連載
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
今年、瀬戸内の島々では4回目となる
〈瀬戸内国際芸術祭2019〉(以下、瀬戸芸)が開催されています。
3年に1度、瀬戸内海の12の島とふたつの港を舞台に開催される
現代アートのお祭りです。
開催期間は、春会期、夏会期、秋会期と3つに分かれていて、
7月19日から夏会期が始まりました。
今年の瀬戸内の夏は、いつもに増して賑やかになりそうです。
小豆島でもたくさんの作品が公開されています。
島のあちこちに点在していて、全部回ろうとしたら
2、3日はかかるんじゃないかなぁ。それも車がある前提で。
例えば、田浦半島にある『愛のボラード』を見に行って、
大部地区の『国境を越えて・波』を見に行こうと思うと、車で約1時間かかります。
バスだと乗り継いで行かないといけないのでもっとかかります。
小豆島はきっとみなさんの想像以上に広い島です(笑)。
作品をたくさん見ることを目的にしてしまうと疲れてしまうと思うので、
見に行く作品の数を絞りつつ、作品だけじゃなくて、その周りにある
小豆島の風景や食べもの、歴史なども楽しんでいただけたらいいのかなと。
先日、島を案内する機会があって、久しぶりに小豆島ならではの場所を巡ったのですが、
あらためて小豆島っておもしろい要素が盛りだくさんだなと思いました。
瀬戸芸作品と併せて楽しみたい小豆島、例えばこんなことです。
まずは、オリーブ。
島のあちこちにオリーブの木が植えられているので、
どこに行っても見かけると思いますが、遠くからなんとなく見るだけじゃなくて、
ぜひオリーブ畑の中を歩いてみてください。
勝手に大切なオリーブ畑には入れないですが、
オリーブ公園など一般の人に公開しているところもあります。
オリーブの木々の間を歩く、それだけで島の空気を感じられるんじゃないかと思います。
もし気になるオリーブ農園があれば、生産者さんに直接お願いしたら、
畑を案内してくれるかもしれません。
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それから、山岳霊場。
小豆島には「小豆島八十八ヶ所霊場」があります。
その昔、弘法大師(空海)さんが島に立ち寄られて、
修行や祈念を行ったといわれている88の本場霊場と奥の院、合わせて94か所の霊場。
その霊場の中で山や谷など自然の地形を利用したものが「山岳霊場」で、
日常ではなかなか味わえない空気感があったりします。
場所によっては、瀬戸内の海、島々といった
すばらしい景色を眺められるところもあります。
そして、醤油蔵。
小豆島は400年以上の伝統がある木桶仕込醤油の産地です。
いまも島には全国で一番多い1000本以上の木桶があるそうです。
その木桶が並ぶ醤油蔵を見学できるところもあります。
なんで「島」で醤油がつくられてきたのか、どんなふうにつくられているのか、
そんなことを学ぶのも小豆島旅の楽しみのひとつだと思います。
オリーブがあって、山岳霊場があって、醤油蔵が立ち並ぶ地区がある。
これらはほんの一部で、島を楽しもうと思ったらまだまだたくさんの要素があります。
昔から続くそうめんづくりや棚田もそうだし、ここ数年に新しくできた海辺のカフェ、
山の中にあるセレクトショップなどにも、ぜひゆっくりと行ってみてほしいです。
瀬戸芸作品を見たら、そのままちょっとだけ焦点を変えて、
その周りにある島の風景や産業、それからそこで働く人々、
そんな島そのものを見ていただけたら、きっと瀬戸内の旅をより楽しめると思います。
あ、そんなこと書かなくても、みなさんもう当たり前のように
そうされてるかもしれませんね。
実は私自身は、まだほとんど作品を見に行けてないので、
夏、秋にかけてちょくちょく見に行きたいと思っています。
みなさんに混じって、瀬戸芸の作品を巡りつつ瀬戸内の島旅を楽しみます!
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