエンスの関係というよりも、
なるほど井上さんが願っているのはパブのように、自然な交流が生まれる場所。
これを聞いてふたりが指摘するのは、
今、京都でおもしろい酒場があるエリアは、おもしろい人がいる場所だということ。
今まではある場所が人気になって、それが消費されて、
次の新しいエリアに人気が移っていくという構図。
でも今は、消費されつくして廃れるのではなく、
「おもしろい人がおもしろいことをやっている場所」は、
ちゃんと廃れずに残り、少しずつそこに新しい文化が生まれていく。
山崎さんの喫茶マドラグも、岩崎さんのマガザンキョウトも、
エリアとしては、決して便利とは言えない場所で、
もともと、何かを求めて人が訪れる場所ではなかったとのこと。
例えば、マガザンキョウトを開設した場所は京都市内でも保守的なエリア。
しかも岩崎さんはJターン。
そこで新しいことをやるというのは、ハードルが高い。
でも、この地の人に「おもしろい人」と認められました。
「地蔵盆で、会場にしてもらったことがきっかけですかね」と、岩崎さん。
京都の夏の風物詩のひとつ、地蔵盆。
町内会が運営する行事で、特に子どもたちが地域のなかで交流するもの。
でも近年、皆が集まる会場が少なくなり、運営も難しくなっていました。
そこで、マガザンキョウトを会場として使ってもらうことで地域に溶け込めたのです。
「そのうち、本屋ができ、アトリエができ、ごはん屋ができ……。
大げさなまちづくりではなく、名もない、なんにもなかったエリアが
一歩一歩おもしろくなっていったんです」
立ち上げ時に相談をしたのが山崎さん。
山崎さんはもともと京町家や古い商店街や地域の再生を含めたカフェで、
支配人を務めていたこともあり経験豊富。
岩崎さんは山崎さんのことを「戦い方が似ている」と言います。
そのおふたりが、地元ではおもしろいエリアと注目され始めている西院で、
単に消費されるエリアではないと思える気配が、
エラマサから感じられると口を揃えます。
ここでふとふたりの疑問。そういえば「エラマサ」って?
「フィンランド語で『人生』。
私の好きなフィンランドのパンクバンドがいて、その曲名なんですよ」と井上さん。
山崎さんがひと言。「人生かぁ……深いなぁ」
酒好きを自認する井上さんは、自分もクイッとひと口、サワーで喉を湿らせながら微笑。
「まぁ、気軽に楽しんでくださいよ」
おもしろい酒場にはおもしろい人が集う。そこで飲む。
それもまた、ローカル酒場を訪れる喜びです。
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世界的にも大きな話題を集める抹茶。
飲料やスイーツをはじめさまざまな商品が世に広がり
国内外問わず、新しい専門店も多数生まれています。
その中で、今、注目されているのが「抹茶ハイ」です。
〈寶「宝焼酎の宇治抹茶のお酒」〉は、飲食店限定商品。
その名の通り、原材料に日本有数の茶所である京都産の宇治抹茶を使用、
独自技術により着色料を用いることなく
抹茶本来の色と風味の保持を可能にしました。
また、焼酎は独自の樽貯蔵熟成焼酎を使用。
氷と水を入れて割るだけで、
焼酎の芳醇な味わいと宇治抹茶本来の豊かな風味の「抹茶ハイ」がすぐできます。
「脂がのった魚のほかにも、いろんなアテに合いますよ」(井上さん)
食中酒としてお試しあれ。
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エラマサ
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