連載
posted:2019.4.8 from:香川県小豆郡小豆島町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
小豆島にあるほとんどの地区(集落)は海岸線沿いにあって、
集落のどこかから海を眺めることができます。
島暮らしといったらやっぱり海がすぐそばにあって、
家の窓から海が見える! くらいの暮らしを想像しますよね。
そんななかで、私たちが暮らす肥土山(ひとやま)とお隣の中山は、
山に囲まれた海の見えない場所にあります。
小豆島の海とは違う魅力を感じられるエリアで、棚田が広がり、
農村歌舞伎や虫送りという伝統文化がいまも残っています。
今日はその中山にある〈うすけはれ〉というお店のことを書きます。
うすけはれは、中山地区の山の中にあります。
お店の周りは木々に囲まれていて、一度夜に行ったことがあるのですが、
真っ暗すぎてびっくりしました。
お店を運営するのは、うえすぎあらたくん、道代ちゃんご夫婦。
道代ちゃんが生まれ育った小豆島に帰ってきて、
2017年5月にうすけはれをオープンされました。
小豆島では素麺の製造が昔から盛んなのですが、
もともと素麺工場だった建物を改修してお店にしています。
こんなすてきな建物をどうやって見つけたんだろうと聞いたら、
町の運営する空き家バンクでみつけたそうです。
たまたま出会ったその建物。立地的にお客さんが来てくれるかどうかよりも、
この建物ならいいお店にできそうだなと思って決めたそう。
素麺工場の横には家があって、ふたりはそこで暮らしています。
お店の名前の由来についてはこんなふうにWebサイトに書いてありました。
暮らし始めてしばらくすると近所の方が様子を見によく顔を見せてくれるようになり、
この場所のことを「うすけ」と呼んでいることを知りました。
「うすけ」とは、昔ここの場所が素麺工場として使われていた時の屋号で
漢字では「宇助」と書きます。
店を構える際、変わらずこの場所を慣れ親しんだ名前で呼んでほしいという思いがあり、
うすけに「けはれ」という言葉を足して「うすけはれ」という屋号にしました。
「けはれ」とは「ハレ=非日常」、「ケ=日常」を足した意味で、
うすけの日常も非日常も楽しんでいただきたいという思いを込めています。
Page 2
名前だけじゃなくて、お店の中にも当時の素麺工場の名残がたくさん残っています。
天井についている素麺を乾かすためのファン、土壁や木製の引き戸。
古い家具や木箱。古いものへの手の入れ方、使い方、
それから新しいものとの合わせ方がとてもいいんですよね。
お店には、ふたりがセレクトした衣服や食器、雑貨、アクセサリーなどが並んでいます。
小豆島をはじめ、瀬戸内の作家さんたちのものも多くあります。
あらたくん自身がデザイン・制作した小豆島の鹿や猪の皮を使ったかばんや小物も!
たまに遊びに行くとついついアクセサリーとか服とか買ってしまうんですよね。
近所にこんなにもすてきなお店があるなんてとてもうれしい。
商品を買うだけじゃなくて、ゆっくりとお茶と
手づくりのお菓子をいただくこともできます。
お菓子は道代ちゃんの弟さんがつくっているそうで、これまたおいしい!
うすけはれに行って、コーヒーとお菓子をいただくのが
私の楽しみのひとつだったりします。
今年は瀬戸内国際芸術祭の会期に合わせて、企画展を開催するそうです。
まずは春会期、4月26日より「瀬戸内でつくられるものたち展」が始まります。
瀬戸内の作家さんのものがいつもよりたくさん集まります。
期間中は無休で営業されるそうです。
うすけはれにぜひ立ち寄ってみてください。
information
うすけはれ
information
HOMEMAKERS
Feature 特集記事&おすすめ記事